JIS E 4041:2019 鉄道車両―完成車両の試験通則 | ページ 4

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集電装置各部の寸法及び動作は,契約で指定している範囲内で支障がなく,かつ,集電シューの静的押
付け力が許容範囲内にあることを確認する。パンタグラフの上昇動作及び下降動作の時間は,受渡当事者
間の協定による。
特に,契約に要求がある場合,パンタグラフの試験には,横方向変位の寸法限界を含め,JIS E 6302の
規定を適用する。
注記 JIS E 6302の6.6[鉄道車両の幅方向の剛性試験(形式試験)]では,“パンタグラフは最高作用
高さとし,枠組の頂点部分に鉄道車両の幅方向に300 Nの力を加え,これを左右にそれぞれ行
ったとき,鉄道車両の幅方向に対する枠組の頂点部分の変位は,片側30 mm以下であり,かつ,
両方向ともに永久変形があってはならない。”となっている。
8.2.3 受渡試験
車両の外部寸法(8.2.2.1)及びクリアランス試験(8.2.2.2)は,協定した1種類だけの荷重条件で行い(8.5.2
参照),形式試験で決めた主要な基本寸法の範囲内にあることを確認する。また,車体の高さ,連結器中心
の高さ,台車枠の高さなどは,契約で指定している範囲内にあることを確認する。
車輪の摩耗に伴う補正機構をもつ部分(例えば,排障器,床下スカート,雪かき器,砂まき管,車上子
アンテナなど)については,適切に調節できることを検査によって確認する。

8.3 車両限界試験

8.3.1  目的
車両の外部寸法は,規定の車両限界内にあることを検証する(8.2.2.1参照)。
8.3.2 一般(形式試験)
契約によって,検証方法が異なる様々な方法による車両寸法が指定されることがある。それらの例を,
次に示す。
なお,我が国では,鉄道事業者は車両限界を定めているので,次に示すb) の適用はほとんどない。
a) 車両限界 車両が,規定の車両限界を超えていないことを確認する。
b) 動的車両限界(車両限界を規定していない場合の車両の外部寸法の挙動範囲) 動的車両限界の計算に
よる確認を発注者又は使用者が規定している場合,製造業者は,定置試験としてばね支持装置による
車体の最大傾斜となるたわみ係数試験(8.3.3参照)を行って,車両走行時の動作特性解析で採用した
計算(8.2.2.1A参照)の妥当性を確認する。
8.3.3 たわみ係数試験(任意又は必須の形式試験)
動的車両限界又は曲線通過車両限界の計算を確認することを要求されない限り,この試験は任意である。
要求がある場合,関連する車両形式が多数の車両形式を代表する特徴をもっているなら,各関連する車両
形式のための必須の形式試験とする。
製造業者は,最小質量及び限界質量の両方の条件に対するたわみ係数の計算値を提供する(8.5.2参照)。
たわみ係数は,車両限界寸法の決定に動的横揺れ試験を容認しない限り,静止状態での直接測定によっ
て決定する。
注記1 “たわみ係数”とは,定置状態のときに,ばね支持装置によってカント内側に傾斜する車体
の最大傾斜率のことであり,次のように定義される(図0A及びUIC 505-5参照)。
− 最小質量,空車質量又は限界質量を積載した車両が,カントDの軌道上に定置状態で置か
れている場合,その走行軌道面は水平に対して角度δを形成し,その車体は,車体を支持
するばねによって傾斜してレール垂直面に対して角度ηを形成する。
− 非対称の影響,ばね摩擦,ダンパなどの影響を除外して計算又は測定した値によって,た

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わみ係数は,次の式で定義する。
s
ここに, s : たわみ係数
η : 車体の傾斜角度(度)
δ : 軌道の傾き(度)
注記 Dは軌道のカント,Gは車体質量の中心の位置を示す。
図0A−たわみ係数の関係(例)
注記2 “たわみ係数試験”は,対応国際規格で規定されているもので,カント上に停止したときの
内傾ロール角特性を評価するものである。
8.3.4 車両各部の形状寸法(受渡試験)
車両各部の形状寸法は,車両限界のテンプレート又は管理したジグ,計量器などを用いた適切な方法で
確認する。

8.4 つり上げ又は持ち上げ試験(任意の形式試験)

8.4.1  目的
車両が契約に指定した条件で,つり上げ又は持ち上げに耐え得ることを検証する。
8.4.2 試験方法
この試験は,設計で指定する車体支持点に,天井クレーン,リフト又はジャッキのいずれかを使用して,
車両をつり上げ又は持ち上げて行う。車両の機械的干渉,アタッチメントのゆがみなどは,契約で指定し
た許容範囲にあることを検査によって確認する。この試験では,永久ひずみを生じることなく車両をつり
上げ又は持ち上げることができることを明らかにする。ただし,車体のねじれ剛性の小さいことを特徴と
する車両は,受渡当事者間で協定した試験条件で実施するか又はこの試験を省略することができる[JIS E
7106の4.8.1(剛性)参照]。

8.5 質量測定試験

8.5.1  目的
車両質量及び質量配分は,契約の指定範囲内にあることを検証する。これは,通常,形式車種ごとに次
の測定を行う。

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a) 車両質量の測定
b) 軸重の測定
c) 輪重の測定
8.5.2 荷重条件
測定時の荷重条件は,契約で指定する。推奨する荷重条件は,表1による。
表1−推奨する荷重条件
項目 最小質量 空車質量a) 限界質量
乗客又は積載貨物 0 0 契約による
用具 完備品(定数)
乗務員 0 0 乗務定員
砂 0 全量 全量
トイレ用,暖房用,食堂車用などの水 0 全量 全量
燃料 0 全量 全量
エンジン用冷却液及び潤滑剤 標準(通常) 標準(通常) 標準(通常)
その他の液体類及び潤滑剤 標準(通常) 標準(通常) 標準(通常)
注a) EC規格には,最小質量と限界質量の間に“空車質量”ではなく,“標準質量”がある。その条件は限
界質量の条件のうち,砂,トイレ用などの水,及び燃料の量をそれぞれ全量の2/3とした場合である。
国内では測定条件として“標準質量”を採用していないのでJISとしては削除した。
乗客及び貨物の輸送を目的とする車両に対して,発注者から特別な指定がない場合の質量条件は,次に
よる。
a) 最小質量 用具などを完備し,自走又はけん(牽)引で移動できる車両の状態での契約で指定された
負荷の質量。
b) 空車質量 例えば,力行又はブレーキのような性能試験のために契約で指定された質量条件で,最小
質量に砂,水及び燃料の全量を加えた質量(乗務員,乗客及び積載貨物は含まない。)。
c) 限界質量 契約に指定され,かつ,例えば,非常ブレーキに対する特定の性能試験に対して採用する
条件で,安全に運転できる最大の質量。
d) 特別の指定がない場合,乗客及び乗務員の1人当たりの計算質量は,55 kgとする[JIS E 7103:2006
の5.1 b) 参照]。
e) 機関車などで従来から使われている“運転整備質量”は,空車質量に指定の乗務定員の質量を追加す
る。
乗客又は貨物を輸送しない,例えば,機関車のような車両に対しては,標準載荷質量及び限界乗客/貨
物質量はゼロ,すなわち,最小質量と同じと仮定している。
質量測定試験条件としての車両への積載負荷荷重の積卸し作業を最小限とするため,車両限界に関する
寸法検査(8.2参照)及び質量測定試験(8.5参照)は受渡当事者間で協定して,次のいずれかの条件でも
よい。
− 同一質量条件で行う。
− 契約で指定した質量条件以外の条件で行う。ただし,測定値は,適切に換算する。
8.5.3 形式試験
車両の質量及び各輪重を測定によって記録し,それに測定装置の校正記録を添付する。車両の質量測定
試験は,通常,製造業者の工場で行うが,事前に協定して,発注者又は使用者の設備で行ってもよい。当

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該測定装置を屋外で使用する場合には,一般的な周囲の環境条件(例えば,風速及び降雨)に配慮し,か
つ,記録する。
契約に特別の規定がない限り,質量測定試験時の車両の荷重条件は,受渡当事者間で協定して,最小質
量又は空車質量とする。限界質量での試験は,任意の試験又は調査試験として行ってもよい。
車両の質量測定試験の方法は,JIS E 4011による。ただし,車両の荷重条件は,受渡当事者間の協定に
よる。
車両は,機械式ダンパなどを取り外し,台車間を連結する装置がある場合には,当該装置を緩めてから,
極めて低い速度で走行して質量計測装置へ進行させる。
ばね支持装置をなじませた後及び質量測定試験中は,試験対象の車両には何の変更も調整も加えてはな
らない。すなわち,これより以前の,ばね支持装置をなじませた後に発生した,支持装置の構成部品間の
摩擦によって起こるような車体と支持装置の状態に対しては,衝撃,振動又はその他の手段による,いか
なる人工的な変更も加えてはならない。
ばね支持装置の方式(例えば,コイルばね式又は空気ばね式)又は利用できる質量測定装置(例えば,
車両を質量測定地点上に移動させ,その後,質量測定装置上に垂直に降ろす方式。)に適した,別の計量手
法を採用してもよい。この場合,質量測定試験の条件及び測定回数は契約で規定する。
車両の質量並びに車両各軸の軸重及び左右の輪重は,次のa) d) の事項を考慮して,契約の条件を満た
さなければならない。e) h) は,契約で要求されている場合に測定する。
a) 車両質量の最大値及び最小値並びに全体質量の許容差。
b) 車両各軸の最大軸重値及び許容差。
c) 車両各軸ごとの左右の輪重値及び当該軸の平均輪重との差。
d) 車両の左右各列の輪重合計値(右及び左)及び両列の輪重合計値平均との差。
e) 契約に記載されている数値を超える正常運転時における車両の超過質量。
f) 動力車(走行用駆動装置付き車両)の場合の,駆動軸の静止軸重。
g) 動力車の場合は,同じ引張力を出す動軸の平均軸重値と比較した各動軸の軸重。
h) 車両が走行する線路の許容軸重と比較した軸重。この数値は契約で指定する。
8.5.4 受渡試験
8.5.3に規定した方法によって質量測定試験を行う。
荷重の条件は,形式試験と同一とする。
貨車及び走行駆動装置のない車両で契約に協定がある場合,製造業者からの適合性の申告だけで受け入
れてもよい。

8.5A 重心測定(任意の形式試験)

  車両の重心測定の実施が,受渡当事者間で事前に協定している場合は,事前に取り決めた方法によって
試験を行う。この方法には,測定に代えて計算によって算出する方法も含む。

8.6 防水・防じん(塵)試験

8.6.1  目的
車両に採用した保護等級(例えば,JIS C 0920によるIPコード。)及びフィルタ,ちりよけ装置又は類
似の装置が,契約で指定した性能を満足していることを検証する。
防水試験の方法は,特別の規定がない場合には,附属書JCの規定による。
8.6.2 形式試験
試験計画書には,契約で要求している事項を満足していることを検証できるように,車体,機器箱,配

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電箱などの試験を含めて記載しておく。車両は,全ての正規の内装取付品,装置及びカバーを取り付けた
完備した状態で行う。試験では,次に示す要因を,必要に応じて考慮する。
a) 空調装置又は圧力換気装置が契約に含まれている場合,車両の部品又は当該装置の一部を構成する用
品は8.15.5によって試験する。
b) 車体自体及び車体の外側に取り付ける電気機器箱は,雨・雪が浸入する可能性のある全ての開口部,
戸,カバー,蓋及び隙間部も試験する。
防水性の試験は,車両を運用する地域の代表的な気象条件で行う。代表的な試験方法は,契約で協
定し,試験計画書に記載する。
この試験において,設計で決まる開口部(空気取入れなど)の防水構造及び戸,窓,機械の覆いな
どの主として取付方法及び固定方法で決まる防水カバーとでは,防水性の扱いは異なる。すなわち,
開口部及びカバーの防水性並びに特定の区画部分に水抜きを設け,水が浸入しても,直ちに排水され
て,ケーブル,電気装置又は車両の正常な運転を維持するのに必要な装置に悪影響がなければ,その
構造は適切である。
c) ブラインド,ルーバ,フィルタ,ちりよけ装置,空気取入れ用装置箱のエアークリーナなどの効果を
確認し,配線,スイッチなど又は車両の正常な運転に必要なその他の装置を損なうことがないことを
検証する。
d) ルーバ,フィルタ,ちりよけ装置などが,適切な取付状態であることを試験によって検証する。
e) 雪,砂などの異物浸入防止構造は,正しく機能していることを試験で確認する。きょう(筐)体の防
水・防じん試験に関するガイダンスは,JIS C 0920による。
8.6.3 受渡試験
防水試験は,形式試験と同様に行うが,契約で定めた車種で行う簡略化した散水試験及びその他の特定
の試験は,試験計画書で指定したとおりに行う。

8.6A 気密試験(受渡試験)

8.6A.1 一般
トンネルの出入口及びトンネル内走行時に生じる気圧変動によって,乗客に不快感を与えないように気
密構造としている車両は,その気密性を試験によって確認する。
車両の気密性の確認試験は,受渡当事者間で事前に協定してある場合に行う。試験は,車内圧力を大気
圧より高くする方法で行う。また,試験は,編成状態ではなく単車状態で行ってもよい。
8.6A.2 試験方法
車両の戸,窓,排水口,水抜き孔などの開口部は,実際の走行時と同じ状態とする。車体の妻部に開口
部がある場合は,当該部分を塞ぎ板などで密閉する。
試験装置から車内へ圧力空気を込め,車内の気圧を契約で指定した圧力まで上昇させる。その後,圧力
空気の供給を止めると車内圧力は徐々に低下するので,供給を止めた直後の契約で指定された圧力から指
定の圧力低下(例えば,圧力が4 kPaから1 kPaまで)の時間を測定する。測定した時間は,契約で規定し
た基準値を満足することを確認する。
注記 気密試験に先立ち,戸,窓,溶接部などの気密性を個別に確認するためには,車内圧力を高め
た状態で,石けん水などを塗布して気密漏れの有無を確かめる方法が使われている。

8.7 電気絶縁特性試験(受渡試験)

8.7.1  一般
この試験は,車両内にある電気回路の電気絶縁特性が良好であることの確認を目的とする。

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JIS E 4041:2019の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61133:2016(MOD)

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