JIS K 0113:2005 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則 | ページ 3

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K 0113 : 2005
滴 定 部
滴 定 槽

検 出 器 制 示
御 記
滴定剤添加装置
部 録
発生電極

対 極
図8 電量滴定装置の構成 (一例)
7.1.2 滴定部 滴定部は,滴定槽,検出器及び滴定剤添加装置で構成する。
a) 滴定槽 滴定槽は,5.1.2 a)による。
b) 検出器 終点検出に電位差滴定方法を用いる場合には5.1.2 b),電流滴定方法を用いる場合には6.1.2
b)による。
c) 滴定剤添加装置 滴定剤添加装置は,電気分解によって電気量に比例する物質量の滴定剤を発生する
性能をもつもので,発生電極及び対極で構成する。発生電極は,滴定槽中の溶液に浸し,対極は,対
極用電解液に浸す。滴定槽中の溶液と対極用電解液との間には,液の混合を防ぐための隔膜を置く。
7.1.3 制御部 制御部には,滴定剤添加装置を制御する部分を含む。その他の部分は,終点検出に電位差
滴定方法を用いる場合には5.1.3,電流滴定方法を用いる場合には6.1.3による。滴定剤添加装置を制御す
る部分は,滴定剤を発生するための電流を供給し,供給した電気量に対応する信号を出力する機能をもつ
ものとする。
7.1.4 表示記録部 表示記録部は,滴定剤添加装置に供給した電気量若しくはそれから求めた滴定剤の物
質量と指示電位差又は指示電流とを表示又は記録する性能をもつものとする。必要に応じて,滴定曲線,
滴定結果などを表示又は記録する装置を附属させる。
7.1.5 装置の点検 装置の点検は,次による。
a) 日常点検 5.1.5 a)による。
b) 定期点検 装置の点検は,据付時及び定期的に行う。
1) 制御部及び表示記録部について,電気的試験装置を用いて実施する。
2) 滴定剤添加装置に供給する電解電流値の直線性の試験を行う。
3) 終点検出に電位差滴定方法を用いる場合は,5.1.5による。
4) 終点検出に電流滴定を用いる場合は,6.1.5による。
備考 より信頼性の高い結果を要求される場合は,国際標準に対してトレーサビリティーのある試験
装置を使用する。

7.2 操作

7.2.1  滴定曲線又はその微分曲線の作成方法 終点検出に電位差滴定方法を用いる場合には,5.2.1によ
る。電流滴定方法を用いる場合には,6.2.1による。

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7.2.2 終点決定方法 終点検出に電位差滴定方法を用いる場合には5.2.2,電流滴定方法を用いる場合に
は6.2.2による。
7.2.3 手動滴定 手動滴定は,次による。
a) 滴定曲線の作成方法は,7.2.1による。
b) 終点決定方法は,7.2.2による。
c) その他の操作は,JIS K 0050による。
7.2.4 自動滴定 終点検出に電位差滴定方法を用いる場合には,5.2.4による。電流滴定方法を用いる場
合には,6.2.4による。

7.3 記録の整理

 電量滴定に当たっては,次のうち必要な事項を整理し記載する。
a) 年月日及び測定者名
b) 電量滴定装置の製造業者名及び形式記号(附属装置がある場合はその名称及び形式。)
c) 被滴定溶液(滴定剤発生試薬を含む。)の調製方法
d) 滴定剤を発生させるための条件(溶液の組成及び量,発生電極及び対極の種類及び仕様,隔膜の種類及
び仕様,対極用電解液の組成,電解条件など。)
e) 指示電極及び参照電極の種類並びに仕様
f) 滴定条件(温度, かき混ぜ条件, 不活性気体の通気の有無など。)
g) 終点検出に電位差滴定方法を用いる場合には,終点までに要した電気量及び終点における指示電位差
又はpHの値(終点電位差設定形の自動滴定の場合は,あらかじめ設定した指示電位差又はpHの値),
電流滴定方法を用いる場合には,終点までに要した電気量及び終点における指示電流値(終点電流設定
形の自動滴定の場合は,あらかじめ設定した指示電流値。)
h) 滴定結果
i) その他の事項

7.4 保守及び管理

 5.4による。

7.5 個別規格に記載すべき事項

 電量滴定方法による分析方法を規定するに当たっては,少なくとも次
の各項目を規定しなければならない。
a) 測定対象成分及び濃度範囲
b) 試料の採取方法及び保存方法
c) 被滴定溶液(滴定剤発生試薬を含む。)の調製方法
d) 滴定剤を発生させるための条件(溶液の組成及び量,発生電極及び対極の種類及び仕様,隔膜の種類及
び仕様,対極用電解液の組成,電解条件など。)
e) 指示電極及び参照電極の種類並びに仕様
f) 電流滴定方法を用いる場合には,参照電極に対する指示電極の電位又は二つの指示電極の間の電位差
g) 終点決定方法
h) 滴定回数
i) 分析結果の表示方法

8. カールフィッシャー滴定方法

 カールフィッシャー滴定は,よう素(I2)と水(H2O)が物質量で1:1
で反応することに基づく。塩基としてピリジンを用いた場合,反応は式(1)のように表される。
CH3OH+SO2+C5H5N→[C5H5NH]SO3CH3
H2O+I2+[C5H5NH]SO3CH3+2C5H5N→[C5H5NH]SO4CH3+2[C5H5NH]I (1)

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カールフィッシャー滴定方法には,容量滴定方法と電量滴定方法とがあり,試験の目的に応じて選定す
る。終点検出は,一対の白金電極を用いる電流制御電圧検出方法による。
備考1. 滴定操作は,自動滴定方法による。
2. 終点検出は,電圧制御電流検出方法によることもできる。この場合は,手動滴定方法によっ
てもよい。
3. 試料によっては,水分気化法を用いる(水分気化装置を用いて試料の水分を気化させ,キャ
リアーガスで滴定溶媒又は電解液に捕集し、カールフィッシャー水分計で測定する方法)。

8.1 容量滴定方法

8.1.1  装置 装置は,次による。
a) 構成 自動滴定装置は,滴定部,制御部及び表示記録部で構成する。その一例を,図9に示す。
b) 滴定部 滴定部は,滴定槽,検出器,カールフィッシャー試薬溶液添加装置などで構成する。
1) 滴定槽 滴定槽は,滴定を行う容器であり,大気中の水分が浸入しない構造とする。検出器,カー
ルフィッシャー試薬溶液添加装置,試料注入口及び乾燥管が装着でき,溶液をかき混ぜることので
きるもの。また,滴定槽の材料は,溶出・変質のしないもの。
2) 検出器 検出器は,一対の白金電極で構成する。それらの電極間に電流を流し,電極間の電圧を測
定することによって終点を検出する。
滴 定 部
制 表
滴 定 槽

御 記
検 出 器 録
部 部
カールフィッシャー
試薬溶液添加装置
図 9 容量滴定方法自動滴定装置の構成(一例)
3) カールフィッシャー試薬溶液添加装置 カールフィッシャー試薬溶液添加装置は,カールフィッシ
ャー試薬溶液を定量的に添加できる装置(1)。
c) 制御部 制御部は,検出した電圧を増幅し,表示記録部,カールフィッシャー試薬溶液添加装置など
を作動させるための信号に変換する機能をもつもの。
d) 表示記録部 表示記録部は,使用したカールフィッシャー試薬溶液の力価と滴定に要したその体積と
から水分を計算し,得られた結果を表示又は記録する。
e) 装置の点検 装置の点検は、据付時及び定期的に行う。また,必要に応じて,使用前・使用後に点検を
行う。
8.1.2 試薬 試薬は,次による。
a) メタノール JIS K 8891に規定するメタノールで,かつ,水分が質量分率0.05 %以下のものを用いる。
水分がこれを超える場合は,メタノール1 000 mlに乾燥用合成ゼオライト30 gを加えて密栓し,とき

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どき緩やかに振り混ぜながら約8時間放置し,更に16時間静置後,透明な上澄みの部分を採取して用
いる。湿気を遮って保存する。
b) クロロホルム JIS K 8322に規定するクロロホルムで,かつ,水分が質量分率0.01 %以下のものを用
いる。水分がこれを超える場合は,クロロホルム1 000 mlに乾燥用合成ゼオライト30 gを加えて密栓
し,ときどき緩やかに振り混ぜながら約8時間放置し,更に16時間静置後,透明な上澄みの部分を用
いる。湿気を遮って保存する。
c) 2-メトキシエタノール JIS K 8895 に規定する2-メトキシエタノールで,かつ,水分が質量分率
0.05 %以下のものを用いる。水分がこれを超える場合は,2-メトキシエタノールを蒸留し,初留分を
捨ててから留出したものを用いる。湿気を遮って保存する。
d) 2-エトキシエタノール 2-エトキシエタノール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)の純度
が質量分率98 %以上で,水分が質量分率0.05 %以下のものを用いる。水分がこれを超える場合は2-
エトキシエタノール1 000 mlに乾燥用合成ゼオライト30 gを加えて密栓し,ときどき緩やかに振り混
ぜながら約8時間放置し,更に16時間静置後,透明な上澄みの部分を採取し用いる。湿気を遮って保
存する。
e) 4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-オン 4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-オン(プロピレンカーボネート)
の純度が質量分率98 %以上で,水分が質量分率0.3 %以下のものを用いる。
f) ピリジン JIS K 8777 に規定するピリジンで,かつ,水分が質量分率0.05 %以下のものを用いる。
水分がこれを超える場合は,ピリジンにJIS K 8574に規定する水酸化カリウムを加え,密栓し数日間
放置後,湿気を遮って蒸留し,初留分を捨てた留出物を用いる。湿気を遮って保存する。
g) イミダゾール イミダゾールの純度が質量分率99 %以上で,水分が質量分率0.3 %以下のものを用
いる。
h) 2-メチルアミノピリジン 2-メチルアミノピリジンの純度が質量分率98 %以上で,水分が質量分率
0.3 %以下のものを用いる。
i) (+)-酒石酸ナトリウム二水和物 JIS K 8540に規定する(+)-酒石酸ナトリウムの水溶液から再結晶さ
せた結晶を十分水を除いてから,室温で相対湿度約50 %で乾燥し,恒量(含水量を一定)としたものを
用いる。
j) 滴定溶媒 通常,メタノールを用いる。その他試料に応じてメタノール−クロロホルム,メタノール
−ホルムアミドなどの混合溶媒を用いてもよい。しかし,メタノールと反応する試料に対してはメタ
ノールを含まない滴定溶媒で,水分が質量分率0.05 %以下のものを用いる。
k) カールフィッシャー試薬溶液 JIS K 8920に規定するよう素85 gをメタノール670 mlに溶かし,ピ
リジン270 mlを加え,よく混合してから氷冷する。この混合溶液に,その温度が20 ℃を超えないよ
うに注意しながら乾燥した二酸化硫黄を通じる。その増量が65 gに達したとき,二酸化硫黄を通じる
のをやめる。これをカールフィッシャー試薬溶液とする。この場合,メタノールの代わりに2-メトキ
シエタノール,クロロホルム,2-エトキシエタノール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル),
4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-オン(プロピレンカルボナート)又はそれらの混合物を用いてもよい。
また,ピリジンの代わりにイミダゾール又は2-メチルアミノピリジンを用いてもよい。この試薬溶液
は,湿気及び光を遮り,温度変化の小さい20℃以下の場所に保存する。この試薬溶液の標定は,調製
してから24時間後に行う。また,日時の経過とともに濃度が低下するので,使用の都度,標定しなけ
ればならない。
備考 カールフィッシャー試薬溶液は,市販品を用いてもよい。

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メタノール2550 mlを滴定槽にとり,これにカールフィッシャー試薬溶液を8.1.3 a) 1)によって,終点
まで正しく滴加する。次に,この液に標準品として(3),水約3050 mgを0.1 mgのけたまではかって速や
かに加えるか,又は酒石酸ナトリウム二水和物約150 mgを0.1 mgのけたまではかりとり,直ちにカール
フィッシャー試薬溶液を用いて滴定する。
注(3) 標準品として市販のアンプル入り水標準品(10 mg/g)約2 gを用いてもよい。
備考 水を標準品として用いる場合で,更に精度を要する場合,0.01 mgのけたまではかる。
滴定の方法は,8.1.3 a) 2)による。質量 m1の水と当量のカールフィッシャー試薬溶液の体積
をVaとすると,F=m1/Vaをカールフィッシャー試薬溶液の力価という。力価は,次の式によっ
て求める。
水を用いた場合,
m1
F
Va
酒石酸ナトリウム二水和物を用いた場合,
36.
23004
m2 .08
F
Va
アンプル入り水標準品(10 mg/g)を用いた場合,
m3 fa
F
Va
ここに, F : 力価 (mg/ml)
m1 : はかり取った水の質量 (mg)
m2 : はかり取った酒石酸ナトリウム二水和物の質量 (mg)
Va : 終点までに要したカールフィッシャー試薬溶液の体積(ml)
m3 : はかり取ったアンプル入り水標準品の質量 (g)
fa : アンプル入り水標準品の水の質量濃度 (mg/g)
この操作を3回以上繰返し行い,繰返し性を確認する。求めた力価の平均値を実試
料測定の場合の力価とする。
備考1. 一般的に,繰返し性は,相対標準偏差値で5 %以内である。
2. 標定には,水の質量濃度が既知である水−メタノ一ル溶液を用いてもよい。しかし,濃度が
変化しやすいため,使用には十分な注意が必要である。
3. より信頼性の高い結果を要求される場合は,標準品及び標準品の質量測定に用いる天びんは,
国際標準に対してトレーサビリティーのあるものを用いる。
l) 水−メタノール溶液 メタノール約500 mlを乾燥した全量フラスコ1 000 mlにとり,水約2 gを0.1
のけたまで正しくはかって加え,更にメタノールを標線まで加える。湿気及び光を遮り,温度変化の
小さい場所に保存する。
標定 水−メタノール溶液10 mlを全量ピペットではかりとり,滴定槽に加える。カールフィッシャ
ー試薬溶液で滴定する。滴定の方法は,8.1.3 a)による。水−メタノール溶液の水の質量濃度は,
次の式によって求める。
VbF
10
ここに, ρ : 水−メタノール溶液中の水の質量濃度 (mg/ml)
Vb : 終点までに要したカールフィッシャー試薬溶液の体積(ml)
F : カールフィッシャー試薬溶液の力価 (mg/ml)

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  • ISO 760:1978(MOD)

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