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5.1.3 分光測光部
分光測光部は,発光部から放射された光を効率よく分光器に導く集光系,スペクトル線を分離する分光
器及び分光器で分離したスペクトル線の検出系で構成する。検出系は,分光器の焦点面に出口スリットを
配置し,その直後に光電子増倍管などの検出器を置いて,スペクトル線強度を電気信号に変換する機能を
もつもの。
5.1.4 データ処理部及び制御部
データ処理部及び制御部は,次による。
a) データ処理部 検出器で得られた信号を増幅処理して必要な信号を分離し,データ処理を行った後,
測定対象元素濃度に対応する信号を必要な様式で表示して,記憶する機能をもつ11)。
注11) データ処理には精確さなどを向上させる目的でバックグラウンド補正,分光干渉補正,内標
準元素による補正などを行う機能のものがある。
b) 制御部 分光器を一定の温度に保つ,分光測光部の真空度を保つなど,装置を安定な状態で使用する
ためのもの。
5.2 水,試薬及びガス
5.2.1 水
水は,4.3.1による。
5.2.2 試薬類
試薬類は,次による。
a) 試薬は,4.3.2 a)による。
b) 標準物質は,検量線作成用試料として用いるもので,標準物質に関するJISに規定したもの。公共機
関又は民間団体によって成分の確認された標準物質をその指定された用途範囲で用いてもよい。
c) 標準物質の選択のために必要な条件を,次に示す。
1) 化学組成,物理性状12)が,分析用試料と類似している。
注12) 金属固体試料では,冶金履歴,形状,大きさなど。粉末試料では,比重,粒度分布など。
2) 測定対象元素の濃度が,分析用試料における濃度より広い範囲にわたり,かつ,適切な濃度間隔を
もつ1系列の試料群である。
3) 4.3.2 a)に該当するものがない場合は,測定対象元素濃度がJIS又はこれに準じる分析方法で確認さ
れている。
d) 標準物質の調製は,5.3による。
5.2.3 ガス
ガス13)は,JIS K 1105で規定するものを用いる。
注13) 通常,雰囲気ガスとしてアルゴンガスが用いられ,微量元素を分析する場合には,JIS K 1105
に規定する99.99 %(体積分率)以上のものが用いられる。
5.3 試料のサンプリング及び調製
5.3.1 一般事項
採取した試料は,試料電極に適する形状又は状態に調製し,分析試料とする。
5.3.2 サンプリング
サンプリングには,試料採取用金型,定盤などを用いる。
5.3.3 調製装置
試料の調製には,例えば,次のものを使用する。
――――― [JIS K 0116 pdf 26] ―――――
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a) 研磨装置(ベルト研磨,カップといし研磨)
b) 切削装置
c) 試料成形用切断機
5.3.4 試料の調製方法
試料の調製方法は,次による。
a) 金属固体試料 溶融状態で採取した試料は鋳型に鋳込み,固形物として供される試料は必要に応じて
切断,切削,再溶融及び鋳込みなどによって棒状又は平盤状とする。試料の大きさは通常,棒状試料
では直径5 mm14)以上,長さ30 mm以上,平盤状試料では直径10 mm以上,厚さ5 mm以上又は直径
20 mm以上,厚さ3 mm以上とする。いずれも,これを試料電極として直接用いる。
注14) 直径1 mm程度の線状の試料も測定可能である。
b) 粉末試料 粒度範囲が通常100200 必要によってバインダー,希釈剤,内標準剤
などと混合した後,加圧成形し,これを直接試料電極として用いる。
5.4 対電極
対電極は,規定の放電条件で測定対象元素が検出されない材質で,結晶化度及び他の物理的性質の均一
性がよく,加工精度の良好な銀,タングステン,黒鉛などの棒15)を用いる。
注15) 棒状試料では,試料自体を対電極として用いることもできる。
5.5 測定条件の設定
測定条件の設定は,次による。
a) 測定条件の最適化
1) 5.6.1に従って分析線を選択する。
2) 分析目的に応じ,励起条件,雰囲気ガス条件,電極間隙,予備放電時間,積分時間などを変化させ,
最適条件を設定する。また,必要に応じて,時間分解測光法を選択する。
b) 装置の使用判定項目 装置使用判定の基準として注意すべき事項は,次のようなものである。
1) スペクトル線波長の位置が出口スリット又は検出素子に正確に合っている。
2) 放電状態及び放電痕が正常である。
3) 標準物質における各元素の発光強度が規定の範囲内である(分光器の窓の汚れ,検出器の劣化,分
光器の温度調節など)。
4) 検量線を再校正した場合,検量線のずれ及び傾きが規定の範囲内である。
5) 短時間安定性及び長時間安定性が個別規格に規定されている場合は,その基準値内にある。
5.6 定量分析
5.6.1 分析線の選定
分析線の選定に当たっては,次のような項目に注意しなければならない。
a) 各元素の発光線の中から,目的とする定量範囲に適する発光強度を与える発光線を選択する。この場
合,検出下限,測定精度などに関する検討を十分に行う。
b) 共存成分による各種の干渉(妨害)がある場合には,干渉のない別の発光線を選択する。 干渉のない
適切な発光線を選択できない場合は干渉量を適切に補正する。
注記 個別規格で分析線が規定されている場合は,それを用いる。
5.6.2 測定
5.5 a)で最適化した条件を用い,測定対象元素の発光強度を測定する。
――――― [JIS K 0116 pdf 27] ―――――
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5.6.3 定量法
定量法は,検量線法(発光強度法又は強度比法)による。
a) 発光強度法 測定対象元素の濃度の異なる4種類以上の検量線作成用試料を用い,濃度と発光強度と
の関係線を作成して検量線とする。この検量線を用いて発光強度に対応する試料中の測定対象元素の
濃度を求める(図8参照)。
b) 強度比法(内標準法) 測定対象元素の濃度の異なる4種類以上の検量線作成用試料を用いて,内標
準元素16)に対する測定対象元素の発光強度比と測定対象元素の濃度との関係線を作成し,検量線とす
る。この検量線を用いて発光強度比に対応する試料中の測定対象元素の濃度を求める(図9参照)。内
標準元素強度と測定対象元素との強度比を求める手法としては,次の方法がある。
注16) 内標準元素には,主成分元素又は一定濃度の特定元素を用いることができる。
1) 定時間積分 あらかじめ設定された時間で積分を打ち切り,得られた内標準元素の発光強度と測定
対象元素の発光強度との比を求める。
2) 内標準強度モニター あらかじめ設定された内標準元素の発光強度にその積分強度が達したときに
積分を打ち切り,得られた対象元素の発光強度を発光強度比として用いる。
c) 校正 装置の運転時間の経過,試料分析数の累積の影響などによって,励起源部,発光部,分光測光
部などの状態が変化して,検量線が変動する。したがって,正確に定量するためには,一定時間ごと
又は一定試料数ごとに検量線校正用試料を測定し,検量線を校正しなければならない。
5.6.4 分光干渉の補正
近接するスペクトル線の重なりの影響,試料組成の差によるバックグラウンドの差異の影響などを補正
するために,必要に応じて,次の元素間干渉補正,バックグラウンド補正などを行う。
a) 元素間干渉補正 分析線に近接する共存元素のスペクトル線による影響を補正する。あらかじめ既知
濃度の二元系又は多元系標準物質を用いて,分析線に及ぼす影響を共存元素の発光強度又は濃度の関
数として測定する。分析対象元素を測定するときに,共存元素を同時に測定し,分析線の発光強度又
は濃度に対する共存元素の影響を補正する。
b) バックグラウンド補正 主成分濃度及び共存成分の変化並びに放電状態によってバックグラウンドが
変化して発光強度に影響を与える。補正方法は,4.7.4 c)による。
5.6.5 定量値の表し方
定量値は,質量分率(%)などで表す。
5.7 装置の設置条件
装置の設置条件は,4.9による。ただし,j),k)を除く。
5.8 安全
安全は,次の事項に注意しなければならない。
a) 高圧ガス取扱い上の注意 高圧ガス取扱い上の注意は,4.10 a)による。
b) 装置取扱い上の注意 装置取扱い上の注意は,次による。
1) 装置の安全機構はみだりに手を加えたり改造したりしない。
2) 装置の安全機構は,常に正常に作動する状態にある。
3) 発光時は,換気ダクトを作動し,発生するガス,粉じん(塵),雰囲気ガスなど使用したガスの排気
を十分に行う。
4) 光源からの光を直視しない。
5) 発光終了直後の試料及び電極は高温であるため,温度が低下したことを確認した後,取り扱う。
――――― [JIS K 0116 pdf 28] ―――――
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6) 装置の点検及び修理は,主開閉器を切ってから行う。詳細については,装置の取扱説明書を参照す
る。
c) 試料取扱い上の注意 試料取扱い上の注意は,4.10 c)によるほか,次による。
試料調製装置の取扱いは,十分に習熟しておく。試料成形用切断機,研磨装置,切削装置などには,
安全カバー,集じん(塵)装置を備え,使用時は保護具を着用する。これらの装置の使用には手袋を
着用せず,保護めがねを着用する。
5.9 分析結果に記載すべき事項
分析結果には,次のうち必要な項目について記載する。
a) 一般事項及び装置仕様 一般事項及び装置仕様は,4.11 a)による。
b) 試料及び試料処理 試料及び試料処理は,4.11 b)によるほか,次による。
1) 試料履歴
2) 前処理方法
2.1) 研磨剤の種類,粒度
2.2) 切削条件
2.3) 粉砕条件,粒度
3) 組成 溶媒,希釈剤,添加剤の種類
4) 加圧成型品は,その条件
5) 検量線作成用試料及び検量線校正用試料の種類
c) 測定条件 測定条件は,4.11 c)によるほか,次による。
1) 励起源部仕様(装置種類,励起条件,回路定数,電流,出力など)
2) 電極の種類及び形状
3) 電極間隙
4) 予備放電時間,積分時間
5) 雰囲気条件(ガスの種類,流量など)
d) データの質の管理 データの質の管理は,4.11 d)による。
6 個別規格で記載すべき事項
発光分光分析を用いる個別規格では,次のうち必要な項目について記載する。
a) 測定対象元素,定量範囲など
b) 試料採取方法
c) 分析用試料又は試料溶液の調製方法
d) 検量線作成用試料又は検量線作成用溶液の調製方法
e) 測定条件
f) 結果の整理及び表示方法
g) データの質の管理
4.8に規定する方法に準じた方法又は個別規格に規定する方法による。
参考文献 JIS Q 0034 標準物質生産者の能力に関する一般要求事項
ASTM D 1193,Standard Specification for Reagent Water
JIS K 0116:2014の国際規格 ICS 分類一覧
JIS K 0116:2014の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK0050:2019
- 化学分析方法通則
- JISK0211:2013
- 分析化学用語(基礎部門)
- JISK0212:2016
- 分析化学用語(光学部門)
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- JISK8001:2017
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