JIS R 1712:2022 ファインセラミックス―光触媒材料の防藻性試験方法 | ページ 2

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測定する。

4 試験に用いる藻類

  (対応国際規格の箇条4は,5.1に移した。)

5 試験の準備

5.1 試験に用いる藻類

  試験に用いる藻類は,クロレラ(Chlorella vulgaris)とする。試験に用いる藻類株は,世界微生物株保存
連盟(World Federation for Culture Collections)又は日本微生物資源学会に加入している機関において保存さ
れている同一系統の藻類株を用いる(表1参照)。
藻類が他の微生物によって汚染されることを防止するために必要な設備が用意されており,かつ,取り
扱う藻類のバイオセーフティレベルに必要な設備が用意されている実験室で試験する。なお,ハザードレ
ベル及びそれに適合するために必要な設備については,国立感染症研究所病原体等安全管理規程などを参
考とするのがよい。
表1−試験に用いる藻類株
藻類の種類 保存番号 保存機関名
クロレラ NIES-227 国立研究開発法人国立環境研究所微生物系統保存施設
(Chlorella vulgaris)

5.2 試薬,材料及び器具

  試験に用いる試薬,材料及び器具は,5.2.15.2.24による。
なお,特に規定のない場合,試薬,材料及び器具は,5.3に規定する方法で適切に殺菌したものを用いる。
あらかじめ滅菌処理がされたものを入手し,使用してもよい。
5.2.1 精製水 JIS K 0557に規定するA2又はA3に適合するもの
5.2.2 エタノール JIS K 8101に規定する特級のもの
5.2.3 消毒用エタノール エタノールを精製水によって体積分率で77 %82 %に希釈したもの
5.2.4 塩酸 JIS K 8180に規定する特級のもの
5.2.5 寒天 JIS K 8263に規定する特級のもの
5.2.6 洗い出し液 JIS K 9009に規定するりん酸二水素ナトリウム二水和物(3.04 g)及びJIS K 9019に
規定するりん酸水素二ナトリウム·12水(10.92 g)を精製水1 000 mLに加えて溶解した後,高圧蒸気殺
菌で滅菌したもの。調製後,直ちに使用しないものは5 ℃10 ℃の温度で保存する。調製後,3か月以上
過ぎた洗い出し液は,用いてはならない。
5.2.7 分光光度計 400 nm800 nmの波長を測定可能なものであって,吸光度を,少なくとも小数点以
下3桁まで測定可能なもの

――――― [JIS R 1712 pdf 6] ―――――

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5.2.8 ガラス板 微生物の増殖に影響を与えない材料で作られているもの
5.2.9 綿栓 脱脂していない綿の栓。シリコン栓,金属栓,溶融栓などでもよい。
5.2.10 密着フィルム JIS R 1702の7.2(密着フィルム)に規定するもの
5.2.11 保湿用ガラス JIS R 1702の7.4(保湿用ガラス)に規定するもの
5.2.12 シャーレ 内径約90 mmのガラス製,又はJIS K 0950に規定する90A又は90B号のもの
5.2.13 調湿用ろ紙 JIS P 3801に規定する微生物の発育に影響を及ぼさないろ紙で,試験片を置く容器
に入るよう切断したもの
5.2.14 ガラス管·ガラス棒 JIS R 3644に規定するガラス管又はJIS R 3645に規定するガラス棒を,試
験片を置く容器に入るように切断したもの
5.2.15 歯ブラシ JIS S 3016に規定する毛の硬さが柔らかめであるポリアミド製の歯ブラシ
5.2.16 試験用光源 JIS R 1709に規定するブラックライトブルー形紫外線蛍光ランプ(BLBランプ)又
はブラックライト形紫外線蛍光ランプ(BLランプ)
5.2.17 藻類培養用光源 藻類が適切に増殖可能なことを確認したもの。藻類の増殖の確認は,6.2による。
5.2.18 光照射装置 JIS R 1702の7.9(光照射装置)に規定するもの
5.2.19 紫外放射照度計 JIS R 1709に規定するもの
5.2.20 照度計 JIS C 1609-1に規定する一般形A級又はAA級照度計
5.2.21 フィルタユニット 吸着性の低い材料(例えば,疎水性ポリフッ化ビニリデン,疎水性ポリテト
ラフルオロエチレン)を用いたメンブレンフィルタとし,フィルタ孔径が0.22 μm又は0.45 μmであるも

5.2.22 遠心機 1 500 gの遠心が可能なもの
5.2.23 暗箱 JIS R 1702の7.12(暗箱)に規定するもの
5.2.24 pH計 JIS Z 8802に規定するもの

5.3 殺菌

5.3.1 乾熱殺菌
乾熱殺菌は,JIS Z 2801の5.3 a)(乾熱殺菌)による。
5.3.2 高圧蒸気殺菌
高圧蒸気殺菌は,JIS Z 2801の5.3 b)(高圧蒸気殺菌)による。
5.3.3 火炎殺菌
(対応国際規格の規定を不採用とした。)

――――― [JIS R 1712 pdf 7] ―――――

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5.3.4 アルコールによる消毒
吸収性の綿,ガーゼなどを消毒用エタノールに浸した後,軽く絞り,消毒する表面を拭く。
5.3.5 ろ過による殺菌
(対応国際規格の規定を不採用とした。)

5.4 培地

5.4.1 C培地
表2及び表3に示す成分を完全に溶解した後,pH 7.5±0.2(25 ℃)になるように塩酸で調整し,綿栓を
して高圧蒸気殺菌する。なお,市販されているものを用いてもよい。調製後C培地を直ちに使用しない場
合は,5 ℃10 ℃の温度で保存する。なお,開栓して一部を利用した後に残りを保管する場合は,綿栓を
して高圧蒸気殺菌した後に,5 ℃10 ℃の温度で保存する。調製後3か月以上過ぎたC培地は,用いては
ならない。
表2−C培地
成分 成分量
Ca(NO3)2·4H2O 15 mg
KNO3 10 mg
β-Na2glycerophosphate·5H2O 5 mg
MgSO4·7H2O 4 mg
Vitamin B12 0.01 μg
Biotin 0.01 μg
Thiamine HCl 1 μg
P IV metals(P IVメタル溶液) 0.3 mL
Tris (hydroxymethyl) aminomethane 50 mg
精製水 99.7 mL
表3−P IVメタル溶液
成分 成分量
Na2EDTA·2H2O 100 mg
FeCl3·6H2O 19.6 mg
MnCl2·4H2O 3.6 mg
ZnSO4·7H2O 2.2 mg
CoCl2·6H2O 0.4 mg
Na2MoO4·2H2O 0.25 mg
精製水 100 mL
なお,クロレラが十分培養可能なことを確認した場合は,異なる組成のC培地を用いてもよい。
5.4.2 C寒天斜面培地
C培地1 000 mLに寒天粉末15.0 gを混合する。内容物を沸騰水浴又はこれと同等な他の方法を用いて,
完全に溶解させる。この培地を,C寒天培地という。試験管に溶解したC寒天培地10 mLを注ぎ,試験管
に綿栓をして高圧蒸気殺菌する。あらかじめ高圧蒸気殺菌したC寒天培地を,あらかじめ乾熱殺菌した試
験管に注ぎ,試験管に綿栓をしてもよい。その後,試験管を微生物の汚染がない清浄な環境において,水

――――― [JIS R 1712 pdf 8] ―――――

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平面に対して15°30°傾けて放置する。この状態で固化する内容物を,C寒天斜面培地という。
調製後直ちに使用しないC寒天斜面培地は5 ℃10 ℃の温度で保存する。なお,開栓して一部を利用し
た後に残りを保管する場合は,綿栓をして高圧蒸気殺菌した後に,5 ℃10 ℃の温度で保存する。調製後
3か月以上過ぎたC寒天斜面培地は,用いてはならない。

6 藻類の培養

6.1 藻類の移殖及び培養

  入手したクロレラを5.4に規定するC培地又はC寒天斜面培地に移殖し,照度500 lx1 000 lxの藻類
培養用光源照射環境において,25 ℃±2 ℃で1週間以上培養する。移殖後3か月以上過ぎたクロレラを用
いてはならない。なお,培養した藻類の色が緑を呈していない場合は,培養をやり直す。

6.2 試験液の準備

a) 6.1によって培養したクロレラを適量採取して,150 mLのC培地を入れた三角フラスコに接種する。
25 ℃±2 ℃の温度で,照度2 000 lx2 500 lxの藻類培養用光源照射環境において,フィルタを通して
浄化した空気を50 mL/min±10 mL/min供給しながら,穏やかにかくはん(攪拌)し,1週間無菌的に
培養する。なお,クロレラの十分な増殖が確保可能である場合は,容量,空気供給量,照度などの条
件を変更してもよい。空気を供給しなくてもクロレラの十分な増殖が可能となる通気性のある三角フ
ラスコの栓,バッフル付きフラスコなどを使用してもよい。藻類培養用光源の照射については,連続
ではなく昼夜で点灯と消灯とを切り替えてもよい。なお,培養した藻類の色が緑を呈していない場合
は,培養をやり直す。
b) a)によって培養したクロレラ培養液を50 mL取り出し,遠心機を用いて遠心分離(1 500 g,5 min間)
した後,上清を除去する。沈さ(渣)を5 mLの精製水で再懸濁する。再度遠心分離し,上清を除去し
た後,5 mLの精製水で再懸濁する。c)に規定する作業に必要な量を確保するために,50 mL以上のク
ロレラ培養液を用いてもよい。
c) b)によって得たクロレラ懸濁液を,530 nmの吸光度(OD530)が0.2(1 cm吸光セル),又はクロレラ
の細胞数が1 mL当たり約106個となるように,150 mLのC培地を含む容量が300 mLの三角フラス
コに移す。a)と同じ条件下で1週間培養する。
d) c)によって培養したクロレラ培養液20 mL30 mLを採取し,遠心分離(1 500 g,5 min間)した後,
上清を除去する。沈さ(渣)を30 mLの精製水で再懸濁する。再度遠心分離し,上清を除去する。
e) d)によって作製したクロレラ懸濁液から上清を除去したものを精製水で希釈し,OD530を10±0.1に調
整するか,又は顕微鏡による直接観察によって,クロレラの細胞数が1 mL当たり約108個になるよう
に調整する。これらのいずれかの方法によって得たクロレラ懸濁液を試験液とする。直ちに使用しな
い場合は,試験液を5 ℃10 ℃で遮光した状態で保存する。保存して1週間を過ぎたものを用いては
ならない。

7 光照射方法

7.1 紫外線放射強度の測定及び試験片設置の準備

  JIS R 1702の9.4.1(紫外放射照度の測定及び試験片設置位置の準備)及び9.4.2(光照射条件)に規定す
る方法によって,紫外放射照度の測定及び試験片設置の位置決めを行う。

――――― [JIS R 1712 pdf 9] ―――――

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7.2 光照射条件

  光照射は,試験用光源を用いて室温25 ℃±3 ℃,紫外放射照度1.0 mW/cm2±0.025 mW/cm2において,
数時間(最大24時間)行う。

8 試験方法

8.1 試験片の準備

  光触媒防藻加工した平らな部分を,標準サイズである50 mm±2 mm,かつ,厚さ10 mm以下の四角形
に切断したものを光触媒加工試験片として9枚準備する。同様に,無加工試験片(光触媒処理をしていな
いこと以外は同一の基材から同様に切断したもの)を9枚,ガラス板試験片を6枚準備する。無加工試験
片を準備できない場合,ガラス板試験片が無加工試験片を兼ねるものとし,その場合は,ガラス板試験片
を9枚準備する。
注記1 光触媒加工試験片及び無加工試験片のそれぞれ9枚のうち,3枚は試験液を接種した直後の吸
光度を測定するもの,3枚は光照射後の吸光度を測定するもの,残りの3枚は暗所に放置した
後の吸光度を測定するものである。
注記2 ガラス板試験片の6枚のうち,3枚は試験液を接種した直後の吸光度を測定するもの,残りの
3枚は光照射後の吸光度を測定するものである。
注記3 光触媒加工試験片における試験液を接種した直後の吸光度,無加工試験片における試験液を接
種した直後の吸光度及び暗所保管後の吸光度は,防藻活性値の算出には用いないが,光触媒に
よる防藻活性以外の要因で藻類に影響を与えないかなど,試験片の特性を知ることに役立つ。
試験片の調製中に,微生物による汚染,並びに物質間の交差汚染及び付着を防ぐために,十分な注意を
払う。試験片は,製品そのものから準備する。ただし,試験片の作製が困難な形状である場合は,製品と
同じ加工方法で作製した原料を用いて平板状に加工した試験片を作製して試験に用いてもよい。
光触媒防藻加工した材料が,標準サイズの四角形に切断することが困難又は不可能な場合は,400 mm2
1 600 mm2の表面積のフィルムで被覆することが可能であれば,この規格に規定していない形状及び大
きさの試験片を用いてもよい。
試料表面が有機物で汚染されている場合,1.0 mW/cm2±0.2 mW/cm2の紫外光を最長24時間照射するこ
とによって,有機物を除去してもよい。

8.2 試験片の清浄化及び設置

8.2.1 試験片の清浄化
試験片の表面全体を,エタノール又は消毒用エタノールに浸したガーゼ,綿などを用いて軽く2回3
回拭き,完全に乾燥させる。このような処理が,試験片の軟化,表面塗料の溶出及び試験結果に悪影響を
及ぼす内容物の溶出などの変化を引き起こす可能性がある場合は,試験結果に悪影響を与えるおそれのな
い別の適切な方法で清浄化するか,又は清浄化を行わない。
保湿用ガラスの表面全体を,エタノール又は消毒用エタノールに浸したガーゼ,綿などを用いて軽く2
回3回拭き,十分に乾燥させる。

――――― [JIS R 1712 pdf 10] ―――――

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JIS R 1712:2022の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 19635:2016(MOD)

JIS R 1712:2022の国際規格 ICS 分類一覧

JIS R 1712:2022の関連規格と引用規格一覧