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附属書1(参考) 陽極酸化用アルミニウム材料の品質指針
序文 この附属書(参考)は,陽極酸化用アルミニウム材料の品質に関する指針を示すものであり,規定
の一部ではない。
1. 陽極酸化用アルミニウム材料の陽極酸化品質 アルミニウム材料は,すべての合金やどのような形状
であっても陽極酸化処理ができるが,得られる皮膜の外観,最大皮膜厚さ,反射率,耐摩耗性,耐食性,
絶縁耐力性などの皮膜品質は,合金の種類によって異なる。陽極酸化皮膜の保護特性は,工業的に製造さ
れている大部分のアルミニウム材料において優れている。しかし,外観の均一性又はその他の特殊な特性
(例えば,光輝仕上げなど)が必要な場合は,アルミニウム材料の化学成分又はや(冶)金学的に精度の
高い工程管理と特別に管理された生産工程によって製造し,その結果,高水準の表面仕上げと,その特性
が生かされる陽極酸化処理が可能な特殊品位のアルミニウム材料が生産されている。
これらの品質は容易に類別できないが,特別な産業又は顧客の要求に見合う材料が開発されている。工
業的に使用されている代表的なアルミニウム材料の種類と陽極酸化処理性の例を附属書1表1に示す。ま
た,主な合金成分の皮膜性状に及ぼす影響を附属書1表2に示す。
附属書1表1 アルミニウム材料の陽極酸化処理性の例
合金番号 陽極酸化処理の目的 合金番号 陽極酸化処理の目的
防食 染色 光輝 耐摩耗 防食 染色 光輝 耐摩耗
1080 A A A A AC1B C C D C
1070 A A A A AC2A C D D C
1050 A A A A AC3A B D D B
1100 A A A A AC4B C D D C
AC4C B D D C
2011 C C D C AC5A C C D C
2014 C C D C AC7A A A B A
2017 C C D C AC8A C D D C
2024 C C D C AC9A C D D C
ADC1 C D D C
3003 A B C A
ADC3 B D D B
3004 A B C A
ADC5 A A B A
ADC6 A B B A
4043 B B D B
ADC10 C D D C
5005 A A B A ADC12 C D D C
5052 A A B A
5056 A A C A
5083 A A C A
5N01 A A A A
6061 A A C A
6063 A A B A
6N01 A A C A
7075 B B C B
7N01 B B C B
備考 陽極酸化処理性 A : 優,B : 良,C : 可,D : 困難
――――― [JIS H 8601 pdf 11] ―――――
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附属書1表2 主な合金成分の皮膜性状に及ぼす影響(硫酸浴電解の場合)
合金成分 皮膜性状
けい素 不透明,発色(灰黒色),皮膜厚さ不均一
銅 不透明,皮膜厚さ不均一
マンガン 不透明,発色(淡黄色)
クロム 不透明,発色(黄色)
鉄 不透明
マグネシウム 添加量が多いと不透明化
亜鉛 顕著な影響を及ぼさない
2. アルミニウム材料の一般的要求品質
a) アルミニウム材料は,一般に種類,化学成分,製造方法,質別などの確認されたものでなければなら
ない。
b) アルミニウム材料は,品質が均一で,用途上問題を生じるような欠点があってはならない。
3. 用途別アルミニウム材料の要求品質
a) 建築用 建築用アルミニウム材料の品質は,陽極酸化処理後の外観が3m以上の距離から見たとき十
分に均一であることが必要である。同じ材料でも,バッチごと,また,形状の違いのあるごとに外観
と色においてある程度の相違が発生することがある。これらは,接近して検査した場合に,光沢むら,
ロールマーク,ダイスマーク及び若干の欠点となって見えることがある。このような欠点は,皮膜の
品質には影響しないので,受渡当事者間の協定によって,このような欠点が受け入れられる範囲を決
めることが望ましい。
なお,自然発色陽極酸化処理用として特殊な合金が開発されている。
b) 装飾用 装飾用アルミニウム材料の品質は,陽極酸化後0.5mの距離から見たときに,特に均一な外
観となっていることが必要である。材料と陽極酸化処理法によってマット仕上げ,光輝又は半光沢仕
上げとなるが,いずれの仕上げでも欠点がないことが必要である。
c) 光輝用 光輝陽極酸化用アルミニウム材料は,高純度 (99.7%) 又は極高純度 (99.99%) の地金を用い
ることが基本であり,や(冶)金学的に特別な製造管理が必要である。特殊な機械的,化学的又は電
気化学的な前処理を施し,陽極酸化処理後,要求される高鏡面又は鏡面仕上げの表面が得られる。
d) 一般工業用 大部分のアルミニウム材料は,陽極酸化処理を施して一般工業用として用いることがで
きる。これらの材料は,陽極酸化処理することによって優れた保護能力のある連続的な皮膜が得られ
る。この皮膜は,材料の種類によっては,外観的に好ましくない場合もある。
銅,けい素,又は亜鉛を含む合金は,陽極酸化処理において問題を生じる傾向がある。したがって,
材料メーカーや処理業者は,あらかじめこれらの問題点を発注者に提供しておかなければならない。
特に,銅含有量が高い(3%を超える)材料の場合は,皮膜の保護能力が限られた範囲になる。
4. 前処理と表面テクスチャー
a) 前処理と表面テクスチャー 表面テクスチャーとは,素材特有の表面の性状及び人為的に作り出され
た表面模様(仕上げ)の総称である。
陽極酸化前に行う材料の前処理は,仕上がり外観に大きく左右するので,目的とする仕上がり外観
を得るために,種々の前処理が行われている。
――――― [JIS H 8601 pdf 12] ―――――
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滑らかな又は輝いた表面を得るためには,機械的に研磨する。化学的又は電気化学的光輝処理は,
附属書1表1に示す光輝性がAランクのアルミニウム材料に施され,非常に輝いた仕上げ面となる。
被処理物は一般的に研磨したものでも,しないものでも化学的エッチング工程が施されて,エッチ
ングの条件によって,軽いサテン状から全マット状まで,種々の光沢範囲の仕上がり面となる。
これらの代わりに,機械的にブラシ,研削ベルト又はホイールで作られた表面模様は,方向性のな
いエッチング仕上げ法と比較して,線状又は方向性を帯びたある範囲のマット状の仕上がり面となる。
機械的仕上げは再現性がよく,また,化学的前処理よりも金属組織や組成に影響されることが少ない。
b) 表面模様と合意見本 表面模様の状態は,受渡当事者間の協定によって合意見本を取り決めることが
望ましい。合意見本は,生産者にとって管理上極めて有効な指針となるが,製品の形状及び大きさが
異なる場合は,前処理に若干の差異を生じる。したがって,製品の表面仕上げの評価において,製品
と合意見本とは全く同じにはならないことを認識する必要がある。
――――― [JIS H 8601 pdf 13] ―――――
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附属書2(参考) 陽極酸化処理の作業管理指針
序文 この附属書(参考)は,アルミニウムの素地に陽極酸化皮膜を施す場合の作業管理指針を示すもの
であり,規定の一部ではない。
1. 前処理
1.1 前処理の種類 前処理の種類は,次による。
a) 機械研磨 素地表面を機械的に研磨し,一様な平滑面又は適当な粗面などの表面状態を形成する場合
に行う。機械的研磨方法は,研磨布(紙)研磨,ブラシ研磨,バフ研磨,スチールウール研磨,サン
ドブラスト,液体ホーニング,バレル研磨などの方法があり,それぞれに特徴ある仕上がり面が形成
されるので,目的に合った研磨方法を選択する。
b) 脱脂 素地表面に付着し,陽極酸化処理に悪影響を及ぼす加工油,さび止め油,その他の汚れを除去
するために行う。脱脂方法には,有機溶剤法,界面活性剤法,硫酸法,電解脱脂法,アルカリ脱脂法,
乳剤脱脂法,りん酸塩法などがあり,付着している油の種類によって脱脂性能が異なるので,脱脂方
法の選択には注意が必要である。
c) 酸化物除去 酸化物除去は,素地表面の酸化皮膜を除去することが必要な場合に,酸又はアルカリ水
溶液に浸せきして酸化物を溶解除去する処理である。
d) エッチング 製品の表面を一様な状態にすること,視覚的効果を付与することなどのため,酸又はア
ルカリ水溶液に浸せきする処理で,素地表面を一様に溶解して微細な凹凸状態にする。
e) スマット除去 脱脂処理後又はエッチング処理後,表面に付着しているスマット(溶解残さ)を除去
する処理で,硝酸又は硫酸水溶液に浸せきして処理する。
f) 電解研磨又は化学研磨 高光沢の素地表面を得るために行う処理で,酸又はアルカリ水溶液中で電気
化学的又は化学的に溶解して研磨する。
g) 水洗 前工程で素地表面に残留する処理液及び残さを除去し,素地表面を清浄するために行う処理で,
被処理物の全表面が一様に洗浄されるように流水中で行うことが望ましい。また,シャワー水洗を併
用すると洗浄効果が向上する。
なお,水洗水は,次工程の処理液に持ち込まれるので,次工程の処理液の管理に支障を及ぼさない
水質であることが望ましい。
1.2 前処理の工程 前処理の工程は,製品に要求される表面性状に応じて,次のいずれかの工程を基準
とする。ただし,要求される表面仕上げによっては,ここに示した工程以外の前処理工程であってもよい。
a) 脱脂−水洗
b) 脱脂−水洗−エッチングー水洗−スマット除去−水洗
c) 機械研磨−脱脂−水洗
d) 機械研磨−脱脂−水洗−エッチング−水洗−スマット除去−水洗
e) 脱脂−水洗−電解研磨又は化学研磨−水洗−酸化物除去又はスマット除去−水洗
f) 機械研磨−脱脂−水洗−電解研磨又は化学研磨−水洗−酸化物又はスマット除去−水洗
1.3 前処理後の処置 前処理を終了した被処理物は,原則として速やかに陽極酸化処理を行う。
――――― [JIS H 8601 pdf 14] ―――――
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1.4 前処理の管理 被処理物の特性に応じて各前処理工程のそれぞれについて,浴組成,処理温度,処
理時間などの管理基準を具体的に規定し,常時それぞれに必要な管理器具(1)を用いて適切な管理を行わな
ければならない。
注(1) 化学分析用装置,pHメータ,比重計,温度計など。
2. ジグ付け
2.1 ジグ用器具 ジグ用器具は,次による。
a) 電解枠 電解枠には,アルミニウム,プラスチックなどの材料を用いる。金属製の電解枠は,導電部
を除き耐薬品性の絶縁物で被覆する。また,プラスチックなど絶縁性の電解枠は,導電部にアルミニ
ウム,銅などを用いる。
b) ジグ ジグの材料には,アルミニウム,チタンなどを用いる。ジグの形状及び大きさは,被処理物の
形状によって取付けが容易で,かつ,処理量に適した大きさのものとする。
なお,アルミニウム製ジグ(緊結用アルミニウム線を含む。)の材料は,同じ電流密度で電解したと
きの電解電圧が,被処理物の電解電圧と同等以上のものを用いることが望ましい。
c) 電解枠の導電部及びジグの電流密度 電解枠の導電部及びジグの電気容量は,取り付けられた被処理
物の面積と電流密度から計算した電気容量(交直重畳電解では両方の和)に見合うものでなければな
らない。また,同一のジグで電解研磨と陽極酸化を行う場合は,電解研磨の電気容量を基準とする。
2.2 ジグ付け作業 ジグ付け作業に際しては,次の項目に留意しなければならない。
a) ジグ付け作業は,脱脂以前に実施するのがよい。脱脂以降に行う場合は,被処理物を汚染したり,き
ずを付けないように注意する。
b) 処理工程中に被処理物が緩まないように確実に固定する。
c) 繰返し使用する場合は,接点に絶縁物のないようにする。
d) 材質を異にする被処理物は,原則として同じ枠に取り付けない。
e) 異種金属と複合した被処理物の場合は,異種金属部分を必ず絶縁物で被覆する。
f) 処理中にガスたまりのできないように取り付ける。
g) 被処理物の取付量は,処理設備の能力,設定条件に合わせる。
3. 陽極酸化処理
3.1 陽極酸化処理設備 陽極酸化処理設備は,次による
a) 陽極酸化処理槽 陽極酸化処理槽は,プラスチック,合成ゴム,鉛でライニングした鉄槽などの耐食
性材料とし,処理面積に対応する十分な液量を考慮した大きさとする。
b) 陰極 アルミニウム,鉛,炭素などを用い,有効面積が被処理物の面積の1/2以上をもつものとする。
c) かくはん装置 被処理物の表面に接する電解液を,十分かつ均一にかき混ぜることができるものとす
る。
d) 温度制御装置 電解液の温度を管理範囲内に保つ装置で,冷却,加熱,及び制御機構で構成され,処
理面積,処理条件や周囲の温度の変動に対処できる能力をもつものとする。
e) 電解液ろ過装置 電解液中に浮遊する不溶解性の物質を効率よくろ過するもので,必要に応じて設置
する。
f) 陽極酸化用電源 処理面積と処理条件に見合う容量の電源とする。
一般には,シリコン,セレンなどの半導体を用いた整流器が用いられるが,電解液の種類又は処理
――――― [JIS H 8601 pdf 15] ―――――
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JIS H 8601:1999の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 7599:1983(MOD)
JIS H 8601:1999の国際規格 ICS 分類一覧
- 25 : 生産工学 > 25.220 : 表面処理及び被覆加工 > 25.220.20 : 表面処理
JIS H 8601:1999の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISH0201:1998
- アルミニウム表面処理用語
- JISH8603:1999
- アルミニウム及びアルミニウム合金の硬質陽極酸化皮膜
- JISH8680-1:1998
- アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜厚さ試験方法―第1部:顕微鏡断面測定法
- JISH8680-2:1998
- アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜厚さ試験方法―第2部:渦電流式測定法
- JISH8680-3:2013
- アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜厚さ試験方法―第3部:スプリットビーム顕微鏡測定方法
- JISH8681-1:1999
- アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐食性試験方法―第1部:耐アルカリ試験
- JISH8681-2:1999
- アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐食性試験方法―第2部:キャス試験
- JISH8682-1:2013
- アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐摩耗性試験方法―第1部:往復運動平面摩耗試験
- JISH8682-2:2013
- アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐摩耗性試験方法―第2部:噴射摩耗試験
- JISH8682-3:2013
- アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐摩耗性試験方法―第3部:砂落し摩耗試験
- JISH8683-1:2013
- アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の封孔度試験方法―第1部:染料吸着試験
- JISH8683-2:2013
- アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の封孔度試験方法―第2部:りん酸-クロム酸水溶液浸せき試験
- JISH8683-3:2013
- アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の封孔度試験方法―第3部:アドミッタンス測定試験
- JISH8684:2013
- アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の変形による耐ひび割れ性試験方法
- JISH8685-1:2013
- アルミニウム及びアルミニウム合金の着色陽極酸化皮膜の促進耐光性試験方法―第1部:光堅ろう度試験
- JISH8685-2:2013
- アルミニウム及びアルミニウム合金の着色陽極酸化皮膜の促進耐光性試験方法―第2部:紫外光堅ろう度試験
- JISH8686-1:2013
- アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法―第1部:視感測定方法
- JISH8686-2:2013
- アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法―第2部:機器測定方法
- JISH8687:2013
- アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の絶縁耐力試験方法
- JISH8688:2013
- アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の単位面積当たりの質量測定方法
- JISH8689:2013
- アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の連続性試験方法:硫酸銅溶液接触方法
- JISZ2371:2015
- 塩水噴霧試験方法
- JISZ8741:1997
- 鏡面光沢度―測定方法
- JISZ9112:2019
- 蛍光ランプ・LEDの光源色及び演色性による区分