この規格ページの目次
49
T 60601-2-47 : 2018
(心電図解析に適用する全信号範囲と同様に)参照ST部分振幅及び傾斜の範囲の平均誤差及び標準偏
差を測定する目的は,重要な臨床判断が行われる,ST部分の偏差及び傾斜解析の精度を決定することであ
り,同様に解析の全体的な精度を決定することができる。
ST部分の測定及びST部分のエラーの散布図を生成する目的は,どのような体系的な測定の偏り,非線
形性,又はST部分偏差測定によって示す信頼性の低い性能の領域でも迅速で視覚的に評価する方法で,
全ての個々の測定の結果を要約することである。さらに,不一致の任意の定義については,パーセンテー
ジ不一致の迅速で視覚的な推定が実施できる。
STのエピソード及び持続時間の検知は,201.12.1.101.2.5の方法によって導いた真陽性,偽陰性及び偽陽
性の計算から,STのエピソード感度及び陽性一致率は,通常の方法で導く。
201.12.4.4.101† 直線性及びダイナミックレンジ
心電図の解釈には,通常,形態学的な詳細に従ったQRSの解析はしておらず,そのため,±3 mVの入
力ダイナミックレンジ及び125 mV/sの立上がり性能は,全く十分である。320 mV/s未満のスルーレート
は,解析心電計及び心電図モニタ用に指定したものであり,このホルタ心電計の要求事項は1985年のAHA
報告書[シェフィールド(Sheffield)ほか]で推奨した75 mV/sを満たしている。
ホルタ心電計は,大きなオフセット電圧の存在する状況で,適切に動作することは不可欠である。この
要求事項は,本来,大きな分極電圧に対応する必要から生じたものである。±300 mVのオフセットの特性
は,発生した分極電圧に対して十分である。
201.12.4.4.102† 入力インピーダンス
入力インピーダンスは,主に心電図信号の周波数範囲にわたって有効な皮膚−電極間のインピーダンス
レベルによって決まる。従来の心電図電極を使用する場合,測定システムは,実質的に全ての患者が重大
なエラーなしで測定できる十分に高い入力インピーダンスをもつことが望ましい。
技術的には,容易にこれらの要件を満たすことができる。あらかじめゲル化した電極の継続的な開発が,
更に低い平均インピーダンスレベルをもたらしたものの,前述の研究は古いスタイルの電極が存続するよ
うな,最悪の場合の制限に対していまだに適切である。現代の低インピーダンスの電極を使用することで,
過剰な電極−皮膚インピーダンスが引き起こす測定誤差は減少する。
周波数が上がるとともに,及び電極貼付後の時間とともに,皮膚への電極のインピーダンスは減少する。
試験方法は,0.62 MΩの抵抗と並列に接続した4.7 nFのコンデンサによるインピーダンスの周波数に依存
した減衰を模擬する。10 Hzにおける,この組合せのインピーダンスは,約610 kΩである。したがって,
その10 Hzのシングルエンドの入力インピーダンスが9.55 MΩか又はそれ以上のホルタ心電計が,この試
験に合格する。
201.12.4.4.103† 同相信号の抑制
この規格で選択した同相信号の抑制(CMR)を指定し,計測する特別な手段が,ホルタ心電計及び患者
との静電容量の関係で,大地との静電容量の通常の構成よりも悪くしている。電源周波数における60 dB
のCMRの要求は,かなり保守的である。実際に使用する上で,主要な静電容量というのは,ホルタ心電
計及び患者との間にあり,かなり高いCMRを期待している。SCR制御器及びコンデンサ入力フィルタを
もつ電子機器用電源のような不連続な負荷が原因で生じる電源波形のひずみのせいで,電源周波数の高調
波を含んでいる。
ホルタ心電計は,ホルタ心電計と大地との容量を定義し,安定させるために大地と接続したはく(箔)
で密封している。入力試験構成部品及び誘導コードは,この構成部品と大地との浮遊容量の影響を取り除
くドライブしたシールドで保護している。さらに,試験装置全体は,浮遊容量Cxを安定させるための基
――――― [JIS T 60601-2-47 pdf 51] ―――――
50
T 60601-2-47 : 2018
準の大地のシールドで覆っている。
残っている変数で唯一試験に影響するものは,個別のホルタ心電計の物理的なデザインであり,それは
ホルタ心電計の大きさ,内部の回路基板と包んでいる金属はく(箔)の隙間[つまり,絶縁した外きょう
(筐)の厚さ]である。包んだ金属はく(箔)及びホルタ心電計に生じた容量が高ければ高いほど,この
個別の試験方法で規定する要求事項を満たすことの難しさも大きい。その一方で,入力試験構成部品及び
誘導コードを防御することが,この性能仕様を満足する困難さを少なくする。
ホルタ心電計の回路の同相信号の抑制を検査するには,どのような電源(商用)周波数のノッチフィル
タも無効にする必要がある。そうでなければ,この試験のほとんどの検査はノッチフィルタの(差動モー
ド)除去を検査している。電源(商用)以外の周波数でも,良い同相信号の抑制を達成することが望まし
い。
201.12.4.4.104† 感度の精度
10 mm/ mVの基準の感度設定は,十分に確立した慣習[AHAの勧告,シェフィールド(Sheffield),1985]
を反映している。その他の設定は,安全性及び有効性を保証するためには必要としない。しかし,利用可
能な全ての感度設定におけるシステムの出力は,理想的なシステムにかなり近いことを保証する。
201.12.4.4.105† 感度の安定性
一貫した解釈を保証するために,感度の安定は,一般的な検査時間が24時間以上の長時間生体情報モニ
タ装置において特に重要である。生理的又は病態生理学的な変化からは生じない心電図信号の変化を最小
にする必要がある。ここで指定した範囲は,実際に確立した達成可能なレベルに関する合意を示している。
201.12.4.4.106† 内部雑音
心電図記録の雑音は,きれいで診断可能な信号への最も持続的な弊害の一つである。しかし,この問題
は,一般的に外部干渉(EMI),患者の動き(筋電図信号)又は電極の装着若しくはケーブルの引き回しに
おける貧弱な技術に端を発している。ほとんどの製造業者は,ECGを測定する際に正しい技術のためのガ
イドラインを提供している。シールドしたケーブルと同様に,高入力インピーダンス及び同相信号の除去
は,雑音の問題の幾つかを低減させることが必要である。電極において感知した信号から同相信号の雑音
を除去するのに役立つ右足の帰還は,更に雑音を低減させることが必要である。
201.12.4.4.107† チャネル間干渉
干渉の最大レベルは,正確な診断の要求事項と雑音抑制のコストの増分とによって決定することができ
る。この仕様は,IECの心電計規格案に基づいている。指定したレベルは,診断目的に十分で,実際に経
済的に実現可能である。
201.12.4.4.108† 周波数特性
周波数応答の完全な仕様では,低周波数応答について最も重要である位相ひずみについて対処すること
が望ましい。インパルス応答の要求事項は,比較的簡単に適用できる手順でこの機能の試験が必要である。
25 Hz以上の周波数の位相のずれの測定は,よくて25 mm/秒の時間基準では困難であるため,より高い
周波数での試験は提案していない。40 Hzにおける精密な計測には,400 mm/秒の時間基準が必要である。
歴史的には,0.05 Hzの1次ハイパスフィルタの位相応答は許容できると考えられている。インパルスに
よって許容される基線の偏位は,0.05 Hzのフィルタから予想されるような低下として現れる。0.30 mV/
秒の傾斜の要求は,標準感度及び速度で,100 msのST部分で0.3 mmの変化に相当し,特に(0.3 mV×秒
に比較して)0.1 mV×秒に近いインパルスの値の一般的なQRSでは臨床的に問題ではない。
40 Hzという高周波応答は,二つの考察に基づいている。1番目に,ホルタ心電図の主な目的(リズムの
識別及び虚血性エピソードを識別するために必要なST部分の変位を明らかにする。)は,更なる高周波応
――――― [JIS T 60601-2-47 pdf 52] ―――――
51
T 60601-2-47 : 2018
答なしで十分に達成できる。2番目に,電源周波数及び筋電図による高周波雑音の問題は,40 Hzの帯域幅
で低減できる。
この規格は,正弦波による周波数応答又はR波を模擬するECGのような三角波を用いてホルタ心電計
の能力を評価するための試験方法を提案している。三角波入力信号のピーク値の40 %の減衰を許容すると
いうことは,一つの24時間のチャンネルを少なくとも1 440万サンプル保存するデジタルサンプリングシ
ステムに起因すると予想した減衰と一致する。インパルス応答試験は,R波を模擬するとともに,ホルタ
心電図システムがインパルスの後に実際の心電図信号のST部分で人工的な変位となり,虚血が存在する
という虚偽の解釈につながるおそれのある基線の変化が生じているかどうかを簡単に観察するのに使われ
ている。
0.67 Hzの低周波応答は,Simonsonの研究5)に基づいている。これらの研究は,44/分で126 ms未満の
個々のRR間隔変動の成人の心拍数の99 %以上を含むことを示す。このように,40/分(0.67 Hz)の下限
が,当時の成人90 %の99 %に存在する。Baileyらは,1990年のAHAの勧告の0.67 Hzの低周波の限度に
そろえるために,このデータを使用した。
注5) IMONSON, E. Differentiation between normal and abnormal in electrocardiography. St. Louis:C.V.
Mosby Co.,1961, p.158.
SIMONSON, E. et al. Variability of the electrocardiogram in normal young men. Am Heart, 1949, vol.
38, p.407.
アナログテープ式ホルタ心電計の約0.2 Hz0.3 Hzの周波数応答に増幅がある。この増幅で周波数応答
の精度の上限として+3 dBの選択が可能である。
201.12.4.4.109† ペースメーカパルスに対する機能
診断目的でホルタ心電計を付けている患者の体表面で大きなペースメーカパルスを観察することはよ
くある。この理由から,そのような患者に使用するのに適しているとしているホルタ心電計で記録した心
電図は,ペースメーカパルスで過度にひずんではならない。
製造業者が,そのホルタ心電計がペースメーカパルスを記録するのに適しているとしているのであれば,
体表面心電図上で可能性のあるペースメーカパルスの範囲をカバーするために,四つの異なったパルスの
試験が必要である。
201.12.4.4.110† 時間の精度
外部イベント(例えば,薬剤の投与,症状の存在,身体的活動など)及び患者のイベントの心電図の発
生時刻との相関は臨床的に解釈する上で必須である。記録した心電図は過去に遡って見るので,記録する
ホルタ心電計及びホルタ心電図システムは,画面及び印刷物の両方に,心電図とともに実際の発生時刻を
正確に示す仕組みの提供が必要である。
24時間で±30秒の累積精度の要求は,実際の発生時刻と記録した発生時刻との差が診療するうえで心電
図イベントと外部イベントとの関連で解釈するのに十分許容できる。
201.12.4.4.111† 感度設定及び切替え
患者の心電図の振幅の変化(生理的要因又は選択した誘導に起因する。)によって異なる倍率を選択する
ことが必要である。10 mm/mVの標準感度を伝統的に使用してきた。5 mm/mV及び20 mm/mVの追加の感
度設定は,IEC及びAHAの勧告に合致している。他の感度設定(例えば,40 mm/mV及び2.5 mm/mV)
は,製造業者の選択肢として提供してよい。連続的な感度の制御は,一般的に望ましくない。
表示画面に心電図の校正波を含めることは,操作者に再生した心電図の振幅を確認する手段を提供して
いる。
――――― [JIS T 60601-2-47 pdf 53] ―――――
52
T 60601-2-47 : 2018
201.12.4.4.112† 時間位置調整
記録した心電図の臨床的な評価には,別の方向(チャネル)からの観察が必要である。例えば,ペース
メーカパルスの特徴として,1チャネルだけではときどき認められないことがある。二つ以上の心電図チ
ャネルの同時解析は,チャネル間のずれが,心電図の臨床的な解釈に影響を与えないくらい十分に小さい
ことが必要である。±0.5 mmのずれは,±20 msの最大の時間的なずれに相当する(25 mm/秒の場合)。
この許容誤差は,実際の計測値の誤差及びテープのトラッキング及び/又はアナログからデジタルへの変
換のずれに起因する磁気記録ヘッドの調整による記録及び再生装置における変動を含んでいる。
201.15.4.3.101.1† モニタ時間
ホルタ心電図記録の最小時間は,検査に対する適応に応じて変化する。頻繁に発生するイベントは短い
記録時間で検出できるのに対して,まれに発生する又は滅多に発生しないものは,長時間の記録が必要な
場合がある。ほとんどの診療用途に対して,最小24時間の記録時間を推奨している。この時間は,心臓の
活動に内在している日内変動を考慮している。この期間は,周波数の時間的な変動を認識することで,目
覚め及び睡眠中の間欠的な不整脈のほとんどのエピソードの検出を可能としている。
201.15.4.3.101.2† データの保持
72時間のデータ保持という要求は,実際に発生している一般的な事例で,少なくとも週末の間は保存し
た記録を維持することが望ましいという前提に基づいている。
201.17† ME機器及びMEシステムの電磁両立性
ホルタ心電計及びホルタ心電図システムの電磁両立性は,関心が高まっている。副通則IEC 60601-1-2
は,このことを反映し,EMCの要求事項を規定している。
202.6.2.3† 放射RF電磁界
一部の患者は,異常に高い電磁環境にさらされる可能性がある。このような患者には不適切な記録を避
けるために,ホルタ心電計を高い電磁環境にさらさないよう医師が助言する必要がある。さらに,心電図
の記録に最初に失敗した場合に,繰り返し検査することができる選択的な手順があったほうがよい。
――――― [JIS T 60601-2-47 pdf 54] ―――――
53
T 60601-2-47 : 2018
参考文献
JIS T 0601-2-25 医用電気機器−第2-25部 : 心電計の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
注記 対応国際規格 : IEC 60601-2-25,Medical electrical equipment−Part 2-25: Particular requirements
for the basic safety and essential performance of electrocardiographs
IEC 60601-2-27,Medical electrical equipment−Part 2-27: Particular requirements for the basic safety and
essential performance of electrocardiographic monitoring equipment
CISPR 11,Industrial, scientific and medical equipment−Radio-frequency disturbance characteristics−Limits
and methods of measurement
――――― [JIS T 60601-2-47 pdf 55] ―――――
次のページ PDF 56
JIS T 60601-2-47:2018の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60601-2-47:2012(MOD)
JIS T 60601-2-47:2018の国際規格 ICS 分類一覧
JIS T 60601-2-47:2018の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB7761-3:2007
- 手腕系振動―第3部:測定及び評価に関する一般要求事項
- JISC0445:1999
- 文字数字の表記に関する一般則を含む機器の端子及び識別指定された電線端末の識別法
- JISC0447:1997
- マンマシンインタフェース(MMI)―操作の基準
- JISC1509-1:2017
- 電気音響―サウンドレベルメータ(騒音計)―第1部:仕様
- JISC1509-2:2018
- 電気音響―サウンドレベルメータ(騒音計)―第2部:型式評価試験
- JISC2134:2007
- 固体絶縁材料の保証及び比較トラッキング指数の測定方法
- JISC2134:2021
- 固体絶縁材料の保証及び比較トラッキング指数の測定方法
- JISC4003:2010
- 電気絶縁―熱的耐久性評価及び呼び方
- JISC60079-0:2010
- 爆発性雰囲気―第0部:電気機器―一般要件
- JISC60079-2:2008
- 爆発性雰囲気で使用する電気機械器具―第2部:内圧防爆構造“p”
- JISC60079-6:2004
- 爆発性雰囲気で使用する電気機械器具―第6部:油入防爆構造“o”
- JISC60364-4-41:2010
- 低圧電気設備―第4-41部:安全保護―感電保護
- JISC60695-11-10:2015
- 耐火性試験―電気・電子―第11-10部:試験炎―50W試験炎による水平及び垂直燃焼試験方法
- JISC6965:2007
- ブラウン管の機械的安全性
- JISC8282-1:2019
- 家庭用及びこれに類する用途のプラグ及びコンセント―第1部:一般要求事項
- JISC8303:2007
- 配線用差込接続器
- JIST0601-1-3:2012
- 医用電気機器―第1-3部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項―副通則:診断用X線装置における放射線防護
- JIST60601-1-8:2012
- 医用電気機器―第1-8部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項―副通則:医用電気機器及び医用電気システムのアラームシステムに関する一般要求事項,試験方法及び適用指針
- JISZ8736-1:1999
- 音響―音響インテンシティによる騒音源の音響パワーレベルの測定方法―第1部:離散点による測定