JIS H 8601:1999 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜

JIS H 8601:1999 規格概要

この規格 H8601は、アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜に関する全般的な規格であり,品質及び試験方法を規定。

JISH8601 規格全文情報

規格番号
JIS H8601 
規格名称
アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜
規格名称英語訳
Anodic oxide coatings on aluminium and aluminium alloys
制定年月日
1952年2月12日
最新改正日
2018年10月22日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

ISO 7599:1983(MOD)
国際規格分類

ICS

25.220.20
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
金属表面処理 2021
改訂:履歴
1952-02-12 制定日, 1955-02-12 改正日, 1958-02-12 確認日, 1961-12-16 確認日, 1965-06-01 確認日, 1968-11-01 改正日, 1971-10-01 確認日, 1974-09-01 改正日, 1978-04-01 確認日, 1983-10-01 確認日, 1988-12-01 確認日, 1992-02-01 改正日, 1997-04-20 確認日, 1999-08-20 改正日, 2004-01-20 確認日, 2008-10-01 確認日, 2013-10-21 確認日, 2018-10-22 確認
ページ
JIS H 8601:1999 PDF [18]
H 8601 : 1999

まえがき

  この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日本
工業規格である。これによってJIS H 8601-1992は改正され,この規格に置き換えられる。
今回の改正では,日本工業規格(日本産業規格)と国際整合化の対比,及び国際規格に一致した日本工業規格(日本産業規格)を作成する
ためにISO 7599 : 1983, Anodizing of aluminium and its alloys−General specifications for anodic oxide coatings
on aluminium. を基礎として用いた。
JIS H 8601には,次に示す附属書がある。附属書1(参考)には,ISO 7599及びJIS H 9500に規定され
ていたアルミニウム材料の陽極酸化処理性及び品質指針を,附属書2(参考)には,JIS H 9500に規定さ
れていた陽極酸化処理作業標準を記述した。
JIS H 8601には,次に示す附属書がある。
附属書1(参考) 陽極酸化用アルミニウム材料の品質指針
附属書2(参考) 陽極酸化処理の作業管理指針

(pdf 一覧ページ番号 )

――――― [JIS H 8601 pdf 1] ―――――

                                       日本工業規格(日本産業規格)                           JIS
H 8601 : 1999

アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜

Anodic oxide coatings on aluminium and aluminium alloys

序文 この規格は,1983年に第1版として発行されたISO 7599 : 1983, Anodizing of aluminium and its alloys
−General specifications for anodic oxide coatings on aluminiumを元に,対応する部分については技術的内容を
変更することなく作成した日本工業規格(日本産業規格)であるが,品質のうち,対応国際規格には規定されていない規定
内容(特性及び品質)を日本工業規格(日本産業規格)として追加した。
なお,点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲 この規格は,アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜(以下,皮膜という。)に
関する全般的な規格であり,品質及び試験方法を規定する。ただし,この規格は,次のものを除く。
a) バリヤー皮膜
b) 塗装又はめっきの下地皮膜
c) IS H 8603に規定する硬質陽極酸化皮膜
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO 7599 : 1983 Anodizing of aluminium and its alloys−General specifications for anodic oxide
coatings on aluminium
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS H 0201 アルミニウム表面処理用語
JIS H 8603 アルミニウム及びアルミニウム合金の硬質陽極酸化皮膜
JIS H 8680-1 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜厚さ試験方法−第1部 : 顕微鏡断
面測定法
JIS H 8680-2 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜厚さ試験方法−第2部 : 渦電流式
測定法
JIS H 8680-3 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜厚さ試験方法−第3部 : スプリッ
トビーム顕微鏡測定法
JIS H 8681-1 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐食性試験方法−第1部 : 耐ア
ルカリ試験
JIS H 8681-2 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐食性試験方法−第2部 : キャ
ス試験

――――― [JIS H 8601 pdf 2] ―――――

2
H 8601 : 1999
JIS H 8682-1 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐摩耗性試験方法−第1部 : 往
復運動平面摩耗試験
JIS H 8682-2 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐摩耗性試験方法−第2部 : 噴
射摩耗試験
JIS H 8682-3 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐摩耗性試験方法−第3部 : 砂
落し摩耗試験
JIS H 8683-1 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の封孔度試験方法−第1部 : 染料
吸着試験
JIS H 8683-2 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の封孔度試験方法−第2部 : りん
酸−クロム酸水溶液浸せき試験
JIS H 8683-3 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の封孔度試験方法−第3部 : アド
ミッタンス測定試験
JIS H 8684 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の変形による耐ひび割れ性試験方法
JIS H 8685-1 アルミニウム及びアルミニウム合金の着色陽極酸化皮膜の促進耐光性試験方法−第1
部 : 光堅ろう度試験
JIS H 8685-2 アルミニウム及びアルミニウム合金の着色陽極酸化皮膜の促進耐光性試験方法−第2
部 : 紫外光堅ろう度試験
JIS H 8686-1 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法−第1部 : 視感
測定法
JIS H 8686-2 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法−第2部 : 機器
測定法
JIS H 8687 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の絶縁耐力試験方法
JIS H 8688 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の単位面積当たりの質量測定方法
JIS H 8689 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の連続性試験方法
JIS Z 2371 塩水噴霧試験方法
JIS Z 8741 鏡面光沢度−測定方法
JIS Z 9112 蛍光ランプの光源色及び演色性による区分
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS H 0201による。
4. アルミニウムの陽極酸化処理性及び品質に関する指針 アルミニウムの陽極酸化処理性及び品質に
関する指針は,附属書1(参考)に示す。
5. 作業管理基準 アルミニウム材料の陽極酸化皮膜を施す当事者は,皮膜の品質を確保するために必要
な作業管理基準を規定し,処理を行うものとする。作業管理基準の規定に際しては,附属書2(参考)を
参考として行うことが望ましい。
6. 特性及び品質 皮膜の特性及び品質については,6.1から6.12に示す。このうち,適用される製品に
必要な特性及び品質は,用途を考慮して取り決めるものとするが,一般に広く必要とされる重要な特性と
用途を表1に示す。

――――― [JIS H 8601 pdf 3] ―――――

                                                                                              3
H 8601 : 1999
なお,受渡当事者間による特別な協定がなされていない限り,表1の使用環境別試験項目及び各品質項
目の規定を適用する。その他の品質項目については,特別な用途についてだけ要求される場合があり,必
要に応じて受渡当事者間の協定で取り決めるものとする。試験は,7.に規定する試験方法によって行う。
表1 使用環境別試験項目
使用環境 主な用途例 外観皮膜 耐食性 耐摩耗性 封孔度
及び 厚さ アルカリ耐食キャス耐食性 砂落とし摩耗 りん酸クロム
色 性 試験, 酸水溶液浸せ
アルカリ滴下 キャス試験 き試験,
噴射摩耗試験
試験 又は 染料吸着試験
又は 往復運動平面 又は
起電力式耐ア 摩耗試験 アドミッタン
ルカリ試験 ス測定試験

乾湿・熱冷 湯沸かし,な ○ ○ − ○ −
べなどの台
所用品
(加熱容器)

湿潤・摩擦 流し槽,洗面 ○ ○ − ○ −
器などの日
用品
乾燥・摩擦 建築部材 ○ ○ − − ○ ○
(屋内)・車
両内装・家具
部材など
結露・ 建築部材 ○ ○ − ○ ○ −
大気暴露 (屋外)・車
両外装・船舶
用品など
乾燥 装飾品・反射○ ○ − ○ − ○
板・家電部品
など
備考1. 色については,着色されたものについて試験を実施する。
2. 使用環境区分の不明確な皮膜についての試験項目は,受渡当事者間の協定による。
6.1 外観及び色
6.1.1 外観 皮膜の外観は,有効面上に,きず,表面上のむら,粉ふきなどの用途上有害な欠陥がないも
のとする。外観の品質は,必要に応じて受渡当事者間で合意した標準見本又は限度見本によって行っても
よい。
6.1.2 色とその許容範囲 色とその許容範囲は,受渡当事者間の協定によって取り決める。色とその許容
範囲の品質は,必要に応じて受渡当事者間で合意した標準見本又は限度見本によって行ってもよい。
6.2 皮膜厚さ
6.2.1 皮膜厚さの等級 皮膜厚さは,平均皮膜厚さ ( ‰ 暈 表2に適合しなければならない。
なお,皮膜厚さの等級は,製品の用途及び使用環境などを考慮して選択するが,受渡当事者間で特別な
協定がない限り,表2による。

――――― [JIS H 8601 pdf 4] ―――――

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H 8601 : 1999
表2 皮映厚さの等級
等級 AA3 AA5 AA6 AA10 AA15 AA20 AA25
平均皮膜厚さ 3.0 5.0 6.0 10.0 15.0 20.0 25.0
以上 以上 以上 以上 以上 以上 以上
備考 定められた平均皮膜厚さの80%に満たない測定点皮膜厚さがあってはならない。
6.2.2 皮膜厚さの等級と主な用途例 皮膜厚さの等級は,製品の用途及び使用環境を考慮して選択するが,
受渡当事者間で特別な協定がない限り,表3による。
なお,用途によって特別な皮膜厚さが要求される場合は,表2に規定する平均皮膜厚さの等級にない平
均皮膜厚さを決めてもよい。
表3 皮膜厚さの等級と主な用途例
皮膜厚さの等級 主な用途例
AA3 反射板,家電部品(内部)など
AA5 台所用品,日用品,家電部品,装飾品,
AA6 家具部材,車両内装,建築部材(屋内)
AA10 など
AA15 台所用品,車両外装,土木・建築部材(屋
AA20 外),船舶用品など
AA25
備考 用途上必要な場合は,受渡当事者間の協定によって平
均皮膜厚さの等級によらず,最低皮膜厚さを取り決めてもよ
い。
6.3 耐食性 皮膜の耐食性は,各種の環境に耐える特性で,用途によっては酸性,アルカリ性及び塩水
雰囲気などの環境に耐える特性が要求される場合があるが,その品質は表4又は表5に適合しなければな
らない。
表4 アルカリ耐食性
等級 アルカリ滴下試験
又は
起電力式耐アルカリ試験
A種(1) s B種(1) s
AA3 − −
AA5
AA6 30以上 90以上
AA10 50以上 150以上
AA15 75以上 225以上
AA20 100以上 300以上
AA25 125以上 375以上
注(1) 種,B種の区分は,特性の違いに
よる区分。
備考 等級AA20以上の皮膜には,起電力
式耐アルカリ試験を行い,アルカリ
滴下試験を適用しない。

――――― [JIS H 8601 pdf 5] ―――――

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JIS H 8601:1999の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 7599:1983(MOD)

JIS H 8601:1999の国際規格 ICS 分類一覧

JIS H 8601:1999の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISH0201:1998
アルミニウム表面処理用語
JISH8603:1999
アルミニウム及びアルミニウム合金の硬質陽極酸化皮膜
JISH8680-1:1998
アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜厚さ試験方法―第1部:顕微鏡断面測定法
JISH8680-2:1998
アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜厚さ試験方法―第2部:渦電流式測定法
JISH8680-3:2013
アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜厚さ試験方法―第3部:スプリットビーム顕微鏡測定方法
JISH8681-1:1999
アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐食性試験方法―第1部:耐アルカリ試験
JISH8681-2:1999
アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐食性試験方法―第2部:キャス試験
JISH8682-1:2013
アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐摩耗性試験方法―第1部:往復運動平面摩耗試験
JISH8682-2:2013
アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐摩耗性試験方法―第2部:噴射摩耗試験
JISH8682-3:2013
アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐摩耗性試験方法―第3部:砂落し摩耗試験
JISH8683-1:2013
アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の封孔度試験方法―第1部:染料吸着試験
JISH8683-2:2013
アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の封孔度試験方法―第2部:りん酸-クロム酸水溶液浸せき試験
JISH8683-3:2013
アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の封孔度試験方法―第3部:アドミッタンス測定試験
JISH8684:2013
アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の変形による耐ひび割れ性試験方法
JISH8685-1:2013
アルミニウム及びアルミニウム合金の着色陽極酸化皮膜の促進耐光性試験方法―第1部:光堅ろう度試験
JISH8685-2:2013
アルミニウム及びアルミニウム合金の着色陽極酸化皮膜の促進耐光性試験方法―第2部:紫外光堅ろう度試験
JISH8686-1:2013
アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法―第1部:視感測定方法
JISH8686-2:2013
アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法―第2部:機器測定方法
JISH8687:2013
アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の絶縁耐力試験方法
JISH8688:2013
アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の単位面積当たりの質量測定方法
JISH8689:2013
アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の連続性試験方法:硫酸銅溶液接触方法
JISZ2371:2015
塩水噴霧試験方法
JISZ8741:1997
鏡面光沢度―測定方法
JISZ9112:2019
蛍光ランプ・LEDの光源色及び演色性による区分