JIS T 60601-2-47:2018 医用電気機器―第2-47部:ホルタ心電図システムの基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項 | ページ 10

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201.12.1.101.2.2† アノテーションファイルの使用
N,S,V又はF及び分類不能な心拍には,Qのラベルが付いている。これは,QRS感度及び陽性一致
率,VEB及びSVEBの感度,陽性一致率及び偽陽性率の計算には,十分である。
201.12.1.101.2.3.3.1† 心拍数計測
心拍数について多くの定義が存在するが,一般に受け入れられたものはない。定義の違いは,例えば,
使用するRR間隔の数とそのRR間隔とをどのように心拍数計算に用いるかである。RR間隔の重ね合わせ
処理によく用いる一つの方法は,移動平均である。他の方法も考えられるし,利点をもつ可能性もある。
201.12.1.101.2.3.3.2† 心拍変動又はRR間隔変動計測の試験パターン
201.12.1.101.2.3.3.2の試験方法に従って,結果をHRV(RRV)測定ごとに報告する必要がある。試験パ
ターンの例を表AA.10に,結果の例を表AA.11に,組合せの例を表AA.12に示す。
表AA.10−ホルタ心電図システム測定の総合的な試験パターンの例
HRV指標 雑音レベル 35 ms 70 ms 280 ms 140 ms
SDNN 4.8 ms 25 49 197 99
SDANN 0.5 ms 0 0 2 98
ASDNN 4.1 ms 25 49 197 14
RMSSD 6.1 ms 29 31 123 1
pNN50 0% 0 0 79.9 0
TINN 24 ms 55 ms 89 ms 300 ms 155 ms
VLF 0.04 ms2 0 0 39 106.82 4.64
LF 0.13 ms2 0 2 438.36 7.86 0
HF 0.30 ms2 579.45 0.17 0.29 0
注記 表201.106の定義を参照
表AA.11−総合的な試験パターンで予測される理想的な結果の例
HRV指標 雑音レベル 35 ms 70 ms 280 ms 140 ms
SDNN 0 ms 24.75 49.50 197.99 98.99
SDANN 0 ms 0.00 0.00 0.00 97.87
ASDNN 0 ms 24.75 49.50 197.99 14.00
RMSSD 0 ms 29.77 31.25 125.87 0.28
pNN50 0% 0.0 0.0 87.0 0.0
VLF 0 ms2 0.0 0.0 39 200.0 0.0
LF 0 ms2 0.0 2 450.0 0.0 0.0
HF 0 ms2 612.5 0.0 0.0 0.0
注記 表201.106の定義を参照
表AA.12−試験パターン組合せ(選択)例
試験パターン 1 2 3 4 5
変化の大きさ(ms) 0 35 70 280 140
変化の周期 N/A 4秒 10秒 30秒 1時間
変化の周波数(Hz) N/A 0.25 0.1 0.033 333 0.000 278
対応する周波数帯 N/A HF LF VLF VLF
RR間隔の平均(s) 1 0.800 1.00 3.000 1.500
1分間の心拍数 60 75 60 20 40

――――― [JIS T 60601-2-47 pdf 46] ―――――

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試験パターンの大きさは,実際の値の有用な範囲に相当するように選択した。0 msの大きさは,雑音レ
ベルを示すために選択した。臨床的ないき(閾)値として一般的に選ぶSDNN値が50 msと予測されるの
で,70 msを選択した。陽性,陰性の正しい試験結果は,いき(閾)値の近くで特に正確さに依存する。
35 msの大きさは,70 ms以下の範囲の小さい値として選択した。
140 ms及び280 msの大きさは,HRVの大きな値を表す。しかし,HRV指標の合理的な予測を行うため
に,間隔の変動が間隔自体に比べて小さいことが必要である。平均値からの大きな偏差があることが原因
で,短いRR間隔の半サイクルでは長いRR間隔の半サイクルに比べて心拍が多くなり変動の各正弦波の
周期のサンプリングがより非対称となる。平均間隔が,ばらつきよりも少なくとも10倍長くなるように選
択した。これは280 msの変動の大きさのために,平均間隔はほぼ3秒(20/分)でなければならないこと
を意味する。より非現実的な低い平均心拍数を回避するために,変動の大きい大きさは試験しない。平均
間隔は,毎分繰り返す試験パターンを生成するために僅かに切り上げた。
最も大きい変化は,試験パターン5の代わりに試験パターン4に適用した。なぜならば,試験パターン
5のような低周波(1時間周期)を試験するために必要なデータは,多くの心電図解析には適用できない
場合があるためである。全ての心電図解析が,パターン4の最大試験強度によって評価されることが望ま
しい。
試験パターン1は,ホルタ心電図システムの完全な信号経路を介して適用することを目的とする。言い
換えると,試験パターン1は,アナログECG波形[201.12.1.101.2.3.3.2のa) d)を参照]として供給され,
記録され,デジタル化されて,QRS検出器で処理する。雑音レベル測定は,サンプリング効果,PLL,計
算精度及びその他の処理による影響を明らかにする。
試験パターン25は,QRS検出及び分類後にデジタル領域で適用する[201.12.1.101.2.3.3.2のe) j)参
照]。これは,ほかで効果が特定されていない演算の妥当性を試験し,複雑なアナログ波形シミュレータの
構築を回避する。
試験パターン2及び3の心拍変動の周波数は,多くの人に見られるHRVである4秒及び10秒の周期に
一致するようにESC/NASPE特別報告書4)の1 047ページにあるHF及びLFの周波数帯域となるように選
択した。試験パターン4の周波数は,VLF帯を用いるが,ほとんどの短期的なHRV解析に有用である十
分に短い期間のものでなければならない。試験パターン5は,5分(例えば,SDANN)よりもはるかに長
い期間にわたっての変化を感知するHRV指標を用いるように設計した。
注4) eart Rate Variability, Standards of Measurement, Physiological Interpretation, and Clinical Use, by the
European Society of Cardiology and the North American Society of Pacing and Electrophysiology,
Circulation, 1996; 93:1043-1065.
合成試験パターンQRSシーケンスのための幾つかの予測HRV指標では,次の説明の全体を通して“間
隔”とは,試験のために選択されただけの間隔を意味する。合成試験パターンでは,全ての区間は心電図
解析が使用し,全ての心拍が“ノーマル”のラベルをもっており,間隔の関係に基づいて,全ての除外ル
ールは無効とする。RRDEVは,間隔変動のゼロからピークの大きさを参照し,試験パターンにおいて0 ms,
35 ms,70 ms,140 ms及び280 msの値をとる。
幾つかのHRV指標は,他の指標との強い関係をもっている。二つの簡単な近似値は,ここで注目に値
する。分散は,標準偏差の二乗であり,パーセバルの定理は,分散の累乗に関係する。この二つの関係は
目安だが,現実のチェックとしてうまく機能する。HRVプログラムのユーザは,この点に注意する必要が
ある。
以上のことから,分散分析(ANOVA)との類似性は,次のようにいえる。

――――― [JIS T 60601-2-47 pdf 47] ―――――

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SDNN2≒SDANN2+ASDNN2
ここに, SDNN2 : 全ての間隔の分散
SDANN2 : 群間分散
ASDNN2 : 近似郡内分散
ANOVAは分散の平均であり,一方ASDNNの定義は,標準偏差の平均値であるため,上記の関係はた
だの目安である。
それは,パーセバルの定理によって,我々は,周波数領域において計算されたパワーに時間領域で計算
されたパワーを関連付けることができる。パワーが0 Hzまでの全ての周波数にわたって周波数領域で計算
が可能である場合,そのパワーは,SDNN2と比較することができる。0.003 33 Hz(5分区切りのため)以
上の周波数だけで計算が可能な場合,ASDNN2は,VLF,LF及びHFパワーの和と比較することができる。
ASDNNは,時間領域では5分間のデータで計算できる。
ASDNN2≒VLF+LF+HF
ASDNNの定義にはトレンド除去を含まず,HFの定義が存在する可能性が最も高い周波数(<0.40 Hz)
未満に制限されているため,上記の関係は,目安である。
SDNNは,全ての間隔(サブグループなし)の標準偏差である。標準偏差の計算は,平均値を除去した
二乗平均平方根(RMS)と同じである。正弦波のためのRMS値は,2の平方根で除した正弦波のゼロか
らピークの値である。
RRDEV
SDNN
2
SDANN : 5分間の平均間隔の標準偏差(5分間のサブグループ間変動)。試験パターン(パターン1,2,
3及び4)を毎分繰り返すとき,各5分間の平均間隔は同じである必要がある。一定の数の一連の標準偏差
は,ゼロである。試験パターン5は,SDANNがゼロ以外となる唯一のパターンである。試験パターン5
は,60分の周期で正弦波の間隔の変動を生成する。12の異なる5分平均がある。その予測は,5分間の平
均く(矩)形インパルス応答にローパスフィルタを適用する以外はSDNN予測に類似している。このよう
なフィルタの振幅応答は,sin(x)/xとなる。変動の周期はインパルス応答よりも12倍長いので,振幅応答
は,0.988 6=sin(π/12)/(π/12)である。
SDANN 0 試験パターン,1 ,2 ,3 4 の場合
PRDEV
SDANN .0988 6 試験パターン5 の場合
2
ASDNN : 間隔の5分間標準偏差の平均(5分サブグループ内の変動) : 各5分が他の全ての5分と同じ
である場合,この結果は,試験パターンのRMSと同様にSDNNと等しい。試験パターン5の場合は,ASDNN
は容易に予測できない。試験パターンは,1時間ごとに繰り返されるので,12個の5分のグループが存在
する。12の正弦波サイクルの各標準偏差を予測することは容易ではない。しかし,RRDEV/10.1は,12の
正弦波周期セクションの標準偏差の平均値であることは,数値的に決定している。
PRDEV
ASDNN 試験パターン,1 ,2 ,3 4 の場合
2
PRDEV
ASDNN 試験パターン5の場合
101.
RMSSD : 間隔の連続した差異の二乗平均平方根 : 正弦波の最大変化は,基線又は平均値を通過する点で
ある。なぜならば試験パターンの定義によって,最大変化は,正弦波,sin(p)の下降行程となる。変動関数

――――― [JIS T 60601-2-47 pdf 48] ―――――

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が平均間隔を通過する直前及び直後のRR間隔を検出する必要がある。試験パターン4を考えてみる。平
均間隔が3 000 msである場合,最初の近似は,RR間隔がsin(P)の前1 500 ms及び後1 500 msで計算され
る。変動関数から計算されるRR間隔で1 500 msの前は3 086.525 msであり,最初の予測より少し長い。4
回の繰返しの後,予測は非常に近くなる。
n 3 086.525
rr1 3 000 280 sin 1 5002 3 000 86.525 1 543.262
30 000 2
n
rr1 3 000 280 sin 1 543.2622 3 000 88.934
30 000
n
rr1 3 000 280 sin 1 544.4672 3 000 89.001
30 000
n
rr1 3 000 280 sin 1 544.5012 3 000 89.003
30 000
rr2=3 000−89.003
連続する最大の差 2×89.003=178.0 ms
正弦波の微分も,正弦曲線である。連続した差のシーケンスは,微分に類似しており,変動関数の区間
ごとに十分な数の間隔がある場合,ほぼ正弦曲線となる。この仮定は,試験パターン2では,変動周期当
たり僅か5心拍の平均となり最も弱い。正弦波の連続する差の性質を知り,最大の連続した差を知るなら
ば,全ての連続した差の二乗平均平方根を推定できる。最大の連続した差を2の平方根で除した値となる。
例を,表AA.13に示す。
max scsv diff(最大の連続した差)
RMSSD
2
表AA.13−間隔の差の二乗平均平方根の例
試験パターン 1 2 3 4 5
変化の大きさ(ms) 0 35 70 280 140
最大の連続した差(ms) 0 42.1 44.2 178.0 0.4
RMSSD(ms) 0.00 29.77 31.25 125.87 0.28
pNN50[連続する間隔の差が50 ms(増加,減少にかかわらず。)を超える割合]は,パターン4を除く
全ての試験パターンで予測することは容易である。最大の連続する差が50 ms未満であるとき,pNN50は,
ゼロである。連続する差の配列が178 msの最大値をもつとき,50 msを超えるのがシーケンスのどの部分
であるのかを知る必要がある。0 msから178 msまでの正弦波の1/4サイクルを考える。
50
Arc sin .0284 7ラジアン
178
1/4サイクルの中にπ/2ラジアンがある。各1/4サイクル中で,50 msを下回る時間は0.2847/ (π/2)であり,
81.87 %の時間が50 ms以上である。全ての1/4サイクルは,対称的である。
− pNN50=0.0 試験パターン1,2,3及び5の場合

――――― [JIS T 60601-2-47 pdf 49] ―――――

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− pNN50=81.87 試験パターン4の場合
− VLF : 0.003 Hz0.04 Hz間の周波数成分のパワー積算
− LF : 0.04 Hz0.15 Hz間の周波数成分のパワー積算
− HF : 0.15 Hz0.40 Hz間の周波数成分のパワー積算
パーセバルの定理によってパワースペクトル密度曲線下の総パワーは,時間領域信号の分散に等しくな
るので,全ての試験パターンで予想されるパワーを計算することは非常に容易である。変動の幾つかのサ
イクルを見る際に,信号を十分に観察することができない場合,複雑化させる要因は,スペクトル推定技
術である。心拍変動の一周期の完了に1時間を必要とする試験パターン5にある心電図解析を使用する場
合,簡単に試験することができる。1時間より短いデータセグメントからパワーを推定する心電図解析を
使用する場合のトレンド除去方法に応じて,試験パターン5では様々な結果を出力する可能性が高い。実
際,試験パターン5に対する低域応答は,良好なトレンド除去方法の証拠とみなされる可能性がある。例
を,表AA.14に示す。
RRDEV 2
VLF, LF, HF パワー
2
表AA.14−周波数成分概要の例
パターン1 パターン2 パターン3 パターン4 パターン5
0 ms 35 ms 70 ms 280 ms 140 ms
HRV指標 0 Hz 0.25 Hz 0.10 Hz 0.033 333 Hz 0.000 278 Hz
VLFパワー(ms2) 0 0.0 0.0 39200.0 0.0
LFパワー(ms2) 0 0.0 2450.0 0.0 0.0
HFパワー(ms2) 0 612.5 0.0 0.0 0.0
201.12.1.101.3† 医師用報告書−最小限の要求事項
頻脈,徐脈,期外収縮及びST部分の変化のフラグは重要であり,医師はこれらに注意し,患者をみ(看)
ることが考えられる。
長距離運動(長距離走,水泳,自転車など)選手は,多くの場合,安静時の心拍数が50/分以下である
ので,このような場合に誤って診断しないように,操作者がパラメータを選択できることが重要である。
操作者がパラメータを選択する機能は,ST部分の分析のためにも有用である。
201.12.1.101.3.6† ST部分の変化
拍ごとにST部分を測定したデータは,現時点では十分に利用できないと認識されているため,試験す
る目的のための適切な参照のための注釈を生成する方法を決定することが試験者に残されており,その後,
選択した方法を開示する。測定の心電図解析は,必ずしも拍ごとに報告しない場合がある。比較を容易に
するために,参照のための注釈及び試験データの生成は,ほぼ同時であることが望ましい。
相関係数又はRMS誤差のような要約統計は,ST部分偏差の測定の精度を記載するには不適切である。
それらは,外れ値に非常に敏感であり,かつ,(低いノイズ耐性又は信頼性のない測定技術から生じる)非
系統誤差と(バイアス又は非線形性から生じる)系統誤差とを区別しない。より良い統計は,外れ値の存
在下で,その堅ろう(牢)性のため,対象範囲において,全信号範囲で信頼限界の推定値である。信頼限
界は,標準偏差に基づいているので,試験者は,両方の形式で,散布プロット上の標準偏差を提供する必
要がある。ブランド・アルトマンのような他の多くの統計的方法は,提供されたデータから生成すること
ができる。

――――― [JIS T 60601-2-47 pdf 50] ―――――

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JIS T 60601-2-47:2018の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60601-2-47:2012(MOD)

JIS T 60601-2-47:2018の国際規格 ICS 分類一覧

JIS T 60601-2-47:2018の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB7761-3:2007
手腕系振動―第3部:測定及び評価に関する一般要求事項
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文字数字の表記に関する一般則を含む機器の端子及び識別指定された電線端末の識別法
JISC0447:1997
マンマシンインタフェース(MMI)―操作の基準
JISC1509-1:2017
電気音響―サウンドレベルメータ(騒音計)―第1部:仕様
JISC1509-2:2018
電気音響―サウンドレベルメータ(騒音計)―第2部:型式評価試験
JISC2134:2007
固体絶縁材料の保証及び比較トラッキング指数の測定方法
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固体絶縁材料の保証及び比較トラッキング指数の測定方法
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電気絶縁―熱的耐久性評価及び呼び方
JISC60079-0:2010
爆発性雰囲気―第0部:電気機器―一般要件
JISC60079-2:2008
爆発性雰囲気で使用する電気機械器具―第2部:内圧防爆構造“p”
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爆発性雰囲気で使用する電気機械器具―第6部:油入防爆構造“o”
JISC60364-4-41:2010
低圧電気設備―第4-41部:安全保護―感電保護
JISC60695-11-10:2015
耐火性試験―電気・電子―第11-10部:試験炎―50W試験炎による水平及び垂直燃焼試験方法
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ブラウン管の機械的安全性
JISC8282-1:2019
家庭用及びこれに類する用途のプラグ及びコンセント―第1部:一般要求事項
JISC8303:2007
配線用差込接続器
JIST0601-1-3:2012
医用電気機器―第1-3部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項―副通則:診断用X線装置における放射線防護
JIST60601-1-8:2012
医用電気機器―第1-8部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項―副通則:医用電気機器及び医用電気システムのアラームシステムに関する一般要求事項,試験方法及び適用指針
JISZ8736-1:1999
音響―音響インテンシティによる騒音源の音響パワーレベルの測定方法―第1部:離散点による測定