JIS K 0070:1992 化学製品の酸価,けん化価,エステル価,よう素価,水酸基価及び不けん化物の試験方法

JIS K 0070:1992 規格概要

この規格 K0070は、油脂製品,その誘導体及びこれらを含有する化学製品の酸価,けん化価,エステル価,よう素価,水酸基価及び不けん化物を試験する場合の一般的な方法について規定。

JISK0070 規格全文情報

規格番号
JIS K0070 
規格名称
化学製品の酸価,けん化価,エステル価,よう素価,水酸基価及び不けん化物の試験方法
規格名称英語訳
Test methods for acid value, saponification value, ester value, iodine value, hydroxyl value and unsaponifiable matter of chemical products
制定年月日
1966年8月1日
最新改正日
2017年10月20日
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対応国際規格

ISO

国際規格分類

ICS

71.040.40
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
化学分析 2021
改訂:履歴
1966-08-01 制定日, 1969-08-01 確認日, 1972-07-01 確認日, 1975-08-01 確認日, 1978-08-01 確認日, 1984-02-01 確認日, 1989-06-01 確認日, 1992-05-01 改正日, 2003-05-20 確認日, 2007-11-20 確認日, 2012-10-22 確認日, 2017-10-20 確認
ページ
JIS K 0070:1992 PDF [13]
                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
K 0070-1992

化学製品の酸価,けん化価,エステル価,よう素価,水酸基価及び不けん化物の試験方法

Test methods for acid value, saponification value,ester value, iodine value, hydroxyl value andunsaponifiable matter of chemical products

1. 適用範囲 この規格は,主として油脂製品,その誘導体及びこれらを含有する化学製品の酸価,けん
化価,エステル価,よう素価,水酸基価及び不けん化物を試験する場合の一般的な方法について規定する。
備考1. 化学製品は,化学反応によって生成する物質全般を指すが,個別の製品又は製品群の規格に
おいて,この規格と異なる試験方法を規定している場合は,その規格に規定する方法による。
2. この規格の引用規格を,付表1に示す。
2. 一般事項
2.1 用語の定義 この規格で用いる用語の定義は,JIS K 0050及びJIS K 0211によるほか,次のとおり
とする。
(1) 酸価 試料1g中に含有する遊離脂肪酸,樹脂酸などを中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg
数。
(2) けん化価 試料1gを完全にけん化するのに必要とする水酸化カリウムのmg数。
(3) エステル価 試料1g中に含まれるエステルを完全にけん化するのに必要とする水酸化カリウムのmg
数。
(4) よう素価 試料100gにハロゲンを反応させたとき,結合するハロゲンの量をよう素のg数に換算した
値。
(5) 水酸基価 試料1gをアセチル化させたとき,水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化
カリウムのmg数。
また,水酸基価は,ヒドロキシル価ともいう。
(6) 不けん化物 試料をけん化した後,ジエチルエーテルによって抽出される物質の試料に対する百分率。
2.2 共通事項 試験に共通する一般事項は,JIS K 0050及びJIS K 0113によって,ガラス器具は,JIS R
3503による。数値の丸め方はJIS Z 8401による。
3. 酸価 測定方法には,中和滴定法と電位差滴定法とがある。
備考 電位差滴定法で測定値に差がある場合は,中和滴定法を採用する。

――――― [JIS K 0070 pdf 1] ―――――

2
K 0070-1992
3.1 中和滴定法
(1) 要旨 試料を溶剤に溶かし,指示薬としてフェノールフタレインを加え,水酸化カリウムエタノール
溶液で滴定して酸価を求める。
(2) 試薬 試薬は,次のとおりとする。
(a) 0.1mol/l塩酸 JIS K 8001の4.5(5.5)[0.1mol/l塩酸 (3.646gHCl/l)]による。
(b) 0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液 JIS K 8574に規定する水酸化カリウム7gを5mlの水に溶
かし,JIS K 8102に規定するエタノール (95) を加えて1lとし,二酸化炭素をさえぎって,23日
間放置した後,上澄みを取るか又はろ過して耐アルカリ性の瓶に保存する。
標定は,0.1mol/l塩酸25mlを全量ピペットを用いて三角フラスコに取り,フェノールフタレイン
溶液を加え,0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し,中和に要した量からファクターを
求める。
(c) フェノールフタレイン溶液 JIS K 8001の4.3(指示薬)による。
(d) 溶剤 JIS K 8103に規定するジエチルエーテルとJIS K 8101に規定するエタノール (99.5) を体積
比で1 : 1又は2 : 1で混合したもの(1)。
これらは,使用直前にフェノールフタレイン溶液を指示薬として数滴加え,0.1mol/l水酸化カリ
ウムエタノール溶液で中和する。
注(1) 溶剤に溶解しにくい試料の場合には,ジエチルエーテルの配合比の多いものを用いる。溶剤の
エタノールをJIS K 8839に規定する2-プロパノールなどに代替することができる。
(3) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。
(a) 三角フラスコ 300ml
(b) ビュレット 25ml
(c) 水浴又は熱板
(4) 操作 操作は,次のとおり行う。
(a) 試料を表1によって三角フラスコに量り取る。
(b) 溶剤100ml及び指示薬としてフェノールフタレイン溶液数滴加え,水浴上で試料が完全に溶けるま
で十分に振り混ぜる。
(c) 0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液で滴定(2)し,指示薬のうすい紅色が30秒間続いたときを終
点とする。
注(2) 酸価が100以上の場合は,4.1(2)(b)に規定する0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液で滴定す
る。
表1 試料量
酸価 試料量
g
5 未満 20
5以上 15未満 10.0
15以上 30未満 5.00
30以上 100未満 2.00
100以上 1.000
(5) 計算 酸価は,次の式によって算出する。
B f .5611
A=
S

――――― [JIS K 0070 pdf 2] ―――――

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K 0070-1992
ここに, A : 酸価
B : 滴定に用いた0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液の量
(ml)
f : 0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液のファクター
S : 試料の質量 (g)
5.611 : 水酸化カリウムの式量56.11×101
備考1. 試料が強く着色している場合には,次の方法のいずれかを用いる。
(a) 指示薬としてアルカリブルー6B,チモールフタレインなどを用いる。
(b) フェノールフタレイン試験紙を液外指示薬として用いる。
(c) 側管のある三角フラスコを用い,側管内の色の変化で終点を決定する。
(d) 高濃度のアルカリ溶液を用いて滴定する。
(e) 試料採取量を少量とし,溶剤を多量に用いる。
(f) 試料を溶剤50mlに溶かし,塩化ナトリウム飽和溶液1020mlを加えた後,フェノールフタ
レイン溶液を指示薬として加えて滴定し,十分振り混ぜ,塩化ナトリウム溶液層の着色が30
秒間消えないときを終点とする。
2. 試料中に無機酸が混入している場合には,水浴上で加熱しながら試料の2倍量の水を加えて
振り混ぜ,水にぬらしたろ紙でろ過して無機酸を除去して試料とする。ただし,水に可溶な
脂肪酸,ナフテン酸なども除去されるので,注意が必要である。
3. 油脂中の遊離脂肪酸の含有量を求める場合には,一般にオレイン酸として表すが,やし油,
パーム核油の場合はラウリン酸,パーム油の場合はパルミチン酸,ヒマシ油の場合はリシノ
ール酸,なたね油の場合はエルカ酸として表すことが多い。
遊離脂肪酸の含有量は,次の式によって算出する。
C=A×Fa
ここに, C : 遊離脂肪酸の含有量 (%)
A : 酸価
Fa : 酸価1に相当する遊離脂肪酸の換算係数(表2による。)
表2 遊離脂肪酸の換算係数
表示遊離脂肪酸 Fa
ラウリン酸として 0.356
パルミチン酸として 0.456
オレイン酸として 0.503
リシノール酸として 0.530
エルカ酸として 0.602
3.2 電位差滴定法
(1) 要旨 試料を溶剤に溶かし,電位差滴定装置を用い,水酸化カリウムエタノール溶液で電位差滴定を
行って酸価を求める。
(2) 試薬 3.1 (2) による。
(3) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。
(a) 電位差滴定装置 指示電極にガラス電極,参照電極にカロメル電極を使用する。
(b) ビーカー 300ml
(c) メスシリンダー 100ml
(d) 水浴又は熱板

――――― [JIS K 0070 pdf 3] ―――――

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K 0070-1992
(4) 操作 操作は,次のとおりに行う。
(a) 試料を表1によってビーカーに量り取る。
(b) 溶剤100mlを加えて,水浴上で試料が完全に溶けるまで振り混ぜる。
(c) 電位差滴定装置を用いて,0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液で電位差滴定を行い,得られた
滴定曲線の変曲点を終点とする。
(5) 計算 3.1(5)による。
4. けん化価 測定方法には,中和滴定法と電位差滴定法とがある。
4.1 中和滴定法
備考 電位差滴定法と中和滴定法で測定値に差がある場合には,中和滴定法を採用する。
(1) 要旨 試料に水酸化カリウムエタノール溶液を加え,加熱して,冷却後,指示薬としてフェノールフ
タレイン溶液を加え,塩酸で滴定してけん価を求める。
(2) 試薬 試薬は,次のとおりとする。
(a) 0.5mol/l塩酸 JIS K 8001の4.5(5.3)[0.5mol/l塩酸 (18.23gHCl/l) ]による。
(b) 0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液(3) IS K 8574に規定する水酸化カリウム35gを20mlの水
に溶かし,JIS K 8102に規定するエタノール (95) を加えて1lとする。二酸化炭素をさえぎって,2
3日放置した後,上澄み液を取るか又はろ過して耐アルカリ性の瓶に保存する。
注(3) IS K 8001の4.5 (18.2) [0.5mol/l水酸化カリウム・エタノール溶液 (28.05gKOH/l) ]に規定す
るものを使用してもよい。
(c) フェノールフタレイン溶液 3.1(2)(c)による。
(3) 器具 器具は,次のとおりとする。
(a) 三角フラスコ 200300ml
(b) 空気冷却器 外径68mm,長さ100cmのガラス管又は還流冷却器で,いずれも三角フラスコの口
にすり合わせ接続できるもの。
(c) 水浴,砂浴又は熱板 約80℃の温度に調節できるもの。
(d) ビュレット 50ml
(e) 全量ピペット 25m1
(4) 操作 操作は,次のとおり行う。
(a) 試料1.52.0g(4)を三角フラスコに1mgのけたまで量り取る。
注(4) 試料の採取量は,試料の滴定に必要な0.5mol/l塩酸の容量が空試験に必要な容量の半分に近い量
とする。
(b) 0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液25mlを全量ピペットを用いて加える。
(c) 三角フラスコに空気冷却器を取り付け,ときどき内容物を振り混ぜながら30分間水浴,砂浴又は熱
板上で穏やかに加熱して反応させる。加熱するときは,還流するエタノールの環が空気冷却器の上
端に達しないように加熱温度を調節する。
(d) 反応が終わった後,直ちに冷却し,内容物が寒天状に固まらないうちに空気冷却器の上から少量の
水を吹き付けてその内壁を洗浄した後,空気冷却器を外す。
(e) 指示薬としてフェノールフタレイン溶液1mlを加えて,0.5mol/l塩酸で滴定し,指示薬のうすい紅
色が約1分間現れなくなったときを終点とする。
(f) 空試験は,試料を入れないで(a)(e)を行う。

――――― [JIS K 0070 pdf 4] ―――――

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K 0070-1992
(5) 計算 けん化価は,次の式によって算出する。
(B−C) f 28.05
A=
S
ここに, A : けん化価
B : 空試験に用いた0.5mol/l塩酸の量 (ml)
C : 滴定に用いた0.5mol/l塩酸の量 (ml)
f : 0.5mol/l塩酸のファクター
S : 試料の質量 (g)
28.05 : 水酸化カリウムの式量56.11×21
4.2 電位差滴定法
(1) 要旨 試料に水酸化カリウムエタノール溶液を加え,加熱して,冷却後,電位差滴定装置を用い,塩
酸で電位差滴定を行ってけん化価を求める。
(2) 試薬 4.1(2)による。
(3) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。
(a) 電位差滴定装置 3.2(3)(a)による。
(b) 平底フラスコ 250ml広口円すい(錐)型,フラスコの口ですり合わせ接合できる長さ1mの空気
冷却管付のもの。
(c) 水浴,砂浴又は熱板及び全量ピペット 4.1(3)による。
(4) 操作 操作は,次のとおり行う。
(a) 試料1.52.0g(4)を平底フラスコに1mgのけたまで量り取る。
(b) 0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液25mlを全量ピペットを用いて加える。
(c) 平底フラスコに空気冷却器を取り付け,ときどき内容物を振り混ぜながら30分間穏やかに加熱して
反応させる。この場合は,還流するエタノールの環が空気冷却器の上端に達しないように加熱温度
を調節する。
(d) 反応が終わった後,内容物が寒天状に固まらないうちに空気冷却器の上から少量の水を吹き付けて
その内壁を洗浄し,空気冷却器を外す。
(e) 平底フラスコにエタノール (95) 25mlを加える。
(f) 電位差滴定装置を用い,0.5mol/l塩酸で電位差滴定を行い,得られた滴定曲線の変曲点を終点とす
る。
(g) 空試験は,試料を入れないで(b)(f)を行う。
(5) 計算 4.1(5)による。
5. エステル価 3.及び4.から,次の式によって算出する。
A=B−C
ここに, A : エステル価
B : けん化価
C : 酸価
6. よう素価 次によって試験を行う。
(1) 要旨 試料を四塩化炭素又はシクロヘキサンに溶かした後,一塩化よう素溶液を加え,暗所に放置後,
よう化カリウム及び水を加え,チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し,溶液の色がうすい黄色になったと

――――― [JIS K 0070 pdf 5] ―――――

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