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K 0098 : 2016
光イオン化検出器の場合は,7.1.2 a)の純度99.999 9 vol %以上のヘリウムを,メタン化反応装置及び水
素炎イオン化検出器の場合は,7.1.2 a)のヘリウム,7.1.2 b)の窒素又は7.1.2 c)の水素を用いる。特にメ
タン化反応装置及び水素炎イオン化検出器を用いて高感度の測定を行う際には純度99.999 9 %以上の
キャリヤーガスを使用する。
d) 検出器用ガス 各検出器に用いるガスは,次による。
1) 熱伝導度検出器用付加ガス キャリヤーガスと同種のものを用いる。
2) 光イオン化検出器用ガス キャリヤーガスと同種のものを用いる。
3) メタン化反応装置及び水素炎イオン化検出器用ガス
3.1) 付加ガス 7.1.2 a)のヘリウム又は7.1.2 b)の窒素を用いる2)。
3.2) 水素ガス 7.1.2 c)の水素を用いる。
3.3) 助燃ガス 7.1.2 d)の酸素又は7.1.2 e)の高純度空気を用いる。
注2) 一般的に,窒素を用いた方が感度がよい。
e) データ処理装置 データ処理装置は,クロマトグラム,保持時間,ピーク面積,ピーク高さなどを測
定及び表示できなければならない。データ処理ソフトによる場合は,処理が正しい結果を与えること
が検証されたものを用いる。
f) 記録装置 記録装置は,クロマトグラムを記録するものであり,必要に応じて取り付ける。
7.1.4 ガスクロマトグラフの操作条件
7.1.4.1 試料導入部の条件
試料導入部の条件は,用いるカラムの種類及び機器によって最適条件が異なる場合があるので,各機器
の操作手引書を参考に最適化する。設定条件の例を次に示す。
a) 充カラム
1) ガスタイトシリンジによる場合 試料導入部温度は,50200 ℃程度に設定する。試料注入量は,
0.13 mL程度とする。
2) 気体試料導入装置による場合 気体試料導入装置の設定温度は,室温程度に設定する。カラム温度
が気体試料導入装置の温度に影響を与える場合は,200 ℃程度まで設定してもよい。試料注入量は,
0.13 mL程度とする。
b) キャピラリーカラム
1) ガスタイトシリンジによる場合 試料導入部温度は,50200 ℃程度に設定する。試料注入量は,
0.13 mL程度とする。カラムの内径に応じて適宜スプリット注入を行う。
2) 気体試料導入装置による場合 試料導入部温度及び気体試料導入装置の設定温度は,室温程度に設
定する。カラム温度が試料導入部及び気体試料導入装置の温度に影響を与える場合は,200 ℃程度
まで設定してもよい。試料注入量は,0.13 mL程度とする。カラムの内径に応じて適宜スプリッ
ト注入を行う。
7.1.4.2 カラム条件の例
カラム条件は,7.1.3.2 a)のカラムの分離性能が十分発揮できるカラム温度及びキャリヤーガス流量とす
る。特に光イオン化検出器を使用する場合は共存物質の影響を受けやすいため,窒素などと一酸化炭素と
の間で十分なピークの分離を確保しておく必要がある。カラム条件の例を,表3に示す。
――――― [JIS K 0098 pdf 11] ―――――
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表3−カラム条件の例
カラムの種類 分析条件
カラム温度 ℃ b) キャリヤーガスc) 流量 mL/min
充カラムa) 30300 ヘリウム,窒素又は水素 560
吸着形キャピラリーカラム 30300 ヘリウム,窒素又は水素 210
注a) 流量515 mL/min,内径2 mm以下のものはマイクロパックドカラムとも呼ばれている。
b) IDで低濃度を分析する場合,昇温分析が望ましい。
c) 検出器がPIDの場合,キャリヤーガスはヘリウムを使用する。
7.1.4.3 検出器の操作条件
各機器の温度及びガス流量を最適な条件に設定する。用いるカラムの種類及び機器によって最適条件が
異なる場合があるので,各機器の操作手引書を参考に最適化する。操作条件の例を,次に示す。
a) 充カラム
1) 熱伝導度検出器による場合 条件例 検出器温度 : 100200 ℃
2) 光イオン化検出器による場合 条件例 検出器温度 : 100350 ℃,検出器ガス流量 : 20100 mL/min
3) メタン化反応装置及び水素炎イオン化検出器による場合 条件例 検出器温度 : 100250 ℃,助燃
ガス流量 : 200400 mL/min
メタン化反応装置 温度 : 350450 ℃,水素ガス流量 : 3050 mL/min
b) キャピラリーカラム
1) 熱伝導度検出器による場合 条件例 検出器温度 : 100200 ℃,付加ガス流量 : 845 mL/min
2) 光イオン化検出器による場合 条件例 検出器温度 : 100350 ℃,検出器ガス流量 : 20100 mL/min
3) メタン化反応装置及び水素炎イオン化検出器による場合 条件例 検出器温度 : 100250 ℃,付加
ガス流量 : 3045 mL/min,助燃ガス流量 : 200400 mL/min
メタン化反応装置 温度 : 350450 ℃,水素ガス流量 : 3050 mL/min
7.1.5 定量操作
定量操作は,次による。
a) ガスクロマトグラフを測定可能な状態にし,7.1.4の分析条件に合わせてカラム温度を設定し,カラム
にキャリヤーガスを一定の流量で流しておく。
b) ガスクロマトグラフへの分析試料ガスの導入は,次のいずれかによる。
1) ガスタイトシリンジによる場合 注射筒又は捕集バッグの開口部を,例えば,シリコーンゴムで密
栓をし,ガスタイトシリンジに取り付けたニードル(針)を栓に貫通させ,試料ガスの採取及び大
気中放出を何回か繰り返した後(共洗い),分析用試料ガスを採取し,ガスクロマトグラフに直接導
入する。
2) 気体試料導入装置による場合 図5の試料導入の状態で,注射筒又は捕集バッグの開口部を図5の
気体試料導入装置の試料採取部(試料IN)に接続する。気体試料導入装置のバルブを切り替えると
ともに,計量管容量の5倍以上の試料ガスの量を計量管に通過させて,計量管を試料ガスで満たし
た後,気体試料導入装置のバルブを切り替えて,計量管中の分析用試料ガスをガスクロマトグラフ
に導入する。
c) 試料ガスを導入後,適切な時間のクロマトグラムを記録する。
d) クロマトグラム上の一酸化炭素に相当するピークについて,ピーク面積又はピーク高さを求める。
e) 7.1.6の検量線から,試料ガス中の一酸化炭素の質量(ng)を求める。
――――― [JIS K 0098 pdf 12] ―――――
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7.1.6 検量線の作成
検量線の作成は,次による。
a) 検量線の作成は,試料ガスの測定時と同じ室温及び気圧下で行う。
b) ガスクロマトグラフの分析条件及び検出器の操作条件に従って装置を設定する。
c) 捕集バッグ,真空捕集瓶などに適切な濃度の検量線用ガスを調製したもの,又は市販の標準ガスを
7.1.5 b)と同様の操作によって導入し,クロマトグラムを記録する。この操作は,1日の分析の始め又
は分析条件が変わったときには,少なくとも1回行うことが望ましい。
d) 検量線用ガス中の一酸化炭素のピーク面積又はピーク高さを測定し,一酸化炭素の質量(ng)とピー
ク面積又はピーク高さとの検量線を作成する。
7.1.7 一酸化炭素濃度の算出
試料ガス中の一酸化炭素の濃度算出は,次の式による。
.0800 A 10 6 106
Cv
273.15 P
V
273.15 t 101.32
A
Cw .125 Cv
273.15 P
V
273.15 t 101.32
ここに, Cv : 試料ガス中の一酸化炭素の体積分率(vol ppm)
Cw : 試料ガス中の一酸化炭素の濃度(mg/m3)
A : 検量線で求めた分析用試料ガス中の一酸化炭素の質量(ng)
V : 試料ガス注入量(mL)
t : 試料ガス測定時の温度(℃)
P : 試料ガス測定時の大気圧(kPa)
0.800 : 一酸化炭素1 mgに相当する一酸化炭素の体積(mL)
1.25 : 一酸化炭素1 vol ppmに相当する質量濃度(mg/m3)
10−6 : 質量の単位をngからmgに変換する係数
106 : mL/mLをvol ppmへ変換する係数
273.15 : 0 ℃に対応する絶対温度(K)
101.32 : 標準大気圧(kPa)
7.2 検知管法
7.2.1 適用条件
この方法は反応試薬の種類によって,妨害成分又は干渉成分が異なるので,用いる検知管に関する指示
事項に従って使用する3)。概略の分析値を得るときに適用する。
注3) 検知管の反応には大きく分けてパラジウム塩との反応と五酸化二よう素との反応の2種類があ
る。前者は感度が良いため低濃度領域で使用し,後者は高濃度領域又は水素との共存時に使用
する。
7.2.2 操作
a) 試料ガスの吸引終了後,速やかに検知管を取り外し,変色層先端の濃度目盛を読み取る。
なお,検知管によっては,通気終了後の時間経過によって変色した層が退色したり,変色層の長さ
が変化する場合があるので,通気終了後に変色層の先端に印を付け,速やかに読み取る。また,変色
層先端面が斜めの場合には,中間点を濃度として読み取る。濃度表式の場合は,検知管を添付の濃度
表上に合わせ,変色層の境界を読み取る。
――――― [JIS K 0098 pdf 13] ―――――
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b) 濃度単位の換算が必要な場合は,次の式によって行う。
C' 28.01
C
273.15 P
22.41
273.15 t 101.32
ここに, C : 一酸化炭素の濃度(mg/m3)
C' : 検知管の読取値(vol ppm)
28.01 : 一酸化炭素の分子量
t : 測定点の温度(℃)
P : 測定点の大気圧(kPa)
7.2.3 妨害物質
検知管の変色の原理は,多くの場合,分析対象物質だけの特異反応ではなく,化学的性質の似た物質に
共通する反応である。したがって,分析対象物質と同じ反応をする物質が共存する場合には,測定対象物
質の濃度より高い指示値(プラスの誤差)を与える。反対に共存物質が変色反応を妨害してマイナス誤差
を与える場合及び変色境界を不明瞭にする場合がある。測定するときは,共存する可能性のある物質につ
いて調査し,検知管の仕様書,技術資料などを参考にその影響について,あらかじめ検討する必要がある。
8 自動計測法
自動計測法による測定は,JIS B 7987に規定する自動計測器によって行う。校正については,JIS K 0055
によって行う。
9 分析結果の記録
9.1 分析結果の表示及びデータの質の管理
分析は,試料採取ごとに同一分析試料について2回以上行い,その平均値を求め,JIS Z 8401によって
有効数字2桁に丸める。ただし,連続して2回以上試料を採取した場合には,各測定値の全ての平均値を
求める。また,検知管法を用いる場合はこの限りではない。
測定値にばらつきが見られた場合は,装置,配管などの不備,操作の不具合などを確認し,必要な処置
を施す。また,JIS K 0114によって,標準試料,検量線用標準試料の有効性,検出限界の確認,ブランク
の確認,定期的な装置の性能の点検などを実施するとともに,内部精度管理の実施,外部精度管理への参
加などを行い必要な精度を確保する。
9.2 記録項目
分析結果として記録する項目は,次による。
a) 測定対象の設備及び試験目的
b) 試料採取及び分析の実施日,時刻,時間及び実施者
c) 設備又は工程の運転状況及び試料採取期間内に生じた設備又は工程の変動
d) 設備の測定採取面の位置
e) 測定採取面上の試料採取点
例1 ダクトの大きさ,測定断面における試料採取の位置など
f) 試料採取方法
例2 試料ガス採取方法,等速サンプリング又は非等速サンプリング,試料採取管の口径,ダスト
除去用フィルター及び取付位置,フィルター温度,試料採取の時間など
g) 分析方法の種類
――――― [JIS K 0098 pdf 14] ―――――
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h) 測定結果
例3 排ガス中の濃度及び標準状態への換算濃度のほかに,測定点のガス流量,排ガスの静圧,温
度,酸素濃度,水蒸気濃度,採取ガス量,分析用試料の体積,試料中の一酸化炭素の分析値,
試料採取時間内に生じた異常など
i) 測定の品質
例4 漏れ試験結果,現地測定における空試験値,測定結果に影響した可能性のある周囲の特殊事
情,標準ガスの品質記録などを記入するとよい。
j) この規格の分析方法からの変更点
その他,a) j)以外に有用な項目がある場合には,追加するとよい。
JIS K 0098:2016の国際規格 ICS 分類一覧
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.040 : 気質 > 13.040.40 : 固定施設からの発生ガス
JIS K 0098:2016の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB7987:2006
- 排ガス中の一酸化炭素自動計測器
- JISK0050:2019
- 化学分析方法通則
- JISK0055:2002
- ガス分析装置校正方法通則
- JISK0095:1999
- 排ガス試料採取方法
- JISK0114:2012
- ガスクロマトグラフィー通則
- JISK0211:2013
- 分析化学用語(基礎部門)
- JISK0214:2013
- 分析化学用語(クロマトグラフィー部門)
- JISK0215:2016
- 分析化学用語(分析機器部門)
- JISK0216:2014
- 分析化学用語(環境部門)
- JISK0512:1995
- 水素
- JISK0804:2014
- 検知管式ガス測定器(測長形)
- JISK1101:2017
- 酸素
- JISK1107:2005
- 窒素
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方