JIS F 8081:2005 船用電気設備及び電子機器―電磁両立性 | ページ 6

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F 8081 : 2005 (IEC 60533 : 1999)
を停止したときの電圧上昇;
− 設置機器の放射妨害によって発生する低周波及び高周波A.C.成分;
− スイッチング動作によって発生する共振しやすい,船内電気システム内の高周波発振;
− 電力用電子機器によって発生するパルス形状の妨害電圧;
− 帯電した操作者が,機器の外被を含む船体及び/又はすべての金属部分に触れることによって発生
する静電気放電;
− 無線送信装置及びその他の船内機器によって発生する電磁放射妨害;
このような妨害現象の種類及び程度は,船上における計測技術によって判断することができる。計画段
階では,これらは既知となっている機器のエミッション及びイミュニティレベルのデータ,又は過去の事
例検討時のデータで代用しても構わない。
B.6 EMC試験
B.6.1 機器試験 EMC要求に適合するための追加のEMC対策が実施されたすべての機器は,システムに
組み込む前に,この規格の規定によって模擬動作状態で計測する必要がある。
B.6.2 システム試験
B.6.2.1 外観検査 船の建造期間中のEMC対策実施は,次の手順によって行うのが望ましい。
− ケーブル敷設経路の分離の確認;
− ケーブルシールド線の接地が,接地導線の最大許容長さに適合していることの確認;
− 要求される低インダクタンス値達成のためのEMC対策としての接地の確認;
− そのプロジェクトに関連した製造業者文書に従ったEMC仕様書に規定された機器及び設置状態の
確認;
− EMC対策としての接地に対する腐食防止対策の検査;
B.6.2.2 システム受入試験 EMC対策の性能確認手順は,確認作業開始前にEMC改善を提案し,実際に
設置したEMC技術者が作成する。
プログラム作成には,製造業者によって規定されたEMC対策を実施した設置方法及びEMCパラメータ
を考慮する必要がある。その検査は,限界動作状態で実施し,可能性のある影響に対して被妨害機器及び
設置方法を確認する。検査確認は,EMIマトリックス(B.4参照)を参照して実施するのが望ましい。
B.6.2.3定期試験 関連文書及び設置要領には,EMCの低下を避けるため機器の保守及び修理時,保守時
及び定期検査時に考慮すべきケーブル敷設方法の詳細を含めるのが望ましい。文書化されたこれらの保守
方法のための適切な間隔を計画することは便利なことであり,その時間的な間隔は船級協会の定期検査と
一致させるのが望ましい。
関係者は,使用中に発生したすべての障害を,勇気をもって記録として残すのが望ましい。これらの障
害を調査し,保守作業中に修正することが望ましく,更に問題点は,将来の参考として船の設計者にフィ
ードバックするのが望ましい。

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附属書C(参考)EMC達成のための対策
この附属書(参考)は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
C.1 適用 この附属書は,船舶及び船用機器のEMC(電磁両立性)達成のため,構成上及び技術上に実
施する対策のガイドライン及び推奨案を示す。これらの予防策は,電気及び電子機器に特別な場合,非電
気機器にも関係するものである。
これらのガイドライン及び推奨案は,実際の適用でその効果が実証されているものであるが,ある種の
環境下では,期待するEMCレベルを達成するために,追加の対策が必要となる場合もある。
機器の構成部分で達成されるEMC性能は,設置状態でも維持されることが,これらのガイドライン及
び推奨案を使用することによって明らかになりやすくなる。
C.2 一般技術対策 EMC達成のために効果的な対策は,乗組員と船の安全性及び電気設備の信頼性にど
のような方法でも危険を与えない状態で採用されるのが望ましい。
JIS F 8061及びJIS F 8062の規定も遵守するのが望ましい。
EMC対策は,次の項目に対しても同様に実施するのが望ましい。
− 発生源と影響を受ける機器/システムとの間の障害経路の分離;
− 発生源における放射レベルの低減;
− 影響を受ける機器/システムの妨害に対するイミュニティ強化;
次の対策を,個々に又は組み合わせた状態で適用することができる。
− 遮へい;
− 接地;
− ケーブルの適切な経路,分離及び選択;
− 適切な機器設置場所の選択;
− フィルタリング;
− 特殊部品の使用(例 過電圧保護器);
− 特殊器具の使用(例 異なる電位を分離するためのもの);
− 構成的対策(例 機器の交互運転);
これら対策の詳細を,C.2.2,C.2.3,C.2.4及びC.2.5に示す。機器及び設置に関連するその他の対策は,
その詳細をC.3に示す。構成上の対策は,C.4に示す。C.2.1のグループAFには,機器,個々の構成部
分又は個々の設置に関する特別な推奨案又は意見の詳細を示す。
色々な機能を集めて意図した性能をもつために,相互接続されたすべての機器,構成部分及び設置の組
合せを“統合システム”と呼ぶ。統合のために,ある技術上の対策を取ることが必要な場合,その対策が
実際の適用に際し実証されたものとして推奨できる場合,又はC.2.1のグループAからFに与えられたも
の以上のものである場合,それらの対策が,グループGにリストとして与えられている。
C.2.1 機器及び設置グループ
グループ A : 無線通信及び航海機器
特徴 : 無線信号で動作。
例 : 船用無線通信及び航海,船上通信装置のための送信機,受信機。

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グループ B : 発電及び変換機器
特徴 : 広帯域障害。
例 : 整流器,インバータ,コンバータ(電力用電子機器),回転変換器,発電機,
甲板機械,船用小形電気機器,蛍光灯,放電ランプ。
グループ C : パルス電源で駆動する機器
特徴 : 高エネルギーをもった周期的障害,瞬間的障害。
例 : レーダ及びソナーシステム,音響測深器。
グループ D : 遮断装置及び制御装置
特徴 : スイッチング障害。
例 : 配電盤,リレー制御機器,電動機用始動器,電気ヒータ用制御器。
グループ E : 船内通信及び信号処理機器
特徴 : アナログ及びデジタル信号で動作。
例 : 自動化システム,コンピュータ,センサ,船内放送,信号及び警報システム。
グループ F : 非電気部分及び機器
特徴 : 渦流広帯域障害発生。
例 : 索具装置。
グループ G : 統合形システム
特徴 : グループAFの機器及び設備の同時動作から発生する障害。
例 : 船底区域,上甲板区域にセンサをもつ航海機器,異なる区域にセンサ及び機
器をもつ推進システム,貨物監視システム。
C.2.2 遮へい 機器及び装置は,次に示す例について効果的に遮へいしなければならない。
− 金属製外被内への設置。
− 適切なケーブルグランド(外被へのケーブル導入部への使用が好ましい)を含む遮へいケーブル。
− 遮へいのための金属製隔壁,甲板の利用及び可能な場合,貫通部におけるケーブル遮へいの接地。
C.2.3 接地 すべての金属製外被及び金属製の機器部分は,効果的に接地する必要がある。機器製造業者
の要求には,注意を払うのが望ましい。
すべての接地プロセスの目的は,分散設置された機器部分の基準電位を同一にするためである。
通常,異なる基準導体の電位差を最小にするために次の二つの方法がある。
− スター形の基準導体接地方式;
− 接地面への基準導体接地方式;
スター形の接地方式の場合,すべての基準導体を一点,すなわち,接地点に接続しなければならない。
この一点の接地点だけが船体に対して一つの導体として接続されるのが望ましい。接地面接地方式の場合,
すべての基準導体を最も近接した船体に,かつ,可能な限り多くの点で接地するのが望ましい。その結果,
接地基準面は,可能である最も小さな接地回路及び最も小さなインダクタンスをもつものとなる。
適切な接地方法の選択には,次の基準を採用するのが望ましい。
− スター形接地方式は,直流回路及び10 kHzまでの交流回路に使用するのが望ましい;
− 接地面接地方式は,100 kHzを超える周波数に使用するのが望ましい;
− 10 kHz100 kHzの間の周波数範囲は,いずれの方式も容認される。接地面接地方式の方が望まし
い;
すべての接地には,次の特性をもたせるのが望ましい。

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− 低HFインピーダンス;
− 最小長さの接続(低インダクタンス);
− 導体及びコネクターの耐振性;
− 耐食性;
− 通常の検査に容易に近づける配置;
すべての接触面は,塗料,酸化物又はその他の導電を損なう層などがなく,金属的にきれいな面としな
ければならない。各接触点は,最終組立前にスプレー又はペーストで腐食防止を実施することを推奨する。
フレキシブルな編み帯ではなく,最小長さの丈夫な金属帯を使用するのが望ましい。接地回路は最小長さ
とするのが望ましい。
この項で規定されない接地方式による障害を避けるために,ばく露甲板上の電気設備以外の長さ1 mを
超える金属部分(例えば,索具)は,船体構造に電気的に良好に接続するのが望ましい。特別な場合には,
電気的に絶縁されていても差し支えない。
電気機器の外被は,できる限り船体構造に直接ねじ又は溶接して取り付けるのが望ましい。
きれいな金属製のねじによる効果的な接地接続が不可能な場合,別の接地導体を使用するのが望ましい。
接地導体と機器又は船体構造との接続は,ねじ止め又は溶接によっても差し支えない。
ばく露甲板上の金属部分と船体構造との接続のための接地導体は,耐食性の鋼材(硬質又はフレキシブ
ルなもの)とするのが望ましい。船内の接地導体は,一般的には銅製である。
金属製扉,保護カバーなどは,短い,単独の,可能な限りフレキシブルな導体で接続するのが望ましい。
電線支持トレー各部及び電線保護管は,相互に,かつ,可能な限り多くの点において船体構造と電気的
接続をもたせるのが望ましい。
金属製の電線がい装及びシールド編組は,一般的に機器の金属製外被又は船体構造に可能な限り多くの
点において,少なくとも電線の両端で,接地するのが望ましい(例外については,C.3.5.3参照)。
非金属製の船体の船は,導体接続のすべての金属部分(接地板がある場合これも含む。)は,接地部とみ
なせる。
C.2.4 ケーブルの敷設 ケーブル敷設経路及びケーブル選択を含む機器製造業者の設置要求には,従うの
が望ましい。異なる信号形式に従って分類されたケーブルの分離及びケーブル間隔をあけた敷設は,主要
な防止対策として使用するのが望ましい。
基本的に船体構造外部のすべてのケーブルは,金属製被覆,金属製のがい装又はその他の適切な方法で
遮へいするのが望ましい。
ケーブル分類1からケーブル分類4までのケーブルは,システムに関係なくそれぞれの分類のケーブル
ごとに束ねても差し支えない。
異なる分類の単一ケーブル又は束ねられたケーブルが,長さが1 mを超える距離を並行して敷設される
場合,最小10 cm以上の間隔を設けて敷設するのが望ましい。
異なる信号レベルで使用される同一分類のケーブルに対しても,同様の要求とするのが望ましい。
ケーブル分類1,4及び5に属するケーブルは,船体の金属部分(甲板,隔壁又はケーブルダクト)に固
定するのが望ましい。金属ケーブルダクトは,隔壁との間を接地接続するのが望ましい。
ケーブル分類3と4のケーブルの間に,特別な対策が必要とされる場合(例えば,ケーブル保護管)で,
ケーブルの最小分離間隔を確保できない場合,同様の対策を適用する。

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表C.1 信号形式及びケーブルの分類
エミッション ケー
用途 レベル /イミュニテ ブル ケーブル形式4) 適用規格
ィ評価 分類
無線受信信号2) 0.1 mV 超鋭敏 3 同軸 IEC 60096-1
TV受信信号
500 mV
ビデオ信号
アナログ及びデジタル信 0.1 V 鋭敏 2 ツイスト; IEC 60092-374
号 一層遮へい; IEC 60092-375
電話信号 115 V 遮へいツイストペア IEC 60092-376
拡声器信号
制御信号
警報信号
給電1) 10 V 潜在的妨害 1 甲板下 : 遮へいなし IEC 60092-350
照明 甲板上 : ツイスト,遮 IEC 60092-353
1 000 V へい
高電力伝送信号 10 V 超妨害 4 同軸 : 遮へい付き電源 特殊ケーブル
パルス高電力信号3)
高電力半導体変換器 1 000 V
ツイスト,遮へい付き IEC 60092-350
IEC 60092-353
特殊用途 特殊 5
光ファイバー −
1)無線通信及び無線航法のための機器及びその補助機器は,遮へい給電ケーブルを使用するのが望ましい。
2)受信アンテナケーブルは,保護管内に二重遮へいケーブル又は同軸ケーブルで敷設するのが望ましい。
3)レーダ,ソナー機器及び音響測深器用ケーブルは,保護管内に二重遮へいケーブル又は同軸ケーブルで敷設
するのが望ましい。
4) IECによって要求されるケーブル遮へいの“充てん係数”を,ケーブルに表示するのが望ましく,IEC 60096-1
で規定された10 MHzでの伝達インピーダンスは 30 mΩ/mを超えないのが望ましい。
ケーブル遮へいは,接続箱又はケーブル引込箱の中で接続するのが望ましい。ケーブル遮へいは,同軸
ケーブルの外部導体以外は,作動回路の信号導体として使用してはならない。
ケーブルの分離敷設要求を満足することが不可能な場合,高シ−ルド効果のあるケーブルを使用するか,
又はケーブルを金属保護管若しくはコンジット内に敷設することが望ましい。
その金属管又はコンジットは,特に指定がなければ,厚さ1 mm以上とするのが望ましい。ケーブルが
金属管又はコンジットを使用して敷設される場合,他の分類のケーブルとの更なる分離は必要でない。
ケーブルは,金属製船体構造に近く,又は金属ケーブルトレー上に敷設することが推奨される。
ケーブルがばく露甲板と船体内部との境界構造を貫通する場合,その貫通部でケーブル遮へい全周を接
地することが推奨される。これらの接地部は,腐食に対する保護を実施しなければならない。
C.2.5 フィルタリング及び過電圧保護 フィルタ,過電圧保護のための部品及びこれら両方の組合せ適用
によって,製造業者は,希望する信号及び給電源の同時ひずみなしに伝導障害を低減することができる。
適用の範囲は,給電ケーブル及び制御ケーブルからアンテナ(送信機及び受信機の分離能力改善)及びア
ナログ並びにデジタル信号用ケーブルまで可能である。
C.2.5.1フィルタリング 被妨害装置と同様,フィルタは妨害発生源にも適用して差し支えない。フィルタ
は,妨害発生源に適用することが望ましく,妨害発生源が一つだけの場合,又はそのエミッションレベル
が他の妨害発生源に比べかなり高い場合,適用するのが望ましい。対象とする被妨害装置が,他の被妨害
装置と比べ非常に妨害に鋭敏な場合,又は被妨害装置の数が,フィルタリングされる妨害発生源の数より
も少ない場合,被妨害装置への適用が好ましい。フィルタの採用決定では,その構成費用と効果のバラン
スを考慮しなければならない。

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  • IEC 60533:1999(IDT)

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