JIS B 7607:2018 自動捕捉式はかり | ページ 10

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A.3.3 動補正の範囲(5.2.3)
A.3.3.1 範囲
動補正が作動できる計量範囲が限定されている場合,その計量範囲内の任意の質量において動補正を設
定し,その計量範囲の上限値付近及び下限値付近において標準計量動作試験(A.3.1.1)を行う。
A.3.3.2 範囲外のインタロック
動補正が作動できる計量範囲が限定されている場合,その範囲に近いが範囲外の荷重を計量しようとす
ることによって,規定範囲外の動作及びプリントアウトが禁じられていることを検証する。
A.3.4 ゼロ点設定(5.5)
A.3.4.1 ゼロ点設定モード
自動ゼロ点設定装置を試験するために,ゼロ点設定装置が自動計量サイクルの動作の一部として適切に
動作し,試験する前には自動計量サイクルを中断することを考慮に入れる必要がある。
ゼロ点設定範囲及びゼロ点設定精度は,自動捕捉式はかりの自動運転を中断した後,A.3.4.2に規定する
ように非自動(静的)運転中に荷重受け部に荷重を載せて試験しなければならない。
A.3.4.2 ゼロ点設定範囲
A.3.4.2.1 初期ゼロ点設定
初期ゼロ点設定範囲は,正の部分と負の部分との和である。
初期ゼロ点設定範囲の試験は,次による。
a) 正範囲 荷重受け部に何もない状態で,自動捕捉式はかりをゼロ点に設定する。荷重受け部に試験荷
重を載せ,自動捕捉式はかりの電源を切り,次に電源を投入する。荷重受け部に試験荷重を載せてい
き,自動捕捉式はかりの電源を再投入後,ゼロ点に設定ができなくなるまで繰り返す。ゼロ点に設定
できる最大の試験荷重が,初期ゼロ点設定範囲の正の部分である。
b) 負範囲
1) 荷重受け部に何もない状態で,自動捕捉式はかりをゼロ点に設定する。次に,荷重受け部の重要で
ない全ての構成部品を取り外し,自動捕捉式はかりの電源を切り,次に電源を再投入する。この時
点で,ゼロ点に設定できた場合,取り外した構成部品の質量は,初期ゼロ点設定範囲の負の部分と
して用いられる。
2) 荷重受け部の構成部品を取り外して,自動捕捉式はかりをゼロに設定できない場合,自動捕捉式は
かりが再びゼロを表示するまで,自動捕捉式はかりの検出部(例えば,荷重受け部を支える部品の
上)のどこかに分銅を加える。
3) 次に,分銅を取り除いていく。各分銅を取り除いた後に,自動捕捉式はかりの電源を切り,次に電
源を投入する。電源の再投入によって,自動捕捉式はかりがゼロに設定できる間に自動捕捉式はか
りの検出部から取り除くことができる分銅の最大値が,初期ゼロ点設定範囲の負の部分である。
4) 荷重受け部の荷重受け部の構成部品を取り除く方法では初期ゼロ点設定の負の部分を試験すること
ができない場合,3)の手順に進む前に試験荷重を加えて一時的にスパン調整してもよい。この試験
荷重は,正の部分の試験結果から計算することができる初期ゼロ点設定範囲の許容可能な負の部分
より大きいものとする。
5) 初期ゼロ点設定範囲の負の部分を,これらの方法で試験することができない場合,初期ゼロ点設定
範囲の正の部分だけを考慮する必要がある。
6) 試験後は,通常の使用状態において再組立て又はスパン調整を行う。

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A.3.4.2.2 非自動ゼロ点設定及び半自動ゼロ点設定
この試験は,A.3.4.2.1と同様の手順によって行う。ただし,自動捕捉式はかりの電源を再投入すること
なく,ゼロ点設定装置を作動することによって行う。
A.3.4.2.3 自動ゼロ点設定
この試験は,自動捕捉式はかりの電源を再投入することなく,A.3.4.2.1の手順によって行う。
自動捕捉式はかりの可動部の分銅を少量取り除いていき,その後,自動ゼロ点設定装置が動作する時間
を与え,自動捕捉式はかりが自動的にゼロに設定できるかどうかを確認する。自動捕捉式はかりが自動的
にゼロに設定できなくなるまでこの手順を繰り返す。
自動捕捉式はかりがゼロに設定できる条件下で,自動捕捉式はかりの可動部から取り除いた分銅の最大
値が,ゼロ点設定範囲である。
A.3.4.3 ゼロ点設定の精度
ゼロ点設定の精度は,非自動(静的)運転で試験荷重を次のとおり少量ずつ増加させることによって試
験を行う。
a) 自動捕捉式はかりをゼロに設定して,次にゼロ点設定装置を不能にする。自動捕捉式はかりにゼロト
ラッキング装置が備わっている場合,その表示をゼロトラッキングの範囲外にする(例えば,10 eを
負荷する。)。
b) 荷重受け部に試験荷重を載せる。表示がゼロからプラスに1目量変化するまで追加荷重(≦0.2 e)を
負荷するか,又はゼロトラッキングを不能にするため10 eの荷重を追加した場合,目量を変化させる
まで行う。
c) .1.10.2.1の方法によってゼロ点における誤差を計算する。
注記 現実的な理由で,a) c)に記載した方法を使っても自動ゼロ点設定装置の精度を求めることが
難しい場合がある。ただし,この装置の機能性は,動作試験の前に荷重受け部の静的部分にゼ
ロ点設定範囲内の荷重を負荷することで検査する。自動ゼロ点設定装置及びその精度の影響は,
A.3.1.1の自動運転に対する動作試験で証明できる。
A.3.5 ゼロ点の安定性及び自動ゼロ点設定の頻度(5.5.4)
この試験は,プログラム可能な自動ゼロ点設定装置を備えた自動捕捉式はかりにだけ適用し,全ての自
動計量サイクルの一部として自動ゼロ点設定装置が動作する自動捕捉式はかりには,適用しない。
自動ゼロ点設定装置によるゼロ点の誤差が,±0.5 eを超えないことを確認するため,次の方法を適用す
る。
a) 次の二つの値の小さい値を選択することによって,最大許容時間間隔を決定する。
− 5.5.4によって製造業者が指定した最大時間間隔
− A.4.2.2から得られるeの端数の最大ゼロ変化で3分を除した値[精度等級XI及び精度等級Y(I)の
自動捕捉式はかり],又は15分を除した値(その他全ての等級)。
例 最大ゼロ点変化=0.33 e/(5 ℃)[精度等級Y(a)の自動捕捉式はかり]
15分/0.33=45分(0.75時間)
b) 自動捕捉式はかりが自動的にゼロ点設定できるようにする。
c) )で設定した最大許容ゼロ点設定間隔に近い間隔の後,自動ゼロ点設定装置が作動しないうちに,
A.3.4.3の試験を実施する。
d) )及びc)は,自動捕捉式はかりの電源を投入した後の自動捕捉式はかりが作動可能となった直後に,
すなわち,通常の予熱時間の直後にも実施する。

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注記 a)の3分間又は15分間の値は,次の計算で求める。
1) 定常大気温度変化の最大許容速度は,5 ℃/時間である(A.1.5)。
2) 5.5.2で最大許容ゼロ点設定誤差(Ezsmax)が与えられる。 Ezsmax≦0.25 e
5.5.4で最大許容ゼロ点確認誤差(Ezcmax)が与えられる。 Ezcmax≦0.5 e
これによって最大許容ゼロ点変動(Ezcmax−Ezsmax)が得られる。 Ezcmax−Ezsmax=0.25 e
精度等級XI及び精度等級Y(I)の自動捕捉式はかりに対しては,次のとおりである。
・ A.4.2.2で最大許容ゼロ点変動の要件。 Δzmax/(1 ℃)≦e
・ 定常大気温度に対して5 ℃/時間(a)。 Δzmax/12分間≦e
・ 最大許容ゼロ点変動(b) Δzmax/3分間≦0.25 e
その他全ての自動捕捉式はかりに対して,次のとおりである。
・ A.4.2.2が最大許容ゼロ点変動の要件。 Δzmax/(5 ℃)≦e
・ 定常大気温度に対して5 ℃/時間(a) Δzmax/1時間≦e
・ 最大許容ゼロ点変動(b) Δzmax/15分間≦0.25 e
A.3.6 風袋(5.6)
A.3.6.0A 一般
風袋設定は,通常モードで試験しなければならない。該当する場合,5.6の要件を検証する他の方法を使
用することができる。
静的風袋に対しては,荷重受け部に風袋を載せて,風袋引き装置が動作できるようにする。
動的風袋に対しては,荷重受け部に風袋計量する荷重を通して,風袋引き装置が動作できるようにする。
A.3.6.1 計量試験
A.3.6.1.1 自動運転
この試験は,自動運転で行う。ゼロ点設定装置は,作動させておく。自動運転に対する動作試験(A.3.1.1
による。)は,複数の異なる風袋量を用いて行わなければならない。複数の試験荷重を選択する。その一つ
は最小測定量に近い値,もう一つは最大可能な正味荷重に近い値を選択する。
自動捕捉式はかりに加算式風袋引き装置が備わっている場合,1回の計量試験を最大加算風袋量に近い
風袋値で行う。
A.3.6.1.2 非自動(静的)運転
計量性能試験(A.3.1.2)によって,荷重を載せ・降ろしすることは,複数の異なる風袋を用いて行う。
五つ以上の荷重ステップを選択する。このステップは,最小測定量に近い値,最大許容誤差が変化する値
又は近い値,及び正味量の最大値に近い値を含める。
自動捕捉式はかりに加算式風袋引き装置が備わっている場合,1回の計量試験を最大加算風袋量に近い
風袋値で行う。
A.3.6.2 風袋引き装置の精度
A.3.6.2.0A 一般
風袋引き装置の精度は,風袋引き装置を用いて表示をゼロ点に設定し,A.3.4.3に規定する同様の方法で
試験をする。
A.3.6.2.1 静的風袋
風袋引き装置を動作させて,表示が1目量確実に変化するまで追加分銅を使って,風袋荷重を増加する。
風袋設定精度は,±0.25 eを超えないことをA.1.10.2.1の方法で検証する。

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A.3.6.2.2 動的風袋
風袋引き装置を動作させ,その自動捕捉式はかりを停止し,A.3.6.2.1によって精度を求める。この方法
が現実的でない場合,動的風袋設定の精度は,正味荷重が最大許容誤差内にあることを検証するために
A.3.6.1の計量試験を行う。
A.3.7 偏置(4.8.1及び7.4.4)
A.3.7.1 動的計量はかりに対する偏置試験
試験は,自動捕捉式はかりを正常な動作状態下にして,自動運転中に行う。ゼロ点設定装置及びゼロト
ラッキング装置は作動させる。動補正は荷重を通す前に設定できる。
ひょう量の1/3に等しい試験荷重(該当する場合,最大加算風袋量を加重)を荷重受け部全体にわたっ
て,次のベルトの位置に試験荷重を負荷する(図A.1に例を示す。)。
− バンド1は,荷重搬送システムの中心から片側の縁の間
− バンド2は,荷重搬送システムの中心から反対側の縁の間
バンド1 バンド2
1/2 W
W W
1/2 W
荷重搬送システムの進行方向
図A.1−動的偏置試験における試験荷重の負荷箇所の例
荷重受け部に規定された試験計量回数分の試験荷重(7.1.2)を通す。誤差及び偏差は,4.5.1に適合しな
ければならない。
A.3.7.2 静的計量はかりに対する偏置試験
ひょう量の1/3に等しい試験荷重(該当する場合,最大加算風袋量を加重)を固定荷重搬送システムの
4区分に個々に負荷する(図A.2に例を示す。)。支持点数(n)が4点を超える荷重搬送システムをもつ自
動捕捉式はかりは,各支持点に,ひょう量(該当する場合,最大加算風袋量を加える。)を1/(n−1)で除し
た試験荷重を負荷する。
単一の分銅を使用する場合,区分の中央にその荷重を負荷する。複数の小さい分銅を使用する場合は,
その区分上に均一に負荷する。
誤差は,4.5.2に適合しなければならない。

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1/2L
1/2W
W
L
図A.2−静的偏置試験における試験荷重の負荷箇所の例
A.3.8 代替動作速度(7.1.4)
試験は,次のとおり行う。
最小測定量付近及びひょう量付近の二つの試験荷重を選択する。
動補正は,いずれか一つの試験荷重を用いて行うが,二つの試験荷重で動補正の範囲が異なる場合には,
新たな試験荷重を使用する前に再度動補正を行ってもよい。
通常使用している周辺装置も含めて,自動計量システムを開始する。試験は,自動運転中に行う。ゼロ
点設定装置は作動させる。
試験計量回数は,試験荷重の質量による(7.1.2)。
荷重搬送システムをその最大動作速度に,また,その動作範囲のほぼ中間の速度に設定する(7.1.4)。
自動捕捉式はかりがプリセット速度に対応した最大の荷重を指定している場合,個々のプリセット速度
における最大の荷重で試験する。この場合,各速度に対して最小及び最大許容誤差の変わる値で再試験す
る必要はない。
規定する回数の試験荷重を荷重受け部に通過させ,その結果を記録する。
該当する場合,最大許容誤差は,4.5.1に規定したとおりとする。
A.3.9 平衡安定性試験(5.4.1)
この試験は,静的計量はかりにだけ適用する。
次の安定した釣合いが,詳細かつ十分に記載されているかどうか,製造業者の記載書類を確認する。
− 安定した釣合いの基本的原理,機能及び判断基準
− 安定した釣合いの機能の全ての調整可能及び調整不可能なパラメータ(時間間隔,計量サイクル数な
ど)
− これらのパラメータへの封印
− 安定した釣合いにおいて重要な調整の定義
ひょう量の50 %まで,又は関連する機能の動作範囲に含まれる荷重までの負荷を自動捕捉式はかりに載
せる。1回の動作で,手動によって釣り合った状態を崩し,データ印字,データ保存又は他の機能に対す
る指令を可能な限り早く出す。印字又はデータ保存の場合は,印字後5秒間に表示値を読む。二つ以内の
隣接した値で,その中の一つは最終計量値の印字値を表示する場合,安定した釣合いがとれているとみな
す。
ゼロ点設定装置又は風袋引き装置の場合は,A.3.4.3及びA.3.6.2によって5回の試験を行い,精度を検
査する。

――――― [JIS B 7607 pdf 50] ―――――

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JIS B 7607:2018の引用国際規格 ISO 一覧

  • OIML R 51-1:2006(MOD)

JIS B 7607:2018の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 7607:2018の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB7611-2:2015
非自動はかり―性能要件及び試験方法―第2部:取引又は証明用
JISB7612-1:2008
質量計用ロードセル―第1部:アナログロードセル
JISB7612-2:2008
質量計用ロードセル―第2部:デジタルロードセル
JISC60068-2-1:2010
環境試験方法―電気・電子―第2-1部:低温(耐寒性)試験方法(試験記号:A)
JISC60068-2-2:2010
環境試験方法―電気・電子―第2-2部:高温(耐熱性)試験方法(試験記号:B)
JISC60068-2-78:2015
環境試験方法―電気・電子―第2-78部:高温高湿(定常)試験方法(試験記号:Cab)
JISC60068-3-1:2016
環境試験方法―電気・電子―第3-1部:低温(耐寒性)試験及び高温(耐熱性)試験の支援文書及び指針
JISC60068-3-4:2004
環境試験方法―電気・電子―第3-4部:高温高湿試験の指針
JISC61000-4-11:2008
電磁両立性―第4-11部:試験及び測定技術―電圧ディップ,短時間停電及び電圧変動に対するイミュニティ試験
JISC61000-4-2:2012
電磁両立性―第4-2部:試験及び測定技術―静電気放電イミュニティ試験
JISC61000-4-3:2012
電磁両立性―第4-3部:試験及び測定技術―放射無線周波電磁界イミュニティ試験
JISC61000-4-4:2015
電磁両立性―第4-4部:試験及び測定技術―電気的ファストトランジェント/バーストイミュニティ試験
JISC61000-4-5:2018
電磁両立性―第4-5部:試験及び測定技術―サージイミュニティ試験
JISC61000-4-6:2017
電磁両立性―第4-6部:試験及び測定技術―無線周波電磁界によって誘導する伝導妨害に対するイミュニティ
JISZ8103:2019
計測用語