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単位 mm
図B.5−密封試験管開封器(一例)
B.3 冷媒
冷媒は,JIS K 1560に規定するものを用いる。
なお,JISに規定されていない冷媒(R404Aなど)の場合は,市販のものを用いる。
B.4 触媒
触媒は,次のものを用いる。
a) 鉄 鉄は,JIS C 2504に規定する材質で,直径1.60 mm,長さ50 mmのものを用いる。
b) 銅 銅は,JIS C 3102に規定する材質で,直径1.60 mm,長さ50 mmのものを用いる。
c) アルミニウム アルミニウムは,JIS H 4040に規定するA1070Wの直径1.60 mm,長さ50 mmのもの
を用いる。
B.5 比較色見本
あらかじめ,よう素をメタノールに溶解させ,JIS K 2580に規定するASTM色の色符号に相当する比較
溶液を調製し,これをB.2 a) の試験管に注入後密封し,比較色見本とする。比較色見本は,色相が変化し
ないように暗所に保管し,定期的に調製し直すのが望ましい。
――――― [JIS K 2211 pdf 21] ―――――
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B.6 試験の手順
試験の手順は,次による。
a) 冷媒導入器のマニホールド部体積の測定 試験管への冷媒の導入方法には,圧力差によるはかりとり
法及び体積目盛によるはかりとり法の2種類があり,いずれかの方法で実施する。圧力差によるはか
りとり法では,あらかじめ冷媒導入器のマニホールド部の体積を求めておかなければならない。測定
方法は,次による。
1) 500 mL程度の耐減圧フラスコにゴム栓を介して外径9 mmのガラス管を取り付ける。
2) ビュレットを用いて,ガラス管上部まで水を満たし,フラスコの体積V1 (mL)を正確にはかる。
3) フラスコの水を排出し,よく乾燥してから,真空用ゴムホースを介して冷媒導入器の試験管 (Q)の
位置のいずれかに接続する。フラスコを接続していない冷媒導入ニードル弁 (F)は,この測定の間,
常に閉じておく。冷媒導入ニードル弁 (F)から接続部までの接続管の体積が無視できない場合には,
この体積をフラスコの体積V1に加算する。
4) フラスコが接続された冷媒導入ニードル弁 (F)を開け,このときの水銀マノメーターの読取値h1
(mm)からフラスコ内の空気の圧力P1を算出する。このときP1は大気圧に等しい。
P1 1333. h1
ここに, P1 : フラスコ内の空気の圧力 (Pa)
h1 : 水銀マノメーターの読取値 (mm)
5) フラスコが接続された冷媒導入ニードル弁 (F)を閉じ,真空ポンプを作動させ,マニホールド部が
6.7 Pa以下になるまで脱気する。
6) マニホールド遮断弁 (H)を閉じ,フラスコが接続された冷媒導入ニードル弁 (F)を徐々に開ける。
このときの水銀マノメーターの読取値h2 (mm)から冷媒導入器内の圧力を算出する。
P2 1333. (h1 h2 )
ここに, P2 : 冷媒導入器とフラスコ内の空気の圧力 (Pa)
h1 : 4)で求めた水銀マノメーターの読取値 (mm)
h2 : 6)で求めた水銀マノメーターの読取値 (mm)
7) マニホールド部の体積V (mL)は,次の式によって算出する。
P1V1 V
P2 (1 V) (温度一定)
P1 P2
V V
P2
ここに, V : マニホールド部の体積 (mL)
P1 : フラスコ内の空気の圧力 (Pa)
P2 : 冷媒導入器とフラスコ内の空気の圧力 (Pa)
V1 : フラスコの体積 (mL)
b) 触媒の準備 触媒は,適切な溶剤(ヘプタン,ヘキサンなど)で湿した脱脂綿でふきとり,次に,JIS
R 6251に規定するP100番の研磨布で,新しいはだが出るまで磨き,更に乾いた脱脂綿で金属粉及び
研磨材粉を完全に取り除く。研磨した触媒の取扱いには,常に清浄,乾燥した脱脂綿又は木綿手袋を
用い,直接手で触れないようにする。
c) 試験管の洗浄 試験管は,中性洗剤などで内部の汚れを落とした後,水道水,蒸留水,市販の精製水
の順で十分洗浄し,乾燥器で乾燥後,デシケーター中に保管する。
d) 試料の注入 試験管に触媒を入れ,長さ150 mmの針の付いた5 mL注射器を用いて,0.7 mLの試料
を注入する。このとき,試験管内壁に試料が付着しないように,内径2 mm,長さ140 mmのガラス細
管をあらかじめ試験管に挿入し,これを通して試料の注入を行うとよい。
――――― [JIS K 2211 pdf 22] ―――――
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e) 冷媒導入器の点検 冷媒導入器の内部は,清浄で乾燥していて,漏れがないものでなければならない。
漏れ量は,冷媒導入器内を2.0 Paの真空にしたとき,1時間後の真空度は26.7 Pa以下でなければなら
ない。
なお,試験管への冷媒導入前に,あらかじめ1520分間冷媒導入器内を真空ポンプで脱気する。
f) キャピラリー部の形成 長さ30 mmの真空用のゴムホースを試験管の開放端に約15 mm差し込み,
次に,開放端から60 mmのところを,ガラス細工用ハンドバーナーを用いて,内径を約2 mmに絞り,
キャピラリー部を形成する。次に,試験管の開放端に差し込んだ真空用のゴムホースを,注意して冷
媒導入器のマニホールド部に接続する。
g) 試験管の脱気 脱気しようとする試験管の冷媒導入ニードル弁 (F)を徐々に開け,試験管内を脱気す
る。このとき試料が激しく発泡するので,泡がキャピラリー部まで上昇しないように注意する。試料
から泡が出なくなり,真空度が6.7 Pa以下になるまで脱気を続ける。この操作を接続した試験管すべ
てについて行う。
h) 圧力差によるはかりとり法での冷媒の導入 冷媒の導入は,圧力差によるはかりとり法,又は体積目
盛によるはかりとり法のいずれかで行う。圧力差によるはかりとり法は,次によって,この手順を実
施した場合は,手順i)及びj)は実施しない。
1) すべての試験管の脱気が終了した後,冷媒を充てんする試験管に対応する冷媒導入ニードル弁 (F)
を開け,マニホールド遮断弁 (H)を閉じる。
2) 冷媒容器の弁及び冷媒計量ニードル弁 (E)を徐々に開け,冷媒導入器内に93100 kPaの冷媒を導入
した後,これを閉じ,冷媒導入器内を67 Pa以下になるまで脱気する。この操作を2回繰り返した
後,すべての冷媒導入ニードル弁 (F)及びマニホールド遮断弁 (H)を閉じる。
3) 冷媒を導入する試験管をジュワー瓶に入った液化窒素中に浸す。このとき,キャピラリー部の下20
mmまで,ジャッキを用いて浸す。
4) 冷媒計量ニードル弁 (E)を開け,冷媒導入器内に93100 kPaの冷媒を導入した後,これを閉じる。
冷媒導入ニードル弁 (F)を徐々に開け,冷媒をはかりとる。水銀マノメーターの読取値が規定圧力
差に達したところで冷媒導入ニードル弁 (F)を閉じる。
5) 規定量の冷媒をはかりとるためのマニホールド部の規定圧力差は,次の式によって算出する。
PV nRT
P nRT
V
ここに, P : 圧力差 (Pa)
V : マニホールド部の体積 (mL)
n : 冷媒のモル数 (mol)
R : 気体定数8.314×106 (Pa・mL/mol・K)
T : 測定温度 (K)
例 冷媒がHFC-134aの場合,密度は1.2 g/mL(温度25 ℃),分子量は102であり,導入すべき
HFC-134aのモル数 (n134a) は,次の式によって算出する。
7.0 1.2
n134 a 0.008 2
102
水銀マノメーターの規定圧力差P (Pa)は,次の式によって算出する。
.0008 2 8.314106 T
P134 a
V
――――― [JIS K 2211 pdf 23] ―――――
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得られた圧力差P (Pa)は,133.3で除すことによって水銀マノメーターの読取値の差 (mm)となる。
6) 規定の圧力差で,冷媒導入ニードル弁 (F)を閉じた後,試験管内容物が完全に液化するまで数分間
放置する。次に,マニホールド遮断弁 (H)を徐々に開け,冷媒導入器内の圧力が6.7 Pa以下になる
まで脱気し,その後,冷媒導入ニードル弁 (F)を開ける。
i) 体積目盛によるはかりとり法での冷媒導入の準備 冷媒の導入を体積目盛によるはかりとり法によっ
て行う場合は,アルコールなどの液体を用意し,試料の注入前に試料と冷媒との混合液体の体積に相
当する量を試験管に入れて,油性ペンなどで目盛を付けておく。目盛を付けた後,用いた液体を排出
し,再び乾燥器で乾燥後,デシケーター中に保管する。
注記 試料と冷媒との混合液体の体積は,h)による方法で求めてもよい。
j) 体積目盛によるはかりとり法での冷媒の導入 体積目盛によるはかりとり法は,次による。
1) あらかじめ i)によって,試験管に目盛を付けておく。その後,d) g)に従って操作を進め, h) は
実施しない。
2) すべての試験管の脱気が終了した後,すべての冷媒導入ニードル弁 (F)を開け,マニホールド遮断
弁 (H) を閉じる。
3) 冷媒容器の弁及び冷媒計量ニードル弁 (E)を徐々に開け,冷媒導入器内に93100 kPaの冷媒を導入
した後,これを閉じ,冷媒導入器内が67 Pa以下になるまで脱気する。この操作を2回繰り返した
後,すべての冷媒導入ニードル弁 (F)及びマニホールド遮断弁 (H) を閉じる。
4) 冷媒を導入する試験管をジュワー瓶に入った液化窒素中に浸す。このとき,底から40 mmまでジャ
ッキを用いて浸す。
5) 冷媒計量ニードル弁 (E)を開け,冷媒導入器内に93100 kPaの冷媒を導入した後,これを閉じる。
冷媒導入ニードル弁 (F)を徐々に開け,あらかじめ i)によって付けた目盛まで冷媒をはかりとり,
冷媒導入ニードル弁 (F)を閉じる。
6) キャピラリー部の下20 mmまで更に液化窒素中に浸し,試験管内の冷媒が完全に液化するまで数分
間放置する。次に,マニホールド遮断弁 (H) を徐々に開け,冷媒導入器内の圧力が6.7 Pa以下にな
るまで脱気し,その後,冷媒導入ニードル弁 (F)を開ける。
k) 試験管の密封 皮製手袋を着用し,ジュワー瓶を取り除き,キャピラリー部の下30 mmのところを保
持して,ガラス細工用ハンドバーナーで30秒間以内に試験管のキャピラリー部を溶封する。溶封後の
ひずみをとるために焼きなます。
密封後の試験管は,保護容器に収納する。この操作をすべての試験管について行う。すべての試験
管への冷媒の導入及び溶封を終了後,マニホールド遮断弁 (H),及び真空ポンプ遮断弁 (K)を閉じ,
真空ポンプを止める。
保護容器に収納した密封試験管は,室温で一晩放置した後,注意して取り出し(B.9参照),柔らか
い布又は紙でふきとった後,外観検査を行う。異常が見つかったものは,廃棄する。
l) 試料の加熱劣化 h)又はj)によって冷媒を導入し,k)によって密封した密封試験管を保護容器に納め,
規定温度(代表例 : 175 ℃)の恒温浴で,規定時間(代表例 : 14日間)加熱する。必要に応じて,規
定時間に達する以前で一定時間ごとに,試験管を取り出してB.7に示す測定を行った後,加熱劣化を
再開する操作を行ってもよい。
B.7 結果の表し方
試験管内の溶液の色を,B.5で調製した比較色見本と比較し,化学的安定性の結果とする。
――――― [JIS K 2211 pdf 24] ―――――
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試料の色が二つの比較色見本の間にある場合は,濃い方の色番号の前にLを付けて表す。ただし,試料
の色が8より濃い場合に限りD8.0とする。
B.8 精度
この試験方法によって得られた試験結果の許容差(確率0.95)は,次による。試験結果が許容差を外れ
た場合は,JIS Z 8402-6の規定によって処理する。
a) 室内併行精度 同一試験室において,同一人が同一試験器で,引き続き短時間に同一試料を2回試験
したとき,試験結果の差の許容差は,表B.1による。
b) 室間再現精度 異なる試験室において,別人が別の試験器で,同一試料をそれぞれ1回ずつ試験して
求めた2個の試験結果の差の許容差は,表B.1による。
表B.1−精度
試験の種類 室内併行許容差 室間再現許容差
冷媒との化学的安定性(シールドチューブテスト)a)
0.5 2.5
色(ASTM色)
注a) 精度は,冷媒HFC-134aを用いて,175 ℃,14日間で試験を行った場合に適用する。
B.9 安全に対する注意事項
密封試験管は,導入した冷媒の圧力によって,破裂する危険性があるので,その取扱いには十分注意す
る必要がある。特に実験担当者は,次の安全対策に従うとともに,操作の各段階で予知できる危険性に対
して十分配慮しなければならない。
a) 実験担当者は,加圧された密封試験管を扱うときは,頭,顔及び体を守るため,強化ガラス製又は強
化プラスチック製の防護板を隔てて操作を行う。また,顔には保護面,腕には厚手の布製覆い,手に
は皮製手袋を着用する。
b) 試験管を密封するとき及び密封後にも,皮手袋を着用して取り扱う。
c) 液冷媒を小形のシリンダーに小分けして用いるときは,気相部を20 %以上残して充てんする。
d) 何らかの欠陥をもった密封試験管は,加熱初期に破損するのが一般的であるが,場合によっては,密
封後に室温まで加温される段階で破損することがある。したがって,実験担当者は,特にこの点に注
意し,試験管を密封後,できるだけ早く保護容器に収納する。
e) 加熱劣化後の試験管内容物を分析する場合などは,試験管内容物を液化窒素で凍結させても,内部に
水素及び一酸化炭素のような非凝縮ガスが反応によって生成して内圧がかかっている場合があり,試
験管が反応によって生成したふっ素を含有した酸によって腐食されている可能性もあるので,開封の
ときは十分に注意する。
――――― [JIS K 2211 pdf 25] ―――――
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JIS K 2211:2009の国際規格 ICS 分類一覧
JIS K 2211:2009の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB7410:1997
- 石油類試験用ガラス製温度計
- JISC2101:1950
- 絶縁油試験方法
- JISC2101:1999
- 電気絶縁油試験方法
- JISC2504:2000
- 電磁軟鉄
- JISC3102:1984
- 電気用軟銅線
- JISH4040:2015
- アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線
- JISK1560:2018
- 1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)
- JISK2001:1993
- 工業用潤滑油―ISO粘度分類
- JISK2251:2003
- 原油及び石油製品―試料採取方法
- JISK2265-4:2007
- 引火点の求め方―第4部:クリーブランド開放法
- JISK2269:1987
- 原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法
- JISK2275:1996
- 原油及び石油製品―水分試験方法
- JISK2283:2000
- 原油及び石油製品―動粘度試験方法及び粘度指数算出方法
- JISK2501:2003
- 石油製品及び潤滑油―中和価試験方法
- JISK2513:2000
- 石油製品―銅板腐食試験方法
- JISK2580:2003
- 石油製品―色試験方法
- JISR6251:2006
- 研磨布
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方
- JISZ8402-6:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第6部:精確さに関する値の実用的な使い方