JIS T 7209:2018 医用電気機器―酸素濃縮装置の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項 | ページ 7

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− 装着部が発火した場合に,患者へのガス供給を停止する手段を設ける。
これらのリスクコントロール手段は,この危険な行為によって患者が重篤な熱傷を負うのを防止すると
期待できないが,火災のより深刻な伝搬のリスクを低減して,他者に危害を及ぼすのを防止することを意
図している。
201.11.6.6−ME機器及びMEシステムの清掃及び消毒
ISO/TR 16142の基本要件は,医療機器の状態が,それが使用されている患者又はそれと相互に作用し合
う職員若しくは第三者の健康及び安全に悪影響を及ぼす可能性がある場合,その医療機器を操作又は使用
しないことを要求している。
これは,酸素濃縮装置,その附属品又は部品に接触した結果として,患者,操作者又は他の人が感染す
るという潜在的なリスクがある場合には,それらを使用することができないことを意味する。
したがって,酸素濃縮装置,その附属品及び部品は,その使用に応じて,適切なレベルの消毒を必要と
するが,滅菌までが要求されるのはまれである。
酸素濃縮装置,その附属品及び部品の衛生的な再処理に関する勧告は,医療機器の再処理に関する一般
的な衛生要求事項に基づいており,臨床環境内での患者ケアに関する特別な要求事項及び必要性を考慮に
入れる必要がある[9]。この規格の衛生的再処理に関する要求事項は,次の事項を意図している。
− 酸素濃縮装置の再処理の責任部門に,これらの業務を適切な委託によって責任をもって実施する方法
を承知させる。
− 酸素濃縮装置,その附属品及び部品の再処理に関わる全ての者に対して,製造業者の指示を順守する
支援をする。
製造業者の清掃及び消毒手順は,臨床環境において患者ケアに関わる全ての者に,患者の安全に必要な
衛生的措置の実施に関する実際的な支援を提供することを意図するものでもある。
酸素濃縮装置は,過去にヒト病原微生物で汚染された他の全ての医療機器と同様に,ヒトへの潜在的感
染源であることに留意することが望ましい。既に他の患者に使用された酸素濃縮装置は全て,別途立証さ
れない限り,伝染性病原微生物で汚染されている可能性がある。その機器を次に取り扱う人,又はその機
器が次に使用される患者を保護するために,適切な取扱い及び再処理手順が不可欠である。したがって,
使用済みの酸素濃縮装置,その再使用可能な附属品及び部品は,他の患者による再使用の前に,製造業者
の指示に従った再処理プロセスを経る必要がある。
製造業者は,酸素濃縮装置,その附属品又は部品の再処理指示を規定するに当たって,次の基本的な考
慮事項に対処する必要がある。
− 患者,操作者及び責任部門(再処理プロセスの実施に関わる要員を含む)の保護
− 再処理に用いる手順の制限事項(再処理サイクル数など)
− 一貫して高く検証可能な品質の,実績ある,標準化された手順を,確立された品質マネジメントシス
テムに基づいて保証する必要性
推奨する再処理プロセスは,次によって決定されることが望ましい。
− 酸素濃縮装置,附属品又は部品の潜在的な汚染の程度及び種類
− それらの再使用及び酸素濃縮装置の使い方によって,他の患者を感染させるリスク
単一故障状態下での患者の呼気による,ガスを通す構成品の汚染に伴って生じ得るリスクについての特
別な考慮事項に配慮することが望ましい。

――――― [JIS T 7209 pdf 31] ―――――

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上記に基づき,検証及び妥当性確認を受け,文書化された再処理手順を,結果が再現可能となるよう詳
細に規定する必要がある。次の患者への感染のハザードから受容できる残留リスクは,次を条件として受
容可能であるとみなされる。
− 文書化された再処理手順の有効性が,製造業者によって,適切な科学的手法を用いて検証されている。
− 文書化された再処理手順の信頼性が,再処理手順を実施する責任部門によって,適切な品質保証手段
を用いて実際に検証されている。
再処理手順の選定及び評価に当たって,製造業者は次を考慮することが望ましい。
− 酸素濃縮装置,附属品又は部品を汚染すると予測される病原微生物の数量及び種類
− 病原微生物が患者,操作者又は他の人に伝染するリスク
− 推奨する再処理手順に対する微生物の耐性
再処理された酸素濃縮装置,附属品又は部品がもたらすリスクは,次の要因によって決まる。
a) 次の事項から起こり得る望ましくない影響
− 過去の使用
− 過去の再処理プロセス
− 輸送及び保管
b) 次のような,その後の使用によるリスク
− 過去の使用に起因する残留物(分泌物,他の体液,薬品など)
− 過去の再処理プロセスに起因する残留物[(それらの反応生成物を含む)洗浄剤,消毒剤及びその他の
物質]
− 当該機器の物理的,化学的又は機能的特性の変化
− 材質の状態の変化[摩損の加速,ぜい(脆)化,表面の状態,コネクタ,接着部など]
c) 何らかの病原微生物の伝染のリスク
酸素濃縮装置,附属品又は部品に対する再処理プロセスの適合性と実現可能性とを検討するに当たって,
製造業者は,次の点に配慮することが望ましい。
− 再処理プロセスに関わるリスク
− 再処理プロセスの費用対効果
− 再処理プロセスの実行可能性
− 再処理プロセスで指定された洗浄用機器及び洗浄剤の利用可能性
− 再処理プロセスの効率
− 再処理プロセスの再現性
− 再処理プロセスの品質マネジメント要求事項
− 再処理プロセス及び酸素濃縮装置,附属品又は部品の廃棄処分の環境への影響
製造業者は,酸素濃縮装置,附属品又は部品に使用する全ての洗浄剤と再処理手順とを,用途の種類に
応じて,それらの適合性と再現性とについて検証することが望ましい。
責任部門は,酸素濃縮装置,附属品又は部品の手作業による洗浄及び消毒が,常に附属文書に規定した
手順に従って実施されているか検証することが望ましい。
製造業者は,妥当性確認済みの,自動化された洗浄及び消毒の手順を規定することが望ましい。その手
順に従わない限り,洗浄及び消毒の有効性は保証できない。そのようなパラメータには,使用水量,水圧,
温度,pH,洗浄剤及び消毒剤の用量,並びに滞留時間が含まれる可能性がある。
自動再処理プロセスの再現性を確保するために,試験を定期的に実施することが望ましい。

――――― [JIS T 7209 pdf 32] ―――――

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製造業者は,規定された消毒手順が,バクテリア,菌及びウィルスの殺傷効果をもち,洗浄及び消毒さ
れた酸素濃縮装置,附属品又は部品のいずれかが包括的又は個別に次の患者,操作者又は人と接触したと
きに,許容できない繁殖する病原微生物による感染のリスクをもたらさないことが検証されるよう徹底す
ることが望ましい。
効果的な消毒には,消毒剤に関する指示,特に濃度及び滞留時間に関する指示に従うことが必要である。
再処理手順に続いて,(製造業者の指示によって規定されたとおりの)酸素濃縮装置の安全性及び機能
試験を実施する必要がある。安全に関係する機能試験は,必要に応じて,酸素濃縮装置の使用前に実施す
ることができる。
試験の範囲及び種類は,酸素濃縮装置,附属品又は部品によって異なり,これらは,附属文書において
規定する必要がある。
201.12.1.103−濃度の精度
生成される酸素の濃度は,高い相対湿度によって著しく低下する可能性があるため,酸素濃縮装置にと
って,定格相対湿度及び温度で試験することは特に重要である。吸着剤が水分を吸着するので,運転サイ
クルのたびにこの水分を除去する必要がある。空調管理されていない在宅医療環境で酸素濃縮装置を使用
すると,高い温湿度環境に置かれる可能性がある。
IEC 60601-1-11では,定格相対湿度範囲の明示と,定格相対湿度範囲が15 %93 %よりも狭い場合の機
器への表示とを要求している。定格相対湿度範囲は,酸素濃縮装置の適切な使用のための重要な要素であ
る。
201.102.1−一般
酸素濃縮装置の附属品の製造業者は,自己の製品のこの規格の要求事項への適合性を検証する責任をも
つ。
201.102.3−附属品における火災のリスク低減
呼吸用途の附属品を医療ガス配管設備と併用する場合,これらの附属品に供給される最大正常状態圧力
は600 kPaである。このような理由から,600 kPaを,試験時の酸素源の圧力として選択した。
201.11.2.101に関する根拠も参照。
201.103.2−分散形アラームシステムへの接続
酸素供給を必要とする患者は,通常,在宅医療環境にいるが,患者の居室からのアラーム信号が十分聞
こえる近距離に操作者(介護者)がいない可能性がある。その結果,適切な対応が遅れるおそれがある。
分散形アラームシステムは,アラーム信号の離れた場所にいる操作者への送達を容易にし,それによって,
適時の対応と介入とを可能にして,患者ケアを支援する。
例 親の寝室内の分散形アラームシステム
201.103.3−リモート制御の接続
多くの酸素濃縮装置は,流量及び動作モードの制御設定を備えている。
例1 連続流量モードでの流量設定
例2 連続流量モード又は同調モードのいずれかを設定する呼吸同調器を装備した酸素濃縮装置

――――― [JIS T 7209 pdf 33] ―――――

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例3 呼吸同調器を装備した酸素濃縮装置の同調モードでの,トリガ感度又は一呼吸当たりの供給量
の設定
これらのパラメータを離れた場所からモニタすることは,珍しくない。その理由は,患者の臨床状態は,
酸素濃縮装置の設定を患者のバイタルサインに基づいて定期的に調整することを必要とするからである。
このような状況において,酸素濃縮装置から離れた場所で酸素濃縮装置の設定を変更できることは,有益
となり得る。
例4 酸素濃縮装置が患者の病室に設置されている療養所の,中央管理室からの設定の制御
さらに,患者の居宅から離れた場所にある医療機関によるモニタリングを受ける在宅患者の数が増加す
ること,及びそのような患者の酸素濃縮装置には,その設定の遠隔制御を可能にする機能をもつことが求
められることが予見される。
201.104−作動時間の表示
酸素濃縮装置は,持続的な安全使用のための保守を必要とする。その情報を操作者又は責任部門が利用
可能にするための実用的な手段は,酸素濃縮装置が,どのくらい作動してきたかの記録を残すことである。

――――― [JIS T 7209 pdf 34] ―――――

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附属書BB
(参考)
ISO/TR 16142に基づく医療機器の安全及び性能の基本要件との対応
この個別規格は,ISO/TR 16142:2006に従って,医療機器としての酸素濃縮装置,その附属品又は部品
の安全性及び性能の基本要件を提供している。この個別規格の意図は,適合性評価を目的として受け入れ
てもらうことである。
この個別規格に適合することは,ISO/TR 16142:2006で規定した基本要件に対する適合性を示す一つの
方法である。他の方法もあり得る。表BB.1では,この個別規格の箇条及び細分箇条とISO/TR 16142:2006
の基本要件との対応付けを示す。
表BB.1−この個別規格と基本要件との対応
ISO/TR 16142:2006の この個別規格での対応する箇条番号又は
基本要件 細分箇条番号
A.7.2 201.11.6.4,201.11.6.6
A.7.3 201.11.6.4,201.11.6.6
A.7.5 201.11.6.4
A.7.6 201.11
A.8.1 201.11.6.6,201.11.6.7
A.8.2 201.11.6.7
A.8.5 201.7.2.17.101
A.9.1 201.4.6,201.7.2.4.101,201.7.2.13.101,201.7.2.17.101,201.7.2.101,
201.7.9.2.2.101,201.7.9.2.5.101,201.7.9.2.14.101,201.12.1.101,
201.12.1.102,201.12.1.103,201.16,201.101,201.102
A.9.2 201.9,202,206,211
A.9.3 201.11
A.10.1 201.12.1,201.102
A.10.2 201.7,201.12.1,206,208
A.10.3 201.7.4.3
A.12.1 201.14
A.12.5 202
A.12.6 201.8
A.12.7.1 201.9,211
A.12.7.2 201.9
A.12.7.3 201.9
A.12.7.4 201.8,201.101,201.15,201.103
A.12.7.5 201.11
A.12.8.1 201.12.1
A.12.8.2 201.12.4
A.12.8.3 201.7,206
A.13.1 201.7,201.11.6.4

――――― [JIS T 7209 pdf 35] ―――――

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JIS T 7209:2018の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 80601-2-69:2014(MOD)

JIS T 7209:2018の国際規格 ICS 分類一覧

JIS T 7209:2018の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB7761-3:2007
手腕系振動―第3部:測定及び評価に関する一般要求事項
JISC0445:1999
文字数字の表記に関する一般則を含む機器の端子及び識別指定された電線端末の識別法
JISC0447:1997
マンマシンインタフェース(MMI)―操作の基準
JISC1509-2:2018
電気音響―サウンドレベルメータ(騒音計)―第2部:型式評価試験
JISC2134:2007
固体絶縁材料の保証及び比較トラッキング指数の測定方法
JISC2134:2021
固体絶縁材料の保証及び比較トラッキング指数の測定方法
JISC4003:2010
電気絶縁―熱的耐久性評価及び呼び方
JISC60079-0:2010
爆発性雰囲気―第0部:電気機器―一般要件
JISC60079-2:2008
爆発性雰囲気で使用する電気機械器具―第2部:内圧防爆構造“p”
JISC60079-6:2004
爆発性雰囲気で使用する電気機械器具―第6部:油入防爆構造“o”
JISC60364-4-41:2010
低圧電気設備―第4-41部:安全保護―感電保護
JISC60695-11-10:2015
耐火性試験―電気・電子―第11-10部:試験炎―50W試験炎による水平及び垂直燃焼試験方法
JISC6965:2007
ブラウン管の機械的安全性
JISC8282-1:2019
家庭用及びこれに類する用途のプラグ及びコンセント―第1部:一般要求事項
JISC8303:2007
配線用差込接続器
JIST0601-1-3:2012
医用電気機器―第1-3部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項―副通則:診断用X線装置における放射線防護
JISZ8736-1:1999
音響―音響インテンシティによる騒音源の音響パワーレベルの測定方法―第1部:離散点による測定