JIS B 8942:2012 立体自動倉庫システム―システム設計通則 | ページ 4

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単位 mm
図9−構造体とスタッカクレーンとの隙間
7.2.4 棚格納物からの保護
落下防止材(落下防止ネット,ストッパなど)は,ラック外周部の人が接近する範囲に棚格納物が落下
しないように設けなければならない。

7.3 操作

7.3.1  設備稼動範囲立入時の運転停止機能
正規の進入経路として進入扉を設けなければならない。侵入防止柵及び進入扉の配置の例を,図10に示
す。進入扉は,次の対策を行うものとする。
a) 進入扉部は,第三者が侵入扉を容易に開けないように,“立入禁止”の表示をする。
b) 進入扉は,複数の手順を行わないと開錠できない構造とする。さらに,人荷昇降式クレーンの場合は,
第三者が進入扉から侵入できないように内側から施錠できる構造とする。
c) 進入扉のインタロック機能は,進入扉が開いたことを検知し,自動的に設備(スタッカクレーンなど)
を停止する。停止カテゴリは,JIS B 9960-1の9.2(制御機能)及びJIS B 9960-32の9.2(制御機能)
による停止カテゴリ0又は停止カテゴリ1とする。スタッカクレーンが複数台の場合で,侵入防止柵
と進入扉がスタッカクレーンの通路ごとに設けられた場合は,停止させるスタッカクレーンの範囲は
当該スタッカクレーンだけでもよいが,進入扉から複数台のスタッカクレーン可動範囲に侵入できる
場合は,区画内全てのスタッカクレーンを対象とする。
d) 設備の再起動は,進入扉を閉めた後の再起動操作を必要とする。

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図10−侵入防止柵及び進入扉の配置
7.3.2 スタッカクレーン可動範囲内に人が立ち入る場合の安全
7.3.2.1 運転モード切替キースイッチの設置
地上操作盤と機上操作盤との運転モード切替キースイッチは,スタッカクレーン可動範囲内での操作中
に,他の人が地上操作盤でスタッカクレーンの動作に関する全ての操作ができないように設けなければな
らない。運転モード切替キースイッチは,キーを差し,運転モードを切り替えた地上操作盤又は機上操作
盤に限り操作を許可する。ただし,非常停止機器の操作は除く。
運転モード切替キースイッチのキーは,次による。
a) 地上操作盤と機上操作盤とで,同一のキーを用いる。
b) キーは,スタッカクレーンごとに独立したものを用いる。
c) キーの抜差しは,該当する盤からの操作が無効となる状態に限り可能とする。
7.3.2.2 標識の取付場所の確保
地上操作盤及び進入扉部は,稼動範囲内に人が入っていることを示すために,標識[“作業中(点検中)”
など]の取付場所を確保する。
7.3.3 手動操作場所
手動操作する場所は,操作する人から直接機械の動作が見えるように考慮しなければならない。直接見
えない場合は,操作盤に代替手段(補助者による地上での監視など)が必要である表示をする。
7.3.4 手動運転からの切替
手動運転から,遠隔自動運転又は自動運転への切替は,次による。
a) 手動運転から,遠隔自動運転又は自動運転への切替時に使用する運転モード切替キースイッチ及び起
動装置を備える地上操作盤は,該当するスタッカクレーンの稼動範囲外(侵入防止柵外など)に設置
する。
b) キーを地上操作盤の運転モード切替キースイッチに差し込み後に起動操作を行わない限り,いかなる
運転モードの切替及び起動信号も有効となってはならない。
c) 手動運転からの切替時には,周囲の人への注意を喚起する警報手段(ブザー,チャイムなど)を自動
的に鳴らすものとする。

7.4 電気・制御

7.4.1  一般
電気・制御機器関係は,JIS B 9960-1,JIS B 9960-32及びJIS C 8201-5-1に適合しなければならない。制
御機器の安全関係機能は,JIS B 9714,JIS B 9705-1及びJIS B 9961に従って設計する。

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機械の稼動範囲への人の侵入を検知する制御機器は,JIS B 9710及びJIS B 9715に従って設計する。
7.4.2 電源
電源は,JIS B 9960-1の4.3(電源)又はJIS B 9960-32の4.3(電源)に従わなければならない。
7.4.3 非常停止機器
非常停止機器の設計原則は,JIS B 9703,JIS B 9960-1及びJIS B 9960-32による。
非常停止の停止カテゴリは,停止カテゴリ0又は停止カテゴリ1とする。停止カテゴリの選択は,JIS B
9700-1,JIS B 9700-2及びJIS B 9702に従って機械安全リスクアセスメントを実施し,その結果によって
決定する[JIS B 9960-1の9.2(制御機能),JIS B 9960-32の9.2(制御機能)参照]。
非常停止機能は全ての運転モードにおいて他の機能及び操作に優先する。非常停止後の再起動は,非常
停止条件の排除後に再起動操作されるまで,いかなる起動信号も有効となってはならない。
a) スタッカクレーン用非常停止機器(地上設置) スタッカクレーン及びスタッカクレーンと連動する
設備を停止させるための非常停止機器を,次の位置に設置する。
1) スタッカクレーンの可動範囲への進入扉部
2) スタッカクレーンの入出庫ステーション部の作業場所
3) スタッカクレーン地上制御盤及び/又は地上操作盤
b) スタッカクレーン用非常停止機器(機上設置) スタッカクレーン本体に設置する非常停止機器は,
JIS B 8943の12.1.3(非常停止)による。

7.5 保護機能

7.5.1  荷姿異常検知機能及び過荷重検知機能
立体自動倉庫システムは,スタッカクレーンが仕様外の荷を扱わないようにするために次の機能をもつ
ものとする。ただし,合理的な代替手段がある場合は,必要としない。
a) 荷姿異常検知機能 最大荷姿寸法を超えた荷を検知する。
b) 過荷重検知機能 最大荷重を超えた荷を検知する。
7.5.2 インタロック機能
7.5.2.1 一般原則
安全を確保するためのインタロック機能は,スタッカクレーンと周辺設備の相互動作を確認して動作し
なければならない。インタロック機能を含む安全関係機能は,容易に無効化できない構造とする。インタ
ロック機能による異常停止後の再起動は,インタロック機能による停止条件の排除後に再起動操作される
まで,いかなる起動信号も有効となってはならない。
7.5.2.2 インタロック機能解除時の考慮
インタロック機能を解除して手動操作する場合において,安全に操作するために考慮する基本事項は,
次による。
a) 動作速度
b) 操作場所
c) 操作方法(解除方法を含む。)
7.5.2.3 相互干渉防止インタロック機能
一つの通路に複数台のスタッカクレーンが設置され,可動範囲が互いに重複するものについては,相互
に干渉しないように各スタッカクレーンを運用管理するとともに,動作のインタロック機能を設けなけれ
ばならない。スタッカクレーン単体での対策についてはJIS B 8943の12.2(動作に関するインタロック機
能)による。

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7.6 保守点検作業

  保守点検作業に関して,考慮する基本事項は,次による。
a) 通路 作業者が地上制御盤,地上操作盤又はスタッカクレーン通路へ行くための通路並びにプラット
フォームを確保する。通路及びプラットフォームは,JIS B 9713-1JIS B 9713-4に従うことが望まし
い。
b) 保守点検場所 スタッカクレーン保守点検の作業場所を確保する。作業場所が常設不可能な場合は,
仮設の作業場所設置スペースを確保する。
c) 動作中の機械からの保護 点検範囲と隣接するスタッカクレーンの稼動範囲とが重複する場合は,作
業する人に危害が及ばないように,可動範囲を制限する機械式ストッパ及び走行終端限強制停止機能
を設置可能とする(図11参照)。
a) 2台自動運転中の状態
b) 1台自動運転中,1台点検中の状態
図11−稼動中の機械からの保護

8 施工及び試運転検査

8.1 施工計画

  施工計画は,レイアウト設計時に実施する。考慮する基本事項は,次による。

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a) 現地組立のための搬入経路
b) 仮置きスペース
c) 作業スペース

8.2 施工要領書の作成

  施工要領書は,安全な作業のための正しい施工手順,組立品の質量及び据付精度の判定基準を記載する。

8.3 試運転検査要領書の作成

  試運転検査要領書は,立体自動倉庫システムが設備仕様書に適合していることを確認するための手順及
び判定基準を記載する。試運転検査要領書の記述は,次による。
a) 保護機能の動作 保護機能(非常停止機能,インタロック機能など)の動作を確認する。
b) 設備取合寸法及びその精度 設備取合寸法を確認する。
c) 設備能力 設備能力の確認事項は,次による。
1) 機械単体の能力確認は,立体自動倉庫システムを構成する機械単体(スタッカクレーン,コンベヤ
など)ごとに行う手順及び判定基準を記載する。スタッカクレーンの能力確認条件は,6.2による。
2) 能力確認時の総合試運転条件,手段及び判定基準を記載する。システム処理能力確認条件は,6.4
による。
d) 騒音測定 設備仕様書に騒音の条件が記載されている場合は,JIS Z 8737-2による。測定時に使用す
る条件は,次による。
1) 立体自動倉庫の格納率
2) 測定に使用した荷の種類及び質量
3) スタッカクレーンの動作パターン
4) 測定点の位置

9 取扱説明書及び表示事項

9.1 取扱説明書の作成

  安全に操作及び保守点検ができるように取扱説明書を作成する。記載する情報は,次による。
a) 取扱時の注意事項 取扱時における安全に使用するための注意事項を記載する。
b) 操作手順 操作手順の記載は,次による。
1) 非常停止機器の配置及び停止範囲
2) 自動運転操作手順
3) 手動運転操作手順
4) 異常復旧時に,保護装置(非常停止機能,インタロック機能など)が作動した原因が排除され,正
常な状態に復旧されていることを確認する手順
5) 非常時の脱出手段を必要とする場所がある場合は,場所,対象とする事態及び脱出手順
c) 保守点検要領 保守点検要領の記載は,次による。
1) 定期点検作業(作業開始前点検又は定期自主検査)を実施する間隔,点検内容及び点検方法
2) 保守点検作業時の注意事項
3) 交換部品の点検周期,交換の目安及び/又は使用限度
4) 給脂箇所,推奨油脂及び給脂周期
5) 潤滑油交換箇所,推奨潤滑油及び交換周期

――――― [JIS B 8942 pdf 20] ―――――

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JIS B 8942:2012の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 8942:2012の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB8941:2012
立体自動倉庫システム―用語
JISB8943:2012
立体自動倉庫システム―スタッカクレーン設計通則
JISB9700-1:2004
機械類の安全性―設計のための基本概念,一般原則―第1部:基本用語,方法論
JISB9700-2:2004
機械類の安全性―設計のための基本概念,一般原則―第2部:技術原則
JISB9702:2000
機械類の安全性―リスクアセスメントの原則
JISB9703:2019
機械類の安全性―非常停止機能―設計原則
JISB9705-1:2019
機械類の安全性―制御システムの安全関連部―第1部:設計のための一般原則
JISB9707:2002
機械類の安全性―危険区域に上肢が到達することを防止するための安全距離
JISB9708:2002
機械類の安全性―危険区域に下肢が到達することを防止するための安全距離
JISB9710:2019
機械類の安全性―ガードと共同するインターロック装置―設計及び選択のための原則
JISB9711:2002
機械類の安全性―人体部位が押しつぶされることを回避するための最小すきま
JISB9713-1:2004
機械類の安全性―機械類への常設接近手段―第1部:高低差のある2か所間の固定された昇降設備の選択
JISB9713-2:2004
機械類の安全性-機械類への常設接近手段-第2部:作業用プラットフォーム及び通路
JISB9713-3:2004
機械類の安全性―機械類への常設接近手段―第3部:階段,段ばしご及び防護さく(柵)
JISB9713-4:2004
機械類の安全性―機械類への常設接近手段―第4部:固定はしご
JISB9714:2006
機械類の安全性―予期しない起動の防止
JISB9715:2013
機械類の安全性―人体部位の接近速度に基づく安全防護物の位置決め
JISB9960-1:2019
機械類の安全性―機械の電気装置―第1部:一般要求事項
JISB9960-32:2011
機械類の安全性―機械の電気装置―第32部:巻上機械に対する要求事項
JISB9961:2008
機械類の安全性―安全関連の電気・電子・プログラマブル電子制御システムの機能安全
JISC8201-5-1:2007
低圧開閉装置及び制御装置―第5部:制御回路機器及び開閉素子―第1節:電気機械式制御回路機器
JISZ8737-2:2000
音響―作業位置及び他の指定位置における機械騒音の放射音圧レベルの測定方法―第2部:現場における簡易測定方法