この規格ページの目次
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K 0116 : 2014
3.27
キャリヤーガス(carrier gas)
ICPにおいて,試料をプラズマに導入するために使用するガス。トーチの中心の管を通して供給する。
3.28
バックグラウンド等価濃度,BEC(background equivalent concentration)
バックグラウンド強度に等しい信号強度を与える測定対象元素の濃度。
3.29
スパーク放電(spark discharge)
点火回路によって約10 kV程度の高電圧を対電極と試料電極との間に印加して絶縁破壊を生じさせるこ
とによって,主放電回路のコンデンサに蓄えられた電荷を電極間に瞬時に流して起こす放電。この瞬間的
な放電のピーク電流は,数十から200 A(アンペア)に達し,これによって試料が励起発光する。
3.30
スパーク光源(spark light source)
スパーク放電によって試料が励起・発光したもの。
3.31
雰囲気ガス(atmospheric gas)
放電の安定化,試料履歴による影響の除去,空気中の酸素による吸収,バンドスペクトルの除去などの
目的でスパーク放電の電極周囲に流すガス。目的に応じてアルゴン若しくは窒素,又はこれらのガスにそ
れぞれ酸素を混合したガスを使用する。
3.32
予備放電時間(pre-burn time, pre-discharge time)
スパーク放電発光分光分析において,放電開始から発光強度が安定するまでの間,測光しない期間とし
て設定する時間。
3.33
時間分解測光法(time resolved photometric method)
放電パルスごとに,かつ,時間分解したときに得られる光電電流を積分し,その個々の積分値を統計処
理し解析して濃度を求める方法。
4 ICP発光分光分析
4.1 装置の構成
ICP発光分光分析装置は,励起源部,試料導入部,発光部,分光測光部,並びにデータ処理部及び制御
部から構成する。装置の基本構成の一例を,図1に示す。
なお,MIP発光分光分析装置においても,同様の装置の構成となる。
励起源部 発光部 分光測光部
データ処理部及び制御部
試料導入部
図1−ICP発光分光分析装置の構成(例)
――――― [JIS K 0116 pdf 6] ―――――
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4.1.1 励起源部
励起源部は,発光部を維持するために電気エネルギーを供給・制御する電源回路及び制御回路からなる。
4.1.2 試料導入部
試料導入部は,発光部に試料を導入するための部分で,ネブライザー及びスプレーチャンバーで構成す
る。試料導入部の構成の一例を,図2に示す。耐ふっ化水素酸材料を施したものもある。
図2−試料導入部(例)
4.1.3 発光部
発光部は,試料中の測定対象元素を励起・発光させるための部分で,トーチ及び誘導コイルからなる(図
3参照)。トーチは三重管からなり,中心の管から試料が導入される。発光部としてはICPが用いられ,プ
ラズマを形成するためのガスにはアルゴンを用いる。
なお,ICPの代わりにMIPが用いられることもあり,その場合には構造も異なり,また,プラズマを形
成するためのガスには主に窒素を用いる。
――――― [JIS K 0116 pdf 7] ―――――
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図3−発光部(ICP)(例)
発光部からの光の観測方式には,横方向観測方式及び軸方向観測方式(図4参照)がある。
図4−光の観測方式
4.1.4 分光測光部
分光測光部は,発光部から放射された光を効率よく分光部に導く集光系,並びにスペクトル線を分離す
る分光部及び検出器で構成する。分光器には,ツェルニ・ターナー形分光器(図5参照),パッシェン・
ルンゲ形分光器(図6参照),エシェル形分光器(図7参照)などがある。ツェルニ・ターナー形分光器
はシーケンシャル形分光器として,パッシェン・ルンゲ形分光器及びエシェル形分光器は主として同時測
定形分光器として使用する。検出器は入射した光をその強度に応じた電気信号に変換するもので,光電子
増倍管又は半導体検出器が用いられる。
注記 真空紫外領域(波長120 nm190 nm)のスペクトル線を測定するために,集光系及び分光器を
真空にするための構造,又はアルゴン若しくは窒素で空気を置換する構造がある。
――――― [JIS K 0116 pdf 8] ―――――
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図5−ツェルニ・ターナー形分光器を用いた分光測光部(例)
図6−パッシェン・ルンゲ形分光器を用いた分光測光部(例)
図7−エシェル形分光器を用いた分光測光部(例)
――――― [JIS K 0116 pdf 9] ―――――
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4.1.5 データ処理部及び制御部
データ処理部及び制御部は,次による。
4.1.5.1 データ処理部 データ処理1)を行い,検量線,測定結果などを表示する。表示には液晶表示装置
(LCD),プリンターなどを使用する。
注1) データ処理には精確さなどを向上させる目的で,バックグラウンド補正,分光干渉補正,内標
準元素による補正などを行う機能をもつものがある。
4.1.5.2 制御部 最適な条件下で装置を使用するために,ガス流量,トーチ測光位置,励起源部の電力な
どを制御する。
4.2 附属装置
附属装置は,次による。
a) オートサンプラー(又は自動試料導入装置) 多数の試料を自動で順次試料導入部に供給するための
装置。オンラインでの自動希釈,自動内標準液添加及び検量線作成用溶液添加の機能をもつものもあ
る。
b) 超音波ネブライザー 液体試料を超音波振動子によって霧化した後,加熱・冷却して脱溶媒し,キャ
リヤーガスによって発光部に導入する装置。
c) 水素化物発生装置 試料溶液中のひ素,セレン,アンチモンなどの化合物をテトラヒドロほう酸ナト
リウムなどによって揮発性の水素化物に還元した後,気液の分離を行って気体成分だけをキャリヤー
ガスによって発光部に導入する装置。
d) フローインジェクション装置 細管内を流れるキャリヤー溶液に,バルブを切り替えて一定量の少量
の試料溶液を注入し発光部に導入する装置。オンラインで化学反応させる場合もある。
e) 電気加熱気化導入装置 少量の試料溶液を黒鉛炉又は高融点金属製ヒーターに注入した後,不活性ガ
ス雰囲気中で溶媒及び一部マトリックス成分を選択的に除去した後,残った測定対象元素を瞬時に気
化させて,キャリヤーガスによって発光部に導入する装置。
f) レーザーアブレーション装置 レーザー光を固体試料に照射したとき試料が気化して生じる微粒子な
どをキャリヤーガスによって発光部に導入する装置。
g) その他 マトリックス分離カラム,クロマトグラフなどがある。
4.3 水,試薬類及びガス
4.3.1 水
水は,JIS K 0557に規定するA2以上又はISO 3696に規定するGrade 2以上を用いる。この水に含まれ
る不純物が,測定対象元素に干渉しないことを確認する。
4.3.2 試薬類
試薬類は,次による。
a) 試薬は,該当する日本工業規格(日本産業規格)(JIS)がある場合には,その種類の最上級又は測定目的に合わせた適
切なものを用い,該当するJISがない場合には,分析に支障がない品質のものを用いる。
b) 検量線用標準液は,計量計測トレーサビリティが確保された標準液[例えば,計量標準供給制度に基
づき供給されているJCSS(Japan Calibration Service System)のロゴ付き証明書を付した標準液]を用
いる。このような標準液がない場合,又は目的によって計量計測トレーサビリティが確保された標準
液を使用する必要がない場合には,一般的な市販の標準液を用いる。標準液に含まれる不純物が,測
定対象元素に干渉しないことを確認する。
c) )以外を使用する場合には,測定対象の一元素又は複数元素の検量線作成用溶液として,純度99.99 %
――――― [JIS K 0116 pdf 10] ―――――
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JIS K 0116:2014の国際規格 ICS 分類一覧
JIS K 0116:2014の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK0050:2019
- 化学分析方法通則
- JISK0211:2013
- 分析化学用語(基礎部門)
- JISK0212:2016
- 分析化学用語(光学部門)
- JISK0215:2016
- 分析化学用語(分析機器部門)
- JISK0216:2014
- 分析化学用語(環境部門)
- JISK0553:2002
- 超純水中の金属元素試験方法
- JISK0557:1998
- 用水・排水の試験に用いる水
- JISK0970:2013
- ピストン式ピペット
- JISK1105:2017
- アルゴン
- JISK8001:2017
- 試薬試験方法通則
- JISZ8402-1:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第1部:一般的な原理及び定義