JIS K 3604:1990 組織培養用培地(最小必須培地)

JIS K 3604:1990 規格概要

この規格 K3604は、バイオテクノロジー関連分野において動物組織・細胞を培養するときに用いる粉末培地のうち,イーグルの開発した最小必須培地の系統について規定。

JISK3604 規格全文情報

規格番号
JIS K3604 
規格名称
組織培養用培地(最小必須培地)
規格名称英語訳
Medium for tissue culture (minimum essential medium)
制定年月日
1990年9月1日
最新改正日
2016年10月20日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

国際規格分類

ICS

07.100.01
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
‐ 
改訂:履歴
1990-09-01 制定日, 1996-01-01 確認日, 2001-10-20 確認日, 2006-10-20 確認日, 2011-10-20 確認日, 2016-10-20 確認
ページ
JIS K 3604:1990 PDF [15]
                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
K 3604-1990

組織培養用培地(最小必須培地)

Medium for tissue culture (minimum essential medium)

1. 適用範囲 この規格は,バイオテクノロジー関連分野において,動物組織・細胞を培養するときに用
いる粉末培地のうち,イーグルの開発した最小必須培地(以下,粉末培地という。)の系統について規定す
る。
備考1. この規格の引用規格は,付表1に示す。
2. この規格の中で [{}] を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって参
考として併記したものである。
2. 共通事項 化学分析について共通する一般事項は,JIS K 0050による。
3. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 0211及びJIS K 3600によるほか,次のとお
りとする。
(1) 滅菌 対象物中のすべての微生物(ただし,ウィルスを除く。)を殺滅又は除去すること。
(2) 純水 再蒸留水又はそれに準じるもの。例えば逆浸透膜に通した水をイオン交換樹脂に通したもの,
イオン交換水を蒸留したものなど。
4. 種類及び組成
4.1 粉末培地の種類 粉末培地の種類は,組成及び滅菌の適性によって表1のとおりとする。
表1 粉末培地の種類
種類 備考
アール系 ろ過滅菌用 主として5%二酸化炭素,残部空気相下で使用する目的で開
高圧蒸気滅菌用発されたアールの炭酸水素系緩衝液を用いて調製されるも
の。
ハンクス系 ろ過滅菌用 主として空気相下で使用する目的で開発されたハンクスの
りん酸系緩衝液を用いて調製されるもの。
浮遊細胞系 ろ過滅菌用 カルシウム塩を添加せずに浮遊培養可能としたもの。
高圧蒸気滅菌用
4.2 粉末培地の組成 粉末培地の組成は,表2のとおりとする。

――――― [JIS K 3604 pdf 1] ―――――

2
K 3604-1990
表2 粉末培地の組成(単位 : mg/1 000ml) (1)
成分 アール系 ハンクス系 浮遊細胞系
ろ過滅菌用
ろ過滅菌用 高圧蒸気滅菌用 ろ過滅菌用 高圧蒸気滅菌用
01 *L-アルギニン 105
I

ミ [L-アルギニン塩酸塩] [126130]
ノ 02 *L-シスチン 24

・ [L-シスチン二塩酸塩] [3132]
ビ [L-システィン塩酸塩一水和物] [3132]

ミ 03 *L-グルタミン 292 0 292 292 0
ン 04 *L-ヒスチジン 31

糖 [L-ヒスチジン塩酸塩一水和物] [4142]
類 05 *L-イソロイシン 52
06 *L-ロイシン 5253
07 *L-リジン 58
[L-リジン塩酸塩] [7274]
08 *L-メチオニン 1415
09 *L-フェニルアラニン 3233
10 *L-スレオニン 4748
11 *L-トリプトファン 1011
12 *L-チロシン 3637
[L-チロシン二ナトリウム二水和 [5152]
物]
13 *L-バリン 4647
14 *D-パントテン酸カルシウム 1.0
15 *塩化コリン 1.0
[重酒石酸コリン] [1.8]
16 *葉酸 1.0
17 *イノシトール 2.0
18 *ニコチン酸アミド 1.0
19 *ピリドキサール塩酸塩 1.0
20 *リボフラビン 0.1
21 *チアミン塩酸塩 1.0
22 *D-グルコース 1 000
01 *塩化カルシウム 200 140 0
II
無 [塩化カルシウム二水和物] [265] [186] [0]

塩 02 *塩化カリウム 400 400 400
類 03 *りん酸二水素カリウム 0 60 0
04 *塩化マグネシウム六水和物 200 200 0 200
[塩化マグネシウム(無水)] [96100] [93100] [0] [93118]
05 *硫酸マグネシウム七水和物 0 200 0
[硫酸マグネシウム(無水)] [0] [9798] [0]
06 *塩化ナトリウム 6 800 8 000 6 5006 800
07 *りん酸二水素ナトリウム二水和物 150 150 0 1500 1 500
[りん酸二水素ナトリウム一水和 [140] [140] [0] [1 3271 400] [1 400]
物]
[りん酸二水素ナトリウム(無水)] [115122][115] [0] [0] [1 150]
08 *りん酸水素二ナトリウム二水和物 0 60 0
[りん酸水素二ナトリウム(無水)] [0] [4748] [0]

――――― [JIS K 3604 pdf 2] ―――――

                                                                                              3
K 3604-1990
成分 アール系 ハンクス系 浮遊細胞系
ろ過滅菌用
ろ過滅菌用 高圧蒸気滅菌用 ろ過滅菌用 高圧蒸気滅菌用
01 フェノールレッド 017
II
I
そ 02 ビオチン 0 00.02 0 0 00.02
の 03 こはく酸ナトリウム六水和物 0 100 0 0 100

04 こはく酸 0 75 0 0 75
05 カナマイシン 060
注(1) 粉末培地を溶かして1 000mlとしたときの濃度として示してある(処方量で示す。)。
備考1. *印で示した成分をすべて含有しなければならない。 [ ] の成分については,対応する*印で示した成分に代
えて使用可能である。”IIIその他”の組成には,イーグルの発表した論文 [H. Eagle, Science 130, 432 “Amino Acid
Metabolism in Mammalian Cell Cultures” (1959) ] に記載のない成分も存在するが,その処方量,又はその処方量
幅記載の範囲で使用可能である。
2. 炭酸水素ナトリウムについては,必要量を添加して使用する。高圧蒸気滅菌用培地については,高圧蒸気滅
菌後冷却して滅菌炭酸水素ナトリウム溶液を加える。
3. こはく酸及びこはく酸ナトリウム六水和物を含有する高圧蒸気滅菌の可能な粉末培地については,高圧蒸気
滅菌後滅菌L−グルタミン溶液を別に添加する。
5. 品質 粉末培地の品質は,6.による試験を行ったとき表3の品質を満足しなければならない。
表3 粉末培地の品質
項目 品質 試験方法
バイオアッセイ(2)相対的コロニー形成率 (%) 60以上 6.1.4 (A)
相対的細胞増殖率 (%) 50以上 6.1.4 (B)
細胞増殖率(倍) 10以上 6.1.4 (C)
重金属 (wt ppm) 20以下 6.2
水分 (wt%) 2.0以下 6.3
浸透圧(3)(mOsm/kg) 240330 6.4
pH(3) ろ過滅菌用アール系 4.76.7 6.5
浮遊細胞系
ハンクス系 6.07.2
高圧蒸気滅菌用 3.95.0
アミノ酸組成 組成で規定したもの 6.6
だけを定量すること
注(2) バイオアッセイは,相対的コロニー形成率,相対的細胞増殖率又は細胞増殖率のうち
いずれかとする。
(3) 所定濃度の水溶液としての品質を示す。浸透圧は水1kg当たりのミリオスム濃度で表
す。
6. 試験方法
6.1 バイオアッセイ HeLa細胞などが,培地の処方成分のうちどれを欠いても増殖できないことを利用
して培地の成分が処方どおりかどうか,更に,毒物の混入がないかどうかを試験する。
6.1.1 試薬,培地,血清及び動物細胞 試薬,培地,血清及び動物細胞は,次のとおりとする(4)。
(1) 炭酸水素ナトリウム溶液 JIS K 8622に規定する炭酸水素ナトリウム75.0gに純水を加えて1 000ml
とした溶液。
(2) -グルタミン溶液 JIS K 9103に規定するL-グルタミン29.2gに純水を加えて1 000mlとしたもの。
(3) -セリン JIS K 9105に規定するもの。
(4) ビオチン 含量99%以上のもの。

――――― [JIS K 3604 pdf 3] ―――――

4
K 3604-1990
(5) 参照培地(5) あらかじめ,参照非透析血清を加えた培地で6.1.4(A)のコロニー形成試験又は,6.1.4(B)
若しくは6.1.4(C)の細胞増殖計測試験を行い,(A)の場合はコロニー形成率が100%近いこと,(B)の場
合は増殖率が60倍以上,(C)の場合は増殖率が10倍以上であることを確かめたもの。
(6) 参照非透析血清(6) コウシ血清 (CS)(7)又はウシ胎児血清 (FBS) (8)。この血清をあらかじめ参照培地
に加えて調製した培地によって,6.1.4(A)のコロニー形成試験,又は6.1.4(B)の細胞増殖計測試験を行
い,(A)の場合はコロニー形成率が100%近いこと,(B)の場合は増殖率が60倍以上であることを確か
めたもの。
(7) 透析血清(9) 血清を孔径10 000(分子量)カットの透析膜に入れ,20倍量の生理的食塩水 (8.5g/l) を
外液として,48時間透析(10)し,グルコース濃度が0.5mg/l以下となるようにしたもの。次いでバイオ
アッセイとして,表4のとおり,参照培地に添加物質を加え, (a) , (b) 及び (c) の3群を作り,試験・
確認をする。
表4 参照培地に添加する物質と試験・確認内容
群 添加物質 試験・確認内容
物質名 量 6.1.4(B)の試験による細胞
6.1.4(A)の試験による平均
コロニー形成率 (APE) 増殖率 (AGR)
(a) 参照非透析血清 10vol% 100%近いこと 60倍以上
(b) 透析血清 10vol% (a)の60%以上 (a)の50%以上
L-セリン 0.2mmol
(c) 透析血清 10vol% (a)の50%以下 (a)の40%以下
(8) eLa S3細胞 試験に支障のない品質のもの(11)。
(9) ERO-317細胞 試験に支障のない品質のもの(12)。
(10) ダルベッコ−りん酸緩衝生理的食塩水(以下,PBSという。)
(11) カルシウム及びマグネシウムイオンを含まないPBS(以下,CMF−PBSという。)
(12) トリプシン液 トリプシンをCMF−PBSに溶かし,濃度2.5g/l若しくは1.0g/lとしたもの,又はこれ
に準じるもの。
(13) メタノール JIS K 8891に規定するもの。
(14) ギムザ液
注(4) 6.1.1(1)(7),(10),(11)及び(12)は滅菌して使用する。
(5) 本品は粉末培地の性能試験の参照品として使用するもので,各粉末培地製造者は6.1.1(5)の試験
で合格したものを厳密な管理下に保管する。
(6) 本品は6.1.1(6)の試験で合格したものを厳密な管理下に保管する。
(7) alf Serumの略
(8) etal Bovine Serumの略
(9) ゲルろ過(例えば,Sephadex G 50)によって低分子画分を除いた血清でもよい。
また,市販の透析血清を用いてもよい。
(10) この間2回外液を交換する。
(11) CRB (Japanese Cell Resource Bank) ,RCB (Riken Cell Bank) ,ATCC (American Type Culture
Collection) などで提供するもの,又はそれと同等の品質のもの。
(12) CRB, RCBなどで提供するもの,又はそれと同等の品質のもの。
6.1.2 器具及び装置 器具及び装置は,次のとおりとする。
(1) 培養容器 アール系及び浮遊細胞系の培地の場合はJIS K 0950に規定する記号60のプラスチック製

――――― [JIS K 3604 pdf 4] ―――――

                                                                                              5
K 3604-1990
シャーレを,ハンクス系の培地の場合はプラスチック製フラスコ(滅菌済みで培養面積25cm2又は容
量50mlのもの)を用いる。
(2) インキュベータ 温度37±0.5℃に調節できるもの。ハンクス系の培地の試験に用いる。
(3) 二酸化炭素インキュベータ 温度37±0.5℃,二酸化炭素濃度が5±1%,相対湿度がほぼ100%を保持
できるもの。アール系及び浮遊細胞系の培地の試験に用いる。
(4) ろ過滅菌器 孔径0.10.22 ンブランフィルタを取り付け,ろ過滅菌できるもの。材質に適し
た滅菌を行っておく。
(5) 高圧蒸気滅菌器 JIS T 7322若しくはJIS T 7324に規定するもの,又はそれらと同等以上の性能をも
つもの。
(6) 実体顕微鏡 5100倍に拡大できるもの。
(7) クリーンベンチ JIS K 3801によって試験を行ったとき,捕集効率99.99%以上のHEPAフィルタを備
えたもの。
(8) 血球計算板 JIS T 4204に規定するフックスローゼンタール計算板。
(9) 顕微鏡 100倍に拡大できるもの。
6.1.3 試験培地の調製 参照ロットと試験ロット,2種類の培地を同時に調製する。1 000ml分の粉末培
地をはかりとり,純水約900mlを加えて,よくかき混ぜながら溶かす。この溶液に必要量の炭酸水素ナト
リウムを加え,更に,純水を加えて1 000mlにする。溶解後,速やかにろ過滅菌し,密栓できる容器に小
分けする。保存は210℃の冷暗所とする。高圧蒸気滅菌用培地の場合は,試験ロットについてろ過滅菌
のほか,121℃,15分間の高圧蒸気滅菌による試験培地も調製する。このとき,炭酸水素ナトリウム溶液,
L-グルタミン溶液は高圧蒸気滅菌後添加する。
なお,6.1.4(C)の細胞増殖計測試験を行う場合は,ビオチンを終濃度0.02mg/lとなるように加える。あら
かじめビオチンを含む処方の培地の場合は,この添加は必要ない。
6.1.4 操作方法 次の(A),(B)又は(C)の試験を行う。バイオアッセイはすべてクリーンベンチ内で無菌
下に行う。
(A) eLa S3細胞によるコロニー形成試験
(1) 6.1.3で調製した参照培地に参照非透析血清を10vol%加えた群(a),試験培地に透析血清を10vol%とL-
セリン0.2molを加えた群(b)と,試験培地に透析血清10vol%加えた群(c)を作製する。培養容器各群4
個に,5mlずつそれぞれの培地を分注し,アール系又は浮遊細胞系の場合は二酸化炭素インキュベー
タに入れておく。ハンクス系の場合はプラスチック製フラスコを用い,分注後は密栓して37℃に保っ
たインキュベータに入れる。
(2) eLa S3細胞を,トリプシン液 (2.5g/l) を加えて,はく離させた後,試験培地でこれを希釈して細胞
濃度1×103個/mlの細胞浮遊液を作る。
(3) 培養容器をインキュベータから取り出し,細胞浮遊液の100 先端の孔径が1mm以上あるチップ
(微量分注器用200 ップの先端を切断して用いればよい。)又はピペットを用いて手早く各容器に
入れ,容器をよく振って細胞を均一に混ぜた後,インキュベータに戻す。プラスチック製フラスコは
密栓する。
(4) 10日間培養する。PBSで洗い,メタノールで5分間固定後,ギムザ液で染色する(13)。
(5) 各群の50個以上の細胞からなるコロニーを実体顕微鏡を用いて数え,各群の平均コロニー形成率
(APE) (14)を算出した後,相対的コロニー形成率 (RPE) (15)を計算する。平均コロニー形成率及び相対
的コロニー形成率は,次の式から算出する。

――――― [JIS K 3604 pdf 5] ―――――

次のページ PDF 6

JIS K 3604:1990の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 3604:1990の関連規格と引用規格一覧