この規格ページの目次
- 3.4 基準温度 (reference temperature)
- 3.5 熱量計の有効熱容量 (effective heat capacity of the calorimeter)
- 3.6 補正温度上昇 (corrected temperature rise)
- 4. 原理
- 4.1 総発熱量
- 4.2 真発熱量
- 5. 試薬
- 5.1 酸素
- 5.2 ヒュ-ズ
- 5.3 るつぼのライニング用物質
- 5.4 標準溶液及び指示薬
- 5.5 安息香酸
- 5.6 その他
- 6. 装置
- 6.1 概要
- 6.2 恒温槽付き熱量計
- 6.3 るつぼ
- 6.4 圧力用附属装置
- 6.5 タイマ
- 6.6 はかり
- 6.7 恒温槽(任意)
- 6.8 その他
- JIS M 8814:2003の引用国際規格 ISO 一覧
- JIS M 8814:2003の国際規格 ICS 分類一覧
- JIS M 8814:2003の関連規格と引用規格一覧
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あり,すべて基準温度の状態にあるとしたときの燃料の比熱(エンタルピー)の絶対値。ジュール単位で
表す。
3.4 基準温度 (reference temperature)
熱化学の国際基準温度25 ℃。この規格では,発熱量の基準温度
として採用(8.7参照)。
備考1. 石炭又はコークスの発熱量の温度依存性は小さい[約1 J/(k・g)]。
3.5 熱量計の有効熱容量 (effective heat capacity of the calorimeter)
熱量計の単位温度の変化を起こす
のに必要なエネルギー。
3.6 補正温度上昇 (corrected temperature rise)
燃焼ボンブ内の燃焼過程によってだけ生じる熱量計の
温度変化。この温度変化は,熱交換量,かくはんによる熱などを補正して得られた観測温度上昇値の合計
である(8.6参照)。
備考2. 白金又はサーミスター温度計の抵抗,水晶共振型周波計の振動数などの諸量と温度変化との
間に関数関係が成立する場合には,温度変化は別な単位で表してもよい。熱量計の有効熱容
量は,そのような任意単位当たりのエネルギー単位で表現してもよい。校正試験と燃料試験
間との間での諸条件に関して要求される直線性と近似性に対する基準は,9.3に示す。
使用した記号とそれらの定義のリストは,附属書Fに示す。
4. 原理
4.1 総発熱量
固体燃料の分析試料は質量を測定した後,規定条件下でボンブ熱量計内の高圧酸素気中
で燃焼させる。熱量計有効熱容量は,認証証明書に報告されている条件と同じで安息香酸認証標準試料を
燃焼した校正試験で測定する。温度上昇補正は,燃焼前,燃焼中及び燃焼後に温度を観測して求める。温
度測定の間隔と頻度は,使用する熱量計の方式に依存する。燃焼に先立ち,まず最初にボンブ内に水を入
れ,ボンブ内を水蒸気相で飽和する。それによって,試料中の水素と水分とから生成するすべての水は,
液体の水とみなすことが可能となる。
総発熱量は,点火エネルギー,導火線の燃焼の寄与及び硝酸生成のような副反応からの熱的効果を考慮
して,温度上昇補正及び有効熱容量から計算する。さらに,燃焼ボンブ内で生成する液状硫酸とガス状の
二酸化硫黄の燃焼熱の差,すなわち,燃料の硫黄からの反応生成物に必要な補正の計算も行う。
4.2 真発熱量
燃料の定容真発熱量及び定圧真発熱量は,分析試料について測定した定容総発熱量から
計算によって求める。定容真発熱量の計算には,分析試料の水分及び水素含有量の情報が必要である。定
圧真発熱量の計算にも,通常,試料中の酸素及び窒素含有量の情報が必要である。
5. 試薬
5.1 酸素
ボンブを3 MPaまで充てんできる高圧のもの。純度は少なくとも体積分率99.5 %で,可燃性
物質を含まないもの。
備考3. 電解法で製造した酸素は,体積分率4 %までの水素を含む可能性がある。
5.2 ヒュ-ズ
5.2.1 点火線 径0.160.20 mmのニッケルクロム線,径0.050.10 mmの白金線又は燃焼中の熱的挙動
が,十分に特性化されている適切な電導性の線(8.2.1の備考8. 参照)。
5.2.2 綿ヒューズ 白色の繊維性のもの又はそれに相当するもの。
5.3 るつぼのライニング用物質
コークス用だけに使用する。
――――― [JIS M 8814 pdf 6] ―――――
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5.3.1 溶融けい酸アルミナセメントのぺ−スト 63 ‰ 用ふるいを通過し,1 400 ℃までの使用に
適するもの。水で混練する。
5.3.2 溶融酸化アルミナ 分析級試薬で,180 用ふるいを通過し,106 用ふるい上に残
留するもの。
5.4 標準溶液及び指示薬
ボンブ溶液の分析が要求される場合にだけ使用する。
5.4.1 水酸化バリウム溶液 c[Ba(OH)2]=0.05 mol/L
5.4.2 炭酸ナトリム溶液 c(Na2CO3)=0.05 mol/L
5.4.3 水酸化ナトリウム溶液 c(NaOH)=0.1 mol/L
5.4.4 塩酸溶液 c(HCl)=0.1 mol/L
5.4.5 選別されたメチルオレンジによって調整した指示薬溶液 1 g/Lメチルオレンジ0.25 g とキシレン
シアノールFF 0.15 g とを体積分率95 %エタノール50 mlに溶解して,水で250 mlに薄める。
5.4.6 フェノールフタレン溶液 10 g/L : フェノールフタレイン2.5 gを体積分率95 %エタノール250 ml
に溶解する。
5.5 安息香酸
計量法の認定事業者が供給する熱量計用安息香酸標準試料又は国際熱量標準安息香酸
(国家の標準化機構によって認証された熱量測定用標準品質のもの)。この規格では“安息香酸認証標準試
料”と称する。
備考4. 酸素ボンブ熱量計の校正の目的には,安息香酸が唯一の物質である。発熱量測定の総合的な
信頼度をチェックする目的には,試験物質として,例えば,n-ドデカンを用いる。試験用物
質を用いる目的は,ある試料特性,例えば,燃焼速度又は化学組成が,結果に偏りを生じな
いことを示すことである。このためには試料純度及び燃焼熱を認証されたものでなければな
らない。
安息香酸は錠剤の形状で燃焼させるが,錠剤成形する以外は,乾燥したり又はその他の処理をせずに使
用する。これについては,認証試料の認証書を参照する。安息香酸は相対湿度90 % 未満の雰囲気では,
大気中の水分を吸収しない。
安息香酸はできる限り認証条件と相似した条件下で使用しなければならない。すなわち,規定条件から
のかい離は認証書の指示に従い,補正を行わなければならない。有効熱容量を計算するに際して,安息香
酸の燃焼熱は,認証書に明記されている使用条件で用いなければならない(9.2参照)。
5.6 その他
従来のJISによる方法では,綿フューズ,溶融酸化アルミナなどを使わない。一方ISO規
格にはがん皮紙を使用しないなど若干の差異がある。従来どおりのJISの方法による場合には,附属書1
を参照。
6. 装置
6.1 概要
熱量計(図1参照)は,燃焼ボンブ一式,熱量計槽(ふた付き又はふたなし),熱量計用かく
はん機,水,温度センサ,及び導線から構成されている。導線は試料の点火のために,又は温度測定若し
くは温度制御回路の一部として,熱量計内部とコネクタで接続されていることが必要である。
測定中,熱量計は恒温槽に封入されており,恒温槽の温度制御する方法が,熱量測定装置の操作原理を
決め,したがって,温度上昇補正の評価方法を決めるのである。
熱量計槽,かくはん機及び水が金属ブロックに置き換わったものがアネロイド方式熱量計(液体を含ま
ない方式)である。この方式では燃焼用ボンブ自体が熱量計となっているものがある。
特に結果の処理が高度に自動化された燃焼式熱量測定装置の場合には,その方式が従来式の標準的な熱
――――― [JIS M 8814 pdf 7] ―――――
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量計のようには,明確に規定されていないケースが数例見受けられる。ただし,こうした自動熱量計を使
用する場合でも,校正条件,校正試験と燃料試験との間の比較可能性,ボンブ体積に対する試料質量の割
合,酸素圧力,ボンブ用液体,測定の基準温度及び結果の繰返し精度について,基本的要求事項が満たさ
れている限りは,この規格の規定の範ちゅうにある。個々の測定に関する特定のパラメータのプリントア
ウトは,必ず必要であり,詳細は,附属書Cに示す。
次に規定するのは,この規格に従って発熱量を測定する場合に適切な装置である。
6.2 恒温槽付き熱量計
6.2.1 燃焼用ボンブ 燃焼中の圧力上昇に,安全に耐えることができるもの。形状は,すべての液状生成
物の完全に回収することができるものとする。容器の構造材料は,石炭及びコークスの燃焼で生成する酸
による腐食に耐えるものでなければならない。適切なボンブの内容積は,250300 mlである。
[警告事項] ボンブ部品の摩耗及び腐食は定期的に検査をし,主要密閉部分からの漏えいには特に注意を
払う。ボンブの安全な取扱い,使用法に関する製造業者の仕様書などは遵守しなければならない。同一仕
様のボンブを複数個使用するときは,それぞれのボンブは一セットのものとして使用しなければならない。
別なセットのボンブ部品を取り替えて使用することで重大な事故を引き起こす可能性がある。
図 1 標準的方式の恒温槽を備えたボンブ燃焼式熱量計
――――― [JIS M 8814 pdf 8] ―――――
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6.2.2 熱量計槽 外面がよく磨き上げられた金属製で,水をかくはんしてもボンブ上部の平らな表面が余
すところなく水に浸かったままに保持できる量の十分な水を入れられるもの。ふたは,一般に,熱量計の
水の蒸発を抑制する。ただし,槽との熱的接触がよくないときには,燃焼中の温度追従が遅れ,恒温槽と
の熱交換が定量できなかったり,燃焼の主要期間が長引くような事態を引き起こす。
6.2.3 かくはん機 一定速度で操作できるもの。かくはん機のシャフトは熱伝導性が低く,又は恒温槽下
部の設置部位が軽量であり,システム内外の熱移動を最小限にするものが望ましい。すなわち,これはか
くはん機のシャフトがかくはん機用モータに直結している場合に,特に重要である。ふた付きの熱量計の
場合,モータの部分はふたの上部に設置することが望ましい。
備考5. 水かくはん式熱量計のかくはん速度は十分に大きくし,熱量計の温度が急速に変化するとき,
局所的に水温の高い部分が発生しないようにする。通常,燃焼の主要期間の長さが10分間又
はそれ以下になるような,かくはん速度が適切である(附属書A及び附属書B参照)。
6.2.4 恒温槽(水筒) 熱量計を完全に包み囲み,熱量計と恒温槽との壁の間隔が約10 mmのもの。
等温操作を目的とする恒温槽の水の容量は十分に大きく,外部からの熱的じょう乱を相殺するようにし
なければならない。試験中,温度は±0.1 K 以内又は以上の精度で制御するのが望ましい。ほとんど温度
が変化しない(“静的”)恒温槽は,十分に大きな熱容量をもち水の温度変化を制限するのでなければなら
ない。この方式の水ジャケット外筒の特性の許容基準は,附属書Bに示す。
備考6. 断熱式金属静的ジャケット外筒は,通常,少なくとも 12.5 Lの水容量をもつ広い幅の二重円
筒の外筒であれば満足する特性が保証される。
7. 断熱材料で保護することで断熱壁を形成する熱量計は,静的外筒型熱量計とみなす。
恒温槽(水ジャケット,水筒)が熱量計の温度に厳密に追随することが要求される場合には,恒温槽は
軽量で,投げ込みヒータ式のものが望ましい。試験試料が燃焼した後,熱量計水の温度の0.1 K以下の温
度で,恒温槽(温度調節槽,外槽)内の水温が維持されるように熱エネルギーが供給されなければならな
い。25 ℃定常状態にあるものとして計算した熱量計の温度の平均ドリフトは,0.000 5 K/minを超えては
ならない(A 3.2参照)。
6.2.5 温度測定器 23 K の温度差が0.002 K 又はそれよりよい精度で読み取れるように,少なくとも
0.001 K の精度で温度が表示できるもの。絶対温度は,熱量測定の基準温度で,0.1 K の単位まで分かるも
のがよい。温度測定器は適用する温度範囲にわたり,温度変化の応答が線形又は線形化されていなければ
ならない。
従来式の水銀温度計に替わるものとして,白金抵抗温度計,サーミスター,水晶共振型周波数計などは
適切なセンサである。これらは抵抗ブリッジ,ゼロ検出器,振動数計測器又は他の電子機器類と合わせて
適切な精度を与えることができる。このタイプの機器の短時間繰返し精度は,0.001 K 又はそれより優れ
たものでなければならない。長時間ドリフトは,6か月間に対して,0.05 K相当の値を超えてはならない。
発熱量測定において,(温度出力として)線形応答をもつセンサのドリフトは,非線形センサよりも“偏り”
を生じる可能性が少ない。
水銀温度計は,ISO 651,ISO 652,ISO 1770又はISO 1771に適合したものであり,要求精度を満たし
ているもの。要求精度で温度を読み取るには,約 5倍率の拡大レンズが必要である。
水銀のはり付き(8.4)防止には,温度計をはじくのに機械的バイブレータで温度計をはじくと都合がよ
い。これがない場合には,温度を読み取る前に指ではじくようにする。
――――― [JIS M 8814 pdf 9] ―――――
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6.2.6 点火回路 電源は,逓降変圧器を通して612 V の交流又は電池からの直流を供給するのが望ま
しい。パイロットランプを取り付け,通電中には電流が通じていることを示すことが望ましい。
手動点火の場合,点火スイッチは “ばね式”のもので,通常は,オープンタイプのものとし,測定者の
リスクを避けるようにセットされているようにする(8.4の警告事項参照)。
6.3 るつぼ
るつぼは,シリカ製,ニッケルクロム製,白金製又はこれと同等の不活性物質の材料で製
作されたもの。
石炭試験用は,径 約25 mm,平底で深さ 20 mm 以下のものがよい。シリカ製るつぼは厚さ約1.5 mm,
金属製るつぼは厚さ約0.5 mmのものとする。高灰分の石炭を測定する場合には,不完全燃焼による誤差
を小さくするために,厚さ約0.25 mm のニッケルクロム製はくの軽量の浅めのるつぼを勧める。
コークス試験用には,前掲石炭試験用ニッケルクロム製るつぼの内面を溶融けい酸アルミナセメント
(5.3.1) のぺーストでコーティングする。これには5060 ℃で乾燥した後,約1.5 mm厚さの滑らかな層を
残すように余分のセメントをかき取り,次に1 000 ℃で2時間焼成する。使用前には,このるつぼの底部
に酸化アルミナ (5.3.2) 約0.3 gを広げ,先端の平らな金属棒でつき固める。
安息香酸試験用は,石炭試験用るつぼのいずれを適用してもよい。未燃焼炭素による汚損が起こるとき
には,例えば,厚さ0.25 mm,径 15 mm ,深さ 7 mmの小形軽量の白金製又はニッケルクロム製るつぼ
を使用するのがよい。
6.4 圧力用附属装置
6.4.1 圧力調節器 酸素の充てん量を調節するもの。
6.4.2 圧力計 (例えば,05 MPa)0.05 MPa の精度で,ボンブの圧力を指示し得るもの。
6.4.3 安全弁又は破裂板 動作圧力3.5 MPaで,充てんラインに設置しボンブの過剰充てんを防止するも
の。
[注意] 高圧酸素装置には,オイル及びグリースを用いない。液化炭化水素を用いて,圧力計の試験又は
校正をしてはならない。
6.5 タイマ
分及び秒が指示できるもの。
6.6 はかり
6.6.1 試料及び導線用はかり 最小目盛が少なくとも0.1 mg のもの。試料が0.5 g 程度又はそれ以下の
ときには,最小目盛は0.01 mgが望ましい(8.2.1参照)。
6.6.2 熱量計水用はかり 最小目盛が少なくとも0.5 g のもの(体積を測定して水を熱量計に注入すると
き,十分な精度が得られない場合には)(8.3参照)。
6.7 恒温槽(任意)
それぞれ試験の開始前に,熱量計水の温度をあらかじめ設定した初期温度の約±
0.3 K 以内で平衡させるもの。
6.8 その他
ボンブ式断熱熱量計又はそれを自動化したものについては,従来のJISに詳しい仕様が記
述されている。詳細は附属書1を参照。
――――― [JIS M 8814 pdf 10] ―――――
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JIS M 8814:2003の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 1928:1995(MOD)
JIS M 8814:2003の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.200 : 熱力学及び温度測定 > 17.200.10 : 熱.熱量測定
JIS M 8814:2003の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK8001:2017
- 試薬試験方法通則
- JISK8005:2014
- 容量分析用標準物質
- JISK8035:1996
- 亜セレン酸(試薬)
- JISK8155:2017
- 塩化バリウム二水和物(試薬)
- JISK8180:2015
- 塩酸(試薬)
- JISK8180:2021
- 塩酸(試薬)
- JISM0104:1984
- 石炭利用技術用語
- JISM8810:1994
- 石炭類及びコークス類―サンプリング,分析並びに試験方法の通則
- JISM8811:2000
- 石炭類及びコークス類―サンプリング及び試料調製方法
- JISM8812:2004
- 石炭類及びコークス類-工業分析方法
- JISM8813:2004
- 石炭類及びコークス類-元素分析方法
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方
- JISZ8402-1:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第1部:一般的な原理及び定義
- JISZ8402-2:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第2部:標準測定方法の併行精度及び再現精度を求めるための基本的方法
- JISZ8402-3:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第3部:標準測定方法の中間精度
- JISZ8402-4:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第4部:標準測定方法の真度を求めるための基本的方法
- JISZ8402-6:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第6部:精確さに関する値の実用的な使い方