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5.1.3.6.6 ウイルス懸濁液の噴霧条件の調整
試験片を装着しない状態で,ウイルス懸濁液のエアロゾルを導入したとき,カスケードインパクタに捕
集されるウイルスの総プラーク数が1試験当たり1.7×103 PFU3.0×103 PFU,かつ,ウイルス懸濁液の
エアロゾルの平均粒子サイズ(MPSV)が3.0 μm±0.3 μmになるように,ウイルス懸濁液の濃度,送液量及
び噴霧圧力によって調整する。
なお,総プラーク数は,カスケードインパクタの製造元から提供されたポジティブホール変換表を用い
て算出する。平均粒子サイズは,式(5)によって算出する。
PV PV PV PV PV PV
MPSV
1 1 2 2 3 3 4 4 5 5 6 6
(pdf 一覧ページ番号 )
V1 V2 V3 V4 V5 V6
ここで, MPSV : ウイルス懸濁液のエアロゾルの平均粒子サイズ
V1V6 : カスケードインパクタの各段におけるプラーク数
(PFU)
P1P6 : カスケードインパクタの各段の粒径
5.1.3.6.7 試験手順
a) ポジティブコントロール試験として,b) d)の操作を行う。
b) 試験片を装着せず,新しいプレートをカスケードインパクタの各ステージに設置し,定流量吸引ポン
プを稼働して,空気流量を28.3 L/minに調整する。
c) ウイルス懸濁液のエアロゾルを1分間噴霧した後,カスケードインパクタの吸引を更に1分間維持す
る(合計2分間)。
d) カスケードインパクタからプレートを取り外す。このとき,各プレートのカスケードインパクタ内で
の位置を記録する。
e) 試料の試験として,f) i)の操作を行う。
f) 新しい試験片を,マスクの内側となる面がエアロゾルチャンバ側になるようにして装着し,新しいプ
レートをカスケードインパクタの各ステージに設置し,定流量吸引ポンプを稼働して,空気流量を28.3
L/minに調整する。
g) ウイルス懸濁液を1分間噴霧した後,カスケードインパクタの吸引を更に1分間維持する(合計2分
間)。
h) カスケードインパクタからプレートを取り外す。
i) 各試験片でf) h)の操作を繰り返す。
j) 試料の試験が完了した後,もう一度ポジティブコントロール試験として,b) d)の操作を行う。
k) その後,ネガティブコントロール試験として,l) n)の操作を行う。
l) 試験片を装着せず,新しいプレートをカスケードインパクタの各ステージに設置し,定流量吸引ポン
プを稼働して,空気流量を28.3 L/minに調整する。
m) ウイルス懸濁液のエアロゾルは供給せず,カスケードインパクタの吸引を2分間維持する。
n) カスケードインパクタからプレートを取り外す。このとき,各プレートのカスケードインパクタ内で
の位置を記録する。
o) 全てのプレートを37 ℃±2 ℃で5時間培養後,21 ℃26 ℃で,19時間26時間静置する。
p) 培養後のプレート上のプラーク数をカウントして合計し,カスケードインパクタによって収集された
総プラーク数を求める。
――――― [JIS T 9001 pdf 16] ―――――
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5.1.3.7 試験結果
式(6)によってウイルス飛まつ捕集効率(VFE)を算出し,それぞれ試験片の値及び平均値をJIS Z 8401
の規則Bに従って小数点以下1桁に丸める。
AV BV
VFE 100 (6)
AV
ここで, VFE : ウイルス飛まつ捕集効率(%)
AV : ポジティブコントロールの総プラーク数(PFU)
BV : 試料を装着したときの総プラーク数(PFU)
5.1.4 花粉粒子捕集効率試験
5.1.4.1 原理
定流量下のチャンバ内へ試験片の上方から,花粉粒子を想定した微量の試験粒子を試験片面に均一に広
がるよう一定速度で落下させ,試験片のフィルタ部に捕捉された試験粒子の質量とフィルタ部を通過した
粒子質量とを測定し,花粉粒子捕集効率を算出する。
5.1.4.2 試薬及びその他の材料
a) 試験粒子 スギ花粉を想定し,石松子(中位径 : 30 μm40 μm)を用いる。
注記 石松子は,一般社団法人日本粉体工業技術協会からAPPIE標準粉体として販売されている。
5.1.4.3 試験装置及び試験器具
試験装置の構成を,図3に示す。
図3−花粉粒子捕集効率試験装置の構成図例
――――― [JIS T 9001 pdf 17] ―――――
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a) 粒子連続供給装置 20 mg/min±5 mg/minで,75 mg±5 mgの試験粒子を供給できるもの。
b) 電子天びん 0.01 mgの精度をもつ天びん。
c) 静電気除去装置 コロナ放電などの電気的な機構で,整粒装置へ供給される試験粒子を除電するも
の。
d) 風防 幅約50 cm,奥行約50 cm,高さ約40 cmの箱状で,前面に内部を視認するためのガラス製視認
窓,側面にJIS Z 8122に規定するHEPAフィルタを装着した吸気口をもつもの。吸気口の開口サイズ
は,定流量吸引ポンプ稼働中に内部で過度の気流が生じない程度の大きさとする(具体的には,幅約
30 cm,高さ20 cm程度が望ましい。)。
e) ファイナルフィルタ 試験片を透過した試験粒子を回収するためのフィルタ。浮遊粉じんのサンプリ
ング用のガラス製フィルタを用いる。
f) 整粒装置 試験粒子を試料上に均一に落下させることが可能な器具。
g) 試験ダクト 内径79 mm±1 mm,長さ約230 mmで,材質が樹脂製の円筒形ダクト。試験ダクトは鉛
直に支持され,上端に整粒装置を接続し,下端に定流量吸引ポンプを接続可能な構造とする。また,
円筒部は中央で上下に分割可能で,そこに試験片ホルダを保持する装着ステージをもつ。
h) 試験片ホルダ 試験片を取り付けるための内径75 mm,外径110 mm,厚さ5 mmの金属製リング。内
径部に試験片を透過した試験粒子を回収するためのファイナルフィルタが装着されている。
i) 定流量吸引ポンプ 流量計を備え,一定流量28.3 L/minで試験空気を吸引することができるポンプ。
5.1.4.4 試料及び試験片の調製
試験片は,製品から採取しなければならない。プリーツ状のマスクは,左右の溶着部を切り取り,フィ
ルタ部のプリーツを開いて平板状の試験片にして試験に供する。立体状のマスク,サイズの小さなマスク
など,製品から試験に必要な大きさの平板状の試験片を採取できない場合は,製品の全ての層が積層され
ている試験片を作製して試験に供することが可能である。各試験片は,110 mm×110 mm以上で,製品と
同じ順序で全ての層を含むものとする。試験片数は3枚とする。
試験片は,温度20 ℃±5 ℃,相対湿度(50±10)%の環境中で,24時間以上静置する。
5.1.4.5 試験片の測定
a) ファイナルフィルタを取り付けた試験片ホルダを事前にひょう(秤)量し,装置に設置する。
b) 装置を稼働させ,定流量吸引ポンプを動作し,28.3 L/minの一定空気流量で吸引した状態で,試験粒
子の供給を開始する。試験粒子の供給量が75 mgに達した時点で試験粒子の供給を停止し,試験粒子
の供給開始から停止までの時間を,タイマーで計測する。
c) 装置から試験片ホルダを取り出してひょう量し,前後の質量差から,実際に試験片面に落下した試験
粒子の質量を算出する。落下した試験粒子の質量とb)で計測した時間とから供給速度を算出し,20
mg/min±5 mg/minになっていることを確認する。供給速度が規定を外れている場合は,粒子連続供給
装置の設定を調整して再確認する。
d) 事前にひょう量した試験片を,試験片ホルダに取り付け,製品の外側となる面を上にして装置へ設置
する。
e) 試験系を28.3 L/minの一定流量で吸引した状態で,供給速度20 mg/min±5 mg/minで試験粒子の供給
を開始する。試験片面上に落下する試験粒子の質量が,75 mg±5 mgになる時点で供給を停止する。
f) 定流量吸引ポンプを停止し,試験片及びファイナルフィルタを取り付けた試験片ホルダを装置から取
り出し,それぞれひょう量する。
――――― [JIS T 9001 pdf 18] ―――――
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g) 試験は,3枚の試験片について行う。
5.1.4.6 試験結果
式(7)によって花粉粒子捕集効率(Ec)を算出し,それぞれ試験片の値及び平均値をJIS Z 8401の規則B
に従って小数点以下1桁に丸める。
C1
Ec 100 (7)
C1 C2
ここで, Ec : 試験片の花粉粒子捕集効率(%)
C1 : 測定後の試験片質量から測定前の試験片質量を減じた
値(mg)
C2 : 測定後のファイナルフィルタを取り付けた試験片ホル
ダの質量から測定前のファイナルフィルタを取り付け
た試験片ホルダの質量を減じた値(mg)
5.1.5 圧力損失試験
5.1.5.1 原理
マスクの息のしやすさ(通気性)の程度を試験する方法。マスク試料は,上下一組のシリンダ状の試験
片ホルダの間に装着されており,一方のシリンダから定流量吸引ポンプで一定流量で吸引する。マスクの
圧力損失(ΔP)は,上下のシリンダ間に接続された差圧計によって測定された差圧を試験面積で除した値
(Pa/cm2)として表される。
5.1.5.2 試験装置及び試験器具
試験装置の構成を,図4に示す。
図4−圧力損失試験装置の構成図例
a) 定流量吸引ポンプ 流量計を備え,一定流量8.0 L/minで試験空気を吸引することができるポンプ。
b) 差圧計 デジタル式の差圧計又は水柱式マノメータ。
c) 試験片ホルダ 上下一組の内径25 mm±1 mmの金属製シリンダからなり,上下シリンダの内径をか
ん合させる機構をもつ試験片ホルダ。
d) 横漏れ防止リング 試験片ホルダの開口部外周に設置された横漏れ防止のためのリング。
――――― [JIS T 9001 pdf 19] ―――――
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e) 固定用クランプ 試験片ホルダに押圧をかけて固定するためのクランプ。
f) 圧力調整機構 クランプの押圧を一定に調整する機構。試験片ホルダの上下いずれか一方にあればよ
い。
5.1.5.3 試料及び試験片の調製
試験片は,製品から採取しなければならない。プリーツ状のマスクは,左右の溶着部を切り取り,フィ
ルタ部のプリーツを開いて平板状の試験片にして試験に供する。立体状のマスク,サイズの小さなマスク
など,製品から試験に必要な大きさの平板状の試験片を採取できない場合は,製品の全ての層が積層され
ている試験片を作製して試験に供することが可能である。試験片は,横漏れ防止リングの外径より大きく,
シリンダの内径を確実に塞ぐことが可能な大きさ(約75 mm×75 mm以上)で,製品と同じ順序で全ての
層を含むものとする。試験片数は5枚とする。各試験片は,試験前に温度21 ℃±5 ℃,相対湿度(85±5)%
で4時間以上調湿する。
5.1.5.4 試験片の測定
a) 試験片を取り付けずに試験片ホルダを閉じた状態で定流量吸引ポンプを稼働し,空気流量を8.0 L/min
に調整し,差圧計の表示が0となることを確認する。
b) 上下の試験片ホルダの間に新しい試験片を挟み,横漏れが発生しない十分な圧力で押圧をかけて固定
する。このとき,試験片の内側から外側へ気流が通るように装着する。
c) 試験片を挟んだ状態で,定流量吸引ポンプを稼働し,空気流量が8.0 L/minになったときの差圧を測定
する。
d) 5枚の試験片についてb)及びc)の操作を繰り返し,その平均値を求める。
5.1.5.5 試験結果
式(8)によって,圧力損失ΔP(Pa/cm2)を計算する。
Xave
P (8)
4.9
ここで, ΔP : マスクの圧力損失(Pa/cm2)
Xave : 差圧の平均値(Pa)
4.9 : 試験面積(cm2)
5.1.6 人工血液バリア性試験
人工血液バリア性試験は,JIS T 8062による。ただし,使用する人工血液は,表4の成分からなり,比
重0.995以上1.015以下,リング法(DuNouy法)による表面張力が40 mN/m±5 mN/m(dyn/cm)のものを
使用する。
表4−人工血液の成分配合表
成分 配合量
蒸留水 0.975 L(pH 7.0±0.5)
アクリゾール(Acrysol)G111増粘剤 50.0 g
着色剤と界面活性剤とを含む赤色染料 10.0 g
注記 同等の試験方法を規定する規格としては,ASTM F1862などがある。
――――― [JIS T 9001 pdf 20] ―――――
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JIS T 9001:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.340 : 防護設備 > 13.340.30 : 呼吸保護装備
- 11 : 医療技術 > 11.020 : 医学及びヘルスケア施設一般 > 11.020.99 : ヘルスケアに関するその他の規格一般
JIS T 9001:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK0557:1998
- 用水・排水の試験に用いる水
- JISK8150:2006
- 塩化ナトリウム(試薬)
- JISK8263:2020
- 寒天(試薬)
- JISK9017:2012
- りん酸水素二カリウム(試薬)
- JISK9017:2021
- りん酸水素二カリウム(試薬)
- JISL1041:2011
- 樹脂加工織物及び編物の試験方法
- JISL1091:1999
- 繊維製品の燃焼性試験方法
- JISL1912:1997
- 医療用不織布試験方法
- JISL1930:2014
- 繊維製品の家庭洗濯試験方法
- JISL1940-1:2019
- 繊維製品―アゾ色素由来の特定芳香族アミンの定量方法―第1部:繊維の抽出及び非抽出による特定アゾ色素の使用の検出
- JISL1940-3:2019
- 繊維製品―アゾ色素由来の特定芳香族アミンの定量方法―第3部:4-アミノアゾベンゼンを放出する特定アゾ色素の使用の検出
- JIST8001:2006
- 呼吸用保護具用語
- JIST8061:2015
- 血液及び体液の接触に対する防護服―防護服材料の血液媒介性病原体に対する耐浸透性の求め方―Phi-X174バクテリオファージを用いる試験方法
- JIST8062:2010
- 感染性物質に対する防護服―フェースマスク―人工血液に対する耐浸透性試験方法(一定量,水平噴出法)
- JISZ8122:2000
- コンタミネーションコントロール用語
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方