JIS Z 8704:1993 温度測定方法―電気的方法 | ページ 3

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13. 誤差
13.1 一般 測温体を用いる温度測定には,電気的誤差及び熱的誤差を伴うことがあるから,温度計の取
扱い及び検査には,十分に注意しなければならない。
13.2 電気的誤差 電気的誤差には,次のようなものがある(JIS C 16011606,JIS C 1610及びJIS C 1611
参照)。
これらの誤差は,年月とともに変わることがあるので,用途に応じて定期的に検査して補正する。
(1) 計測器の単独誤差。
(2) 測温体の単独誤差。
(3) 回路の絶縁抵抗の低下による誤差。
(4) 回路の調整抵抗の調整不十分又は接触抵抗の存在によって,外部抵抗の実際値と指定値とに差がある
ための誤差。
(5) 抵抗温度計を3線式結線(11.5.3参照)で使用する場合,外部抵抗の実際値と指定値とに差があると
きに起こる誤差。
(6) 補償導線を使用する場合に,その熱起電力特性が熱電対の特性と異なるための誤差(10.4参照)。
(7) 熱電対を用いる方法では,基準接点温度の補償又は補正の不完全なために起こる誤差。
(8) シールドを必要とする受信器において,シールドが不完全なとき,外部からの誘導による誤差。
(9) 測温体又は回路の対地雑音障害の除去が不完全なために生じる誤差。
13.3 熱的誤差 検出部には,次のような熱的誤差がある。
(1) 挿入長さによる誤差 測温体の挿入長さが短いときは,保護管に接した壁又は外界の温度の影響を受
けて誤差を生じる。条件によってこの誤差は異なるが,気体を測定する場合,金属保護管は直径の15
20倍の長さを,非金属保護管は1015倍の長さを差し込むこと。
また,表面温度測定時には,十分な長さを測定面に沿わせないと誤差を生じる。
備考 均一な温度を測る場合に,この誤差を判定するには,次の二つの方法がある。
(a) 挿入長さを変えて指示温度が変われば,誤差を含んでいることが分かる。
(b) 細い保護管に入れた熱電対を同一場所に差し込み,これと比較して温度差があれば,誤差を含んで
いることが分かる。
(2) 熱抵抗の増加による誤差 高温にある保護管にすす・ごみなどが付くと,真の温度よりも低い指示を
与えるから,点検して取り除く。
(3) 遅れによる誤差 検出部には,温度の遅れがあるので,挿入してから測定時まで,十分な時間をおく。
遅れの度合いは,その測温体の構造によるほか,測定条件によって著しい違いがある。保護管を用
いた場合,気体,特に流動しない気体では,遅れが著しいので,30分以上の時間を必要とすることが
ある。液体の場合でも,5分以上おく。
変化しつつある温度を測定する場合には,単に指示が遅れるだけでなく,その指示値にも,かなり
の誤差を含むから,遅れの小さい測温体を使う。
(4) 自己加熱による誤差 抵抗式測温体を用いる方法では,抵抗素子に電流が流れるから,ジュール熱に
よって温度が上がる。これは電流,温度及び測定対象の種類によって異なるため,測温体及び受信器
で規定された電流で使用する。ブリッジ又は電位差計による場合には,抵抗素子に指定の電流を流し,
23分以上おいてから測定する(測温抵抗体の場合はJIS C 1604の3.(3)及びJIS C 1606の3.(3),サ
ーミスタ測温体の場合はJIS C 1611の8.2.1参照)。
(5) 放射熱による誤差 検出部の周りにそれとの温度の差が大きい物体がある場合には,放射エネルギー

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の授受による誤差を生じる。放射エネルギーは,熱力学温度の4乗にほぼ比例するから,高温では著
しく大きく,指示温度にしばしば100℃以上の誤差を伴う。
これを避けるため,検出部を,それと著しく温度が異なる部分からはなるべく見えないような場所
に取り付け,かつ検出部を取り囲む部分の温度を測定対象の温度に近くする。このため,検出部を管
などで囲み放射シールドを施すことがある(12.2参照)。
(6) 空気の侵入による誤差 れんが積み炉体に穴を空けて温度を測定する場合などでは,目地割れ部から
冷風が侵入して検出部が冷却され,温度を低く示す。
14. 温度計の取扱い
14.1 一般的注意 温度計の取扱者は,次の事項に注意する。
(1) 温度計の原理及び構造を熟知していること。
(2) 温度計は,大切に取り扱う。
(3) 衝撃,ごみ,腐食性物質,高温,低温及び高湿度を避ける。
(4) 測定結果は検討し,必要に応じて補正する。
14.2 保護管
14.2.1 保護管一般 熱電対又は抵抗式測温体の抵抗素子は,機械的及び化学的保護の目的で,保護管に入
れて使うことが多い。保護管及び内部にある導線や絶縁物は,十分にきれいにしておき,使用温度におい
て,有害な気体を発生しないものを用いる。
14.2.2 保護管の選択 保護管の選択は,次の諸条件を考えて行う。
(1) 測定対象の温度及び圧力に十分耐えること。
(2) 測定対象物によって,腐食その他化学的反応を起こさないこと。
(3) 十分に気密であること。
(4) 急激な温度の変化に対して破損しないこと。
(5) 振動・衝撃などの機械的な力に十分に耐えること。
(6) 保護管自身が測温部にとって有害な気体を発生しないこと。
(7) 外部温度の変化を迅速に伝えること。
備考 1 000℃以上の高温になると,上記の条件を全部満たすような保護管の入手は困難であるから,
その選択には十分に注意する。
14.2.3 保護管の種類 保護管の種類は,その材質によって,非金属保護管又は金属保護管とする。
(1) 非金属保護管 非金属保護管は,JIS R 1401に規定のあるものはこれによる。ただし,実際の使用条
件は,JIS R 1401の試験条件よりも厳しい場合もあるから,これに記載されている使用温度よりも,
100℃程度低い温度で使う方が安全である。
主な非金属保護管の特性を,表10に示す。
備考 非金属保護管の多くのものは,耐熱性はあるが,機械的強度が劣る。

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表10 非金属保護管
材料 化学成分 (%)常用限度 (℃) 特徴(耐熱・耐食)
塩化ビニル樹脂 (PVC)塩化ビニル 50 成分の配合によっては常用限度が異なる。
ポリエチレン (PE) エチレン 80 酸性・アルカリ性の両面の耐食性に優れているが,温度
ふっ素樹脂 4ふっ化エチレン 250 の上昇と共に安定性は低下する。
プラスチック材質の機械的強度をもたせるために金属
保護管に表面加工して使用されることもある。
石英ガラスQT(6) SiO2 1 000 熱膨張が小さく急熱急冷に強い。
磁器PT 2(6) Al2O347 1 400 磁器は中程度の高温では化学的(アルカリを除く)にも
SiO249 機械的にも安定している。
磁器PT 1(6) Al2O355 1 500 Al2O3の含有率が高くなるにつれて高温強さ,電気絶縁
SiO241 性,耐磨耗性が良く,酸化性又は還元性の雰囲気中でも
磁器PT 0(6) Al2O399 1 600 かなり高温まで使用できる。
急熱・急冷に弱い。アルカリに弱い。
マグネシア MgO97 1 800 マグネシアは水和性があるが,高温で焼結した高密度の
ものは無機の塩類,酸化性ガスに侵されにくい。
ジルコニア ZrO291 1 800 ジルコニアは酸性酸化物なので酸化性又は中性の物質
CaO6 に対しては高温でも反応しにくいが,塩基性酸化物には
侵される。
炭化けい素 炭化けい素 SiC89 1 400 SiCは常温と高温での変化が少なく,熱伝導率が大きい
SiO29 ため,急熱・急冷に対する耐久力が大きい。
耐磨耗性が良い。
再結晶 SiC98 1 600 SiCは酸化性雰囲気では,SiO2を生成し,酸化の進行を
防止している。
二重保護管の外側管として用いる。
窒化けい素 Si3N497 1 600 Si3N4の耐酸化性は,SiCと同様にSi3N4の表面が酸化初
期に形成されたSiO2膜による。
注(6) IS R 1401による記号
(2) 金属保護管 主な金属保護管の特性を表11に示す。
備考 一般に金属保護管は機械的強度が強く,これに表面処理を施すと,耐熱性又は耐食性が増す。
表11 金属保護管
材料 JISによる記号 化学成分 (%) 常用限度 (℃) 特徴(耐熱・耐食)
銅 C1100 99.90Cu以上 300 低温用,耐食性・熱伝導性に優れる。
炭素鋼鍛鋼 SF490A (C≦0.60) 450 S雰囲気での結露に注意する。
(Si0.150.05) 水蒸気高圧部で,配管材質に合わせて
(Mn0.301.20) 使用(異材とならぬように)する。
(P≦0.030)
(S≦0.035)
高温圧力容器 SFVAF22 2.25Cr-1Mo 600 低炭素合金鋼で耐食性が良好,さら
用合金鋼鍛鋼 (C≦0.15) に,Mo, Crの添加によって,高温(450
500℃)での耐食性が改善されてい
る。
S雰囲気での結露に注意する。
高圧部で,配管材質に合わせて使用
(異材とならぬように)する。
軟鋼 STPG 0.250.3C 600 酸化性雰囲気に弱いため,非腐食性の
0.31.0Mn 流体に使用する。耐食性を増すために
ガラス・樹脂等で表面加工し使用され
ることもある。

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材料 JISによる記号 化学成分 (%) 常用限度 (℃) 特徴(耐熱・耐食)
オーステナイト系 SUS304 18Cr-8Ni 900 ステンレス鋼。耐食鋼として最も広く
ステンレス鋼 使用される。
SUS304L 18Cr-9Ni-低C 800 SUS304の極低炭素鋼。耐粒界腐食性
に優れる。
SUS310S 25Cr-20Ni 1 000 耐酸化性に優れて,耐熱鋼として使用
される。
硫化物に弱い。
SUS316 18Cr-12Ni-2.5Mo 900 海水をはじめ各種媒質に対して
SUS304より優れた耐食性がある。
SUS316L 18Cr-12Ni低C 900 高温アルカリ等耐食性に優れる。
SUS317 18Cr-12Ni-3.5Mo 800 耐孔食性がSUS316より優れている。
SUS321 18Cr-9Ni−Ti 900 Tiを添加し耐粒界腐食性を高めたも
の。
SUS347 18Cr-9Ni−Nb 900 Nbを含み耐粒界腐食性を高めたも
の。
オーステナイト・ SUS329J1 25Cr-4.5Ni-2Mo 800 二相組織を持ち,耐酸性,耐孔食性に
フェライト系ステ 優れ,かつ高強度をもつ。
ンレス鋼
フェライト系耐熱 SUH446 25Cr−N-0.2C 1 000 高温腐食に強く,1082℃まではく離し
鋼 やすいスケールの発生がない。耐硫化
性に優れる。
耐食耐熱超合金 NCF600 15Cr-72Ni-7Fe 1 050 高温酸化性雰囲気・還元性雰囲気下で
の耐食性に優れる。耐浸炭性,耐窒化
性に優れる。
NCF800 20.5Cr-32Ni 1 000 耐浸透硫性及び内部酸化に対して強
44.5Fe−Ti−Al い抵抗がある。安定したオーステナイ
−Cu ト組織をもち,耐食性も良好。
チタン TB28 0.2Fe−Ti残部 250 低温域での耐食性,特に耐海水性がよ
い。
備考 JISによる記号については,JIS H 3100, JIS G 3201, JIS G 3203, JIS G 3454, JIS G 4303, JIS G 4312, JIS G 4901
及びJIS H 4650を参照。
14.3 測温体の取付け 測温体は,その検出部が測定対象と十分な熱的平衡状態になるように設置する。
特に次の事項に注意する。
(1) 測定対象の温度が不均一な場合,目的とする温度,例えば平均温度,最高温度などに応じて,検出部
の設置位置,挿入長さなどを選定する。
(2) 測温体を設置することによって測定対象の温度分布が変わらないように,測温体の熱容量をなるべく
小さくする。
(3) 測温部の挿入長さ,放射熱及び空気の侵入による誤差を小さくするための工夫をする。
(4) 管又はダクトの中の流体温度を測定するときには,検出部を管の中央に置き,流れとは逆の方向に挿
入する。
(5) 保護管が湾曲するような高温を測る場合には,熱電対は上から垂直に挿入する。
(6) 常温以下の低温を測る場合には,保護管内の結露によって検出素子が絶縁不良を起こし,誤差を生じ
ることがあるので,湿気が入らないような構造の測温体を使用する。
(7) 約80K以下の極低温計測の場合には,熱容量の小さい測温体を用い,検出部と被測物との熱接触に十
分留意するとともに,リード線からの熱の流入を防ぐ。
(8) セラミックなどの非金属保護管を使用した測温体は,これらの材質が一般に熱衝撃に弱いので,測温

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場所への取付けと取外しには,十分時間をかけ,また,予熱などの処置をとる。
(9) シース形測温体の最小曲げ半径は,シース外径の5倍程度とされているが,同一箇所では繰り返して
曲げないようにし,できる限り温度こう配がない部分で大きく曲げる。
(10) シース測温抵抗体では,先端部に抵抗素子が内蔵されているので,曲げ不可能部(先端から100mm
程度)は曲げてはならない。
(11) 測温体を爆発の危険がある場所で使用する場合には,JIS C 0903の防爆構造とする。
(12) 設置場所が屋内である場合は,防湿構造でよいが,屋外又は水が頻繁に使用される場合には,防水構
造とする。防水性の試験方法はJIS C 0920による。
14.4 受信器の取付け 受信器の取付けには,次の事項に注意する。
(1) 使用に便利な場所に取り付ける。
(2) ごみ又は腐食性気体がなく,温度変化が少なく,正常動作条件の場所に取り付ける。
(3) 機械的振動又は衝撃がないこと。
(4) 大電流の電線,その他電磁的影響を与えるものが近くにないこと。
(5) 計器板上は,50lx以上の照度であること。
(6) ガラス面の光が反射して,指針先が見にくくなることを避ける。
(7) 指定されているとおりの姿勢に取り付ける。
14.5 配線
14.5.1 一般的な配線方法 配線には,次の事項に注意する。
(1) 測温体と受信器とは1対1の構成とし,測温体の導線を共用しない。
(2) 強電回路から遠ざけて配線する。
(3) 測温体の端子から受信器の端子までの区間は継目なく配線する。
(4) 受信器によってはシールド線を用いる。
(5) 配線は絶縁電線又は外装ケーブルを用いる。湿気の多い場所,腐食性気体又は溶液が漏れるおそれの
ある場所は避ける。やむを得ない場合は,金属管若しくは硬質ビニル管に導線を通したものを用いる
か,又は鋼帯外装ケーブルを用いる。
地下埋設は,被覆の損傷による絶縁低下が発生しやすいので,できるだけ避ける。
(6) 温度変化が少ない場所を選び,特に高温,低温の場所は避ける。やむを得ず高温の場所に配線する場
合は,耐熱用電線を使用する。
(7) 配線の中継点などの要所には,測定箇所などを識別できるようにする。
(8) 回路の絶縁抵抗は,測温体及び受信器を取り除き,2線間及び各線と大地間において絶縁抵抗計で測
定したとき,所定の絶縁抵抗値以上あること。
(9) 測温体又は回路の対地雑音障害が生じやすい場合には,保護管若しくは導線シールドの直接接地,又
は平衡ろ波回路を仲介とする接地を行う。
14.5.2 熱電対の配線 熱電対の配線には,次の事項に注意する。
(1) 熱電対に補償導線を用いる場合は,JIS C 1610による。
(2) 補償導線は,使用する熱電対に合わせてその種類を決め,要求精度に合った熱起電力特性をもつ階級
のものを選ぶ。
(3) 補償接点は,補償導線の使用温度範囲及び所定の温度を超えないこと。
14.5.3 抵抗式測温体の配線 抵抗式測温体の配線には,次の事項に注意する。
(1) 測温抵抗体の配線に用いる銅線には,JIS C 3307, JIS C 3401又はこれらと同等以上の絶縁性能をもつ

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JIS Z 8704:1993の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 8704:1993の関連規格と引用規格一覧