JIS T 0304:2002 金属系生体材料の溶出試験方法 | ページ 2

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T 0304 : 2002
験容器への付着がある溶液では,試験試料を取り除いた後,酸性溶液を加えるなどの最適な前処理に
よって溶解する。ただし,粉末試料を用いた場合には,遠心分離,ろ過などによって粉末試料を除去
する。
b) 分析に必要な量を採取し,空試験溶液中及び試験溶液中の金属濃度を測定する。金属濃度の分析は,
測定する金属元素の濃度範囲に応じて,JIS K 0116に規定する発光分光分析通則,JIS K 0121に規定
する原子吸光分析通則又は類似する方法で行う。誘導結合プラズマ質量分析 (ICP-MS) 法による金属
濃度の分析方法を附属書に示す。
7. 結果の表示 結果の表示は,次による。
a) 溶出量の算出 次の式によって試験溶液の分析値から金属の溶出量を算出し,試料の表面積(1 cm2)
当たりの溶出量の平均値と標準偏差を表示する。必要に応じて参照材料の溶出量と比較する。
Wi (
LICIBS
i i )/
ここに, Wi : i元素の単位面積当たりの溶出量 (g/cm2)
ICi : 溶出試験後の溶液中のi元素の濃度 (g/mL)
IBi : 空試験溶液中のi元素の濃度の平均値 (g/mL)
L : 溶出試験溶液の全量 (mL)
S : 試験片全体の表面積 (cm2)
また,SI国際単位系に準じて算出してもよい。
なお,可能な限り試験片全体の表面積の算出方法を結果に付記する。ただし,粉末試料,多孔質試
料など表面積が算出できない場合には,同一条件下で金属の溶出量及び標準偏差を算出し比較する。
b) 次の試験条件については,結果に付記する。
1) 試験試料又は参照材料の化学組成及び試験試料の製造条件(鋳造,鍛造,熱処理及び加工条件など)
2) 試験片の大きさ,形状,可能であれば表面積及び表面積の算出方法,表面仕上げ条件,洗浄条件な
ど。粉末試料を用いた場合には,粉末の量,粒子の形状(光学顕微鏡写真,走査電子顕微鏡写真な
ど),測定した場合には,平均粒子径,粒子径分布など。
3) 試験容器の材質,形状及び大きさ
4) 試験溶液の種類,化学組成及び量
5) 試験温度,試験条件(振とうの有無,加速条件など),試験期間,試験前及び試験後の試験溶液の
pH
6) 滅菌方法及び滅菌条件
7) 1個の試験容器当たりの試験片の個数,試験容器の個数及び空試験容器の個数
8) 試験溶液の分析方法,定量下限及び空試験溶液の金属濃度並びに標準偏差

――――― [JIS T 0304 pdf 6] ―――――

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附属書(規定) 誘導結合プラズマ質量分析
(ICP-MS) 法による金属濃度の測定方法
1. 適用範囲 この附属書は,誘導結合プラズマ質量分析 (Inductively Coupled Plasma-Mass Spectrometry :
ICP-MS) 法によって,擬似体液中の金属濃度を測定する方法について規定する。
2. 装置の構成及び要旨 誘導結合プラズマ質量分析 (ICP-MS) 装置の構成の一例を,附属書図1に示す。
オートサンプラによって導入された試料が,ネブライザで霧状にされた後,キャリヤガスによってプラズ
マに導入される。導入された測定溶液はプラズマで加熱分解され,測定元素がイオン化される。イオン化
された元素は,イオンレンズ光学系で収束された後,質量分離部へ導かれ,質量/電荷数 (m/z) に応じて
分離され検出器に入る。データ処理部で,質量スペクトルの表示,検量線の作成,測定対象元素の濃度換
算などのデータ処理が行われる。
参考 誘導結合プラズマ質量分析 (ICP-MS) 法の特徴は,同位体が利用でき高感度で多元素同時分析
が可能だが,アルゴンなどによる分子イオン,マトリックスなどの影響を検討する必要がある。
3. 金属濃度の測定方法の一例
3.1 分析溶液の調製
a) すべての容器類を硝酸 (1+19)(JIS K 8541に規定する硝酸1 mLにJIS T 0301に規定する超純水19 mL
の割合で混合し調製する。)及び超純水で十分に洗浄する。
b) 測定溶液を硝酸 (1+99)(JIS K 9901に規定する高純度試薬−硝酸を用いて調製する。)で最適な測定
濃度範囲 (0.51000 ng/mL) になるように希釈し,内標準物質,例えば,コバルト,インジウムなど
を適切な感度(カウント数)が得られる濃度 (110 ng/mL) になるように加え,さらに,硝酸 (1+99)
を加えて一定の液量とする。
c) 検量線用標準液は,測定濃度範囲で5点以上が望ましい。また,検量線用標準液中の内標準物質の濃
度は,測定溶液の濃度と一致させる。
3.2 ICP-MSによる濃度測定
a) 誘導結合プラズマ質量分析装置は,プラズマを点火し30分間以上保持しプラズマを安定させた後,最
適な感度に調整する。
b) オートサンプラを併用した場合の測定条件を一例として附属書表1に示す。また,鉄濃度を測定する
ため,シールドトーチを使用する場合の測定条件を一例として附属書表2に示す。測定中の洗浄液は,
JIS T 0301に規定する超純水及び硝酸 (3+97)(JIS K 9901に規定する高純度試薬−硝酸を用いて調製
する。)を使用する。
c) 測定質量数は,擬似体液の影響ができるだけ小さくなるように選択する。推奨される測定質量数の一
例を附属書表3に参考として示す。ただし,附属書表3には,一例を示したが溶液の種類によって最
適な測定質量数が変化する場合もある。
細胞培養液中の金属濃度の測定例がJIS T 0301の附属書4(参考)に示されている。さらに,分析
容器の影響,酸の影響,培養液の影響などがJIS T 0301 解説5.に参考として示されている。
備考 誘導結合プラズマ質量分析 (ICP-MS) 法の一般的な取扱い,測定上の注意点などについては,

――――― [JIS T 0304 pdf 7] ―――――

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JIS K 0553,JIS K 0101,JIS K 8007に規定されている。
参考 鉄濃度の測定では,シールドトーチなどを用い,アルゴンに起因する分子イオンの生成を少な
くすることによって測定することも可能となる。誘導結合プラズマ質量分析 (ICP-MS) とフレ
ームレス原子吸光分析による鉄濃度の定量値の比較を附属書図2に示す。

――――― [JIS T 0304 pdf 8] ―――――

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附属書図 1 誘導結 合プラズマ質量分析 (ICP-MS )装置の構成の一 例

――――― [JIS T 0304 pdf 9] ―――――

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T 0304 : 2002
附属書表 1 オートサンプラを併用した場合のICP-MSの
測定条件の一例
プラズマ関連
周波数 27.1 MHz
RFパワー 1.2 kW
RFマッチング <2 W
プラズマガス流量 (Ar) 15 L (dm3)/min
補助ガス流量 (Ar) 1 L/min
キャリヤガス流量 (Ar) 1.11.15 L/min
サンプリング位置 55.5 mm
オートサンプラ関連
洗浄液 超純水,3%HNO3
ペリポンプ洗浄速度 0.5 s−1 (rps)
2×10−3 L/min
洗浄時間 180 s
測定溶液の置換速度 0.5 s−1 (rps)
置換時間 60 s
ペリポンプ安定時間 120 s
測定中のペリポンプ速度 0.1 s−1 (rps)
4×10−4 L/min
データ取込
ピークジャンピングモード
1質量数当たりの測定ポイント数 3
繰返し数 6回
質量数積分時間 1s

――――― [JIS T 0304 pdf 10] ―――――

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