JIS T 0301:2000 金属系インプラント材料の細胞適合性評価方法

JIS T 0301:2000 規格概要

この規格 T0301は、金属系インプラント材料の細胞適合性を,培養細胞を用いて評価する方法について規定。

JIST0301 規格全文情報

規格番号
JIS T0301 
規格名称
金属系インプラント材料の細胞適合性評価方法
規格名称英語訳
Testing method for biocompatibility of implantable metals using cultured cells
制定年月日
2000年3月27日
最新改正日
2019年10月25日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

国際規格分類

ICS

11.060.10
主務大臣
経済産業,厚生労働
JISハンドブック
‐ 
改訂:履歴
2000-03-27 制定日, 2009-04-25 確認日, 2014-10-25 確認日, 2019-10-25 確認
ページ
JIS T 0301:2000 PDF [24]
T 0301 : 2000

まえがき

  この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人日本規格協会 (JSA) から工業標準
案を具して日本工業規格(日本産業規格)を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣
及び厚生大臣が制定した日本工業規格(日本産業規格)である。
JIS T 0301には,次の附属書がある。
附属書1(参考) 細胞バンクのWWWホームページアドレス一覧
附属書2(参考) MC3T3-E1及びV79細胞などの継代培養方法
附属書3(参考) 摩擦摩耗溶液の調製方法の一例
附属書4(参考) 誘導結合プラズマ質量分析法 (ICP-MS) による培養液中の金属の濃度の測定方法
の一例
附属書5(参考) ニュートラルレッド法及びMTT法による測定方法の一例

(pdf 一覧ページ番号 )

――――― [JIS T 0301 pdf 1] ―――――

                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
T 0301 : 2000

金属系インプラント材料の細胞適合性評価方法

Testing method for biocompatibility of implantable metals using cultured cells

1. 適用範囲 この規格は,金属系インプラント材料の細胞適合性を,培養細胞(以下,細胞という。)を
用いて評価する方法について規定する。特に,この規格においては,培地中で材料と細胞を直接接触(直
接接触法)又は材料の抽出液を細胞に作用(抽出法)させ,材料表面における細胞の初期付着性及び細胞
の増殖特性の観点から,参照材料に対する優劣を評価する方法に関して規定する。
2. 引用規格 付表1に示す引用規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を
構成する。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 3600,JIS K 3610,JIS K 3611及びJIS K 0211に
よるほかは,次による。
a) 金属系インプラント材料 皮下・筋肉,骨組織内などに埋入(埋植)され,生体組織と直接接触して
利用される金属系生体材料。窒化処理,酸化処理などで表面改質した金属系材料も含まれる。
b) 細胞適合性 培養細胞を用いて評価される金属系インプラント材料の生体適合性で,細胞が悪影響を
受けずに材料表面に付着し,増殖・機能を維持する材料の性質。
c) 参照材料 臨床的に利用され,生体適合性が明らかな金属系インプラント材料。
d) コントロール 培養シャーレ,参照材料などで実験群との対比に用いるもの。
e) 陰性対照材料 細胞の感度及び精度を検証するために使用し,細胞の初期付着及び細胞の増殖を阻害
しない対照材料。
f) 陽性対照材料 細胞の感度及び精度を検証するために使用し,細胞の初期付着と細胞の増殖に対して
阻害作用を示す対照材料。
g) コロニー 単一の細胞が,培地中で増殖してできる可視的な細胞集落。
h) 超純水 細胞培養に最適となるように,イオン交換,逆浸透又は限外ろ過などを行って高度に精製し

た純水。ただし,導電率が,25±2℃で5.5 0.055 一 下,比抵抗は,約0.18M 攀
cm) 以上となる。
i) 滅菌 対象物中のすべての微生物を殺菌又は除去する操作。主な滅菌操作は,次による。
1) 乾熱滅菌 乾熱滅菌器を用い,180℃で1時間以上行う滅菌。ピペットなどのガラス器具類の滅菌は,
この方法による。
2) 高圧蒸気(オートクレーブ)滅菌 高圧蒸気滅菌器を用い,121℃で15分間以上行う滅菌。高圧蒸
気滅菌器が使用可能なイーグルMEM溶液,PBS (−) 溶液,ろ過滅菌器,チップなどの滅菌は,こ

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の方法による。
3) ろ過滅菌 ろ過滅菌器を用いたフィルタによる滅菌。
4) 火炎滅菌 火炎を用いる滅菌。
5) エタノール滅菌 エタノールを用いた滅菌。
6) 紫外線滅菌 紫外線を用いた滅菌。
7) その他の滅菌 過酸化水素の低温プラズマを用いた滅菌,エチレンオキシドを用いた滅菌, 滅菌
など。
j) 無菌 増殖能力のある微生物,特に,細菌,真菌類が存在しない状態。
4. 細胞系(細胞株) 細胞系(細胞株)は,使用環境を考慮し,次の中から一つ以上を使用する。
a) マウス線維芽組織由来L929細胞 ATCC(1) CL 1 (NCTC Clone 929) 及びRCB(2)0081又はこれと同等
の品質のもの。
b) マウス頭頂骨由来MC3T3-E1細胞 RCB1126又はこれと同等の品質のもの。
c) チャイニーズハムスター肺線維芽組織由来V79細胞 RCB0008及びJCRB(3)0603又はこれと同等の品
質のもの。
d) その他の細胞系(細胞株)及び初代培養細胞 ヒト子宮けい(頸)部がん(癌)由来HeLa細胞,マ
ウス線維芽組織由来Balb/3T3などがあるが,一定の感度があり,認められた貯蔵機関によって提供さ
れ,試験に支障のない品質のもの。
注(1) merican Type Culture Collectionの略
(2) iken Cell Bank(理化学研究所細胞開発銀行)の略
(3) apanese Collection of Research Bioresourcesの略
備考1. a) d)の細胞系は,凍結保護剤であるJIS K 9702に規定するジメチルスルホキシド (DMSO)
を10vol%加えた培地中で保存する。1年間程度の保存は,−80℃以下の低温槽で可能である
が,それ以上の長期保存は,液体窒素保存容器を使用する。
2. 細胞系は,JIS K 3810-1,JIS K 3810-2及びJIS K 3810-3に規定するいずれかの方法で定期的
にマイコプラズマ汚染の有無を検出する必要がある。
3. ATCC,RCB,JCRBなどの細胞系,培地などの情報は,附属書1に示した細胞バンクのWWW
ホームページによって検索できる。
5. 試薬 試薬は,細胞培養に適した試薬を使用し調製した後,a) b)及びf) l)に関しては冷蔵保存 (2
8℃) する。
a) 炭酸水素ナトリウム溶液 (75g/L) JIS K 8622に規定する炭酸水素ナトリウム75.0gを超純水に溶か
して1Lとする。121℃,30分間高圧蒸気滅菌して使用する。
b) カルシウム及びマグネシウムを含まないりん酸緩衝生理的塩類溶液[以下,PBS (−) 溶液という。]
PBS (−) 粉末9.6gを超純水に溶かして1Lとする。121℃,15分間以上高圧蒸気滅菌して使用する。
c) -グルタミン溶液 (30g/L) L-グルタミン3gを超純水に溶かして100mLとする。滅菌した0.22
メンブレンフィルタでろ過滅菌し,1回の使用量に分取した後冷凍保存するとよい。
d) トリプシン溶液 (10g/L)トリプシン (1/250) 粉末をb)で規定したPBS (−) 溶液に室温以下の温度
で30分間以上かくはん(撹拌)して完全に溶かし,濃度を10g/Lとした溶液。0.22 ンブレンフ
ィルタでろ過滅菌し,使用時まで冷凍保存する。

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e) アクチナーゼ溶液 (10g/L) たん白質分解酵素アクチナーゼEをb)で規定したPBS (−) 溶液に室温
以下の温度で30分間以上かくはんして完全に溶かし,濃度を10g/Lとしたもの。0.22 ンブレン
フィルタでろ過滅菌し,使用時まで冷凍保存する。
f) エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液 (20g/L) [以下,EDTA溶液 (20g/L) という。]
JIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物をb)で規定したPBS (−)
溶液に溶かし,濃度を20g/Lとした溶液。121℃,30分間高圧蒸気滅菌して使用する。
g) トリプシン溶液(0.5又は1g/L)+EDTA溶液 (0.2g/L) (L929細胞及びV79細胞に使用) d)で規
定したトリプシン溶液 (10g/L) をb)で規定したPBS (−) 溶液で10倍又は20倍に希釈し,f)で規定し
たEDTA溶液 (20g/L) をEDTAが0.2g/Lになるように加える。
h) アクチナーゼ (0.01g/L) +EDTA溶液 (0.2g/L) (MC3T3-E1細胞に使用) e)で規定したアクチナー
ゼ溶液 (10g/L) をb)で規定したPBS (−) 溶液で1 000倍に希釈し,f)で規定したEDTA溶液 (20g/L) を
EDTAが0.2g/Lになるように加える。
i) ホルマリンりん酸緩衝塩類溶液(V79細胞に使用) JIS K 9009に規定するりん酸二水素ナトリウム
二水和物4.4g,JIS K 9020に規定するりん酸水素二ナトリウム6.5g及びJIS K 8872に規定するホルム
アルデヒド液100mLを超純水に溶かして全量を1Lとする。
j) メチレンブルー溶液 (1g/L) (V79細胞に使用) JIS K 8897に規定するメチレンブルー1.0gを超純
水に溶かし,全量を1Lとする。
k) ニュートラルレッド溶液 ニュートラルレッド3.3gをb)で規定したPBS (−) 溶液1Lに溶かした溶液
を原液とする。540nmにおける吸光度を測定する場合には,この原液を超純水で66倍に希釈(最終
濃度 : 50 最一 して使用する。原液は,遮光して保存する。
l) MTT溶液 MTT〔[3- (4, 5-Dimethy1-2-thiazolyl) -2, 5 diphenyl tetrazolium Bromide]〕25mgをb)で規定
したPBS (−) 溶液5mLに溶解した溶液。ろ過滅菌して使用する。
m) ニュートラルレッド用固定液 JIS K 8123に規定する塩化カルシウム1gとJIS K 8872に規定するホ
ルムアルデヒド液1mLを超純水100mLに溶かす。
n) ニュートラルレッド用抽出液 JIS K 8355に規定する酢酸1mLとJIS K 8101に規定するエタノール
(99.5)50mLを超純水49mLに加えた溶液。
o) 塩酸-2-プロパノール溶液(MTT用ホルマザン溶解液) JIS K 8180に規定する塩酸又は1mol/Lの塩
酸をJIS K 8839に規定する2-プロパノールに0.04mol/Lとなるように加える。
p) エタノール JIS K 8101に規定するエタノール(99.5)。
q) 血清 子牛血清 (CS) (4)又は牛胎児血清 (FBS) (5)。細胞に適した血清を使用し,一連の実験を通して
同一ロットのものを使用する。血清は,凍結保存したものを解凍して使用する。解凍はできるだけ1
回であることが望ましいが,凍結・解凍を繰り返して使用する場合には23回以内とする。
注(4) alf Serumの略
(5) etal Bovine Serumの略
6. 培地 培地は,無菌であることとし,使用する細胞に適した培地を選ぶ。また,培地は冷蔵保存 (2
8℃) し一週間以内に使用する。
a) 929細胞用培地 JIS K 3604に規定するイーグルMEM(6)粉末9.4gを超純水1Lに溶かし,121℃,15
分間以上の高圧蒸気滅菌を行い,5.a)に規定する炭酸水素ナトリウム溶液 (75g/L) を2.3vol%,5.c)に
規定するL-グルタミン溶液 (30g/L) を1vol%,更に,5.q)に規定する血清を10vol%になるように加え

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T 0301 : 2000
る。
注(6) inimum Essential Mediumの略
b) C3T3-E1細胞用培地 愀 MEM(7)粉末10gを超純水1Lに入れ30分間以上かくはんし完全に溶かし
た後,滅菌した0.22 ンブレンフィルタでろ過滅菌し,5.a)に規定する炭酸水素ナトリウム溶液
(75g/L) を2.4vol%,更に,5.q)に規定する血清を10vol%になるように加える。
注(7) 愀 modified Eagles MEMの略
c) 79細胞用培地 JIS K 3604に規定するイーグルMEM粉末9.4gを超純水1Lに溶かし,121℃,15
分間以上高圧蒸気滅菌し,5.a)に規定する炭酸水素ナトリウム溶液 (75g/L) を1.5vol%又は2.0vol%及
び5.c)に規定するL-グルタミン溶液 (30g/L) を1vol%,更に,5.q)に規定する血清を10vol%になるよ
うに加える。
d) その他の培地 その他の培地を使用する場合には,陰性対照材料及び陽性対照材料を用いて細胞の感
度及び精度を確認し,細胞培養に支障のない品質のものとする。
7. 器具及び装置
a) 培養用容器 JIS K 0950で規定するプラスチック製滅菌シャーレ(細胞培養用)とし,主として直径
(内径)35mm及び直径60mmを使用する。12ウエル又は24ウエルプレートを用いる場合には,培
養面積が少なすぎると測定誤差が大きくなるため,直径1.0cm以上で底面が平らなウエルプレートを
使用することが望ましい。ただし,抽出液を用いた細胞増殖試験においては,96ウエルプレートを用
いることによって効率よく測定できる。
b) 継代用フラスコ 培養面積が,25cm2及び75cm2のプラスチック製滅菌フラスコ。
c) 滅菌遠心管(遠沈管) 容量15mL及び50mL
d) メスシリンダー 容量1001 000mL
e) 駒込ピペット及びパスツールピペット 滅菌箱に入れ乾熱滅菌して使用する。
f) 滅菌ディスポーザブルプラスチック製ピペット 容量525mL
g) ディジタルピペット及びチップ JIS K 0970で規定するディジタルピペット。チップ類は,滅菌して
使用する。
h) ガラス製薬品瓶(メジューム瓶) 容量100500mL高圧蒸気滅菌できる材質のもの。
i) 二酸化炭素インキュベータ 温度37±1℃,二酸化炭素が5±1%,相対湿度をほぼ100%に保持できる
もの。
j) ろ過滅菌器 孔径0.010.22 ンブレンフィルタを取り付け,ろ過滅菌できるもの。材質に適し
た滅菌を行っておく。
k) 乾熱滅菌器 200℃まで加熱・保持できるもの。
l) 高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ) JIS T 7322又はJIS T 7324に規定するもので,121℃に加熱でき,
196kPaの器内圧力で使用できるもの。
m) 恒温槽 水温を37±2℃に保持できるもの。
n) 倒立型位相差顕微鏡 100倍に拡大できるもの。
o) クリーンベンチ JIS B 9922に規定するもの又はJIS K 3801によって試験を行ったとき,捕集効率
99.99%以上のHEPAフィルタを備えたもの。
p) 血球計算盤 JIS T 4204に規定する計算盤。
q) 細胞数計数装置 JIS R 6002に規定する細孔電気抵抗試験法を用い細胞数が計測できる装置。

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JIS T 0301:2000の国際規格 ICS 分類一覧

JIS T 0301:2000の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB9922:2001
クリーンベンチ
JISG4303:2012
ステンレス鋼棒
JISG4303:2021
ステンレス鋼棒
JISH4600:2012
チタン及びチタン合金―板及び条
JISK0116:2014
発光分光分析通則
JISK0121:2006
原子吸光分析通則
JISK0211:2013
分析化学用語(基礎部門)
JISK0950:1988
プラスチック製滅菌シャーレ
JISK0970:2013
ピストン式ピペット
JISK3600:2000
バイオテクノロジー用語
JISK3604:1990
組織培養用培地(最小必須培地)
JISK3610:1992
生体工学用語(生体化学部門)
JISK3611:1995
生体工学用語(生体システム部門)
JISK3801:2000
除菌用HEPAフィルタの性能試験方法
JISK3810-1:2003
マイコプラズマの検出法―第1部:培養による直接検出法
JISK3810-2:2003
マイコプラズマの検出法―第2部:DNA蛍光染色による間接検出法
JISK3810-3:2003
マイコプラズマの検出法―第3部:二段階PCRによる検出法
JISK8101:2006
エタノール(99.5)(試薬)
JISK8107:2017
エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)
JISK8123:2018
塩化カルシウム(試薬)
JISK8152:2018
塩化ニッケル(II)六水和物(試薬)
JISK8180:2015
塩酸(試薬)
JISK8180:2021
塩酸(試薬)
JISK8355:2006
酢酸(試薬)
JISK8355:2021
酢酸(試薬)
JISK8622:2007
炭酸水素ナトリウム(試薬)
JISK8839:2007
2-プロパノール(試薬)
JISK8872:2008
ホルムアルデヒド液(試薬)
JISK8897:2012
メチレンブルー(試薬)
JISK9009:2012
りん酸二水素ナトリウム二水和物(試薬)
JISK9020:2012
りん酸水素二ナトリウム(試薬)
JISK9020:2021
りん酸水素二ナトリウム(試薬)
JISK9702:2014
ジメチルスルホキシド(試薬)
JISR3503:1994
化学分析用ガラス器具
JISR6002:1998
研削といし用研磨材の粒度の試験方法
JISR6253:2006
耐水研磨紙
JIST0303:2000
人工関節用材料のピンオンディスク法による摩耗試験方法
JIST1701:1997
医療用遠心機
JIST4204:1974
血球計
JIST7322:2005
医療用高圧蒸気滅菌器
JIST7324:2005
医療用小型高圧蒸気滅菌器