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B 8942 : 2012
6 処理能力
6.1 スタッカクレーンのサイクルタイム
6.1.1 一般
スタッカクレーンの単体能力は,平均単一サイクルタイム又は平均複合サイクルタイムで表す。計画値
を算出する場合は,実際の動作条件で計算する。
6.1.2 平均単一サイクルタイム
単一サイクルタイムは,スタッカクレーンが表1の動作を行うのに必要な時間を示す(図6参照)。
表1−単一サイクルタイム
条件 動作
入庫 入庫ステーションから入庫棚へ荷を入庫し,元の入庫ステーションへ戻る。
出庫 出庫ステーションから出庫棚へ移動し,荷を出庫ステーションへ出庫する。
図6−平均単一サイクル
平均単一サイクルタイムは,入庫ステーションから全ての棚に入庫,又は全ての棚から出庫ステーショ
ンに出庫を行った場合におけるスタッカクレーンの総所要時間を総パターン数で除した時間とする。シン
グルフォーク・シングルリーチ方式スタッカクレーンの単一サイクルタイムは,式(1)及び式(2)で表す。
ts t1jk t2 jktf 2 ti (1)
T
ts
s (2)
r
ここに, Ts : 平均単一サイクルタイム(s)
ts : 単一サイクルタイム(s)
j : ラック連数(走行番地)
k : ラック段数
t1jk : 入出庫ステーションから格納位置(j連,k段)までの
移動時間(s)
――――― [JIS B 8942 pdf 11] ―――――
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t2jk : 格納位置(j連,k段)から入出庫ステーションまでの
移動時間(s)
tf : フォーキングタイム(s)
入出庫ステーション又は格納位置での荷の移載時間
ti : アイドルタイム(s)制御遅れ時間など
r : 単一サイクルの総パターン数
6.1.3 平均複合サイクルタイム
複合サイクルタイムは,スタッカクレーンが入庫ステーションから荷を入庫棚へ入庫し,その後,出庫
棚へ移動,出庫ステーションへ出庫する動作に必要な時間を示す。
なお,入庫ステーションと出庫ステーションとの位置が違う場合は,その間の移動時間を加算する(図
7参照)。
図7−平均複合サイクルタイム
平均複合サイクルタイムは,全ての棚の組合せに対して複合サイクルを行った場合におけるスタッカク
――――― [JIS B 8942 pdf 12] ―――――
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レーンの総所要時間を総パターン数で除した時間とする。シングルフォーク・シングルリーチ方式スタッ
カクレーンの複合サイクルタイムは,式(3)及び式(4)で表す。
td tjk tjkpqtpq ts tf 4ti (3)
T
td
d (4)
r
ここに, Td : 平均複合サイクルタイム(s)
td : 複合サイクルタイム(s)
j,p : ラック連数(走行番地)
k,q : ラック段数
tjk : 入庫ステーションから格納位置(j連,k段)までの
移動時間(s)
tpq : 格納位置(p連,q段)から出庫ステーションまでの
移動時間(s)
tjkpq : 格納位置(j連,k段)から格納位置(p連,q段)ま
での棚間移動時間(s)
ts : 入出庫ステーション間移動時間(s)
入庫ステーションの位置と出庫ステーションの位置
とが違う場合のステーション間の移動時間
tf : フォーキングタイム(s)
入出庫ステーション又は格納位置での荷の移載時間
ti : アイドルタイム(s)
制御遅れ時間など
r : 複合サイクルの総パターン数
6.2 スタッカクレーンの能力評価
計画されたスタッカクレーンの平均単一サイクルタイム及び平均複合サイクルタイムは,単一サイクル
タイム及び複合サイクルタイムの計測値で評価する。評価方法は,次による。
a) 入出庫ステーションから代表的な棚までのサイクルタイム(附属書A参照)を評価対象とする。
b) 計測は,3回以上の平均値とする。
c) 製造業者と事業者との間で合意された評価時の運転パターン,運転モード,運転条件及び使用する荷
の条件に従って評価する。
d) サイクルタイム計測値の許容値を,表2に示す。
表2−サイクルタイム計測値の許容値
計測値 計測値の許容範囲
50秒未満 計画値の±3秒以内
50秒以上 計画値の±6 %以内
6.3 スタッカクレーンの基準入出庫能力
6.3.1 一般
スタッカクレーンの基準入出庫能力は,1時間当たりに入庫又は出庫できる荷の総数で表す。
6.3.2 平均単一サイクルの基準入出庫能力
平均単一サイクルの基準入出庫能力は,式(5)で表す。
――――― [JIS B 8942 pdf 13] ―――――
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3 600
Ns (5)
Ts
ここに, Ns : 1時間当たりの入庫又は出庫できる荷の総数
(荷の総数/h)
Ts : 平均単一サイクルタイム(s)
6.3.3 平均複合サイクルの基準入出庫能力
平均複合サイクルの基準入出庫能力は,式(6)で表す。
3 600
Nd 2 (6)
d
ここに, Nd : 1時間当たりの入出庫できる荷の総数(荷の総数/h)
Td : 平均複合サイクルタイム(s)
6.4 立体自動倉庫システム処理能力
立体自動倉庫システム処理能力は,単位時間における入出庫量で表す。システム処理能力に考慮する代
表的な事項を,次に示す。
a) 機械単体能力
b) 機器組合せ能力
c) システム規模
d) 荷の格納率
e) 入出庫指示方法
f) 複数台のスタッカクレーンの負荷バランス
g) 人,フォークリフトトラックなどの入出庫作業時間
7 安全対策
7.1 機械安全リスクアセスメントの実施
設計時は,作業する人の安全確保のために,JIS B 9700-1,JIS B 9700-2及びJIS B 9702に従って機械安
全リスクアセスメントを実施する(附属書B参照)。
7.2 レイアウト
7.2.1 スタッカクレーン稼動範囲の隔離
7.2.1.1 侵入防止柵の設置
侵入防止柵は,作業する人及び第三者のスタッカクレーン稼動範囲へ侵入することを防止するために,
2 000 mm以上の高さとし,スタッカクレーンと人との接触を避けるための安全距離を確保した位置に設置
しなければならない。接触を避けるための安全距離及び開口寸法の関係は,JIS B 9707及びJIS B 9708に
よる。
7.2.1.2 隣接するスタッカクレーン通路への侵入防止
個別に自動運転可能なスタッカクレーン通路に挟まれたラック部(図8参照)には,人が通過して他方
のスタッカクレーン通路へ侵入することを防止するために,物理的な障害物(ネットなど)を設置しなけ
ればならない。
――――― [JIS B 8942 pdf 14] ―――――
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B 8942 : 2012
図8−隣接するスタッカクレーン通路への侵入防止対策例
7.2.1.3 入出庫ステーション部にある侵入防止柵の開口部
入出庫ステーション部にある侵入防止柵の開口部(図8参照)は,次による。
a) 人がスタッカクレーン稼動範囲に容易に侵入できない構造とする。
b) 人がスタッカクレーン稼動範囲に侵入した場合は,JIS B 9715に従って人がスタッカクレーン稼動範
囲に侵入したことを検知し,スタッカクレーンの動作を禁止する機能を設けるものとする。
7.2.2 通常運転時における入出庫ステーションの安全
人又はフォークリフトトラックが荷役作業する箇所は,次による。
a) フォーク装置の可動範囲と干渉しない場所とする。
b) 荷役作業をする箇所とフォーク装置の可動範囲が干渉する場合は,JIS B 9715に従ってフォーク装置
の可動範囲への人又はフォークリフトトラックの接近を検知してフォーク装置の動作を禁止する。
7.2.3 構造体とスタッカクレーンとの隙間寸法
スタッカクレーン外側端と建築物又は構造体の隙間は,床上で手動操作している人の挟まれ防止対策と
して,JIS B 9711に従って,スタッカクレーンが緩衝装置に接触した位置において,スタッカクレーン通
路幅全域で,倉庫床面から高さ2 100 mm以上,及びスタッカクレーン走行方向の500 mm以上の空間を確
保しなければならない(図9参照)。
――――― [JIS B 8942 pdf 15] ―――――
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JIS B 8942:2012の国際規格 ICS 分類一覧
JIS B 8942:2012の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB8941:2012
- 立体自動倉庫システム―用語
- JISB8943:2012
- 立体自動倉庫システム―スタッカクレーン設計通則
- JISB9700-1:2004
- 機械類の安全性―設計のための基本概念,一般原則―第1部:基本用語,方法論
- JISB9700-2:2004
- 機械類の安全性―設計のための基本概念,一般原則―第2部:技術原則
- JISB9702:2000
- 機械類の安全性―リスクアセスメントの原則
- JISB9703:2019
- 機械類の安全性―非常停止機能―設計原則
- JISB9705-1:2019
- 機械類の安全性―制御システムの安全関連部―第1部:設計のための一般原則
- JISB9707:2002
- 機械類の安全性―危険区域に上肢が到達することを防止するための安全距離
- JISB9708:2002
- 機械類の安全性―危険区域に下肢が到達することを防止するための安全距離
- JISB9710:2019
- 機械類の安全性―ガードと共同するインターロック装置―設計及び選択のための原則
- JISB9711:2002
- 機械類の安全性―人体部位が押しつぶされることを回避するための最小すきま
- JISB9713-1:2004
- 機械類の安全性―機械類への常設接近手段―第1部:高低差のある2か所間の固定された昇降設備の選択
- JISB9713-2:2004
- 機械類の安全性-機械類への常設接近手段-第2部:作業用プラットフォーム及び通路
- JISB9713-3:2004
- 機械類の安全性―機械類への常設接近手段―第3部:階段,段ばしご及び防護さく(柵)
- JISB9713-4:2004
- 機械類の安全性―機械類への常設接近手段―第4部:固定はしご
- JISB9714:2006
- 機械類の安全性―予期しない起動の防止
- JISB9715:2013
- 機械類の安全性―人体部位の接近速度に基づく安全防護物の位置決め
- JISB9960-1:2019
- 機械類の安全性―機械の電気装置―第1部:一般要求事項
- JISB9960-32:2011
- 機械類の安全性―機械の電気装置―第32部:巻上機械に対する要求事項
- JISB9961:2008
- 機械類の安全性―安全関連の電気・電子・プログラマブル電子制御システムの機能安全
- JISC8201-5-1:2007
- 低圧開閉装置及び制御装置―第5部:制御回路機器及び開閉素子―第1節:電気機械式制御回路機器
- JISZ8737-2:2000
- 音響―作業位置及び他の指定位置における機械騒音の放射音圧レベルの測定方法―第2部:現場における簡易測定方法