JIS B 7984:2006 排ガス中の塩化水素自動計測器 | ページ 2

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6.4 分析計

 図2に示す,ガス吸収部,測定セル,吸収液送液ポンプ,吸収液タンク,増幅制御器,排
液タンクなどで構成する。
図 2 分析計の構成例
a) ガス吸収部 吸収液と試料ガスとをそれぞれ設定流量で導入し,試料ガス中の塩化水素を吸収液中に
捕集するためのもので,吸収液によって侵されず,吸収液を変質させない材料を用いる。
b) 測定セル 試料ガス中の塩化水素を吸収して吸収液の塩化物イオンを検出する部分で,イオン電極,
比較電極などで構成する。
c) 増幅制御器 イオン電極の電位を塩化水素濃度に比例する電気信号に増幅,変換するとともに各構成
要素に対して信号を発し,次の各操作を所定のプログラムに従って自動的に行う機能をもつ。
1) 測定開始及び停止
2) 信号演算処理
3) 塩化水素濃度の表示,指示記録用信号の出力
4) 警報信号

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5) その他
d) 吸収液送液ポンプ 吸収液タンクからガス吸収部に吸収液を一定流量で送液するためのもので,接液
部は,吸収液によって侵されず,吸収液を変質させない,例えば,ポリプロピレンなどの材料を用い
る。
e) 吸収液タンク 吸収液を貯蔵する容器で,吸収液によって侵されず,吸収液を変質させない材料を用
いる。
f) 吸収液 20Lを調整する場合,次のいずれかとする。
1) フタル酸水素カリウム(JIS K 8809 )200 g を約 10 Lの水(2)に溶解し,次の式から求める 0.1 mol/L
(3)又は 1mol/L塩化ナトリウム溶液 a mL を添加したのち,水を加えて全量を 20 Lとする。
a 0.4 R 1.1 M
ここに, a : 塩化ナトリウム溶液の添加量 (mL)
R : レンジの最大値 (ppm)
M : 塩化ナトリウム溶液の濃度 (0.1 mol/L又は1 mol/L)
2) 硝酸カリウム(JIS K 8548)200 g を水(2)に溶解し全量を 20 Lとする。
3) 水(2)20Lをそのまま用いる。
注(2) IS K 0557の3.に規定する種別A 2の水を用いる。
(3) レンジの最大目盛値が 100 ppm 以下のときに用いる。

6.5 指示記録用信号

 塩化水素濃度を等分目盛で指示記録するものとする。ディジタル表示方式のもの
は,測定単位が印字されるものとする。

7. 性能試験方法

7.1 性能試験一般

 性能試験は,指示誤差,耐電圧及び絶縁抵抗以外の各項目については,その計測器
の最小レンジにおける試験結果をもって各レンジごとの性能としてもよい。

7.2 試験条件

 試験条件は,次による。
a) 周囲温度 535 ℃の任意の温度で変化幅は5 ℃以下
b) 湿度 相対湿度 85 %以下
c) 大気圧 95106 kPaの圧力で,変化幅は5 kPa以下
d) 電源電圧 定格電圧
e) 電源周波数 定格周波数
f) 暖機時間 取扱説明書に記載された時間

7.3 自動計測器の校正

7.3.1  試験に用いる等価液及びガス
7.3.1.1 試験に用いる等価液 等価液の調製は,次による。これらの等価液の種類及び適用する試験項目
は,表3による。
a) ゼロ調整用等価液 吸収液をそのまま用いる。
b) 等価液調製用原液(1 mol/L 塩化ナトリウム溶液) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウムをデシケ
ーター中で乾燥する。その58.44 gをはかりとり,適量の吸収液に溶かして全量フラスコ1 000 mLに
移し入れ,吸収液を標線まで加えたもの。
c) 等価液 次の式から求められる量の等価液調製用原液を採取し,これに吸収液を加えて1 Lに希釈し
て調製する。

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f c
a 273 t
224. V
273
ここに, a : 等価液調製用原液の採取量 (mL)
c : 対応する塩化水素濃度 (ppm)
f : 試料ガス流量 (L /min)
V : 吸収液流量 (mL/min)
t : 20 (流量計校正の基準となる温度)(℃)
d) スパン調整用等価液 7.3.1.1 c) に規定する式を用いてレンジの80100 %の濃度に対応する等価液
調製用原液a mLを採取し,これを吸収液で1 Lに希釈して調製する。
e) 中間点試験用等価液 7.3.1.1 c) に規定する式を用いてレンジの50 %付近の濃度に対応する等価液調
製用原液a mLを採取し,これを吸収液で1 Lに希釈して調製する。
備考 等価液調製用原液の採取量a mLが1 mL以下の場合は,上式を基本として,等価液調製用原液
の濃度を変更してもよい。
表 3 試験に用いる等価液
等価液の種類 適用項目
ゼロ調整用等価液 7.3.3 a),b),d)
スパン調整用等価液 7.3.3 a),c),d)
中間点試験用等価液 7.3.3 d)
7.3.1.2 試験に用いるガス 試験に用いるガスは,次による。
a) ゼロ試験用ガス 7.3.3 e)の試験に用いるガスで,JIS K 0055のゼロガスでその濃度を確認したガス。
b) 応答時間試験用ガス 7.3.3 f)の試験に用いる次のいずれかのガスで,その濃度はレンジの5090 %
とする。
1) 塩化水素を窒素又は空気で希釈した高圧容器入りガス。
2) 塩酸溶液を用いる拡散方法によって調製した塩化水素を窒素又は空気で希釈したガス。
備考 高圧ガスの安全取扱方法については,高圧ガス保安法及び環境大気自動測定における高圧ガス
管理取扱手引書等を参考にして安全を確保する。
7.3.2 校正 計測器の目盛校正は,等価液を用いて次の方法で行う。
a) ゼロ調整 ゼロ調整用等価液を測定セルに注入し,指示が安定した時点で 0 ppm を示すようにゼロ
調整を行う。
b) スパン調整 スパン調整用等価液を測定セルに注入し,指示が安定した時点で,等価液に対応する塩
化水素濃度を示すようにスパン調整を行う。
c) 必要に応じてa),b)を繰り返したのち,ゼロ及びスパンのそれぞれが5.の計測器の性能の繰返し性の
範囲内に合うまで行う。
7.3.3 試験方法 計測器の性能試験方法は,次による。
a) 繰返し性 測定セルにゼロ調整用等価液を注入し,指示を確認した後,スパン調整用等価液を注入し,

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指示を確認する。この操作を交互に3回繰り返し,ゼロ指示値,スパン指示値の各々の平均値を算出
し,各測定値と平均値の偏差の最大目盛値に対する百分率を求める。
b) ゼロドリフト 試料ガスの導入を止め,ゼロ指示値を最大目盛値の5 %程度に設定して,24時間連続
測定を行う。この間における初期の指示値からの最大変動幅の最大目盛値に対する百分率を求める。
c) スパンドリフト ゼロドリフト試験において,試験開始時にスパン調整を行い,試験終了時(24時間
後)及び中間に2回以上(4),測定セルにスパン調整用等価液を注入し,指示値を記録させる。この間
における初期のスパン指示値からの最大変動幅を最大目盛値に対する百分率をスパンドリフトとする。
なお,ゼロドリフトの影響が見られるときは,スパン指示値からその変動分を補正する。
注(4) 各スパン測定点の測定時間間隔は,4時間以上離れていなければならない。
d) 指示誤差 ゼロ,スパン調整を行った後,中間点試験用等価液を測定セルに注入し,指示記録させる。
この指示値と,等価液濃度表示値との差の最大目盛値に対する百分率を求める。
e) 最小検出限界 ゼロ,スパン校正を行った後,ゼロ試験用ガスを設定流量で導入し,指示記録させる。
2分間隔で25点以上の指示を読み,標準偏差( sx0 )を求める。その標準偏差の2倍の最大目盛値に対
する百分率を最小検出限界(x)とし,次の式によって求める。
2xs0
x 100
F
ここに, sx0 : ゼロ試験用ガスによる指示値の標準偏差(ppm)
F : 最大目盛値(ppm)
f) 応答時間 7.3.1.2 b)の応答時間試験用ガスを計測器の試験用ガス導入口から設定流量で導入する。こ
のときの指示記録において,試験用ガス導入の時点から最終指示値の90 %に達するまでの時間を測
定する。
g) 試料ガス流量の安定性 試験開始時に設定流量に試料ガス流量を調整し(5),その指示流量を読み取り
記録し,その後24時間連続運転を行う。この中間に2回以上及び終了時(24時間後)に指示流量を
読み取り記録し,それらの設定流量との差の最も大きい値を設定流量に対する百分率として表す。
なお,各々の読み取り点は,少なくとも4時間以上離れていなければならない。
注(5) この試験中は,設定流量を調整してはならない。もしも調整した場合は,その後,24時間の試
験を行わなければならない。
h) 吸収液流量の安定性 試験開始時に設定流量に吸収液流量を調整し(6),その流量を記録し,その後24
時間連続運転を行う。この中間に2回以上及び終了時(24時間後)の流量を記録し,それらの設定流
量との差の最も大きい値を設定流量に対する百分率として表す。
なお,各々の読み取り点は,少なくとも4時間以上離れていなければならない。
注(6) この試験中は,設定流量を調整してはならない。もしも調整した場合は,その後,24時間の試
験を行わなければならない。
i) 電圧変動に対する指示値の安定性 測定セルにスパン調整用等価液を注入し,指示が安定しているこ
とを確認し,その値をAとする。次に電源電圧を定格電圧の+10 %の電圧に徐々に変化させる。指
示が安定したとき,その値をBとする。次に定格電圧の−10 %の電圧に徐々に変化させ,指示が安
定したとき,その値をCとする。B−A,C−Aの値を最大目盛値に対する百分率として表す。
j) 耐電圧 計測器の電気回路を閉の状態で,電源端子一括と外箱との間に定格周波数の交流電圧1 000 V

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を1分間加えて,異常の有無を調べる。
k) 絶縁抵抗 計測器の電気回路を閉の状態で,電源端子一括と外箱との間の絶縁抵抗を,JIS C 1302に
規定する500 V絶縁抵抗計で測定する。
備考 a),b),c),d),h)及びi)の試験は,試料ガスの導入を止めて行う。g)の試験は試料ガスに代え,
大気を導入して行う。j) 及びk)の試験は,計測器の作動停止状態で行う。

8. 試験報告書

 作成する報告書は,5.の各項目について,7.による試験条件,試験結果などについての内
容を記載する。また,必要に応じて次の項目について記載する。
a) この規格に関する内容
b) 校正方法についての内容
c) 校正についての結果
d) 特記事項

9. 表示

 計測器には,見やすい箇所に容易に消えない方法で,次の事項を表示しなければならない。
a) 名称及び製造業者が指定する形名
b) 測定対象物質
c) レンジ
d) 使用温度範囲
e) 定格電圧,定格周波数及び電源容量
f) 製造業者名又はその略号
g) 製造年月
h) 製造番号
これらの表示は,1か所にまとめて表示しなくてもよい。

10. 取扱説明書

 取扱説明書には,少なくとも次の事項を記載しなければならない。
a) 設置場所
b) 試料ガスの温度,流量,ダスト濃度及び干渉成分のそれぞれの許容範囲
c) 試料ガスの前処理方法
d) 配管及び配線
e) 暖機時間
f) 使用方法
1) 測定の準備及び校正
2) 測定操作
3) 測定停止時の処置
g) 保守点検
1) 日常点検の指針
2) 定期点検の指針
3) 流路系の清掃
4) 故障時の対策

――――― [JIS B 7984 pdf 10] ―――――

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JIS B 7984:2006の国際規格 ICS 分類一覧

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