この規格ページの目次
- 7 試験条件
- 7.1 一般
- 7.2 温度及び相対湿度
- 7.3 供給空気質及びバックグラウンド濃度
- 7.4 物質伝達率
- 7.5 単位面積当たりの換気量及び換気回数
- 8 試験条件の検証
- 8.1 試験条件のモニタリング
- 8.2 チャンバーの気密性
- 8.3 チャンバー内の換気回数
- 8.4 チャンバー内の換気性能係数
- 8.5 回収率及びシンク効果
- 9 チャンバーの準備
- 10 試験片の準備
- 11 試験方法
- 11.1 バックグラウンド濃度及びトラベルブランク
- 11.2 チャンバー内での試験片の位置
- 11.3 出口濃度を測定する時間
- 11.4 空気捕集
- 12 分析方法
- 12.1 VOCの分析
- 12.2 ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物の分析
- 13 放散速度の算出及び結果の表現方法
- 14 性能特性
- 15 報告書
- JIS A 1901:2015の引用国際規格 ISO 一覧
- JIS A 1901:2015の国際規格 ICS 分類一覧
- JIS A 1901:2015の関連規格と引用規格一覧
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(装置)によるか,又はこれらと同等以上の精度をもつ装置を用いてもよい。ホルムアルデヒド及び他の
カルボニル化合物分析装置は,JIS A 1962の6.3.1(HPLCシステム)若しくはJIS K 0124の箇条5(装置)
によるか,又はこれらと同等以上の精度をもつ装置を用いてもよい。
7 試験条件
7.1 一般
試験条件は,7.27.5によるものとし,大気圧に近い状態で試験を行う。
7.2 温度及び相対湿度
チャンバー内の温度は28 ℃で,相対湿度はJIS Z 8703に規定する50 %とする。チャンバーの性能は,
次の条件の範囲内で制御可能なものとする。
− 温度 28±1.0 ℃
− 相対湿度 (50±5) %
なお,温湿度依存性を確認するため,目的に応じて,その他の温湿度条件で測定を行うことが望ましい。
試験場所の空気とチャンバー内との温度及び相対湿度が異なるため,チャンバーの中に試験片を入れる
とき,チャンバー内の環境に初期的な変動が観測されることがあるので,これらの変動は記録する。また,
温度及び相対湿度の範囲は,時変動を示すものであり,チャンバー内に温度分布及び湿度分布を極力生じ
させないようにする。
注記 温度及び相対湿度は,放散速度に大きな影響を与える。
7.3 供給空気質及びバックグラウンド濃度
供給空気質及びバックグラウンド濃度は,放散試験に影響を及ぼさない程度の低さとする。
なお,加湿のときに使用する純水には,影響を及ぼすような対象化学物質が極力少ないものとする。ま
た,JIS K 0557に規定するA1以上の水で,対象成分が検出されてはならない。
7.4 物質伝達率
チャンバー内における試験建築材料表面の物質伝達率は,水蒸気に換算して918 m/h程度が望ましい。
なお,チャンバー内にかくはんのためのファンを設置する場合,物質伝達率が18 m/h以上となるような
強制対流場を形成させない。
注記1 物質伝達率の大小は,蒸散支配による放散の場合に影響を及ぼすことがある。放散速度は基
材によって異なる。
注記2 物質伝達率918 m/hは,試験建築材料表面を流れる雰囲気空気の風速でおおむね0.10.3
m/sに相当する。
7.5 単位面積当たりの換気量及び換気回数
定常状態では,チャンバー出口濃度は,放散試験条件を設定するときのパラメータとして選択される単
位面積当たりの換気量に左右される。また,換気回数は,0.5±0.05回/hを標準とする。
なお,接着剤,塗料などの蒸散支配形の建築材料[接着剤,塗料などが固化(乾燥)していない状態]
では,換気回数を増加させるか,試料負荷率を小さくすることによって適切な測定が行えるようにする。
また,異なるチャンバーから得られた結果を比較するときには,換気回数n及び試料負荷率Lを同一条件
とする。
注記1 換気回数n及び試料負荷率Lは,放散速度に影響を与えることがある。
注記2 建築材料自身への吸着が大きい対象物質(例えば,ホルムアルデヒドなど)の放散速度の測
定結果は,試料負荷率の換気回数に対する比(L/n,n/L値)が同じ条件の結果だけ,比較可
――――― [JIS A 1901 pdf 11] ―――――
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能である。
8 試験条件の検証
8.1 試験条件のモニタリング
温度,相対湿度及び換気量は,次の精度のものを連続的にモニタリングして記録する。
なお,温度及び相対湿度は,出口空気を測定してもよい。
− 温度 ±0.5 ℃
− 相対湿度 ±5 %
− 換気回数 ±10 %
8.2 チャンバーの気密性
チャンバーの気密性は,圧力降下測定,又は入口及び出口の流量の同時比較測定,若しくはトレーサー
ガス希釈の測定によって,年1回以上の頻度で確認する。
8.3 チャンバー内の換気回数
チャンバー出口に積算流量計を設置し,測定した換気量Qをチャンバーの容積Vで除したものを,換気
回数nとする。
換気回数の設定値の変動はなるべく少なくする。通常,トレーサーガスを用いた換気回数の確認は,年
1回以上の頻度で行うものとする。
なお,積算流量計を用いて出口で試験を行うときは,その装置による背圧のため,チャンバーに流れる
流量が下がる可能性に注意する。
8.4 チャンバー内の換気性能係数
チャンバー内の換気性能係数を測定するための試験は,チャンバー内に試験片,又は試験片と同じ大き
さの不活性基材(例えば,ガラス板又はステンレス板)を入れて行う。チャンバー内の換気性能係数の算
出方法は,次による。
a) ステップアップ法 一定の濃度及び流量でトレーサーガスを供給空気に混合させてから,チャンバー
出口で濃度の経時変化を測定する。その経時変化からチャンバー内の換気性能係数ηは,名目換気時
間τnを平均空気齢 地 侮 湘 ,換気性能係数は90 %以上が望ましい。
b) ステップダウン法 チャンバー出口での空気齢は,平均空気齢と一致する。また,チャンバー内のト
レーサーガスをファンなどによって完全混合した後,清浄な空気を供給し,チャンバー出口で濃度の
経時変化を測定してもよい。その経時変化から,チャンバー内の換気性能係数を算出する。
a) 及びb) における換気性能係数,名目換気時間及び平均空気齢は,それぞれ,式(1)式(4) によって
算出する。
τn
換気性能係数 η (1)
τ
V
名目換気時間 τn (2)
Q
Q ρe)(
t
ステップアップ法 τ t1 dt (3)
V 0 ρs
Q t)
ρe (dt
ステップダウン法 τ t (4)
V 0 ρ)0(
――――― [JIS A 1901 pdf 12] ―――――
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8.5 回収率及びシンク効果
対象化学物質の回収率は,対象成分の標準ガス,パーミエーションチューブなどを用いて発生させた既
知濃度ガスを用いて測定する。ここで測定される濃度は,建築材料の放散試験のときに予測される数値と
同程度とする。
なお,二つ以上のチャンバーを直列に接続して測定してもよい。
チャンバーの性能は,トルエン及びn-ドデカンについて80 %以上の平均回収率を確保できるものとする。
その他の対象化学物質の回収率も記録する。また,親水性の対象化学物質の回収率を測定する場合は,除
湿空気を使用する。
シンク効果及び漏れがある場合又は校正精度が低い場合は,試験で最低限必要な精度を満たすことが困
難となる。シンク効果及び吸着特性は,放散された対象化学物質の種類と密接にかかわっており,これら
による影響を把握するために,異なる分子量及び極性をもつ対象化学物質を用いて追加の回収率試験を行
うことができる。ただし,平均回収率は,チャンバーの入口濃度に対する出口濃度から算出する。
9 チャンバーの準備
試験を開始する前には,チャンバーの解体・洗浄を行う。チャンバーを水で洗浄し,残存している化学
物質を揮発させるためにオーブンで加熱処理を行う。チャンバーがオーブン内に収納できない場合は,チ
ャンバー内の温度を上昇させる方法でもよい。加熱処理が終了した後,チャンバーを測定可能な温度まで
冷却後,速やかに組立を行う。
10 試験片の準備
試験片の準備は,JIS A 1902-1,JIS A 1902-2,JIS A 1902-3及びJIS A 1902-4による。また,試験片をチ
ャンバー内に設置した時点を試験開始とする。
11 試験方法
11.1 バックグラウンド濃度及びトラベルブランク
新しく放散試験を開始する前に,空のチャンバーについて1日換気を行った後でバックグラウンド濃度
を測定し,定量する。また,トラベルブランクは,空気捕集ごとに測定し,定量する。
なお,トラベルブランクは,放散試験に影響を及ぼさない程度の低さであるものとする。
TVOCのバックグラウンド濃度は,20 μg/m3以下とする。ただし,測定対象となる個別の各成分のバッ
クグラウンド濃度は,2 μg/m3以下とする。
11.2 チャンバー内での試験片の位置
試験片は,チャンバーの中央部に置き,空気が試験片の放散面上を均一に流れるように努力する。
11.3 出口濃度を測定する時間
11.3.1によって試験を開始した後に,事前に設定した時間に従って11.4によって空気捕集を開始する。
11.3.1 放散試験
チャンバーを流れる積算空気流量から空気の漏れのないことを確かめた後に,空気捕集を行う。空気捕
集の間の排気流量が,入口流量から空気捕集時の流量を差し引いた数値であることを確認する。
空気捕集は,試験開始から1日,3日,7日,14±1日,及び28±2日経過後の採取を標準とし,追加の
空気捕集を行ってもよい。
注記1 試験の目的に応じて,これらの測定日数を選んでもよい。
――――― [JIS A 1901 pdf 13] ―――――
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注記2 減衰のデータが必要な場合,空気捕集は試験開始から28日経過以降も採取してもよい。
注記3 測定限界以下になった場合には,試験を終了してもよい。
11.3.2 試験片の保存
長期間の試験の場合,試験片をチャンバーから取り出すときは,通常,測定時と同条件で保存する。取
り出した場合の試験片は,密封しないようにし,他の試験片又は保存場所からの影響をなるべく受けない
ように注意して保存する。通常,試験片は空気を捕集する72時間以上前までにチャンバー内にもどす。た
だし,28 ℃を超える温度での保存は避ける。
11.4 空気捕集
通常,捕集管として,VOCの捕集にはTenax TA 1) 吸着管などを,ホルムアルデヒド及び他のカルボニ
ル化合物の捕集にはDNPHカートリッジなどを使用する。清浄な空気を供給して8時間以上が経過したチ
ャンバー内の温度及び相対湿度が定常状態であることを確認した後,捕集管を接続して1日後の出口濃度
を測定すると同時に,トラベルブランクも測定する。
以降,経過時間ごとの出口濃度及びトラベルブランクを測定する。
事前にチャンバー内の濃度を予測することが難しい場合は,破過確認のため捕集管を二つ連結させる。
捕集管の破過の有無は,式(5) によって判断する。求めた値が95 %以上の場合は,対象化学物質は実質的
に前方の捕集管だけに吸着されたことになるので,破過していないと判断できる。ただし,捕集管は,JIS
A 1962の6.1.1(サンプリングカートリッジ),JIS A 1965の6.1(サンプラ)及びJIS A 1966の6.1(サン
プラ)による。
ρ1
100 ≧ 95(%) (5)
ρ1 2
ここに, ρ1 : 上流側の捕集管の分析濃度(μg/m3)
ρ2 : 下流側の捕集管の分析濃度(μg/m3)
注1) ここに示す“Tenax TA”は,この規格の使用者の便宜のために,一般に入手できるものとして
掲げた。同じ効果を得られることを証明することができれば,これと同等の他のものを用いて
もよい。
12 分析方法
12.1 VOCの分析
Tenax TA 1) 吸着管などを加熱脱着装置に取り付け,加熱によってVOCを脱離させる。VOCの分析法は,
JIS A 1965の箇条9(分析),JIS A 1966の箇条10(手順)又はJIS K 0123の10.(定量分析)による。
12.2 ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物の分析
DNPHカートリッジ内のカルボニル化合物DNPH誘導体は,アセトニトリルを用いて溶解して脱離させ
る。ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物の分析法は,JIS A 1962の9.3(試料の分析)又はJIS K
0124の箇条8(操作)による。
13 放散速度の算出及び結果の表現方法
試験片をチャンバーに入れてから測定を開始した経過時間tにおける単位面積当たりの放散速度qAは,
式(6) によって算出する。また,単位長さ当たりの放散速度ql,単位質量当たりの放散速度qm,単位体積
当たりの放散速度qv,単位個数当たりの放散速度quは,式(7)式(10) によって算出する。放散速度は整
数値で表し,数値の丸め方は,JIS Z 8401による。
――――― [JIS A 1901 pdf 14] ―――――
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ρtQ ρtnV n
qA ρtkQ ρt (6)
A A L
ρtQ
ql (7)
l
ρtQ
qm (8)
m
ρtQ
qv (9)
v
ρtQ
qu (10)
u
注記1 目的によっては,放散速度qを時間/濃度の関係から,例えば,濃度/時間のデータによる
減衰モデルを適用することによって算出する方法もある。
注記2 ρtの濃度を算出する場合は,チャンバーの出口から採取される化学物質の総量からトラベル
ブランクをあらかじめ差し引いておく。
14 性能特性
JIS A 1965と連動して用いられる場合のこの試験方法の性能特性は,JIS A 1965及びJIS A 1966による。
15 報告書
試験報告書には,通常,次の内容を記載する。
a) 試験機関
1) 試験機関の名称及び所在地
2) 試験責任者名
b) 製品の種類
1) 製品の種類(可能な場合は商品名)
2) サンプルの選択プロセス(抜取り方法など)
3) 製品の経緯(製造年月日,バッチ番号,試験機関到着日,包装から取り出した日時及び試験片を準
備した日時など)
c) 結果 規定の経過時間における対象化学物質(VOC,ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物),
及び/又はTVOCの放散速度
d) データ分析
1) 測定されたチャンバー出口濃度から特定の放散速度qAを算出するときは,用いた方法(数学的モデ
ル及び数式)
2) 温湿度条件を変更して測定した場合は,算出に用いた換算式
e) 試験条件
1) チャンバー条件(温度,相対湿度,換気回数,物質伝達率)
2) 試験片の面積及び試料負荷率
3) シール工程の有無
4) 対象化学物質の空気捕集に関する情報(使用した捕集管,空気捕集量,チャンバーに入れてからの
空気捕集時間の長さ,回数など)
――――― [JIS A 1901 pdf 15] ―――――
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JIS A 1901:2015の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 16000-9:2006(MOD)
JIS A 1901:2015の国際規格 ICS 分類一覧
- 83 : ゴム及びプラスチック工業 > 83.140 : ゴム及びプラスチック製品 > 83.140.01 : ゴム及びプラスチック製品一般
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.040 : 気質 > 13.040.20 : 雰囲気
JIS A 1901:2015の関連規格と引用規格一覧
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- 規格名称
- JISA1902-1:2015
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- JISA1902-2:2015
- 建築材料の揮発性有機化合物(VOC),ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物放散量測定におけるサンプル採取,試験片作製及び試験条件―第2部:接着剤
- JISA1902-3:2015
- 建築材料の揮発性有機化合物(VOC),ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物放散量測定におけるサンプル採取,試験片作製及び試験条件―第3部:塗料及び建築用仕上塗材
- JISA1902-4:2015
- 建築材料の揮発性有機化合物(VOC),ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物放散量測定におけるサンプル採取,試験片作製及び試験条件―第4部:断熱材
- JISA1962:2015
- 室内及び試験チャンバー内空気中のホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物の定量―ポンプサンプリング
- JISA1965:2015
- 室内及び試験チャンバー内空気中揮発性有機化合物のTenax TA(R)吸着剤を用いたポンプサンプリング,加熱脱離及びMS又はMS-FIDを用いたガスクロマトグラフィーによる定量
- JISA1966:2015
- 室内空気中の揮発性有機化合物(VOC)の吸着捕集・加熱脱離・キャピラリーガスクロマトグラフィーによるサンプリング及び分析―ポンプサンプリング
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- JISK0124:2011
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- 用水・排水の試験に用いる水
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