JIS R 3410:2006 ガラス繊維用語 | ページ 2

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番号 用語 定義 対応英語(参考)
配する装置。分配槽ともいう。
2036 ブッシング bushing
紡糸するための白金製装置。箱状白金容器の底部に多数のノズ
ルがあり,溶融ガラスを上部からノズルを通して流下させ繊維
化する装置。
2037 ブッシングブロ bushing block
溶融ガラス供給炉又はフォアハースに設けられた耐火物製の
ック ブッシング取付け口。
2038 プラスチックサ plastic size
ガラス繊維の界面と樹脂との結合をよくするためのカップリ
イズ ング表面処理剤を使用したサイズ。
2039 紡糸 fiber forming
ブッシングを用いて溶融ガラスから繊維を連続的につくる操
採糸 作。 fiberizing
2040 紡糸機 forming winder
紡糸工程でブッシング下部で,繊維を巻き取る装置。巻取機と
もいう。
2041 紡糸溶融窯 direct melt furnace
ガラス原料を溶融した後,接続したブッシングからガラスを引
き出し直接繊維化する方式の窯。ダイレクトメルティング
(DM)法の窯。
2042 ボビン bobbin
糸を巻き取り保管するための巻きしん(芯)。又は,巻きしん
に糸を巻きつけた製品。
2043 巻取機 winder
ブッシングノズルから流れ落ちる溶融ガラスを連続的に高速
で巻き取る機械。巻き取った姿はケーキ状又はロービング状に
なる。紡糸機ともいう。
2044 マーブル成形機 溶融ガラスからガラスマーブルを成形する機械。 marble machine
2045 マーブルメルテ marble melting method
繊維製造方法の一つ。ガラス溶解炉で別につくった球状又はペ
ィング法, レット状ガラスを紡糸装置内で再溶融しながら繊維化する方
MM法 法。
2046 ミルクボトルボ milk bottle bobbin
糸巻きしんの一つのタイプ。下部に大きなつばのあるしん。糸
ビン を巻き終わった形状がミルクボトルに似ていることから名前
がついた。又は糸を巻いたそのものをいうこともある。
2047 ヤーンサイズ textile size
紡糸工程から織物工程までの加工性,作業性を容易にするため
size for yarn
に設計されたヤーン用表面処理又は表面処理剤。一般的には,
主成分にでんぷんのり(糊),合成のり(糊)を使う。用途によって
はカップリング表面処理剤を使用することがある。
2048 冷修 cold repair
ガラス溶融炉又は紡糸炉で,ガラスが固化してしまう常温まで
冷却して炉材の交換や補修を行う操作。大掛かりな修理。
2049 ワインド比 コレットとあや(綾)掛け機との回転比率。 collet-to-traverse speed
ratio

3.3 ガラス繊維加工工程

  番号        用語                              定義                          対応英語(参考)
3001 荒巻整経機 beam warper
織物を作る前工程で,たて糸を準備するための機械。たて糸を
織物のピッチより広い間隔で平行にかつ均一な張力で引きそ
ろえ,けたに巻き取って準備する機械。
3002 エアージェット air jet loom
織機の一つ。よこ糸入れのときにエアージェットを用いるタイ
織機 プの織機(3020参照)。
3003 おさ(筬) reed
織機の部品の一つ。たて糸を規定の密度に配列し,たて糸の開
口部に通されたよこ糸を押し付け,織物の密度を高くするくし
状の用具。

――――― [JIS R 3410 pdf 6] ―――――

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番号 用語 定義 対応英語(参考)
3004 おさ(筬)打ち beating
織物をつくるとき,よこ入れされた糸を織り前に押し付け織物
の織密度を高める工程。
3005 おさ(筬)通し reed drawing-in
織物を作るために,あらかじめ,たて糸をおさ(3003参照)に
通す作業。 entering
3006 織り方 weave
織物を構成するたて糸とよこ糸の交錯状態の違いをつくりだ
す方法。織機の動かし方。指定された組織(3028参照)に基づ
いて織機を動かすことで,織物が作られる。
3007 カップリング剤 coupling agent
複合材料を作るとき,樹脂などのマトリックスと繊維界面の結
合状態を改善するための薬剤。複合材の性能,物性に大きく影
響する。シラン系化合物が主流である。
3008 カップリングサ coupling size
樹脂などのマトリックスと繊維界面の結合状態を改善する薬
イズ plastic size
剤を含む繊維への塗布剤。一般的に紡糸工程で塗布する。また,
size for plastic
次工程以下の作業性,加工性,保存性などを改善するための機
能をもつ他の薬剤を多種混合する。 reinforcement
3009 含浸 impregnation
マトリックスとなる液状樹脂などを織物,マットなどの繊維基
材組織又は構造のすき間にしみ込ませる操作。
3010 含水処理 wet treatment
含水形チョップドストランドを作るための乾燥チョップドマ
ットへの加水処理。
3011 クリーニング処 cleaning treatment
生機(きばた)を使用目的に合致した表面処理をする前に,洗
理 剤,溶剤又は加熱によって集束剤を除去することによって清浄
な状態に戻す処理。
3012 クリール creel
糸をつかって二次加工するとき,給糸用糸巻を取り付けておく
架台。
3013 ゲル化 熱硬化性樹脂が硬化する途中段階でゼリー状になる現象。gelation
3014 コロナイジング 生機(きばた)を炉中を通して,集束剤を半焼きにする処理。 coronizing
3015 サイズ size
製織工程のダメージからたて糸を保護する目的でたて糸に付
二次サイズ 着された薬剤(集束剤)。二次サイズとも呼ばれる。 secondary size
3016 仕上げ剤 使用目的に合致し,目的性能を向上させるための表面処理剤。 finish
coupling finish
finishing agent
3017 斜文織 twill weave
組織の一つ。たて糸又はよこ糸の浮が,斜めに続いてうね状の
線(斜文線という。)をつくる組織。あや織ともいう(3028参
照)。
3018 朱子織 satin weave
組織の一つ。たて糸とよこ糸の交錯点が一定の間隔で配置し
た,浮き糸が多い組織。浮きの程度によって,5枚朱子織又は
8枚朱子織などがある(3028参照)。
3019 準備 Preparation
整経・糊付・引通し工程の総称。製織するための準備工程。
3020 織機 Loom
織物をつくるための機械の総称。あらかじめ準備した多数のた
て糸を,平行に機台上に張り,これによこ糸を組織にしたがっ
て直行に交錯させて織物を織る機械。織機の種類は,有ひ(杼)
織機と無ひ(杼)織機との2種類に大別され,シャトル織機,レ
ピア織機,エアージェット織機(3002参照),ウォータージェ
ット織機,ニードル織機などがある。
3021 処理 Finishing
ガラスクロスとマトリックス樹脂との界面親和性を向上させ
るために,脱油したガラスクロスに表面処理剤を塗布し,付着
させる操作。
3022 シラン系表面処 silane coupling agent
表面処理剤の一つ。分子中にSiO構造と有機官能基をもってい
理剤 る化合物。
3023 シラン処理 silane treatment
複合材料をつくるとき,繊維表面とマトリックスの樹脂,ゴム
silane finishing
などとの界面結合性を向上させるためシラン系表面処理剤で

――――― [JIS R 3410 pdf 7] ―――――

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番号 用語 定義 対応英語(参考)
処理する操作。
3024 整経 warping
製織準備のために,個々のたて糸を規定の本数・長さ・幅に均
整配列してビームに巻き上げる工程。
3025 整経機 warper
製織準備のために,個々のたて糸を規定の本数・長さ・幅に均
整配列してビームに巻き上げる装置。
3026 製織 weave
あらかじめ準備した多数のたて糸を,平行に機台上に張り,こ
れによこ糸を組織にしたがって直行に交錯させて織物を作る
工程。
3027 接着 継ぎ目と同じ(3032参照)。 splice
3028 組織 textile design
織物を形成するたて糸とよこ糸の組合せ方。たて糸とよこ糸が
立体的に直角に交差することを組織するといい,この交錯の状
態を組織,又は織物組織という。組織には,たて糸がよこ糸の
上に浮く交錯の仕方と,たて糸がよこ糸の下に沈む交錯の仕方
がある。組織は多数存在するが,その基礎となるのは平織,斜
文織,朱子織の3種類の組織であり,これを三元組織という。
3029 脱油 desizing
原反(生機)に付着した集束剤を除去する操作。温水を使って洗
い落とす方法と熱焼却する方法とがある(3039参照)。
3030 たて(経)糸 織物を構成する長手方向の糸。 warp
end
3031 調合 集束剤・表面処理剤に複数の薬剤を配合し,混合物をうる操作。 mixing
3032 継ぎ目 一巻の織物製品で,織物をつなぎ合わせたもののつなぎ部分。 joints
3033 トランスファテ transfer tail
ボビンで,外側に出してある糸の巻き始めの部分。製織でよこ
イル 糸に使用する場合,これを次のボビンの巻き終わり部分と接続
することで,連続使用が可能になる。
3034 熱可塑性樹脂 thermoplastics
各樹脂固有の温度範囲で加熱による軟化及び冷却による硬化
を繰り返すことができる樹脂の総称。軟化状態で成形し,冷却
によって形状を固定する。実用樹脂の過半をしめる。
3035 熱硬化性樹脂 thermosetting resins
一般的には粘性液体で,加熱,触媒,光又は放射線などで硬化
させる樹脂の総称。硬化したものは不融で不溶性である。ガラ
ス繊維系複合材料のマトリックスとして多用する。
3036 のり(糊)付け サイズをたて糸に付着させる操作。 sizing
3037 マットバインダ binder
チョップドストランドマット,コンティニュアスストランドマ
結合剤 secondary binder
ット,サーフェイスマットなどの形状をしっかり保持する目的
mat binder
で,ストランド又はフィラメント同士を結合するための塗布
剤。二次バインダとも呼ばれる。 binding agent
3038 引通し drawing
準備工程で織機部品のドロッパ・ヘルド・おさ(筬)にたて糸を
通す操作。
3039 ヒートクリーニ heat cleaning
糸又は織物に付着している集束剤を加熱することで分解させ,
ング 焼却除去し,清浄な繊維表面をつくる方法。
3040 ビームドヤーン beamed yarn
大形円筒形運搬用糸巻き枠(ビーム)に並行に巻き上げられて
いる織物のたて糸。
3041 表面処理 surface treatment
脱油したガラスクロスに,目的に合致した表面処理剤を付着さ
せる操作。 finishing
3042 表面処理剤 size
繊維表面の性質を改質するための薬剤を複合した複雑な混合
coupling finish
薬液。摩擦に弱い繊維を被覆保護するための薬剤,帯電防止の
finish
ための薬剤,複合材としたときにマトリックスとの界面結合性
finishing agent
を改善するための薬剤などを製品の使用目的に合致するよう
に組み合わせてつくる。また,目的を達成後クリーニング処理
により除去する場合もある。

――――― [JIS R 3410 pdf 8] ―――――

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番号 用語 定義 対応英語(参考)
3043 平織 plain weave
組織の一つ。たて糸とよこ糸が一本ごとに交錯し浮沈する組織
(3028参照)。
3044 フェザータイプ feather selvage
ジェットルーム又はグリッパ織機のような無ひ(杼)織機によ
耳組織 って形成される織物の両端部(耳部)組織。羽毛状になってい
るのが特徴。
3045 房耳 feathered edges
フェザータイプ耳組織で形成された織物の両端部(耳部)。
FE
3046 部分整経機 sectional warper
織物を作る前工程で,たて糸を準備するための機械。たて糸の
総本数の1/n本の糸をn回ドラムに巻き取り,準備する機械。
3047 ボックス型脱油 batch oven
集束剤を,巻物の姿のまま1回1回加熱脱油方式で脱油する機
機 械。バッチオーブン。
3048 ポリエステルパ polyester powder
マットなどを構成する繊維束同士の結合に用いる粉状樹脂。加
ウダ 熱により接着する。ビスフェノール系アルキッド樹脂を用い
る。
3049 巻しん core tube
ガラスクロス製品を巻き取るしん。紙しん,プラスチックしん
などがある。
3050 耳 selvage
マット,織物などにおいて,製造した状態のままで,整形して
いない幅方向の両端部。
3051 耳カット sealed edges
ガラスクロスの両端耳部(フェザータイプ耳組織)に樹脂を塗
布した後,製品規格幅にカットする操作。 SE
coating cut
3052 模しゃ(紗)織 mock leno weave
組織の一つ。たて・よこに透かし目を作り,からみ織りの外観
に類似させたもの(3028参照)。
3053 よこ(緯)糸 織物を構成する幅方向(横方向)の糸。 fill yarn
filling yarn
weft yarn
3054 連続型脱油機 carmelizing
クロスを連続的に炉(3055参照)の中を通すことで,原反(生
機)に付着している集束剤を加熱脱油する機械。カルメライジン
グともいう。
3055 炉 脱油機において,ガラスクロスを加熱する部分。 oven
3056 ワープサイズ textile size
製織工程において,特に,たて糸を機械的損きずから保護し,
size for warp
かつ,ヤーンサイズと親和性をもつように設計されたサイズ。

3.4 ガラス繊維製品

  番号        用語                              定義                          対応英語(参考)
4001 編物 knitted fabric
糸の連続的ループを組み合わせて作ったシート状又は円筒状
組成物。
4002 荒目地クロス woven scrim
たて糸の間隔及びよこ糸の間隔を広くとり,開口部の大きな織
物。スクリム織物に同じ(4062参照)。
4003 Eガラスクロス E-glass fabric
Eガラスを用いて製造された織物。電気絶縁性に優れた特性を
示す(JIS R 3416参照)。
4004 一方向織物 unidirectional fabrics
一方向の強度を高めるために,たて糸又はよこ糸の密度を極端
に大きくし,これと交差する方向の糸の密度を小さく,かつ,
比較的細い糸を用いた織物。
4005 ウエットチョッ 含水処理により水を含ませたチョップドストランド。 wet chopped strand
プドストラン

――――― [JIS R 3410 pdf 9] ―――――

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番号 用語 定義 対応英語(参考)

4006 ウエブ シート状に配列した繊維の集合体。 web
4007 SMC sheet molding
チョップドストランド又はチョップドストランドマットに樹
compound
脂を含浸させたシート状の半製品。Sheet Molding Compoundの
略。
4008 FRTP (glass) iber reinforced
繊維基材と熱可塑性樹脂の組合せによる複合材料の総称。Fiber
Reinfored Thermoplasticsの略。 thermoplastics
4009 FRP (glass)fiber reinforced
繊維基材と熱硬化性樹脂の組合せによる複合材料の総称。Fiber
Reinfored Plasticsの略。 (thermosetting)plastics
4010 オーバレイマッ overlay mat
ガラス糸又は紡織糸を目を粗く接着させた不織シート。ベール
ト ともいう。 veil
4011 織物 textile fabric
糸をたてとよこにおき,一定の方式に従って交錯させたもの。
クロス cloth
織物はそれぞれ平行に並べられたたて糸とよこ糸が立体的に
交錯してできており,そのほとんどが直行している。 woven fabric
4012 織物用ガラス textile glass
ガラスで作られ,ガラス糸(連続フィラメント糸)又は紡織糸
(ステープルファイバ糸)を基にしたすべての織物製品をいう
一般用語(ISO 472:1999参照)。
4013 かさ(嵩)高糸 textureized yarn
ガラス糸を構成する単繊維同志が平行状態でなく,絡み合い,
乱れた状態で引きそろえられた占有容積の大きな糸。
4014 飾り糸 fancy yarn
一般の糸と外観がかなり異なるよう加工した装飾用特別糸。
novely yarn
4015 ガラス糸 glass yarn
多数のガラス単繊維をよ(撚)りまとめて糸状にしたもの。さ
ガラスヤーン textile glass yarn
らに,これらを複数よ(撚)り合わせたねん(撚)糸(4084
ヤーン yarn
参照)と撚り合わせずに引きそろえた合糸(4044参照)を含ん
だ総称。略して糸,ヤーンということがある(JIS R 3413参照)。
4016 ガラスクロス, glass fabrics
ガラス糸を用いた織物。略してクロス,布ということがある
ガラス布 (JIS R 3414参照)。
4017 ガラスコード glass cord
ガラス糸又は紡績糸を用い,合ねん(撚)加工又は編組加工に
よりつくるひも状製品。略してコードということがある。
4018 ガラスステープ glass staple yarn
綿状のガラス短繊維を紡績して糸状にしたもの。スライバヤー
ル糸, ン(4067参照)。
ガラスステープ
ルヤーン
4019 ガラスステープ glass staple yarn
ガラスステープル糸を用いたかさ(嵩)高な織物。略してステ
ルヤーンクロ ープルクロスということがある。 fabrics
ス staple cloth
4020 ガラスストラン glass strand
紡糸ノズルから引き出した複数のガラス単繊維を直接引きそ
ド strand
ろえて集束した繊維束。単繊維の本数は数十本から数千本のも
のがある。略してストランドということがある。
4021 ガラススリーブ 糸を管状に編んだ製品。 glass sleeve
4022 ガラス繊維強化 FRP,FRTPに同じ(4008及び4009参照)。 glass fiber reinforced
プラスチック plastics
glass fiber reinforced
thermo plastics

――――― [JIS R 3410 pdf 10] ―――――

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