JIS K 8008:1992 生化学試薬通則 | ページ 3

                                                                                              9
K 8008-1992
M= (a−b) ×f
ここに, M : 5mmol/l過マンガン酸カリウム溶液の消費量 (ml)
a : (d)の滴定に要した5mmol/l過マンガン酸カリウム溶液 (ml)
b : (f)の滴定に要した5mmol/l過マンガン酸カリウム溶液 (ml)
f : 5mmol/l過マンガン酸カリウム溶液のファクター

3.3 試薬

 試薬は,JISマーク表示品の最上級品又はこれと同等以上の品位のものを用いる。
なお,JISマーク表示品がない場合には,4.又は個別規格に規定するものを用いる。

3.4 標準物質及び標準液

 標準物質及び標準液は,4.又は個別規格に規定する。

3.5 器具

 器具は,個別規格に規定するもののほかは,次のとおりとする。
(1) ガラス器具 ガラス器具は,硬質1級のものを用いる。
なお,ガラスの成分であるナトリウム,カリウム,ほう素,けい酸,アルミニウムなどが溶出する
こともあるので注意をする。
また,すり合せ部分をもつガラス器具は,すり合せ部分に汚れが付着しやすいので,透明ずりのも
のとする。
(2) 石英器具 石英器具は,透明石英製のもので,すり合せ部分をもつ石英器具はすり合せ部分に汚れが
付着しやすいので透明ずりのものとする。
(3) 合成樹脂器具 合成樹脂器具は,着色剤及び充てん剤などを添加していない四ふっ化エチレン樹脂(15),
ポリエチレン樹脂(16),ポリプロピレン樹脂(17)及び難燃剤を添加していないアクリル樹脂(18)を用いる。
注(15) 鉄,ニッケル,銅,亜鉛などの重金属がわずかに溶出することがある。
また,成型時混入した異物を含むことがあるので,使用目的によって注意する。
(16) 高密度ポリエチレン製のもので,鉄,クロム,チタンなどの重金属がわずかに溶出することが
あるので,高濃度の硝酸を使用する試験には用いない。
(17) 鉄,チタンなどの重金属がわずかに溶出することがあるので,高濃度の硝酸を使用する試験に
は用いない。
(18) 塩酸を使用する試験には用いない。
(4) 白金器具 白金器具は,JIS H 6201,JIS H 6202及びJIS H 6203に規定されているもので,合金成分
又は不純物としてパラジウム,ロジウム,ルテニウム,イリジウム,金,銀,銅,鉄などを含むため.
試験に支障のないことを確認して用いる。

3.6 試験用溶液保存容器

 試験用溶液保存容器は,試料を異物,湿気,大気,光線などの外因から遮断
又は吸収し保護できるもので,その材質及び形態は,次のとおりとする。
(1) 材質 試験用容器の材質は,個別規格に規定するもののほかは,次のとおりとする。
(a) ガラス ガラスは,硬質1級のものを用いる。遮光する場合は,マンガン,鉄などを混合した着色
ガラスを用いる。特殊用途としては,ほうけい酸低アルカリガラス(耐熱ガラス)又は石英ガラス
を用いることもできる。
備考 ガラス容器は,耐薬品性透視性に優れている反面,破損しやすく,強アルカリ及びふっ化
物には耐性が低い欠点がある。
(b) 合成樹脂 四ふっ化エチレン(19),ポリエチレン(20),ポリプロピレン(21),アクリル(22)などの樹脂を
用いる。
注(19) 酸・アルカリ・有機溶媒のいずれにも耐性で合成樹脂中最も耐薬品性に優れている。
(20) 強酸又は有機溶媒を含む試料には適さない。

――――― [JIS K 8008 pdf 11] ―――――

10
K 8008-1992
また,通気性があるために,酸化されやすいもの及び吸湿性のあるものには適さない。
(21) 一部の有機溶媒を除き,耐薬品性に優れているとともに耐熱性にも優れている。しかし,
ポリエチレンと同じように通気性がある。
(22) 耐薬品性は他の樹脂に比べて劣る。
備考 ガラス容器に比べて軽量で破損しにくい利点があるが,透視性や硬度に欠け,器壁損傷に
よる異物侵入のおそれがあり,更に,可塑性や帯電防止剤の溶出の可能性もある。
また,耐薬品性や通気性に差があり,目的によって使い分ける必要がある。
(2) 容器の種類 容器の種類は,次のとおりとする。
(a) バイアル瓶 バイアル瓶は,通常の状態で保管する間に,気体又は微生物の侵入するおそれのない
硬質1級ガラス容器で,耐薬品性のゴム栓とキャップシールによって,密封して用いる。
備考 ワクチン,抗血清,抗体などの無菌保存などの用途がある。
(b) ガラス瓶 ガラス瓶は,通常の状態で保存する間に,液体又は固体の異物の侵入を防ぎ,内容物を
保護することができる有栓形容器で,ガラスを用いる。遮光する場合は,マンガン,鉄などを混合
した褐色瓶を用いる。パッキングの材質は,四ふっ化エチレン樹脂シート又は内容物と反応しない
ものとし,ふたは,ねじ形とし材質は硬質ポリプロピレン又はメラミンとする。
(c) 合成樹脂瓶 合成樹脂瓶は,ガラス瓶とほぼ同じように内容物を保護することができる有栓形容器
とする。
備考 材質によって耐薬品性,通気性に差があり,また,溶液成分を吸着するものがあることか
ら,必要に応じて前処理をすることがあり,目的によって使い分けをする。
(d) アンプル アンプルは,通常の保存状態で,気体又は微生物の侵入するおそれのない容器とする。
備考 発煙性の強いもの,空気酸化しやすいもの,及び加熱殺菌の必要があるものなど,瓶類で
は適用できない試験に用いる。

3.7 容器及び器具の洗浄及び保存方法

 容器及び器具の洗浄と保存は,4.又は個別規格で規定するものの
ほかは,次のとおりとし,必要があれば使用直前に3.2に規定する水のうち,試験目的によって選定した
ものを用いて洗浄する。
なお,必要な場合は,乾燥,滅菌,エンドトキシンの不活化などの処理をする。
備考 乾燥器で乾燥する場合は,気流の循環によって汚染されることがあるので,試験に支障がない
ことを確認して用いる。
(1) ガラス器具及び石英ガラス器具の洗浄 ガラス器具及び石英ガラス器具は,水道水で十分洗浄した後,
5060℃に加熱した硝酸 (1+1) で更に洗浄し,3.2に規定する水A2A4のうち,試験目的によって
選定した水で十分にすすぎ洗いをする。
なお,新しい器具は,非イオン性界面活性剤と水道水,3.2に規定する水のうち,試験目的によって
選定した水,アセトンの順で洗浄を行う。
(2) 合成樹脂器具の洗浄 合成樹脂器具は,ポリエチレン製の容器に入れた硝酸 (1+3) に合成樹脂器具
を2時間以上浸した後,更に1時間以上超音波洗浄した後,3.2に規定する水のうち,試験目的によっ
て選定した水を用いて十分にすすぎ洗いをする。
(3) 白金器具の洗浄 白金器具は,80℃以上の硝酸 (1+3) に約1時間浸し,3.2に規定する水のうち,試
験目的によって選定した水ですすぎ洗いをする。
なお,前に使用した試料による汚染が認められた場合には,JIS K 8783に規定する二硫酸カリウム
又はJIS K 8972に規定する硫酸水素カリウムを溶融して汚染物質を取り除いた後,洗浄する。

――――― [JIS K 8008 pdf 12] ―――――

                                                                                             11
K 8008-1992
(4) 試験用容器及びふたの洗浄 試験用容器及びそのふたは,水道水と洗浄剤で洗い,更に硝酸 (1+3) に
約12時間以上浸した後,3.2に規定する水A1又はA2で洗浄し,次に塩酸 (1+1) で洗った後,3.2
に規定する水のうち,試験目的によって選定した水で更に洗浄する。
なお,エンドトキシン試験に用いる場合は,3.2に規定する水の代わりに4.3.1(1)(a)を用いる。
また,アルミニウム製のふたの洗浄には酸類を用いない。
(5) 保存 保存する場合は,乾燥し,ふたのあるものは密栓して汚染のおそれがない場所に保存する。

3.8 水,試薬,容器,器具及び作業衣の滅菌並びにエンドトキシンの不活化又は除去方法

 水,試薬,
容器,器具及び作業衣の滅菌並びにエンドトキシンの不活化又は除去方法は,個別規格で規定するほかは,
次のとおりとする。
(1) 水,試薬,容器,器具及び作業衣の滅菌方法 水,試薬,容器,器具及び作業衣の滅菌は,それぞれ
の性質及び状態に応じて操作法及び操作条件の適性化を検討し(23),表2のうち適切な滅菌方法を選択
して単独又は併用して行う。高圧蒸気法で行う場合は,JIS K 3605に従う。
注(23) 操作法及び操作条件の検討には,それぞれの滅菌方法に適した指標菌を用いることができる。
指標菌としては,対象とする滅菌法に適合する菌種を用いる。すなわち,その滅菌法に対して
最も抵抗性の強い菌であって,その性質が保存期間中に変異しない安定な菌株を指標菌とする。
各種滅菌法に対して一般に用いられている指標菌は,表3のとおりである。

――――― [JIS K 8008 pdf 13] ―――――

12
K 8008-1992
表2 各種滅菌法
方法 対象 操作条件
加熱法 火炎法 主としてガラス製,磁製,金属製の物品などで,通常,火災中で数秒間以上加熱する。
火炎によって破損しないもの
乾熱法 主としてガラス製,磁製,金属製,繊維製の物 通常,
5時間
品,鉱油,脂肪,脂肪油,固形の試薬などで, 135145℃,3
乾熱に耐えるもの 160170℃,2 4時間
180200℃,0.5 1時間
高圧蒸気法 主としてガラス製,磁製,金属製,ゴム製,紙 通常,
製,繊維製の物品,水,培地,固形,液状の試 115℃,30分間
薬などで,高圧蒸気に耐えるもの 121℃,20分間
126℃,15分間
流通蒸気法 主としてガラス製,磁製,金属製,ゴム製,繊 通常,100℃の流通水蒸気中で3060分間
維製の物品,水,培地,固形,液状の試薬など 行う。
で,乾熱法又は高圧蒸気法によって変質するお
それがあるもの
煮沸法 主としてガラス製,磁製,金属製,ゴム製,繊 通常,沸騰水中に沈め,15分間以上煮沸す
維製の物品,培地,固形,液状の試薬などで, る。
乾熱法又は高圧蒸気法によって変質するおそ
れがあるもの
間欠法 主としてゴム製の物品,培地,固形,液状の試 通常,80100℃の水中又は流通水蒸気中
薬などで,乾熱法又は高圧蒸気法によって変質 で、1日1回,3060分間ずつ,35回加
するおそれがあるもの 熱を繰り返す。加熱の休止中は,20℃以上
の微生物の発育に適当な温度に保つ。
ろ過法 主として気体,水,熱に不安定な培地,固形, 通常,メンブランフィルター,磁製フィル
液状の試薬などで,加熱法によって変質するお ターなどを用いる。
それがあるもの
照射法 放射線法主としてガラス製,磁製,金属製,ゴム製,プ 通常,60Co又は137Csなどを含む放射線源
ラスチック製,繊維製の物品などで,放射線照 を用いる。
射に耐えるもの
紫外線法 主としてガラス製,金属製,ゴム製,プラスチ 通常,254nm付近の波長の紫外線を用いる。
ック製,繊維製の比較的平滑な物品の表面,施
設,設備,水,固形,液状の試薬などで,紫外
線照射に耐えるもの
高周波法 主として水,培地,固形,液状の試薬などで, 通常,915MHz又は2450MHzの高周波を用
高周波照射に耐えるもの いる。
ガス法 主としてガラス製,磁製,金属製,ゴム製,プ 通常,酸化エチレン,ホルムアルデヒドな
ラスチック製,繊維製の物品,施設,設備,粉 どのガスを用いる。主としてガス滅菌器を
末状の試薬などで,用いるガスによって変質し 用いる。
ないもの
薬液法 主としてガラス製,磁製,金属製,ゴム製,プ 通常,0.21g/l塩化ベンザルコニウム液,
ラスチック製,繊維製の物品,手指,無菌箱, 消毒用エタノール,フェノール水,クレゾ
無菌施設などで,用いる薬液によって変質しな ール水,ホルムアルデヒド水溶液などを用
いもの いる。

――――― [JIS K 8008 pdf 14] ―――――

                                                                                             13
K 8008-1992
表3 各種指標菌
滅菌法 指標菌
高圧蒸気法 Bacillus stearothermophilus ATCC 7953
Clostridium tetani (non-toxigenic strain) CTC 5411
乾熱法 Bacillus stearothermophilus
Bacillus subtilis var. niger ATCC 9372
ろ過法 Serratia marcescens
Pseudomonas diminuta ATCC 19146
放射線法 Bacillus sphaericus C1−A
Bacillus pumilus E-601
Streptococcus jaecium A2-1
ガス法 Bacillus subtilis var. globigii NCTC 10073
(Bacillus subtilis var. niger)
備考 ATCC : American Type Culture Collection
NCTC : National Collection of Type Cultures
参考1. 第十二改正日本薬局方において,各種滅菌方法とそれぞれの操作条件及び操作方法が規定さ
れている。表2の各種滅菌法は,第十二改正日本薬局方による。
2. 滅菌の適否は,通常,無菌試験法によって判定する。
なお,第十二改正日本薬局方において,無菌試験法が規定されている。
3. 表3の各種指標菌は,第十二改正日本薬局方による。
(2) エンドトキシンの不活化又は除去方法 エンドトキシン試験に用いるガラス製,金属製などの乾熱に
耐える器具,容器などは250℃以上で90分間加熱し,ゴム製,プラスチック製など放射線照射に耐え
るものは放射線法を用いてエンドトキシンを不活化する。エンドトキシンの含有量が微量の場合で,
水,溶液などで250℃に加熱できないものは121℃で1時間,JIS T 7322又はJIS T 7324に規定する高
圧蒸気滅菌装置又は高圧蒸気滅菌器を用いて処理する。
また,気体,水,ろ過できる培地,水又は溶剤に溶解できる固体,液体の試薬などで,加熱によっ
て変質するおそれがあるものは超ろ過法などを用い,蒸留温度で変質しないものは超ろ過法と蒸留法
とを併用してエンドトキシンを除去する。
備考 エンドトキシンの不活化及び除去方法の適否は,4.3の各試験方法のいずれかによって判定する。

3.9 試料の採取方法

 試料の採取方法は,個別規格に規定するもののほかは,次のとおりとする。
(1) 一般的採取方法 試料の採取には,洗浄,乾燥した清浄な容器及び器具を用い,清浄な試験環境下で
行う。採取する試料量は,なるべく全体を代表する最小の量とする。
(2) 不安定な試料の採取方法 不安定な試料の取扱いには,その分解又は変質に十分注意し,操作をなる
べく速やかに行う。
参考 10℃以下の低温で操作することが多い。
(3) 無菌的採取方法 無菌的取扱いを必要とする場合は,3.8(1)によって滅菌した容器及び器具を用い,バ
イオクリーンルーム又はこれと同等以上の清浄な試験環境下で,なるべく速やかに操作する。
(4) エンドトキシン試験用試料の採取方法 3.8(2)によってエンドトキシンの不活化を行った容器及び器
具を用いる。
(5) 組換えDNA実験試料又は病原体試料の採取方法 P2レベル(5)又はLS-1レベル(6)以上の物理的封じ込
めを必要とする組換えDNA実験試料又は危険度3a(7)以上の病原体試料を採取する場合は,エーロゾ
ルが外部に漏出しない設計が施された機器を用いるか,又は安全キャビネットの中で採取し,発生す

――――― [JIS K 8008 pdf 15] ―――――

次のページ PDF 16

JIS K 8008:1992の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 8008:1992の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB9920:2002
クリーンルームの空気清浄度の評価方法
JISB9922:2001
クリーンベンチ
JISH6201:1986
化学分析用白金るつぼ
JISH6202:1986
化学分析用白金皿
JISH6203:1986
化学分析用白金ボート
JISK0050:2019
化学分析方法通則
JISK0063:1992
化学製品の旋光度測定方法
JISK0114:2012
ガスクロマトグラフィー通則
JISK0115:2004
吸光光度分析通則
JISK0115:2020
吸光光度分析通則
JISK0116:2014
発光分光分析通則
JISK0117:2017
赤外分光分析通則
JISK0120:2005
蛍光光度分析通則
JISK0121:2006
原子吸光分析通則
JISK0122:1997
イオン電極測定方法通則
JISK0124:2011
高速液体クロマトグラフィー通則
JISK0127:2013
イオンクロマトグラフィー通則
JISK0551:1994
超純水中の有機体炭素(TOC)試験方法
JISK0552:1994
超純水の電気伝導率試験方法
JISK0553:2002
超純水中の金属元素試験方法
JISK0555:1995
超純水中のシリカ試験方法
JISK0556:1995
超純水中の陰イオン試験方法
JISK0970:2013
ピストン式ピペット
JISK3600:2000
バイオテクノロジー用語
JISK3605:1992
高圧蒸気滅菌操作通則
JISK7117:1987
液状の樹脂の回転粘度計による粘度試験方法
JISK8001:2017
試薬試験方法通則
JISK8005:2014
容量分析用標準物質
JISK8150:2006
塩化ナトリウム(試薬)
JISK8180:2015
塩酸(試薬)
JISK8180:2021
塩酸(試薬)
JISK8197:1996
N-1-ナフチルエチレンジアミン二塩酸塩(試薬)
JISK8355:2006
酢酸(試薬)
JISK8355:2021
酢酸(試薬)
JISK8528:2015
しゅう酸ナトリウム(試薬)
JISK8541:2015
硝酸(試薬)
JISK8541:2021
硝酸(試薬)
JISK8550:2006
硝酸銀(試薬)
JISK8550:2021
硝酸銀(試薬)
JISK8576:2019
水酸化ナトリウム(試薬)
JISK8783:2012
二硫酸カリウム(試薬)
JISK8951:2006
硫酸(試薬)
JISK8972:2012
硫酸水素カリウム(試薬)
JISK9704:1994
2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(試薬)
JIST7322:2005
医療用高圧蒸気滅菌器
JIST7324:2005
医療用小型高圧蒸気滅菌器
JISZ8703:1983
試験場所の標準状態
JISZ8802:2011
pH測定方法
JISZ8803:2011
液体の粘度測定方法