9
T 9001 : 2021
水 1 000 mL
5.1.2.3 試験装置及び試験器具
試験装置の構成を,図2に示す。
図2−バクテリア飛まつ捕集効率(BFE)試験装置の構成図例
a) 圧縮空気供給部 気化油を含まず乾燥空気を圧縮して供給可能なオイルフリー式でエアードライヤ
を内蔵し,吐出圧力が0.2 MPa以上であり,吐出空気量が108 L/min以内である能力をもつコンプレ
ッサ。
b) EPAフィルタ JIS Z 8122に規定するHEPAフィルタ。クリーンエアを得るために,圧縮空気供給
部の後に設置する。また,試験経路内を経由した空気から試験粒子をろ過するために,環境への排出
前に設置する。
c) ネブライザ シカゴネブライザと同等なガラス製で,発生エアロゾルの平均粒径が3.0 μm±0.3 μmで,
総コロニー数が1試験当たり1.7×103 CFU3.0×103 CFUとなる能力をもつもの。
d) 懸濁液供給ポンプ 0.01 mL/minで細菌懸濁液を供給可能なもの。
e) 圧力計 0 kPa100 kPaまで計測可能なもの。
f) エアロゾルチャンバ ガラス製で,内径80 mm±1 mm,長さ約600 mmの円筒形のもの。
――――― [JIS T 9001 pdf 11] ―――――
10
T 9001 : 2021
g) カスケードインパクタ 6段階の細菌用アンダーセン型カスケードインパクタ。
h) 定流量吸引ポンプ 流量計を備え,一定流量28.3 L/minで試験空気を吸引することができるポンプ。
i) シャーレ JIS K 0950の5.2(寸法)に規定する90Aプラスチック製滅菌シャーレ。
j) オートクレーブ 121 ℃123 ℃を維持可能なもの。
k) インキュベータ 37 ℃±2 ℃を維持可能なもの。
l) 分析天びん 0.001 g単位で計量可能なもの。
m) ボルテックスミキサ 内径16 mm×150 mmの試験管の内容物をかくはん可能なもの。
n) 振とう培養器 振り幅30 mm,110回/分に対応可能なもの。
o) 冷蔵庫 2 ℃8 ℃を維持可能なもの。
p) 加湿器 試験経路内へ導入する空気を,あらかじめ加湿する機器。
5.1.2.4 安全対策
この試験方法では,細菌を使用する。このため,この試験の実施者は,微生物学的技術に関して訓練を
受け,経験をもつ者が望まれる。また,安全対策については,法規制に照らし合わせて適切であることを
確認しておかなければならない。
5.1.2.5 試料及び試験片の調製
試験片は,製品から採取しなければならない。プリーツ状のマスクは,左右の溶着部を切り取り,フィ
ルタ部のプリーツを開いて平板状の試験片にして試験に供する。立体状のマスク,サイズの小さなマスク
など,製品から試験に必要な大きさの平板状の試験片を採取できない場合は,製品の全ての層が積層され
ている試験片を作製して試験に供することが可能である。各試験片は,120 mm×120 mm以上で,製品と
同じ順序で全ての層を含むものとする。試験片数は,少なくとも3枚とする。各試験片は,試験前に温度
21 ℃±5 ℃,相対湿度(85±5)%で4時間以上調湿する。
5.1.2.6 試験手順
5.1.2.6.1 細菌懸濁液の準備
黄色ぶどう球菌を,三角フラスコ中の30 mLトリプトンソーヤ培地(TSB)に接種し,振とう培養器を
用いて,振り幅30 mm,110回/分で温度37 ℃±2 ℃,24時間±2時間培養する。次に,培養物をペプト
ン食塩水又は生理食塩水で希釈して,菌濃度が約105 CFU/mLになるよう調整する。
5.1.2.6.2 プレートの作製
滅菌シャーレにトリプトンソーヤ寒天培地(TSA)又は混釈平板培養法用寒天培地(EA)を約27 mL流
し込み,固化する。
5.1.2.6.3 細菌懸濁液の噴霧条件の調整
試験片を装着しない状態で,細菌懸濁液のエアロゾルを導入したとき,カスケードインパクタに捕集さ
れる細菌の総コロニー数が1試験当たり1.7×103 CFU3.0×103 CFU,かつ,細菌懸濁液のエアロゾルの
平均粒子サイズ(MPSB)が3.0 μm±0.3 μmになるように,細菌懸濁液の濃度,送液量及び噴霧圧力によっ
て調整する。
なお,総コロニー数は,カスケードインパクタの製造元から提供されたポジティブホール変換表を用い
――――― [JIS T 9001 pdf 12] ―――――
11
T 9001 : 2021
て算出する。平均粒子サイズは,式(3)によって算出する。
PC P2 C2 P3 C3 P4 C4 P5 C5 P6 C6
MPSB
1 1
(pdf 一覧ページ番号 )
C1 C2 C3 C4 C5 C6
ここで, MPSB : 細菌懸濁液のエアロゾルの平均粒子サイズ(μm)
C1C6 : カスケードインパクタの各段におけるコロニー数
(CFU)
P1P6 : カスケードインパクタの各段の粒径(μm)
5.1.2.6.4 試験手順
a) ポジティブコントロール試験として,b) d)の操作を行う。
b) 試験片を装着せず,新しいプレートをカスケードインパクタの各ステージに設置し,定流量吸引ポン
プを稼働して,空気流量を28.3 L/minに調整する。
c) 細菌懸濁液のエアロゾルを1分間噴霧した後,カスケードインパクタの吸引を更に1分間維持する
(合計2分間)。
d) カスケードインパクタからプレートを取り外す。このとき,各プレートのカスケードインパクタ内で
の位置を記録する。
e) 試料の試験として,f) i)の操作を行う。
f) 試験片を,製品の内側となる面がエアロゾルチャンバ側になるようにして装着し,新しいプレートを
カスケードインパクタの各ステージに設置し,定流量吸引ポンプを稼働して,空気流量を28.3 L/min
に調整する。
g) 細菌懸濁液を1分間噴霧した後,カスケードインパクタの吸引を更に1分間維持する(合計2分間)。
h) カスケードインパクタからプレートを取り外す。このとき,各プレートのカスケードインパクタ内で
の位置を記録する。
i) 各試験片についてf) h)の操作を繰り返す。
j) 試料の試験が完了した後,もう一度ポジティブコントロール試験として,b) d)の操作を行う。
k) その後,ネガティブコントロール試験として,l) n)の操作を行う。
l) 試験片を装着せず,新しいプレートをカスケードインパクタの各ステージに設置し,定流量吸引ポン
プを稼働して,空気流量を28.3 L/minに調整する。
m) 細菌懸濁液のエアロゾルは供給せず,カスケードインパクタの吸引を2分間維持する。
n) カスケードインパクタからプレートを取り外す。このとき,各プレートのカスケードインパクタ内で
の位置を記録する。
o) 全てのプレートを37 ℃±2 ℃で,20時間52時間培養する。
p) 各試験片の培養後の各プレート上のコロニーの数を計数し,カスケードインパクタの製造元から提供
されたポジティブホール変換表を用いて,カスケードインパクタによって収集された総コロニー数を
算出する。
5.1.2.7 試験結果
式(4)によってバクテリア飛まつ捕集効率(BFE)を算出し,それぞれ試験片の値及び平均値をJIS Z 8401
の規則Bに従って小数点以下1桁に丸める。
AB BB
BFE 100 (4)
AB
ここで, BFE : バクテリア飛まつ捕集効率(%)
――――― [JIS T 9001 pdf 13] ―――――
12
T 9001 : 2021
AB : ポジティブコントロール試験の総コロニー数(CFU)
BB : 試料を装着したときの総コロニー数(CFU)
5.1.3 ウイルス飛まつ捕集効率(VFE)試験
5.1.3.1 原理
空気中のウイルスを含むエアロゾルが,マスクの不織布フィルタを通してろ過される程度を試験する方
法。試験片を,6段階のカスケードインパクタとエアロゾルチャンバとの間に装着する。エアロゾルチャ
ンバに導入されたウイルス懸濁液のエアロゾルを,定流量吸引ポンプでマスク試料を通して吸引し,カス
ケードインパクタで回収する。マスクのウイルス飛まつ捕集効率(VFE)は,マスク試料を装着した状態
でカスケードインパクタに回収されたウイルスの総プラーク数と,試験片を装着しない状態でカスケード
インパクタに回収されたウイルスの総プラーク数とによって求め,百分率で表す。
5.1.3.2 試薬及びその他の材料
a) 水 微生物学用培地の作製に使用可能な分析用品質のもので,新規に蒸留され,イオン交換したもの
で,限外ろ過したもの及び/又は逆浸透膜でろ過した,あらゆる毒性物質及び細菌成長阻害物質を含
んでいないもの。
b) トリプトンソーヤ寒天培地(TSA) 次の成分をよくかくはんし,pHを7.2±0.2に調整した後,オー
トクレーブによって滅菌したもの。
カゼイン製トリプトン 15 g
大豆製ペプトン 5g
塩化ナトリウム 5g
寒天 15 g
水 1 000 mL
c) 塩化カルシウム添加ニュートリエント培地(NB) 次の成分をよくかくはんし,pHを6.9±0.2に調
整した後,オートクレーブによって滅菌したもの。
肉エキス 3g
ペプトン 5g
塩化カルシウム(JIS K 8123に規定するもの) 0.2 g
水 1 000 mL
d) 混釈平板培養法用寒天培地(EA) 次の成分をよくかくはんし,pHを7.2±0.2に調整した後,オー
トクレーブによって滅菌したもの。
脱水酵母エキス 2.5 g
カゼイン製トリプトン 5.0 g
グルコース 1.0 g
寒天 12 g15 g 2)
水 1 000 mL
注2) 必要質量は,製品のゲル強度による。
e) ポリソルベート80添加生理食塩水 次の成分をよくかくはんし,pHを6.9±0.2に調整した後,オー
トクレーブによって滅菌したもの。
塩化ナトリウム 8.5 g
――――― [JIS T 9001 pdf 14] ―――――
13
T 9001 : 2021
ポリソルベート80 2.0 g
水 1 000 mL
f) hi-X174バクテリオファージ(ATCC 13706-B1) バクテリアに感染するウイルスの一種。Phi-X174
バクテリオファージは,ヒトに対しての病原性はないが,ヒトに対する病原性ウイルスのシミュレー
ションとして使用されている。
g) 大腸菌E.coli. C(ATCC 13706) Phi-X174バクテリオファージの宿主菌。ローン(シャーレ内の表層
寒天培地の薄層内の細菌層)形成に使用する。
5.1.3.3 試験装置及び試験器具
試験装置及び試験器具は,5.1.2.3による。ただし,細菌懸濁液の代わりにウイルス懸濁液を使用する。
5.1.3.4 安全対策
この試験方法では,細菌及びウイルス(ファージ)を使用する。このため,この規格の試験実施者は,
微生物学的技術に関して訓練を受け,経験をもつ者が望まれる。また,安全対策については,法規制に照
らし合わせて適切であることを確認しておかなければならない。
5.1.3.5 試料及び試験片の調製及び保管
試料及び試験片の調製及び保管は,5.1.2.5による。
5.1.3.6 試験手順
5.1.3.6.1 ウイルス(バクテリオファージ)原液の調製
JIS T 8061のJA.2(大腸菌の培養)及びJA.3(バクテリオファージ原液の調製),又はJB.2(大腸菌の
培養)及びJB.3(バクテリオファージ原液の調整)に記載された手順に従って調製する。
5.1.3.6.2 ウイルス懸濁液の調製
5.1.3.6.1で調製したウイルス(バクテリオファージ)原液を,ポリソルベート80添加生理食塩水で希釈
してウイルス濃度が約105 PFU/mLになるよう調整する。
5.1.3.6.3 大腸菌液の調製
大腸菌E.coli. Cを三角フラスコ内の塩化カルシウム添加ニュートリエント培地(NB)20 mLに接種し,
振とう培養器を用いて,振り幅30 mm,110回/分にて37 ℃±2 ℃,24時間±2時間培養し,菌濃度が108
CFU/mL109 CFU/mLになるよう調整する。
5.1.3.6.4 上層寒天培地の調製
45 ℃に保温して溶解した混釈平板培養法用寒天培地(EA)1 Lに対して,5.1.3.6.3で調製した大腸菌液
40 mLを添加してかくはんする。
5.1.3.6.5 プレートの作製
シャーレにトリプトンソーヤ寒天培地(TSA)又は混釈平板培養法用寒天培地(EA)を約23 mL流し込
み,固化する。その後,5.1.3.6.4で調製した上層寒天培地を約4 mL流し込み,ローンを形成する。
――――― [JIS T 9001 pdf 15] ―――――
次のページ PDF 16
JIS T 9001:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.340 : 防護設備 > 13.340.30 : 呼吸保護装備
- 11 : 医療技術 > 11.020 : 医学及びヘルスケア施設一般 > 11.020.99 : ヘルスケアに関するその他の規格一般
JIS T 9001:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK0557:1998
- 用水・排水の試験に用いる水
- JISK8150:2006
- 塩化ナトリウム(試薬)
- JISK8263:2020
- 寒天(試薬)
- JISK9017:2012
- りん酸水素二カリウム(試薬)
- JISK9017:2021
- りん酸水素二カリウム(試薬)
- JISL1041:2011
- 樹脂加工織物及び編物の試験方法
- JISL1091:1999
- 繊維製品の燃焼性試験方法
- JISL1912:1997
- 医療用不織布試験方法
- JISL1930:2014
- 繊維製品の家庭洗濯試験方法
- JISL1940-1:2019
- 繊維製品―アゾ色素由来の特定芳香族アミンの定量方法―第1部:繊維の抽出及び非抽出による特定アゾ色素の使用の検出
- JISL1940-3:2019
- 繊維製品―アゾ色素由来の特定芳香族アミンの定量方法―第3部:4-アミノアゾベンゼンを放出する特定アゾ色素の使用の検出
- JIST8001:2006
- 呼吸用保護具用語
- JIST8061:2015
- 血液及び体液の接触に対する防護服―防護服材料の血液媒介性病原体に対する耐浸透性の求め方―Phi-X174バクテリオファージを用いる試験方法
- JIST8062:2010
- 感染性物質に対する防護服―フェースマスク―人工血液に対する耐浸透性試験方法(一定量,水平噴出法)
- JISZ8122:2000
- コンタミネーションコントロール用語
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方