JIS K 0087:1998 規格概要
この規格 K0087は、排ガス中のピリジンを分析する方法について規定。
JISK0087 規格全文情報
- 規格番号
- JIS K0087
- 規格名称
- 排ガス中のピリジン分析方法
- 規格名称英語訳
- Methods for determination of pyridine in flue gas
- 制定年月日
- 1975年10月1日
- 最新改正日
- 2017年10月20日
- JIS 閲覧
- ‐
- 対応国際規格
ISO
- 国際規格分類
ICS
- 13.040.40, 71.040.40
- 主務大臣
- 経済産業
- JISハンドブック
- 環境測定 I-1 2021, 環境測定 I-2 2021, 環境測定 II 2021
- 改訂:履歴
- 1975-10-01 制定日, 1979-01-01 確認日, 1983-02-01 改正日, 1988-04-01 確認日, 1994-06-01 確認日, 1998-03-20 改正日, 2003-04-20 確認日, 2008-01-20 確認日, 2012-10-22 確認日, 2017-10-20 確認
- ページ
- JIS K 0087:1998 PDF [9]
日本工業規格(日本産業規格) JIS
K 0087 : 1998
排ガス中のピリジン分析方法
Methods for determination of pyridine in flue gas
1. 適用範囲 この規格は,排ガス中のピリジンを分析する方法について規定する。
備考1. この規格において,排ガスとは,各種化学製品の製造工程,燃焼,その他の化学反応,ピリ
ジンなどを使用する作業工程などにおいて,煙道,煙突,ダクトなどに排出されるガスをい
う。
2. この規格の引用規格を付表1に示す。
2. 共通事項 化学分析に共通する事項,排ガスの試料採取方法,吸光光度分析方法及びガスクロマトグ
ラフ分析方法に共通する事項については,それぞれJIS K 0050,JIS K 0095,JIS K 0115及びJIS K 0114
による。
3. 分析方法の種類及び概要 分析方法の種類及び概要は表1のとおりとする。
表1 分析方法の種類及び概要
分析方法の種類 分析方法の概要 適用条件
要旨 試料採取 定量範囲
volppm
ジアミノスチルベン−ジ 試料ガス中のピリジンを希硫酸に吸収さ 吸収瓶法 0.1 5.1.1による。
スルホン酸吸光光度法せたのち,4, 4'−ジアミノスチルベン−2, 吸収液 : 試料ガス
2'−ジスルホン酸溶液と臭化シアン溶液 0.01mol/l 20lの場合
を加えて発色させ,吸光度 (490nm) から 硫酸溶液 (1)
ピリジンを定量する。 20ml×2
ガスクロマトグラフ法真空捕集瓶に採取した試料ガス中のピリ 真空フラスコ法 0.6
ジンを硫酸水溶液に吸収させ,二硫化炭 吸収液 : 試料ガス
素に抽出した後,水素炎イオン化検出器 0.01mol/l 1lの場合
硫酸溶液
を備えたガスクロマトグラフに導入して (2)
得られたクロマトグラムからピリジンを 50ml
定量する。
注(1) 定量範囲は,吸光光度法では1020lを採取し,吸収液を200mlに薄めて,分析用試料溶液とした場合。
(2) 真空フラスコの容量1lを採取し,二硫化炭素1mlに抽出した場合。
4. 試料ガス採取方法 試料ガス採取方法は吸収瓶法及び真空フラスコ法による。試料ガスの採取位置は
代表的なガスが採取できる点を選び,同一採取位置において近接した時間内で原則として2回以上採取し,
それぞれ分析する。
4.1 吸収瓶法 この方法は吸光光度法に適用する。
4.1.1 試薬及び試薬溶液の調製方法
――――― [JIS K 0087 pdf 1] ―――――
2
K 0087 : 1998
(1) 試薬
(a) 水 JIS K 0557に規定する種別A2のもの。
(b) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。
(2) 試薬溶液(吸収液)の調製方法
(a) 吸収液 : 硫酸(約0.01mol/l) 硫酸1gを水で1lに希釈したもの。
4.1.2 器具及び装置 器具及び装置は,次のとおりとする。
(1) 吸収瓶 容量100mlでJIS K 0095の図3(吸収瓶の例)(a)に例示するものを二つ連結して用いる。
(2) 試料ガスの採取装置 図1に例示する構成で,次の条件を備えていなければならない。
(a) 採取管は,排ガス中のピリジンと化学反応を起こさず,またこれを吸着せず,かつ排ガス温度に耐
えられるような材質,例えばガラス管,石英ガラス管,ステンレス鋼管,ふっ素樹脂管などを用い
る。
(b) 排ガス中のダストが混入するのを防ぐため,採取管の先端に適当なろ過材,例えば石英ウールなど
を詰める。
(c) 採取管から吸収瓶の間の接続部分は,ガラスすり合わせ管,シリコーンゴム管を用いる。
図1 吸収瓶法の試料ガス採取装置(一例)
4.1.3 試料ガスの採取 次の手順によって行う。ここに示す装置の記号は図1による。
(1) 吸収瓶 (H1) に吸収液20ml,吸収瓶 (H2) に吸収液20mlをそれぞれに入れる。
(2) 流路切替コック(R1及びR2)をバイパス側に回したのち,吸引ポンプ (L) を作動させて配管内(B
――――― [JIS K 0087 pdf 2] ―――――
3
K 0087 : 1998
R1まで)を試料ガスで置換する。
(3) 吸引ポンプ (L) を停止させたのち,流路切替コック(R1及びR2)を吸収瓶(H1及びH2)側に回す。
次にガスメータ (M) の指示 (V1) を0.01lのけたまで読み取る。
(4) 吸引ポンプ (L) を作動させ試料ガスを吸収瓶(H1及びH2)に通す。このとき流量調節コック(P1及
びP2)を操作して,吸引流量0.1l/min程度とする。
試料ガス約10lを採取したのち,吸引ポンプ (L) を停止し,流路切替コック(R1及びR2)を閉じ,
ガスメータ (M) の指示 (V2) を0.01lのけたまで読み取る。同時に温度計 (N) 及びマノメータ (Q) の
指示値を記録する。また大気圧を測定しておく。
(5) 試料ガス中の水分の量は,必要に応じてJIS Z 8808の6.(排ガス中の水分量の測定)に準じて測定す
る。
(6) 試料ガスの採取量の算出 JIS K 0095の5.1.7(試料ガス採取量)によって,標準状態 (0℃,101.32kPa)
の乾きガス量 (VSD),又は湿りガス量 (VSW) を求める。
4.2 真空フラスコ法 ガスクロマトグラフ法に適用する。
4.2.1 試薬
(1) 試薬
(a) 水 JIS K 0557に規定する種別A2のもの。
(b) りん酸 JIS K 9005に規定するもの。
(c) アセトン JIS K 8034に規定するもの。
4.2.2 器具及び装置 器具及び装置は次のとおりとする。
(1) 真空捕集瓶容量1lでJIS K 0095の図4(b-2)(真空捕集瓶)に例示するもので,水を満たしたときの質
量からJIS K 0095に準じて内容積 (VSD) を求めておく(3)(4)。
注(3) 図2に示したものは,使用する際グリースが真空フラスコに入らないように注意する。
(4) 内部をあらかじめ0.01mol/lりん酸−アセトン溶液で洗浄し,乾燥させておく。
(2) 試料ガスの採取装置 図2に例示する構成で,4.1.2(2)(a)(c)に示す条件を備えていなければならない。
――――― [JIS K 0087 pdf 3] ―――――
4
K 0087 : 1998
図2 真空フラスコ法の試料ガス採取装置(一例)
4.2.3 試料ガスの採取 JIS K 0095の5.4.5(試料ガスの採取)による。
(1) 試料ガスの採取量の計算 JIS K 0095の5.4.6(試料ガス採取量)によって,標準状態 (0℃,101.32kPa)
の乾きガス量 (VSD),又は湿りガス量 (VSW) を求める。
5. 定量方法
5.1 ジアミノスチルベン−ジスルホン酸吸光光度法
5.1.1 適用条件 この方法は,試料ガス中に 懿 ピコリンがピリジンと同濃度以下,拿 ピコリンが101の濃
度以下の場合に適用する。
5.1.2 試薬及び試薬溶液の調製方法
(1) 試薬
(a) 水 JIS K 0557に規定する種別A2のもの。
(b) 塩酸 JIS K 8180に規定するもの。
(c) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。
(d) 臭化シアン
(e) 四ほう酸ナトリウム(ほう砂) JIS K 8866に規定するもの。
(f) 酢酸ナトリウム(3水和物) JIS K 8371に規定するもの。
(g) エタノール JIS K 8101に規定するもの。
(h) 4, 4'−ジアミノスチルベン−2, 2'−ジスルホン酸
(i) ピリジン JIS K 8777に規定するもの。
――――― [JIS K 0087 pdf 4] ―――――
5
K 0087 : 1998
(2) 試薬溶液の調製方法
(a) 4, 4'−ジアミノスチルベン−2, 2'−ジスルホン酸溶液 4, 4'−ジアミノスチルベン−2, 2'−ジスルホ
ン酸1.0gを水約20mlに乳化分散させ,これを酢酸ナトリウム溶液 (30W/V%) 30mlにかき混ぜなが
ら少量ずつ加えて溶かし,エタノールを加えて100mlとしたもの(調製後1か月以上過ぎたものは
使用しない。)。
(b) 臭化シアン溶液 臭化シアン1.5gを水に溶かして100mlとしたもの(調製後1か月以上過ぎたもの
は使用しない。)。
(c) 四ほう酸ナトリウム緩衝液 四ほう酸ナトリウム十水和物38gを水950mlに溶かし,塩酸を加えて
pH7.8とした後,水を加えて1lとしたもの。
(d) ピリジン検量線用溶液 ピリジン1.00mlを水に溶かして1lとし,この1.8mlをとり0.01mol/l硫酸
溶液を加えて1lとしたもの。この溶液1mlは,0.0005ml (C5H5N [0℃,101.32kPa]) に相当する。
5.1.3 分析用試料溶液の調製 4.1.3の操作を終えたのち,第一吸収瓶 (H1) 中の吸収液を全量フラスコ
200mlに移し,第一吸収瓶内を第二吸収瓶 (H2) 中の吸収液で洗って全量フラスコに合わせ,さらに新し
い吸収液を用いてこの洗浄操作を繰り返し,吸収液を標線まで加える。これを分析用試料溶液とする(5)。
注(5) 採取するガスの温度が高い場合は,吸収瓶を氷水などを入れた溶液に入れておく。
5.1.4 操作 操作は次のとおりとする。
(1) 全量フラスコ50mlに5.1.3で調製した分析用試料溶液25mlをとる。
(2) これに四ほう酸ナトリウム緩衝液15ml,4, 4'−ジアミノスチルベン−2, 2'−ジスルホン酸溶液3mlを
加え,更に臭化シアン溶液3mlを加えた後,緩衝液を標線まで加える。
恒温水槽を用い一定温度で3060分間放置する(6)。
注(6) 発色は放置時間とともに大きくなり,その後減少する。極大値に達する時間は,反応温度その
他により異なり,液温20℃では約60分,30℃では約20分であるので,発色試薬添加後の放置時
間及び温度は,検量線作成のときと同一条件にしなければならない。
(3) 波長490nm付近の吸光度を空試験液を対照として測定する(7)。
注(7) 使用済み発色液はシアン化合物が含まれているので,廃液処理には特に注意すること。
(4) あらかじめ作成した検量線から,ピリジン量を求める。
5.1.5 検量線の作成 ピリジン検量線用溶液520mlを全量フラスコ50mlに段階的(例えば5,10,15,
20ml)にとり,5.1.4(2)及び(3)と同様の操作を行い,ピリジン量 (ml) と吸光度の関係線を作成する(7)。
備考 空試験液は,硫酸 (0.01mol/l) 25mlを全量フラスコ50mlにとり,5.1.4(2)と同様の操作を行い,
調製する。
5.1.6 計算 次の式によって試料ガス中のピリジン濃度を算出し,有効数字2けたに丸める。
200 VA
C= 1 000
25 SD
注(8) 全量フラスコ50ml中のピリジン量(気体として)
ここに, C : 排ガス中のピリジン濃度 (volppm)
A : 検量線から求めたピリジン量 (ml)
VSD : 4.1.3(6)で求めた試料ガス採取量 (l)
5.2 ガスクロマトグラフ法
5.2.1 試薬及び試薬溶液の調製方法
(1) 試薬
――――― [JIS K 0087 pdf 5] ―――――
次のページ PDF 6
JIS K 0087:1998の国際規格 ICS 分類一覧
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.040 : 気質 > 13.040.40 : 固定施設からの発生ガス
JIS K 0087:1998の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK0050:2019
- 化学分析方法通則
- JISK0095:1999
- 排ガス試料採取方法
- JISK0114:2012
- ガスクロマトグラフィー通則
- JISK0115:2004
- 吸光光度分析通則
- JISK0115:2020
- 吸光光度分析通則
- JISK0512:1995
- 水素
- JISK0557:1998
- 用水・排水の試験に用いる水
- JISK8034:2006
- アセトン(試薬)
- JISK8101:2006
- エタノール(99.5)(試薬)
- JISK8180:2015
- 塩酸(試薬)
- JISK8180:2021
- 塩酸(試薬)
- JISK8371:2006
- 酢酸ナトリウム三水和物(試薬)
- JISK8576:2019
- 水酸化ナトリウム(試薬)
- JISK8732:2011
- 二硫化炭素(試薬)
- JISK8777:2017
- ピリジン(試薬)
- JISK8866:2008
- 四ほう酸ナトリウム十水和物(試薬)
- JISK8951:2006
- 硫酸(試薬)
- JISK9005:2006
- りん酸(試薬)