JIS H 8306:2009 サーメット溶射 | ページ 3

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切断する。
b) 試験片を製品から切り出せない場合には,製品と同質の素材の表面に,製品と同一条件で溶射皮膜を
施した試験片を用いる。この場合,試験片の寸法は,長さ20 mm,幅10 mm,厚さ5 mm6 mmとす
る。
c) 試験片を樹脂に埋め込み,溶射皮膜断面に研磨を施し,平滑で凹凸がなく,酸化皮膜(スケール)及
び異物のない表面に仕上げる。
7.2.2 観察方法
観察方法は,次による。
a) 溶射皮膜の断面組織観察は,光学顕微鏡による溶射皮膜断面の写真撮影を基準とする。
なお,使用目的によっては受渡当事者間の協定によって,走査形電子顕微鏡,レーザー顕微鏡など
を用いる方法によってもよい。光学顕微鏡以外を用いた場合は,使用した顕微鏡の種類を報告書に明
記する。
b) 光学顕微鏡の拡大倍率は,100倍以上とする。
c) 撮影は,顕微鏡の同一視野内で1か所とする。
d) 撮影箇所は,3か所以上とする。その例を,図1に示す。
図1−撮影箇所の例

7.3 溶射皮膜の厚さ試験

  溶射皮膜の厚さ試験は,JIS H 8401の5.(測微器による試験方法),6.(顕微鏡断面試験方法),又は7.
(磁力式試験方法)のいずれかによる。

7.4 溶射皮膜の引張密着強さ試験

  溶射皮膜の引張密着強さ試験は,JIS H 8402による。

7.5 溶射皮膜の硬さ試験

7.5.1  要旨
研磨した溶射皮膜表面又は断面について,JIS Z 2244又はJIS Z 2251に規定する方法によって硬さを測
定する。溶射皮膜の硬さ試験は,ビッカース硬さ試験又はヌープ硬さ試験のいずれかによる。
7.5.2 装置
装置は,JIS B 7725に規定するビッカース硬さ試験機又はJIS B 7734に規定するヌープ硬さ試験機を用
いる。

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7.5.3 試験片の作製
試験片の作製は,次による。
a) 試験片は,製品から切り出す。試験片の切り出しには,試験片切断機を用い,湿式で溶射皮膜側から
切断する。
b) 試験片を製品から切り出せない場合には,製品と同質の素材の表面に,製品と同一条件で溶射皮膜を
施した試験片を用いる。
c) 溶射皮膜表面又は断面に研磨を施し,鏡面に仕上げる。
7.5.4 操作
測定箇所は平たん部を選び,気孔を避け,JIS Z 2244又はJIS Z 2251の規定に従って測定を行う。大き
な割れがない圧こんについては,少なくとも,5か所以上測定する。
7.5.5 計算
7.5.4で得た5か所以上の硬さ測定値の算術平均値(x)を求め,溶射皮膜の硬さとする。
なお,標準偏差(σ)及び変動係数(σ/x)も求めて併記することが望ましい。また平均値は,JIS Z
8401によって丸め,有効けた数3けたで表すものとする。

7.6 耐熱衝撃性試験

7.6.1  要旨
試験片を加熱した後,水中で急冷し,溶射皮膜の割れ,はく離及び浮き上がりの有無を調べる。
7.6.2 装置
装置は,次による。
a) 加熱炉 十分な熱容量をもったもの。
b) 温度調節器 加熱炉の温度を試験温度±5 ℃以内に調節できるもの。
c) 試験片加熱用受皿 耐熱性のある材料製の受け皿で作る。
d) 冷却用水槽 加熱した試験片を水冷するために用いる水槽。ステンレス鋼製が望ましい。
7.6.3 試験片の作製
製品をそのまま試験片とするか,又は製品を長さ50 mm,幅50 mmに切り出して試験片とする。試験片
の切り出しには,試験片切断機を用い,湿式で溶射皮膜側から切断する。製品から切り出せない場合には,
製品と同質の素材の表面に,製品と同一条件で溶射皮膜を施した試験片を用いる。この場合の試験片の寸
法は,長さ50 mm,幅50 mm,厚さ5 mm6 mmとする。
7.6.4 操作
操作は,次による。
a) 試験温度及び試験回数は,受渡当事者間の協定による。
b) 試験温度に調節した加熱炉に試験片を入れ,試験片が試験温度に達してから10分間以上保持した後,
炉から取り出し,直ちに試験片加熱用受皿とともに常温の冷却用水槽に入れて急冷する。
c) 肉眼又は20倍までの拡大鏡を用いて,加熱して冷却した試験片の溶射皮膜の割れ,はく離及び浮き上
がりの有無を調べる。ただし,溶射皮膜の切り口から1 mm以内に生じた欠陥は,除外する。

7.7 耐食性試験

  耐食性試験は,JIS Z 2371に規定する試験方法によって72時間の試験を行う。

7.8 耐摩耗性試験

7.8.1  要旨
研磨紙を張り付けた摩擦輪で溶射皮膜を摩擦し,溶射皮膜の摩耗量を調べる。

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7.8.2 試験方法
試験方法は,JIS H 8503の9.(往復運動磨耗試験法)による。試験装置の例を,図2に示す。
なお,試験条件は,受渡当事者間の協定による。
注記 溶射皮膜の性能,用途などが多岐にわたるので,一定の条件を規定できないが,その例を表3
に示す。
図2−往復運動磨耗試験機の例
表3−試験条件の例
荷重 研磨紙粒度
N #
14.729.4 180320

8 検査

  溶射皮膜の検査は,その使用目的に応じて,箇条7によって試験し,箇条6の規定に適合しなければな
らない。受渡当事者間の協定によって必要な場合は,検査項目,試験方法,試験条件,検査結果など,協

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定によって定められた項目を記した報告書を提出する。

9 表示

  送り状などに,次の事項を表示する。
a) 規格の名称又は規格番号
b) 溶射方法,溶射材料の種類,皮膜の厚さなどの記号。記号は,JIS H 8250による。
c) 加工業者名又はその略号
d) 加工年月日

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附属書A
(参考)
サーメット溶射皮膜記号の表示方法の例

序文

  この附属書は,本体の規定を補足するものであって,規定の一部ではない。
A.1 サーメット溶射皮膜記号の表示方法の例
サーメット溶射皮膜の記号は,JIS H 8250に従って,次の例のように表示する。
例1 TS-HVF/ WC/Co 88 12A (200)
(溶射,高速フレーム溶射,炭化タングステン・コバルト溶射,200 m)
例2 TS-HVF/ WC/Ni 85 15 (300) E : G
(溶射,高速フレーム溶射,炭化タングステン・ニッケル溶射,300 m,封孔処理,研削加工)
例3 TS-APS/ Cr3C2/NiCr 80 20A (180) : G
(溶射,プラズマ溶射,炭化クロム・ニッケルクロム溶射,180 m,研削加工)

JIS H 8306:2009の国際規格 ICS 分類一覧

JIS H 8306:2009の関連規格と引用規格一覧