この規格ページの目次
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5 試験の種類
5.1 一般
5.1.1 試験の種類
試験計画書(4.3参照)には,試験を次の種類に分けて表示する。
a) 予備調整試験(5.2参照)
b) 受入試験 次の試験に区分する。
1) 形式試験(5.3.1参照)
2) 受渡試験(5.3.2参照)
3) 外部認証機関が要求する試験(5.3.3参照)
c) 調査試験(5.4参照)
5.1.2 試験項目の一部省略
次のような場合,受渡当事者間の協定によって,試験項目の一部を省略することができる。
a) 試験の対象車両が以前に製造したものと同一の車両であることが明らかで,その車両に対して以前に
実施した試験の結果が利用できる場合,又は発注者が支給若しくは指定した電動機などの機器及び装
置を装備している場合。
b) 対象車両の試験が同様な条件の下で,以前に実施済みであることを証拠資料によって証明できる場合。
c) 必要な情報が,関連した契約の中で指定されている外部認証機関との協定によって,他の規格の参照
によって提供される場合。
5.2 予備調整試験
車両の受入試験(5.3参照)を行う前に,積載質量の“あり”又は“なし”のように条件を変えた状態で
車両を走行させて調整を行う予備調整試験が通常必要であるが,製造業者は,自己の工場では設備などの
都合で実施できない場合,使用者の路線を使用した予備調整試験の実施を要求することができる。この場
合,事前に使用者及び鉄道の地上設備管理者が満足できるように,安全走行に必要な最小限の試験(6.2
及び9.1A参照)を終了していなければならない。
所定の調整をするための試験走行の最大積算走行距離は,契約の協定によるのが望ましいが,車両の種
類,特に,その最高速度及び導入する新しい装置などを考慮に入れて選定しなければならない。形式試験
を行う予定の車両で,契約に数値が特定されていない場合,製造業者は,発注者に対して5 000 kmを超え
ない範囲で試験走行の実施を申請することができる。
注記 車両の通常の受入条件としての積算走行距離は,6.3を参照する。
この予備調整のための試験走行は,鉄道事業者又は使用者が任命した責任者の下においてだけ実施する
ことができるものとし,使用者は車両の運転者を任命する。
5.3 受入試験
5.3.1 形式試験
この試験は,契約で指定した要求性能を満足していることを証明するために,受渡当事者間で協定した
所要期間の中で行う。試験項目の例は,定置試験及び走行試験をそれぞれ表JA.1及び表JA.2の一覧表で
示しているが,これらの試験内容は,箇条8及び箇条9に規定している。
注記 表JA.1及び表JA.2に示す試験項目一覧表は,製造業者が試験計画書を作成するときの指針で
ある。
形式試験は,一つの設計によって製造した最初の車両に対して行う。ただし,契約時に別の協定があり
試験計画書に記載されている場合は,その協定による。
――――― [JIS E 4041 pdf 11] ―――――
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この試験を評価検討用プロトタイプ車両又は量産に入る前の試作車両に対して行う場合,受渡当事者間
で協定して,量産最初の車両に対して必要な追加の形式試験項目を決め,試験計画書に記載する。
これらの形式試験は,箇条6に規定する適切な条件の下で行う。
任意の形式試験は,受渡当事者間が協定してあらかじめ試験計画書に記載している場合に行う。
なお,形式試験は,受渡当事者間の協定及び/又は契約によって,受渡試験を兼ねることができる。
5.3.2 受渡試験
受渡試験は,納入する車両ごとに行う。試験項目の例を表JA.1及び表JA.2の一覧表で示しているが,
これらの試験項目ごとの試験内容は,箇条8及び箇条9に規定している。
車両の合否判定基準には,形式試験で使用した同じ特定のパラメータを選択することが望ましい。受渡
試験は,選択した合否判定基準を満足していることを確認できる十分な測定及び確認検査を含むものとす
る。
これらの受渡試験は,箇条6に規定する適切な条件の下で行う。
注記 表JA.1及び表JA.2に示す試験項目一覧表は,製造業者が試験計画書を作成するときの指針で
ある。
受渡試験において得られた試験結果は,形式試験で得られた試験結果から規定する許容範囲内になけれ
ばならない。
受渡試験では,対応する形式試験の結果から,それと同じことを繰り返す必要がないと判断される場合
には,受渡当事者間の協定によって,次のように試験を変更することができる。
a) 試験範囲の限定又はサンプリングによる受渡試験
b) 試験結果の一覧表による簡潔表示
c) 契約時に同意された適合性確認文書をもとにした試験の省略
いかなる追加の受渡試験も契約の中で合意されて,試験計画書に含まれていることとする。
5.3.3 外部認証機関が要求する試験
外部認証機関が要求する試験及び安全性の確認を要する試験(4.3参照)は,試験計画書の中で識別でき
るようにする。製造業者は,この組織からの要求に対して,仕様を満足していることを実証しなければな
らない。
5.4 調査試験
調査試験は,随意契約によって行う特別な試験であり,追加的な情報を得るために行う。この試験は,
契約で指定した場合にだけ行うので,試験項目の例は,表JA.1及び表JA.2には記載していない。
こうした調査試験の実施は,受渡当事者間で協定し,それぞれの特定項目ごとに,試験の実施方法及び
手順を取り決める。
調査試験の結果は,車両の受取りを拒否する理由として使ってはならない。
6 試験条件
6.1 一般
試験は,特別の指定がない限り,通常の周囲条件の下で行う。
試験計画書には,自然条件及び場所を考慮して,次の項目を含めることが望ましい。
a) 形式試験及び受渡試験の試験計画書,特に,この規格で受渡当事者が協定できる事項。
b) 定置試験(6.2参照)
c) 走行試験(6.3参照)
――――― [JIS E 4041 pdf 12] ―――――
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d) 自然環境に関する試験の方法(例えば,雪,雨,ほこり,気温など季節的な条件が関係する場合)
e) 使用している用品のうち,その供給者の工場に適切な試験設備がないために,完成車両の定置試験又
は走行試験で行う必要のある用品の試験。
f) 完成車両に組み込まれる支給品に関する試験は,支給品供給者を含む受渡当事者間で事前に協定する。
6.2 定置試験
定置試験の詳細は,箇条8に規定する。これらの試験項目は,できるだけ製造業者の工場内で行うのが
望ましい。
この定置試験には,安全に走行試験が始められることを検査確認する内容も含む(9.1A参照)。
試験設備は,試験を確実に行う上で,適切,かつ,十分なものでなければならない。当該試験に関連し
て,その試験設備に制約がある場合には,製造業者は,事前に発注者に連絡しておかなければならない。
第三者機関所有の試験設備(4.2参照)に車両を移送して試験を行う場合にも,製造業者は,車両が安全,
かつ,確実に移送できることを,9.1Aを準用して事前に十分に検査によって確認しておかなければならな
い。
6.3 走行試験
走行試験の詳細は,箇条9に規定する。
走行試験は,その車両を運用する予定の路線又はそれができない場合には,契約に指定されている類似
の特性をもつ路線,又は専用の試験設備で行ってもよい。
走行試験の場所及び計画は,契約の中で規定する。
これらの走行試験は,通常,使用者が管理する本線試験となり,車両の認可事項にも関係するので,発
注者又は使用者の責任において実施する。ただし,製造業者及び供給者は,誠実に協力する。
試験路線へのアクセス及び充当する乗務員の準備に関する計画は,契約の中で条件を規定することが望
ましい。
走行試験実施に関わる要求事項は,関連する地上設備管理者及び試験設備管理者の定める規則に優先し
ないほうがよい。
事前の予備的な試運転を含む全ての走行試験の試験設備の準備は,発注者又は試験設備の供給者との契
約書の契約条件に明記することが望ましい。また,支給品が関係する走行試験の場合には,あらかじめ支
給品供給者を含む受渡当事者間で,実施する試験項目,試験内容,試験機材の準備,当該試験の責任主体
などを協定する。
形式試験の一部として,発注者に引き渡すまでの積算走行距離は,契約に特定されていない場合,100 km
程度とする(9.2.1参照)。
別の鉄道の地上設備管理者の路線で,走行試験を行う場合,選定した路線,その特性及び運転条件につ
いて,契約時に受渡当事者間で協定する。
走行試験に参加する全ての関係者は,責任関係を明確にしておかなければならない。
走行試験を行う前に,信頼性,アベイラビリティ(availability),保全性及び安全性が関係する事項で,
必要な準備があれば受渡当事者間で検討する。
7 妥当性確認文書
妥当性確認文書には,車両及び主要搭載用品を識別できる十分な情報があり,試験記録を通して,これ
らをトレースできるようにする。少なくとも,次の内容を記載する。
a) 当該文書を作成した組織の名称及び所在地
――――― [JIS E 4041 pdf 13] ―――――
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b) 製造業者の名称及び所在地
c) 車両,主要搭載用品などの識別(名称,形式,形式番号及び関係するロット番号,バッチ,製造番号,
変更レベルなどの補足情報)
d) 契約,試験計画書で引用した規格又は規定文書の明確かつ簡略な表示
e) 車両構成用品・装置などの等級又は分類記号がある場合には,それらも含めたあらゆる補足情報
f) 文書の日付
g) 責任者の役職名及び署名又は署名に代わるものと認定された印
8 定置試験
8.1 一般
製造業者は,試験計画書に規定した定置試験の各項目を実施する。表JA.1に代表的な定置試験項目を示
しているが,これらは試験計画書に記載する試験項目を予想した例である。この表は,全ての試験項目を
網羅しているものではなく,製造業者が試験計画書を作成するときのガイドラインとして活用するもので
ある。
契約で特別な要求がない場合には,次に規定する各項目を契約の車両の種類に応じて,適宜選択して試
験計画書に含める。
8.1A以降の細分箇条の表題に試験区分の記載がない試験項目は,形式試験及び受渡試験に共通である。
それぞれの試験項目に個別の試験区分を記載してある場合,該当する別の細分箇条に形式試験又は受渡試
験の詳細を規定している。
8.1A 外観検査(受渡試験)
次の事項について,取付状態を含めて異常のないことを,実際の静止状態で検査によって確認する。
a) 車両全般
b) 支給品
c) 全ての機器及び装置
d) 配線(8.7.2参照)・配管
注記 外観検査の一例として,次の項目が挙げられる。
− 室内,運転室などの外観の大きな汚れ又はきずの有無
− 点検蓋など可動部のがたつきの有無,鍵,ラッチなどの掛かり具合
− 床下機器の締結品の緩みなど取付状態
− 室外外板の大きな汚れ,きず,凹みの有無,塗装の状態及びカラーバンドの貼付状態
8.2 寸法検査
8.2.1 目的
車両は,完成後の“空車”のように最小荷重状態において,車両の外部寸法,各部のクリアランス及び
フレシキブル結合の部分が,契約の範囲内にあることを検証する。
8.2.2 形式試験
8.2.2.1 車両の外部寸法
各形式の車両の外部寸法(例えば,車両高さ,連結器高さ,台車高さなどを含む。)は,契約の規定寸法
に対して測定し確認しなければならない。鉄道事業者及び/又は鉄道の地上設備管理者が定める車両限界
内にあるように設計しなければならない。何らかの理由で車両限界の規定がない場合,製造業者は動的車
両限界(8.2.2.1A参照)を発注者に申告しなければならない。
――――― [JIS E 4041 pdf 14] ―――――
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ただし,受渡当事者間で協定している車両限界を超えなければ使用することができない装置(例えば,
一時的に外側に展開するステップ,排障器,非常口扉など)は,車両の安全な走行を確保できる範囲にお
いて車両限界を超えることができる。
この車両の外部寸法には,次の条件に関係する寸法を含める。
a) 寸法調節を必要とする全ての部品の寸法調節範囲(例えば,空気ばね)
b) 摩耗する部品の許容寸法範囲(例えば,車輪摩耗)
c) 荷重条件による寸法の変動範囲(8.5.2参照)
d) 故障又は損傷したときの動作寸法範囲(例えば,ばね支持装置用品)
e) 上記a) d) の最悪条件の組合せ
8.2.2.1A 動的車両限界(車両限界を規定していない場合の車両の外部寸法の挙動範囲)
何らかの理由のため,契約で車両限界を規定していない車両の外部寸法は,製造業者が契約で協定した
規則に従って,動的車両限界を規定して発注者に申告する。この動的車両限界は,軌道の曲線半径,曲線
区間走行時の列車速度,車両寸法などによって生じる,次の横移動・横変位を考慮するもので,設計仕様
に基づいた数値によって,あらかじめ計算で求めておき,発注者又は使用者の要求がある場合には,その
検証方法を試験計画書に入れておくことが望ましい。
a) 車体のばね支持装置のたわみ係数(8.3.3参照)による車体の横変位及び車体傾斜による寸法。
b) カントの過不足がある曲線路を車両が走行するとき,車体のばね支持装置が遠心力によって最大横変
位する寸法。
c) 曲線区間を通過するとき,車体の両端部が曲線の外側に,中央部が曲線の内側に変位する寸法(車両
の固定軸距又は台車中心間距離,車体長及び車体幅が関係するほか,車体のばね支持装置のたわみ量
も影響する。)。
注記 定置での車体のばね支持装置による横変位及び曲線軌道における車両限界の拡大などは,我
が国では車両限界と建築限界との間に十分な空間があるので,通常,8.2.2.1Aを適用する場
合はない。
8.2.2.2 クリアランス試験
この試験では,契約で指定している荷重条件及び軌道形状において,次の箇所の相対的な動きに対して,
必要なクリアランスが確保されていることを確認する(8.2.2.3参照)。
a) 車体及び台車間
b) 連結した車両相互間
8.2.2.3 ホース長さ及びケーブル長さの試験
この試験は,車体と台車との間及び連結した車両相互間に使用するホース及びケーブルが,曲線通過な
どのとき,車両が相対的に変位した場合(振り子式車両又は車体傾斜式車両の場合は,模擬動作を含む。)
でも,適切な長さ及び適切な取付状態であることを検査によって確認するために行う。
車体と台車との間に曲線通過時に相当する旋回変位を与える試験は,偏い(倚)試験とも呼ばれ,8.2.2.2 a)
の試験と同時に完成車両の片方の台車部分をトラバーサ又は転車台に載せ,その台車を車体に対して旋回
させながら行う方法が一般的である(振り子式車両又は車体傾斜式車両においては,必要に応じて,当該
装置を模擬できる装置を用いて行う。)。一方,車体相互間の試験は,契約で指定している最小曲線半径に
相当する曲線又は類似の曲線が工場内にある場合,その区間に車両を配置して確認する方法がある。これ
らは走行試験でも再確認することが望ましい。
8.2.2.4 集電装置の定置試験
――――― [JIS E 4041 pdf 15] ―――――
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JIS E 4041:2019の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61133:2016(MOD)
JIS E 4041:2019の国際規格 ICS 分類一覧
JIS E 4041:2019の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC0920:2003
- 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
- JISE2001:2002
- 電車線路用語
- JISE4001:2011
- 鉄道車両―用語
- JISE4011:1989
- 鉄道車両の質量測定方法
- JISE4014:2012
- 鉄道車両―絶縁抵抗及び耐電圧試験方法
- JISE4016:1992
- 鉄道車両の照度―基準及び測定方法
- JISE4021:2008
- 鉄道車両―車内騒音の測定方法
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- 鉄道車両―車外騒音の測定方法
- JISE5004-3:2008
- 鉄道車両―電気品―第3部:直流遮断器
- JISE5004-4:2008
- 鉄道車両―電気品―第4部:交流遮断器
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- 鉄道車両―電気品―第5部:高圧ヒューズ
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- 鉄道車両―電力変換装置
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- JISE6401:2004
- 鉄道車両用抵抗器
- JISQ17025:2018
- 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項