JIS T 80601-2-61:2014 医用電気機器―第2-61部:パルスオキシメータの基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項 | ページ 14

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FF.3 校正器とは何か
通常使用されている意味での校正器は,パルスオキシメータの精度を調整することができる試験器であ
る。高精度シミュレータとして機器と一緒に使用する校正器が典型的なものであり,パルスオキシメータ
校正のための調整に用いることができる。パルスオキシメータを調整によって校正することはできないの
だが,“校正器”という用語の特別な使用を推奨している意味に取られかねないと委員会は考えた。パルス
オキシメトリ校正器(Pulse oximetry calibrator,POC)とは,高精度シミュレータであって,患者又は被験
者に対するものと区別できないほど類似した信号又は光学的応答を示すようなもののことであろう。パル
スオキシメータ/パルスオキシメータプローブの組合せをPOCによって試験した場合に,現時点で製造
されているパルスオキシメータでは,パルスオキシメータを調整して校正の精度を改善することは一般的
に不可能である。POCは,オキシメータが一人以上の模擬患者における酸素飽和度を測定するときの誤差
を計測するために用いる。誤差が許容できないと判明した場合の通常の対応法は,不良構成品の交換又は
パルスオキシメータの再設計である。このほかに,POCとその他の種類の校正器とが異なる点は,POCの
誤差の原因をできるだけ取り除いた上で,校正器として使用できるレベルにすることが困難なことである。
校正器の精度は,校正対象機器よりも410倍良いものにするのが一般的である。通常のパルスオキシメ
ータのSpO2精度を±2 % SpO2とした場合(この個別規格が要求する精度は,±4 % SpO2以内),POCは,
あらゆるパルスオキシメータ本体/パルスオキシメータプローブの組合せに対して,0.5 % SpO2以下の誤
差で精度を測定できることが望ましい。
FF.4 現状では,パルスオキシメータをどのように校正しているか
パルスオキシメータは,その校正器として十分なものであると保証できるシミュレータが現時点ではな
いという点で,他のME機器とは異なる。パルスオキシメトリは,光とヒト組織の複雑な相互作用に依存
している。光学的に複雑なものをある程度まではモデル化し,その妥当性確認を適切に行ったPOCを作ろ
うという試みはなかったわけではない[43][44]が,こうした努力は成功してはいない。
したがって,パルスオキシメータのSpO2精度を決定するために使用できる主要な方法は,その読み値
をCOオキシメータの(動脈血中の幾つかのタイプのヘモグロビンの濃度をin vitroで光学的測定によって
決定した)読み値と比較することである。EE.2も参照する。
これまでに製造されてきたパルスオキシメータは,観血的血圧トランスデューサが校正できるのと同じ
意味で校正できるわけではない。パルスオキシメータでは,増幅度の設定,増幅器のオフセット除去など
の様々な手動又は自動の調整があり得るが,これらは全て通常の電子的な基準値を基に調整する(例えば,
オフセット調整は,電圧計の読み値が0になるように設定することである。)。患者から得られる光学的信
号とSpO2表示値との基本的な関係は,特定のパルスオキシメータ本体とパルスオキシメータプローブと
の組合せに対して製造業者が決定する。この個別規格では,これを比又はRと呼んでいるが,これはファ
ームウェアに永久保存するが調整することはない。,現行のパルスオキシメータの多くは,次の式(FF.1)で
近似できるモジュレーション比又は比の比と呼ばれる概念の値を用いている。
min .red
log10 max .red ACredDCred
R (FF.1)
min .IR
log10 max .IR ACIR DCIR
ここに, ACred : 赤波長信号の時間変調成分の大きさ
ACIR : 赤外波長信号の時間変調成分の大きさ
DCred : 赤波長信号の時間変調しない成分の大きさ
DCIR : 赤外波長信号の時間変調しない成分の大きさ

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注記 この近似式は,後述の校正曲線の検討をするために具体的な例を示すだけの目的で引用されて
いる。精確なオキシメータは,多様な数学的なアプローチを用いて設計されており,それぞれ
が経験的な校正曲線を必要としている。
計測したRから,図FF.1に示すような経験的に得られた校正曲線を用いて,パルスオキシメータのSpO2
表示ができる。校正曲線の決定手順を低酸素飽和度試験と呼ぶ。これは,一般的には健常ボランティア被
験者に,低酸素濃度の混合空気を吸入させて行う。動脈血を採取してCOオキシメータで測定し,COオ
キシメータの読み値を,血液採取したときに測定したR値に対してプロットする。種々の誤差が生じる可
能性があるので,そのようなことが起きないように,この手順は慎重に行うことが望ましい。低酸素飽和
度試験は,供試オキシメータの読み値を,COオキシメータによってあらかじめ校正した“二次標準”パ
ルスオキシメータと比較することによって実施してもよい。この方法では,動脈血採取は不要であるが,
試験に被験者が必要なことに変わりはない。
動脈血酸素飽和度の関数としての赤/赤外 モジュレーション比R
図FF.1−パルスオキシメータの校正曲線の例
この曲線は,COオキシメータを用いて多くのSaO2値を測定し,その値に対するR値を示している。
パルスオキシメータのソフトウェアは,この曲線を用いて測定したR値とSpO2表示値との関係を決めて
いる。
FF.5 機能試験器とは何か
現時点では,市販のあらゆるパルスオキシメータ試験器は,シミュレーション信号を発生する機能試験
器である。機能試験器の主要な特徴は,次の二つである。
− 適切な機能試験器によって,責任部門は,製造業者の設計の意図どおりにパルスオキシメータが動作
するか否かを決定できる。製造業者の設計が適切であることを決定するものではない。
− 機能試験器は,製造業者の設計どおりにパルスオキシメータプローブが動作するか否かを,決定でき
るようにする限定された能力をもっており(その限界については後述する。),設計が適切であるかど

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うかを決定することはできない。
機能試験器は,予測可能なR値の信号をパルスオキシメータ本体に送ることによって,責任部門がSpO2
表示値を観測し,かつ,その特定のモデルのパルスオキシメータ本体に対しての予測値と比較することが
できる。試験器製造業者が,ある特定のパルスオキシメータ本体に組み込んだ校正曲線を知っている場合
は,SpO2のある値,例えば85 %を表示するようなR値を正確に作ることができる。そして,組み込まれ
た校正曲線を再現する能力によってパルスオキシメータの評価が可能である。パルスオキシメータ本体と
試験器とを組み合わせた場合に,その仕様を超えた誤差があった場合には,パルスオキシメータ本体又は
試験器のいずれかを修理する必要があることを示唆している。
機能試験器に対して正確なSpO2を表示しても,パルスオキシメータが人に対しても正確であることを
意味するわけでは決してない。試験器で評価できることは,パルスオキシメータ本体が,製造業者が組み
込んだ校正曲線を再現する能力だけである。この点を強調するために,詳しい事例を次に示す。
− 機能試験器の中には,パルスオキシメータプローブの代わりにパルスオキシメータの入力端子に電気
的に接続するように設計されたものがある。そのような試験器では,校正のために極めて重要である
といわれているパルスオキシメータプローブの光学的特性は評価できない(校正は,常にパルスオキ
シメータ本体/パルスオキシメータプローブの組合せに対して行う。)。このタイプの試験器の電気的
特性では,パルスオキシメータの光学的特性の一部しか試験することはできない。
− 機能試験器の中には,パルスオキシメータに対する光学的インタフェースとなっている電子変調器も
ある。そのパルスオキシメータのパルスオキシメータプローブをある種の光学機械式“指”に取り付
け,変調した光信号をパルスオキシメータプローブの検出器に入力する。このような試験器を使えば,
パルスオキシメータプローブが評価できるように思えるが,実際には,パルスオキシメータプローブ
の最も基本的な特性(光源及び検出器が動作しているか,障害となる短絡又は断線がないかなど)を
試験できるだけである。同様の確認は,パルスオキシメータプローブを操作者の指に取り付け,パル
スオキシメータがそれなりのSpO2値を表示するのを見ることによっても試験できる。このタイプの
機能試験器は,パルスオキシメータの電子回路に所定の試験信号を単純に加えるための器具として,
パルスオキシメータプローブを使用しているにすぎない。
− 幾つかのブランドの機能試験器は,パルスオキシメータプローブの光放射器からの光を検出する検出
器とパルスオキシメータプローブの検出器に変調された信号を供給する発行ダイオード(LED)を組
み込んだ光学機械式“指”をもっている(図FF.2参照)。これは,前述した光学的インタフェースを
もつ試験器の1例である。パルスオキシメータプローブの赤LEDの波長が,使用する校正曲線に対し
て正しいものでないとすれば,実際に患者に使用するときにオキシメータが不正確になる原因となる
ことは間違いない。試験しているパルスオキシメータと同じように,機能試験器は,この誤差に全く
気付かず,不正確なパルスオキシメータを正確だというように判定する可能性がある。多くの異なる
波長をもつパルスオキシメータプローブを生産している製造業者もある。パルスオキシメータ本体は,
パルスオキシメータプローブに組み込んだ抵抗などの部品を使って,定められた使用可能曲線の中か
ら適切な校正曲線を選択する。適切な曲線の選択は,パルスオキシメータプローブにコード化して組
み込んだ抵抗などの部品によってオキシメータに指定する。新規又は再生したパルスオキシメータプ
ローブに対する重要な品質管理の要求事項は,エミッタの波長(及び波長分布)がパルスオキシメー
タプローブ内の校正コードにうまく適合することである。現在入手可能な機能試験器は,中心波長の
値が正しいかどうかを検証することができない。

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1 試験指 4 フォトダイオード
2 センサ 5 LED
3 LED(2個) 6 フォトダイオード
図FF.2−フォトダイオード及びLEDを用いて,パルスオキシメータプローブ
と相互反応する機能試験器のインタフェース
− 機能試験器の中には,パルスオキシメータプローブ内で生じる可能性のある全ての短絡及び断線を総
合的に試験するものがある。この試験は有用なものであるが,電気的に不具合がないことは,精度を
保証する必要条件であっても十分条件ではない。
− パルスオキシメータプローブ内で患者の皮膚に接触するプラスチックのクッション又はばんそうこ
う(絆創膏)の色は,パルスオキシメータの校正をする上では重大な影響がある。ばんそうこうの汚
れがひどい場合には,実際の使用でパルスオキシメータプローブのSpO2精度に影響が出てしまうこ
とがある。前述したタイプの機能試験器は,汚れによる影響はあまりない。この“ばんそうこうの色”
は,現実にはさらに重大な問題点である。パルスオキシメータのSpO2精度は,患者組織と周辺光学
的環境との光学的相互作用によって大きな影響を受ける。機能試験器は,こうした影響は受けにくい。
真のパルスオキシメトリ校正器が実現したとすれば,この複雑な相互作用を忠実に再現する必要があ
る。最終的に販売するあらゆるPOCに附属する文書には,パルスオキシメータ性能の物理的及び生理
的な面の模擬できる部分とできない部分に関わる検討をすることが望ましい。
ある一群の機能試験器は,パルスオキシメータの放射器の波長分布に対する固有の感受性をもつ。こう
した試験器は,パルスオキシメータプローブ自身の放射器の放射光を光学的に変調し,その変調光をパル
スオキシメータプローブの検出器に伝達するという動作をする。こうした種類の試験器の一つとして,パ
ルスオキシメータプローブの光放射器と検出器との間に挿入する色素溶液の量を変化させて動作するも
のがある(図FF.3参照)。他の種類の試験器では,光放射器から検出器の経路に液晶素子を用いて光変調
している(図FF.4参照)。これらの試験器は,波長に対するヘモグロビンの吸光度依存性に近似した波長
依存性変調をすることができるように設計してある。パルスオキシメータを校正するときに重要な組織中
の光散乱の効果を近似するように試験器を設計することも可能であろう(委員会は,これを実現したとい
う公表を知らない。)。これらの試験器が本当のPOCとしての位置を確立していくためには,試験器がヒト
組織と光放射器及び光検出器周囲の着色材料との光学的相互作用を再現する必要がある。現状の最新技術
でも,このタイプの機能試験器が他のタイプの機能試験器よりも本来のSpO2精度試験器に近いとは考え
てはならない。こうした試験器は,試験用機器を比較するときに通常留意する事項(コスト,便利性,耐

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久性,融通性,結果の再現性など)を考慮することによって他の試験器と比較できる。
1 混合色素を封入した袋
2 隙間可変光学的セル
3 LED(2個)
4 フォトダイオード
5 センサ
注記 袋を押し潰すことによって,光学セルのプレート間に押し出される色素の量が変わる。
図FF.3−色素混合液を使用した機能試験器のインタフェース
1 試験指
2 液晶変調器
3 LED(2個)
4 フォトダイオード
5 センサ
図FF.4−液晶変調器を用いた機能試験器のインタフェース
新規又は再生パルスオキシメータプローブの製造業者の一部は,機能試験器を用いた試験によって,そ
のパルスオキシメータプローブが常に正確であることを証明できると主張している。機能試験器の限界を
考慮すれば,パルスオキシメータの真の性能を反映させるには不十分である。
FF.6 機能試験器の将来
真のパルスオキシメータ用校正器が開発されたのかを,どのようにして知ることができるだろうか。そ
うした校正器を開発した場合は,その使用方法及び能力の妥当性確認を行った公表実験結果の内容によっ
て認知されるであろう。その特性は,次のようなものであろう。
− POCは,設計対象となるパルスオキシメータプローブを装着する体の部分の動的光学特性を近似して
おり,その部分にパルスオキシメータのパルスオキシメータプローブを装着する。光学的シミュレー

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JIS T 80601-2-61:2014の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 80601-2-61:2011(IDT)

JIS T 80601-2-61:2014の国際規格 ICS 分類一覧

JIS T 80601-2-61:2014の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB7761-3:2007
手腕系振動―第3部:測定及び評価に関する一般要求事項
JISB9707:2002
機械類の安全性―危険区域に上肢が到達することを防止するための安全距離
JISB9711:2002
機械類の安全性―人体部位が押しつぶされることを回避するための最小すきま
JISC0445:1999
文字数字の表記に関する一般則を含む機器の端子及び識別指定された電線端末の識別法
JISC0447:1997
マンマシンインタフェース(MMI)―操作の基準
JISC1509-1:2017
電気音響―サウンドレベルメータ(騒音計)―第1部:仕様
JISC1509-2:2018
電気音響―サウンドレベルメータ(騒音計)―第2部:型式評価試験
JISC2134:2007
固体絶縁材料の保証及び比較トラッキング指数の測定方法
JISC2134:2021
固体絶縁材料の保証及び比較トラッキング指数の測定方法
JISC4003:2010
電気絶縁―熱的耐久性評価及び呼び方
JISC60079-0:2010
爆発性雰囲気―第0部:電気機器―一般要件
JISC60079-2:2008
爆発性雰囲気で使用する電気機械器具―第2部:内圧防爆構造“p”
JISC60079-6:2004
爆発性雰囲気で使用する電気機械器具―第6部:油入防爆構造“o”
JISC60364-4-41:2010
低圧電気設備―第4-41部:安全保護―感電保護
JISC60695-11-10:2015
耐火性試験―電気・電子―第11-10部:試験炎―50W試験炎による水平及び垂直燃焼試験方法
JISC6965:2007
ブラウン管の機械的安全性
JISC8282-1:2019
家庭用及びこれに類する用途のプラグ及びコンセント―第1部:一般要求事項
JISC8303:2007
配線用差込接続器
JIST0307:2004
医療機器―医療機器のラベル,ラベリング及び供給される情報に用いる図記号
JIST0601-1-3:2012
医用電気機器―第1-3部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項―副通則:診断用X線装置における放射線防護
JISZ8202:1985
量記号,単位記号及び化学記号
JISZ8203:1964
単位記号
JISZ8203:2000
国際単位系(SI)及びその使い方
JISZ8736-1:1999
音響―音響インテンシティによる騒音源の音響パワーレベルの測定方法―第1部:離散点による測定