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8.2.2 試験片の設置
シャーレの底に調湿用ろ紙を設置し,精製水を適量(4 mL6 mL)加える。試験片と調湿用ろ紙とが接
触しないように,ガラス管又はガラス棒を配置する。次に,試験片を光触媒防藻加工した面を上向きにし
てガラス管又はガラス棒上に置く(図1参照)。光触媒防藻加工した材料表面を,試験表面として用いる。
切断部分は,光触媒防藻加工した場合でも試験表面として用いてはならない。
単位 mm
記号説明
1 密着フィルム
2 保湿用ガラス
3 シャーレ
4 ガラス棒又はガラス管
5 調湿用ろ紙
6 試験片
7 試験液
図1−試験片の設置
8.3 試験液の接種
6.2に規定する試験液0.1 mLをピペットで正確に採取し,8.2に規定する各試験片に滴下する。滴下した
試験液を覆うように密着フィルムを置き,試験液がフィルム全体に分散するように,フィルムの端部から
溶液をこぼさないように注意しながらフィルムを軽く押さえる。次に,保湿用ガラスを設置する(図1参
照)。試験液の接種直後の吸光度の測定に用いる試験片を除いた試験片は,8.4に規定する試験に用いる。
標準サイズ以外の大きさの試験片を用いる場合,接種する試験液の量を,密着フィルムの面積に比例し
て調整する。標準サイズの試験片であっても,規定の試験液を接種すると,試験片フィルムの全領域にわ
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たって分布したり,試験片フィルムの端部から試験液がこぼれたりすることがある。この場合,面積当た
りの細胞密度が同じになるようクロレラ濃度を変更し,接種量を減らす調整を行い,試験片の表面に同じ
細胞密度を与えてもよい。
密着フィルムの標準サイズは,40 mm±2 mm角とする。標準サイズ以外の試験片を用いる場合は,試験
片から2.5 mm以上内側になるようにサイズを調整するが,密着フィルムの面積を400 mm2以下としては
ならない。試験に用いる密着フィルムは,事前に切断したものをエタノール又は消毒用エタノールで拭く
か,又は滅菌済みのものを無菌的に切断する。試験片が平らでないなど密着フィルムとの密着が困難な場
合は,密着フィルムで覆う手順を省略してもよい。
8.4 試験液を接種した試験片の光照射及び暗所保管
8.3によって試験液を接種した試験片のうち,3枚の光触媒加工試験片,3枚の無加工試験片及び3枚の
ガラス板試験片を,7.2に規定する条件で光照射を行う。また,3枚の光触媒加工試験片及び3枚の無加工
試験片を,光照射を実施した時間と同じ時間,暗所に保存する。この場合,試験片を光から保護するため
に,保存するシャーレをアルミニウムはく(箔)を用いて光から遮蔽するか,又は暗箱に保存してもよい。
8.5 接種直後の試験液の洗い出し
ピンセットを用いて,試験液を接種した直後のガラス板試験片3個を,洗い出し液5 mLを加えた滅菌
したシャーレに入れる。密着フィルムをピンセットでがして,溶液を完全に除去し,シャーレの蓋に一
時的に置く。洗い出し液に歯ブラシを浸した後,試験片を歯ブラシで軽く拭き,洗い出し液中にクロレラ
を集める。このとき,方向を数回変えながら軽く磨くようにする。シャーレの蓋の上に置いた密着フィル
ムをシャーレに戻す。密着フィルムの一端をピンセットで保持しながら,試験液と接触した側の密着フィ
ルム表面を歯ブラシで軽く拭き,その歯ブラシを同じ洗い出し液で軽くすすぐ。この洗浄液について,直
ちに8.7に規定する方法で吸光度の測定を行う。
8.6 試験後の試験液の洗い出し
8.4によって試験した試験片については,8.5と同様の方法で試験液を洗い出し,直ちに8.7に規定する
方法で吸光度を測定する。
8.7 吸光度の測定
分光光度計によって,5.2.6に規定する洗い出し液を用いて,吸光度のベースラインを600 nm800 nm
の波長範囲内で測定する。次に,8.5及び8.6に規定する洗い出し液について,660 nm(ピーク左端),692
nm(ピーク最大値)及び750 nm(ピーク右端)の吸光度を測定する(図2参照)。連続スペクトルを測定
することができない分光光度計を用いる場合,計測波長を660 nmに設定し,5.2.6に規定する洗い出し液
を用いてゼロ点を測定した後,8.5及び8.6に規定する洗い出し液について,660 nmの吸光度を測定する。
692 nm及び750 nmについても同じ手順によって,測定する。
吸光度の測定は,あらかじめ分光光度計を30分以上運転し,安定させた後に行う。吸光度の測定は,洗
い出し液中のクロレラが測定中に沈降しないよう,速やかに行う。全ての吸光度測定は,分光光度計の計
測条件を同一にして行う。
この試験方法は,光触媒材料の防藻活性を藻類細胞のクロロフィルに由来する吸光度に基づく評価であ
る。そのため,試験片からの溶出又は汚染によって,洗い出した試験液が濁る,着色するなどの場合は,
正確な評価が不可能となる。したがって,吸光度を測定する場合は,洗い出し液に異常な濁り又は着色が
ないか注意する必要がある。濁り又は着色が観察された場合は,その旨を報告書に記載する。
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記号説明
1 W660
2 W692
3 W750
4 Wbase692
5 Wpeak
X 波長(nm)
Y 吸光度
図2−吸光度の測定例
9 試験結果の計算
9.1 一般事項
試験結果の計算の一般事項は,次による。
a) 8.7に規定する吸光度の測定によって得た値を用いて,式(1)及び式(2)によって,各試験片のWpeakを計
算する。各条件の3個の試験片のWpeakの平均値を計算し,9.2Bに規定する防藻活性値を計算する場
合,四捨五入しない数値を用いる。
b) 得られた防藻活性値(単位 : %)は,小数点1桁目を切り捨てる。
c) 報告書に記載するWpeakの平均値は,小数点4桁目を四捨五入した数値を用いる。
注記 試験結果例を附属書JAに示す。
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9.2 三点吸光度法
式(1)によって,各試験条件のWbase692を算出する。
W750
Wbase692 =W660 W660 /750660 692660 (1)
ここで, Wbase692 : 波長660 nm及び750 nmの吸光度を結んだベースライ
ンにおける波長692 nmの吸光度
W660 : 波長660 nmにおける吸光度
W750 : 波長750 nmにおける吸光度
式(2)によって,各試験条件のWpeakを算出する。
Wpeak W692 (2)
Wbase692
ここで, Wpeak : 波長692 nmにおけるベースライン補正後の吸光度
W692 : 波長692 nmにおける吸光度
9.2A 試験成立の判定
次の二つの試験成立条件をいずれも満たす場合,その試験は有効と判定する。一つでも条件を満足しな
い場合は,試験不成立と判定し,再度試験を実施する。
a) Wg,0h,peakについて,次の式(3)が成立する。
Wg,0h,max
Wg,0h,min (3)
/Wg,0h,mean ≦0.3
ここで, Wg,0h,max : ガラス板試験片の試験液を接種した直後における3個
の試験片のWpeakの最大値
Wg,0h,min : ガラス板試験片の試験液を接種した直後における3個
の試験片のWpeakの最小値
Wg,0h,mean : ガラス板試験片の試験液を接種した直後における3個
の試験片のWpeakの平均値
b) Wg,l,peakについて,次の式(4)が成立する。
Wg,0h,peak
Wg,l,peak (4)
/Wg,0h,peak ≦0.5
ここで, Wg,l,peak : ガラス板試験片の所定時間光照射後のWpeak
Wg,0h,peak : ガラス板試験片に試験液を接種した直後のWpeak
9.2B 吸光度測定値に基づく光触媒防藻加工材料の防藻活性値の算出
式(5)によって,光触媒防藻活性値を算出する。
Rs =1 100 (5)
Wp,l,mean / Wn,l,mean
ここで, Rs : 光触媒防藻活性値(%)
Wp,l,mean : 光触媒防藻加工試験片の所定時間光照射後における3
個の試験片のWpeakの平均値
Wn,l,mean : 無加工試験片の所定時間光照射後における3個の試験
片のWpeakの平均値
式(6)によって,光照射による光触媒防藻活性値を算出する。
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R=1 100 (6)
Wp,l,mean / Wp,d,mean
ここで, ΔR : 光照射による光触媒防藻活性値(%)
Wp,l,mean : 光触媒防藻加工試験片の所定時間光照射後における3
個の試験片のWpeakの平均値
Wp,d,mean : 光触媒防藻加工試験片の所定時間暗所保管後における
3個の試験片のWpeakの平均値
10 試験結果の報告
試験結果の報告には,次の事項を記載する。
a) 規格番号(JIS R 1712)
b) 試験年月日
c) 光触媒防藻加工試験片,無加工試験片及びガラス板試験片の種類,大きさ,形状及び厚さ
d) 光源の種類,製造業者名及び品番
e) 紫外放射照度計の製造業者名及び品番
f) 照度計の製造業者名及び品番
g) 分光光度計の製造業者名及び品番
h) 有機物を除去した場合の光源の情報(種類,製造業者名及び品番,照射時間など)
i) 密着フィルム及び保湿用ガラスの種類及び大きさ
j) 試験に用いた藻類の種類及び藻類の保存番号
k) 試験液の接種量及び濃度(OD530の値又は顕微鏡による直接観察の結果)
l) 光照射条件(紫外放射照度,照射時間及び温度),暗所での保管時間及び温度
m) 吸光度測定時の分光光度計の計測設定条件
n) 各試験条件の試験値(W692,W750,W660,Wbase692及びWpeak)
o) 光触媒防藻活性値(Rs),及び光照射による光触媒防藻活性値(ΔR)
p) 試験状況及び試験後の試験片に関しての特記事項
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JIS R 1712:2022の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 19635:2016(MOD)
JIS R 1712:2022の国際規格 ICS 分類一覧
- 81 : ガラス及びセラミック工業 > 81.060 : セラミックス > 81.060.30 : ニューセラミックス
JIS R 1712:2022の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC1609-1:2006
- 照度計 第1部:一般計量器
- JISK0557:1998
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- JISK0950:1988
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- JISZ8802:2011
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