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注1) 認証標準物質を供給する者として,独立行政法人産業技術総合研究所計量標準総合
センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST)などの国家計量機関及び認証
標準物質生産者がある。
4.2.1.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
m A
f
.0097 09V 100
ここに, f : 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液のファクター
m : はかりとったアミド硫酸の質量(g)
A : アミド硫酸の純度(質量分率 %)
V : 滴定に要した1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液の体積(mL)
0.097 09 : 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液1 mLに相当するアミド硫
酸の質量を示す換算係数(g/mL)
5) ブロモチモールブルー溶液 JIS K 8842に規定するブロモチモールブルー0.10 gをJIS K 8102に規
定するエタノール(95)50 mLに溶かし,水で100 mLにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
6) ブロモフェノールブルー溶液 JIS K 8844に規定するブロモフェノールブルー0.10 gをJIS K 8102
に規定するエタノール(95)50 mLに溶かし,水で100 mLにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
7) 0.05 mol/L 塩酸(HCl : 1.823 g/L) 1 mol/L 塩酸10 mLを全量フラスコ200 mLに正確にとり,水を
標線まで加えて混合した後,気密容器に入れて保存する。ファクターは,1 mol/L 塩酸のファクタ
ーをそのまま用いる。
7.1) 1 mol/L塩酸(HCl : 36.46 g/L) 1 mol/L 塩酸の調製,標定及び計算は,次による。
7.1.1) 調製 JIS K 8180に規定する塩酸90 mLをとり,水を加えて1 000 mLとし,混合した後,気密
容器に入れて保存する。
7.1.2) 標定 標定は,認証標準物質1)又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質の炭酸ナトリウム
を用い,次のとおり行う。
7.1.2.1) 認証標準物質1)の炭酸ナトリウムを用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
7.1.2.2) 容量分析用標準物質の炭酸ナトリウムを用いる場合は,必要量を白金るつぼに入れ,試験成績
書などに記載された方法で乾燥した後,デシケーターに入れて放冷する。
7.1.2.3) 認証標準物質1)又は容量分析用標準物質の炭酸ナトリウム1.3 g1.4 gを0.1 mgの桁まではか
りとり,コニカルビーカー200 mLに移し,水20 mLを加えて溶かす。指示薬としてブロモフ
ェノールブルー溶液数滴を加え,7.1.1)で調製した1 mol/L 塩酸で滴定する。この場合,終点付
近で煮沸して二酸化炭素を除き,冷却した後,引き続き滴定を行う。終点は,液の色が青紫か
ら青みの緑になる点とする。
7.1.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
m A
f
.0052 99V 100
ここに, f : 1 mol/L 塩酸のファクター
m : はかりとった炭酸ナトリウムの質量(g)
A : 炭酸ナトリウムの純度(質量分率 %)
V : 滴定に要した1 mol/L 塩酸の体積(mL)
0.052 99 : 1 mol/L 塩酸1 mLに相当する炭酸ナトリウムの質量を示
す換算係数(g/mL)
8) 0.05 mol/L 水酸化ナトリウム溶液(NaOH : 2.00 g/L) 4.2.1)の1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液10 mL
――――― [JIS K 8594 pdf 6] ―――――
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を全量フラスコ200 mLに正確にとり,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合した後,ポリ
エチレンなどの樹脂製気密容器に入れる。使用時に調製する。
なお,ファクターは,1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液のファクターを用いる。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
メスピペット又はミクロビュレット JIS R 3505に規定する最小目盛0.01 mLのもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,あらかじめ窒素を約200 mL/minの流量で約2分間通じて,空気を置換した分液
漏斗100 mLに二酸化炭素を除いた水25 mL及びブロモチモールブルー溶液3滴を速やかに加え,
液面に窒素を通じながら,0.05 mol/L 塩酸又は0.05 mol/L 水酸化ナトリウム溶液を液の色が中間色
2)になるまでメスピペット又はミクロビュレットを用いて加える。直ちに試料50 g(78.1 mL)を加
え,2分間激しく振り混ぜ,下層(水相)の色を観察する。
2) 下層(水相)の色が,中間色からアルカリ性側の色(青)を現す場合は,操作を終了する。
3) 下層(水相)の色が,中間色から酸性側(黄)を現す場合は,あらかじめ窒素を約200 mL/minの流
量で約2分間通じて,空気を置換した分液漏斗100 mLに下層(水相)を移し,液面に窒素を通じ
ながら,0.05 mol/L 水酸化ナトリウム溶液0.13 mLを加え,下層(水相)の色を観察する。
注2) H 6.8の緩衝液約25 mLを共通すり合わせ三角フラスコ100 mLに入れてブロモチモールブ
ルー溶液3滴を加えたときの色。
d) 判定 c)によって操作し,次の1)又は2)に適合するとき,“酸(HClとして) : 質量分率5 ppm以下(規
格値)”とする。
1) 操作2)によって得られた試料溶液の下層(水相)の色は,中間色からアルカリ性側の色(青)を示
す。
2) 操作3)によって得られた試料溶液の下層(水相)の色は,中間色からアルカリ性側の色(青)を示
す。
注記 0.05 mol/L 水酸化ナトリウム溶液1 mLは,0.001 823 g HClに相当する。
6.6 硫化物及び還元性物質
硫化物及び還元性物質の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) アンモニア水 JIS K 8085に規定する質量分率25.0 %27.9 %のもの。
2) エタノール(99.5) JIS K 8101に規定するもの。
3) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mLにする。溶液は,褐
色ガラス製瓶に保存する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 濁り,ごみなどの有無が確認しやすい大きさで,目盛のあるもの。例
として,容量50 mL,直径約23 mmのもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,共通すり合わせ平底試験管にアンモニア水1 mL,エタノール(99.5)5 mL及び
硝酸銀溶液(20 g/L)0.5 mLをとって混合したものに,試料5 mLを加えて振り混ぜる。光を遮り(遮
光して)約50 ℃で5分間加熱する。
2) 白の背景を用いて,試料溶液の色を,共通すり合わせ平底試験管の側面から観察する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“硫化物及び還元性物質 : 試験適合”とする。
――――― [JIS K 8594 pdf 7] ―――――
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試料溶液に,褐色が現れない。
6.7 油脂
油脂の試験方法は,次による。
a) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) ガラス製丸底蒸発皿 JIS R 3503に規定するもの。
2) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
b) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料の調製は,ガラス製丸底蒸発皿に試料10 mLをとり,水浴上で徐々に加熱し,揮散させる。
2) 白の背景を用いて,ガラス製丸底蒸発皿の底及び側面を観察する。
c) 判定 b)によって操作し,次に適合するとき,“油脂 : 試験適合”とする。
ガラス製丸底蒸発皿に,油状のしみが残っていない。
6.8 硫酸着色物質
硫酸着色物質の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(1+39) JIS K 8180に規定する塩酸の体積1と水の体積39とを混合する。
2) ブロモチモールブルー溶液 6.5 a) 5)による。
3) 硫酸[質量分率(95±0.5)%] 硫酸[質量分率(95±0.5)%]の調製は,あらかじめJIS K 8951
に規定する硫酸の純度を求める。希釈が必要な場合は,計算量の水をとり,注意して徐々に加えて
硫酸濃度を質量分率(95±0.5)%に調節する。
硫酸の純度 共通すり合わせ三角フラスコ100 mLの質量を0.1 mgの桁まではかり,JIS K 8951
に規定する硫酸1.0 gを入れ,再び0.1 mgの桁まで質量をはかる。共通すり合わせ三角フラスコを
冷却しながら水20 mLを徐々に加える。ブロモチモールブルー溶液数滴を加え,1 mol/L 水酸化ナ
トリウム溶液で滴定する。終点は液の色が黄から青みの緑に変わる点とする。
硫酸の純度は,次の式によって算出する。
0.049 04 V f
A 100
m2 m1
ここに, A : 硫酸の純度(H2SO4)(質量分率 %)
V : 滴定に要した1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液の体積(mL)
f : 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液のファクター
m2 : 試料を入れた共通すり合わせ三角フラスコの質量(g)
m1 : 共通すり合わせ三角フラスコの質量(g)
0.049 04 : 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液1 mLに相当するH2SO4の質
量を示す換算係数(g/mL)
4) 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液(NaOH : 40.00 g/L) 6.5 a) 4.2.1)による。
5) 比色原液 比色原液の調製は,次による。
5.1) 塩化コバルト(II)比色原液 JIS K 8129に規定する塩化コバルト(II)六水和物59.5 g(質量分
率100 %としての相当質量)をビーカー1 000 mLにはかりとり,塩酸(1+39)を加えて溶かし,
全量フラスコ1 000 mLに移し,更に塩酸(1+39)を標線まで加えて混合する。
5.2) 塩化鉄(III)比色原液 JIS K 8142に規定する塩化鉄(III)六水和物45.0 g(質量分率100 %とし
ての相当質量)をビーカー1 000 mLにはかりとり,塩酸(1+39)を加えて溶かし,全量フラスコ
1 000 mLに移し,更に塩酸(1+39)を標線まで加えて混合する。
――――― [JIS K 8594 pdf 8] ―――――
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5.3) 硫酸銅(II)比色原液 JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水和物62.4 g(質量分率100 % とし
ての相当質量)をビーカー1 000 mLにはかりとり,塩酸(1+39)を加えて溶かし,全量フラスコ
1 000 mLに移し,更に塩酸(1+39)を標線まで加えて混合する。
b) 着色の程度の適合限度標準 着色の程度の適合限度標準“比色標準液A”は,次による。
表2に示す割合によって比色標準液A 5.0 mLを共通すり合わせ平底試験管に調製する。
表2−硫酸着色物質試験用比色標準液A
単位 mL
比色標準液 比色原液 水
の記号 塩化鉄(III)
塩化コバルト(II) 硫酸銅(II)
A 0.1 0.4 0.1 4.4
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.6 b)による。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,共通すり合わせ平底試験管に試料5 mLを入れ,約10 ℃に冷却する。振り混ぜ
ながら,約10 ℃に冷却した硫酸[質量分率(95±0.5)%]5 mLを,30 ℃を超えないように注意
して徐々に加え,約10 ℃に冷却し,約10 ℃で15分間放置する。
2) 白の背景を用いて,試料溶液から得られた下層(硫酸相)の色を,共通すり合わせ平底試験管の側
面から観察して比較する。
e) 判定 d)によって操作し,次に適合するとき,“硫酸着色物質 : 試験適合”とする。
試料溶液から得られた下層(硫酸相)の色は,比色標準液Aの色より濃くない。
7 容器
容器は,気密容器とする。
8 表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格(日本産業規格)番号
b) 名称 “石油ベンジン”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 内容量
e) 製造番号
f) 製造業者名又はその略号
JIS K 8594:2015の国際規格 ICS 分類一覧
JIS K 8594:2015の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK0050:2019
- 化学分析方法通則
- JISK0066:1992
- 化学製品の蒸留試験方法
- JISK0067:1992
- 化学製品の減量及び残分試験方法
- JISK0068:2001
- 化学製品の水分測定方法
- JISK1107:2005
- 窒素
- JISK8001:2017
- 試薬試験方法通則
- JISK8005:2014
- 容量分析用標準物質
- JISK8085:2006
- アンモニア水(試薬)
- JISK8085:2021
- アンモニア水(試薬)
- JISK8101:2006
- エタノール(99.5)(試薬)
- JISK8102:2012
- エタノール(95)(試薬)
- JISK8129:2016
- 塩化コバルト(II)六水和物(試薬)
- JISK8142:2018
- 塩化鉄(III)六水和物(試薬)
- JISK8180:2015
- 塩酸(試薬)
- JISK8180:2021
- 塩酸(試薬)
- JISK8550:2006
- 硝酸銀(試薬)
- JISK8550:2021
- 硝酸銀(試薬)
- JISK8574:2006
- 水酸化カリウム(試薬)
- JISK8576:2019
- 水酸化ナトリウム(試薬)
- JISK8603:2011
- ソーダ石灰(試薬)
- JISK8842:2012
- ブロモチモールブルー(試薬)
- JISK8844:2012
- ブロモフェノールブルー(試薬)
- JISK8951:2006
- 硫酸(試薬)
- JISK8983:2016
- 硫酸銅(II)五水和物(試薬)
- JISK9007:2008
- りん酸二水素カリウム(試薬)
- JISR3503:1994
- 化学分析用ガラス器具
- JISR3505:1994
- ガラス製体積計