この規格ページの目次
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K 3800 : 2021
2 引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 7505-1 アネロイド型圧力計−第1部 : ブルドン管圧力計
JIS B 8330 送風機の試験及び検査方法
JIS B 9917-3 クリーンルーム及び付属清浄環境−第3部 : 試験方法
JIS C 1302 絶縁抵抗計
JIS C 1509-1 電気音響−サウンドレベルメータ(騒音計)−第1部 : 仕様
JIS C 1609-1 照度計 第1部 : 一般計量器
JIS C 4034-30 回転電気機械−第30部 : 単一速度三相かご形誘導電動機の効率クラス(IEコード)
JIS G 4304 熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
JIS G 4305 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
JIS K 0557 用水·排水の試験に用いる水
JIS T 7322 医療用高圧蒸気滅菌器
JIS T 7324 医療用小型高圧蒸気滅菌器
JIS T 8202 一般用風速計
JIS Z 8122 コンタミネーションコントロール用語
JIS Z 8731 環境騒音の表示·測定方法
JIS Z 8901 試験用粉体及び試験用粒子
3 用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 8122によるほか,次による。
3.1
バイオハザード対策用キャビネット
バイオハザード対策用キャビネットは,感染性生物又はその成分によって引き起こされる害から,作業
者及び環境を保護することを目的として用いる作業用装置(箇条5参照)。
3.2
除染
特定の病原体などを完全に除去する操作。
3.3
滅菌
全ての病原体などを完全に除去する操作。
3.4
消毒
混在する病原体などを害にならない程度まで少なくする操作。
3.5
送風機
バイオハザード対策用クラスIIキャビネットの前面開口部からの吸気,作業空間への空気供給,及び排
気する装置。
――――― [JIS K 3800 pdf 6] ―――――
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K 3800 : 2021
3.6
遠隔送風機
バイオハザード対策用クラスIIキャビネットにダクトを接続して用いるとき,ダクトの末端に設置し,
屋外に排気する装置。
3.7
HEPA·ULPAフィルタ
JIS Z 8122で規定している,HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air filter)又はULPAフィルタ
(Ultra-Low Penetration Air filter)で,製造業者が走査試験によって0.01 %を超える透過率を示す箇所がな
いと保証したもの。HEPAフィルタ又はULPAフィルタのいずれを用いてもよい。
3.8
前面パネル
バイオハザード対策用クラスIIキャビネット前面の透明なパネル(図1参照)。
図1−バイオハザード対策用クラスIIキャビネットの各部名称
3.9
前面開口部
バイオハザード対策用クラスIIキャビネット前面の作業用開口部(図1参照)。
3.10
整流板
吹出し気流を均一にする目的で設置した通気性をもつ邪魔板。
3.11
作業台
作業するための台(図1参照)。
3.12
内部作業面
バイオハザード対策用クラスIIキャビネット内で,器具,試料及び作業者が直接接触し得る壁面(図1
参照)。
――――― [JIS K 3800 pdf 7] ―――――
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K 3800 : 2021
3.13
間口
バイオハザード対策用クラスIIキャビネット内側面の距離。
3.14
吸気グリッド
作業領域から空気を吸い込むグリッド。通常,作業台の前後にある。
3.15
汚染プレナム
飛まつ(沫),汚染エアロゾルなどを含む気流が到達する領域。
3.16
間接ダクト接続
バイオハザード対策用クラスIIキャビネットとダクトとの間に間隙を作り,遠隔送風機に接続するダク
ト接続。
3.17
直接ダクト接続
バイオハザード対策用クラスIIキャビネットとダクトとの間を密閉して,遠隔送風機に接続するダクト
接続。
3.18
ダクト接続部静圧
バイオハザード対策用クラスIIキャビネットにダクトが接続されている場合,キャビネットとダクトと
の接続部からダクト径の約2倍下流の位置で,差圧計によって測定したダクト内静圧。
3.19
遠隔送風機の余力,CBV(concurrent balance value)
直接ダクト接続のダクト設計,及び遠隔送風機の選択に利用する値。
注記 ダクト接続部分の静圧をゼロ又は負に保ち,HEPA·ULPAフィルタの目詰まりによる風量低下
を補償することを目的とする。
3.20
流入気流
前面開口部からバイオハザード対策用クラスIIキャビネット内に流入する気流。
3.21
吹出し気流
作業領域に上部から供給される清浄気流。
3.22
検査機関
バイオハザード対策用クラスIIキャビネットの要求事項への適合性を検査する能力·体制を備えた第3
者機関。
3.23
形式検査
製造業者が設計·製作したバイオハザード対策用クラスIIキャビネット機種の代表機について,検査機
関が合否を判定する検査。
――――― [JIS K 3800 pdf 8] ―――――
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K 3800 : 2021
3.24
全数検査
バイオハザード対策用クラスIIキャビネットの出荷時検査及び現場検査。
3.25
出荷時検査
工場出荷時に行う検査。
3.26
現場検査
実験室等に設置したバイオハザード対策用クラスIIキャビネットに対して,設置直後及び維持·管理の
ために定期的又は適宜にキャビネットを移動しないで行う検査。
3.27
平均流入風速
前面開口部から流入する風速の平均値。
3.28
平均流入風速代替試験
検査機関によって承認された平均流入風速の代替試験。
3.29
換算係数
平均流入風速代替試験によって求めた値に乗じて,平均流入風速を算出する係数。換算係数の変数記号
には,検査機関の承認を得るまでは,小文字の“k”を用い,検査機関が承認した後は,大文字の“K”を
用いる。
3.30
流入風量
前面開口部からバイオハザード対策用クラスIIキャビネット内に流入する空気量。
3.31
選定風速
検査機関が承認した平均吹出し風速及び平均流入風速。形式検査については,製造業者が提案した値。
3.32
多分散エアロゾル
HEPA·ULPAフィルタの透過率試験に用いるエアロゾルで,JIS Z 8901に規定する,質量中位径約0.5 μm
(粒子数中位径約0.3 μm)のもの。
4 記号
記号は,表1による。
――――― [JIS K 3800 pdf 9] ―――――
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K 3800 : 2021
表1−記号
記号 記号の意味 単位
B 正弦波の高さ(片側) μm
c 1本のラスキンノズルを140 kPaで動作させたときのDOPエアロゾル濃度 μg/L
d 10倍段階希釈率の累乗数 −
Cd 下流側PAO濃度 μg/L
Cu 上流側PAO濃度 μg/L
k 換算係数(承認前) −
K 換算係数(承認後) −
n 測定点の数,又は各希釈の寒天平板数 個(枚)
N0 芽胞濃度 cfu/mL
Ni 各寒天平板のコロニ数 個
P HEPA·ULPAフィルタ透過率 −
Qd ダクト内排気風量 m3/s
Qe 排気風量 m3/s
Qf 吹出し風量 m3/s
Qi 流入風量 m3/s
Qif 前面開口部に風量計を配置して測定した流入風量 m3/s
Qim 流入風量平均値 m3/s
Qw 間口1 m当たりの排気風量 m2/s
Sb 吹出し風量測定平面の面積 m2
Sd ダクト断面積 m2
Se 有効排気口面積 m2
Sf 前面開口部面積 m2
Vd ダクト内平均排気風速 m/s
Ve 平均排気風速 m/s
Vem 平均排気風速の平均 m/s
Vf 各測定点の吹出し風速 m/s
Vi 平均流入風速 m/s
Vp 各測定点の風速 m/s
Vq 各測定点風速の平均 m/s
Vqm 開口部平均流入風速の平均 m/s
w 噴霧量 mL
W 間口 m
注記 “−”は,無名数を表す。
5 バイオハザード対策用キャビネット
5.1 バイオハザード対策用キャビネットの分類
バイオハザード対策用キャビネットは,基本構造によって,クラスI,クラスII及びクラスIIIに分類す
る。
なお,バイオハザード対策用クラスIキャビネット及びバイオハザード対策用クラスIIIキャビネットの
基本構造は,附属書Eを参照する。
バイオハザード対策用クラスIIキャビネットの目的は,病原体などの取扱いで生じる汚染エアロゾルか
ら,作業者保護,環境保護,実験室環境に存在する汚染物質からの試料保護,及び試料間の相互汚染防止
を図るものである。
――――― [JIS K 3800 pdf 10] ―――――
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JIS K 3800:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.340 : 防護設備 > 13.340.99 : その他の保護設備
- 07 : 自然科学及び応用科学 > 07.100 : 微生物学 > 07.100.01 : 微生物学一般
JIS K 3800:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB7505-1:2017
- アネロイド型圧力計―第1部:ブルドン管圧力計
- JISB8330:2000
- 送風機の試験及び検査方法
- JISB9917-3:2009
- クリーンルーム及び付属清浄環境―第3部:試験方法
- JISC1302:2018
- 絶縁抵抗計
- JISC1509-1:2017
- 電気音響―サウンドレベルメータ(騒音計)―第1部:仕様
- JISC1609-1:2006
- 照度計 第1部:一般計量器
- JISC4034-30:2011
- 回転電気機械―第30部:単一速度三相かご形誘導電動機の効率クラス(IEコード)
- JISG4304:2012
- 熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
- JISG4304:2021
- 熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
- JISG4305:2012
- 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
- JISG4305:2021
- 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
- JISK0557:1998
- 用水・排水の試験に用いる水
- JIST7322:2005
- 医療用高圧蒸気滅菌器
- JIST7324:2005
- 医療用小型高圧蒸気滅菌器
- JIST8202:1997
- 一般用風速計
- JISZ8122:2000
- コンタミネーションコントロール用語
- JISZ8731:2019
- 環境騒音の表示・測定方法
- JISZ8901:2006
- 試験用粉体及び試験用粒子