JIS A 8706-1:2010 履帯式建設リサイクル機械―安全―第1部:自走式クラッシャの要求事項 | ページ 5

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A 8706-1 : 2010
番号 危険源 JIS B 9700-1 JIS B 9700-2 JIS A 8706-1
移動性によって付加される危険源,危険状態及び危険事象
16 走行機能に関連したもの
16.1 走行機能 5.5,5.6,C.3.14
16.2 減速,停止及び固定するための機械能力が不十分 5.6
16.3 遠隔制御 5.4.6,附属書C
17 機械上の作業位置(運転席含む)に関連したもの
17.1 運転又は作業位置に入出時又は居るときの人の落下 5.5.6 5.2,5.3.6,5.8.1
17.2 作業位置における排気ガス又は酸素不足 5.3.3
17.3 火事(運転室の可燃性及び消火手段の欠如) 5.21.3,5.22
17.4 作業位置における機械的危険源
a) 車輪に接触 5.2 5.3.2
b) 転覆 5.2
c) 物体の落下及び物体が貫通 5.2
17.5 運転又は作業位置からの不十分な視界 5.4.7.1,5.12.1
17.6 不適切な作業及び運転用照明 5.12.2,5.19.7
17.7 作業位置における騒音 5.15
18 制御システムによるもの
18.1 エネルギー又は制御回路の不適切な設計 5.3 4.11.1 C.3.1C.3.5
18.2 手動制御器の不適切な配置 4.11.1 5.4.15.4.4,5.4.7
18.3 手動制御器及びその運転モードの不適切な設計 4.11.1 5.4,C.3.5
19 機械の取扱いから起こるもの(安定性の欠如) 5.14
20 動力源及び動力伝達装置によるもの
20.1 エンジン及びバッテリから起こる危険源 4.11.1 5.3.3,5.19.5,5.19.6
20.2 救出,輸送,つり上げ及びけん引から起こる危険源 5.5.5 5.17
21 第三者から起こる又は第三者に及ぼす危険源
21.1 無許可の始動及び使用 5.4.3,5.23.4,C.3.5.3
21.2 停止位置からのずれ動き 5.4.5,5.10,附属書D
21.3 視覚警告手段又は聴覚警告手段の欠如又は不適切 5.13,7.1,C.3.13
22 運転員及びオペレータに対する指示が不十分(取扱 5.4.1,5.4.7.2,5.4.7.3,
説明書,標識,警告及び表示) 5.8.2,5.8.4,5.8.5,5.9.1,
5.11,5.13,5.16.1,5.17,
7,C.3.5.2,C.5,C.3.15,
C.3.16

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附属書C
(規定)
遠隔操縦の安全要求事項
C.1 適用範囲
この附属書は,自走式クラッシャに受信器を組み込んで使用される有線式遠隔操縦及び無線式遠隔操縦
の安全要求事項について規定する。
この附属書は,ごく単純な命令(例えば,始動,停止及び設定変更)だけを必要とし,運転員の補助な
しに機械自身が周囲状況を観測して作業を行えるような自律式制御には適用しないが,自律式制御の機械
が遠隔操縦状態で使用される場合には適用する。この附属書は,遠隔操縦式ではない機械に装着した遠隔
操縦式のアタッチメントには適用しない。
注記 この附属書は,遠隔操縦装置の性能判定基準を規定するものではない。各箇条の標題として“無
線操縦”又は“有線操縦”が示されている場合,その要求事項は対応する操縦装置にだけ適用
する。受信器を必要としない有線式遠隔操縦にも,C.3C.5の要求事項を適用することを推奨
する。
C.2 用語及び定義
この附属書で用いる用語及び定義は,次による。
C.2.1
遠隔操縦
機械外部の遠隔操作器から機械に組み込まれた受信器への,有線又は無線による信号の伝達による機械
の操縦。操作器が機械本体から離れていても,操作器と機械本体との位置関係が固定的である場合は,こ
の規格には含まない。
C.2.2
遠隔操縦装置
遠隔操縦式の機械に運転機能及び操作機能の指令を伝達する装置。これは,遠隔操作器及び受信器から
なる。
C.2.3
遠隔操作
有線方式又は無線方式によって,自走式クラッシャから離れた場所の運転員が行う操作。
C.2.4
遠隔操作器
機械から離れた場所から遠隔操縦するために,所要のすべての運転機能を動作させる操縦機能を備えた
装置。そのための信号は,遠隔操作器と受信器との間で送受信される。
C.2.5
受信器
機械側に搭載され,遠隔操作器からの信号を受信して,それを機械の運転用の信号に変換する機器。
C.2.6
操縦ケーブル

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有線式において,遠隔操作器と受信器との間の信号を伝達する電線。
C.2.7
危険範囲
機械の動作によって傷害の可能性がある領域。
C.3 安全要求事項
C.3.1 一般
遠隔操縦式の自走式クラッシャにおいて,遠隔操作の走行操縦装置は,遠隔操作器と機械本体に組み込
まれた受信器との間の通話が,障害(電子妨害など),機械本体の動力停止又は遠隔操作器からの信号の停
止によって中断したとき,操縦装置を始動させていないとき,及び遠隔操縦装置の電源が中断したときは,
機械の走行は停止しそのままの状態を保持するように設計しなければならない。ただし,作業装置(クラ
ッシャ,コンベヤなど)の遠隔操縦はこの限りでない。
C.3.2 無線遠隔操縦
無線遠隔操縦式の機械が遠隔操縦による通信範囲外にあるときは,走行は停止し,そのまま止まってい
なければならない。作業装置(クラッシャ,コンベヤなど)の遠隔操縦はこの限りでない。
無線遠隔操縦装置を備えた機械が数台近接して作業する場合,個々の遠隔操縦装置は,運転員が遠隔操
縦する対象の機械を,運転の開始前に何らかの方法で識別できるようになっていなければならない。
C.3.3 信号の信頼性
信号を伝達する装置は,過渡な電磁放射,一時的な信号の中断,遠隔操作器の故障などによる誤信号に
よって機械が動作するのを防止する,誤信号探知又は補正システムを備えていなければならない。情報の
交信のためのプロトコルは,その通信回路及び伝達される情報の保全を保証する。保全性を検証できない
場合は,機械は直ちに操作停止にならなければならない。
遠隔操縦装置は,JIS A 8316に規定する電磁両立性の要求事項に適合しなければならない。
C.3.4 遠隔操作器
(1台の)機械を同時に複数の遠隔操作器から操作可能であってはならない。
遠隔操作器は,運転員の自由な動きをできる限り妨げない設計とする。
C.3.5 操縦装置
C.3.5.1 中立位置
遠隔操作器上の走行操縦装置は,運転員がそれらを放したときには中立位置に戻らなければならない。
作業装置(クラッシャ,コンベヤなど)の操作に機能上固定位置がある場合及び機械本体の対応する操作
装置に固定位置がある場合は,中立に戻す必要はない。遠隔操作器の操縦装置が中立位置にあるとき,そ
の結果起こる機械の動作は,対応する機械本体の操作装置を中立位置にしたときの動作と同じでなければ
ならない。
C.3.5.2 表示
遠隔操作器上の操縦装置には,機械本体の走行方向及び作業装置の動作が明確に表示されていなければ
ならない。
C.3.5.3 意図しない起動に対する防護
遠隔操作器上の操縦装置は,意図しないのに起動しないよう配置,動作ロック又は防護されていなけれ
ばならない。遠隔操作器を運転員が手から落としたり,運転員が転倒したときに,意図しない動作が起き
ないよう防護する手段を設けなければならない。

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遠隔操作器上の操作装置は,無認可の者が起動するのを防止するため,操作装置が不作動状態となって
操作できないようにする手段を設けなければならない。
C.3.6 有線操縦
有線操縦は,C.3.1,C.3.3及びC.3.4に適合し,かつ,運転員が危険範囲の外側から機械を操縦できなけ
ればならない。
C.3.7 操縦ケーブル
操縦ケーブルは,十分な長さをもち,柔軟で運転員が安全な操縦位置に居ることができるようにしなけ
ればならない。引張力に関しては,使用する電気ケーブル及び接続部はJIS B 9960-1の13.4.2(外部ダク
ト)及び13.4.3(機械の可動部への接続)に適合しなければならない。
操作装置は,操縦ケーブルが過度に引っ張られたり,よじれたりしたときに,意図しない動作が起こら
ないよう安全に保持されなければならない。
C.3.8 全停止操作
C.3.8.1 一般
遠隔操作器上には,手動操作用の全停止装置を設けなければならない。
全停止装置を起動すると直ちにすべての走行及び作業の駆動装置が安定性を損なわない安全な方法で,
停止しなければならない。
取扱説明書には,遠隔操作器と受信器との通話が通信範囲外になったとき,障害で停止したとき,遠隔
操縦装置の電源が中断したときなどに全停止機能が作動しない場合があることを記載しなければならない。
C.3.8.2 特性
全停止操作を意図的に復元させない限り,回路を再復帰できないようにしなければならない。また,全
停止操作を復元させたときは,走行装置及び作業装置は停止状態でなければならない。
全停止装置が複数備えられている場合,操作又は起動した全停止装置のすべてが復帰操作されない限り,
回路を再復帰できないようにしなければならない。
C.3.8.3 全停止操作のボタン
全停止操作は,ボタン式(押しボタン又は類似の容易に操作可能なもの)とする(JIS C 8201-5-1参照)。
C.3.8.4 機械
走行操縦装置が遠隔操縦できる機械の本体側には,その進行方向以外の地上に居る人が操作できる非常
停止装置を備えるのが望ましい。
C.3.9 選択スイッチ
機械が直接操縦モードも備えている場合は,本体側の操作盤にモード選択スイッチを備え,直接操縦又
は遠隔操縦のいずれかを選択できるようにしなければならない。
選択スイッチで直接操縦を選択したときは,直接操縦だけが有効にならなければならない。また,遠隔
操縦を選択したときに遠隔操縦できるようにならなければならない。
無線式の場合は,モード選択はキースイッチの使用又はアクセスコードの使用によってだけ可能とする
か,又は施錠可能な場所の中にスイッチを設ける。
C.3.10 衝撃及び振動
遠隔操作器及び受信器は,衝撃及び振動によって機械の意図しない動きを引き起こすような影響を受け
てはならない。
遠隔操作器は,次の試験に耐えなければならない。
− JIS C 60068-2-27による自由落下試験

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− ISO 15998:2008による衝撃試験(11ミリ秒にて衝撃負荷15 g)
受信器は,ISO 15998:2008による振動試験に耐えなければならない。
C.3.11 周囲環境からの防護
C.3.11.1 遠隔操作器
遠隔操作器の周囲環境からの防護等級は,JIS C 0920の箇条4(指定方法)に規定するIP65による。
C.3.11.2 受信器
受信器の対環境防護等級は,その取付け位置がその周囲環境からの防御がなければJIS C 0920の箇条4
に規定するIP65にしなければならない。IP65を満足しない受信器は,ボックスで覆うなど周囲環境から
の防護を十分に行わなければならない。
C.3.12 動力源
C.3.12.1 一般
遠隔操作器又は受信器への電力供給が切れた場合,機械の意図しない動きが生じてはならない。走行操
縦装置及び走行機能は,中立位置に戻らなければならない。すなわち,走行機能が安全に停止し,ブレー
キが自動的にかからなければならない。
電力供給が復帰したときに意図しない機械の動きが生じてはならない。遠隔操縦運転は,復帰操作を行
った後にだけ可能とする。
C.3.12.2 遠隔操作器
電源が入っている場合は,インジケータランプなどが点灯しなければならない。
C.3.13 警報装置
機械が遠隔操縦されているときは,遠隔操作器から機械の警笛(例えば,ホーン)を操作できなければ
ならない。
C.3.14 走行
C.3.14.1 無線操縦
走行速度は,10 km/hを超えてはならない。遠隔操縦機械の動作範囲内にだれも入れないようになって
いて,安全な距離から遠隔操縦する場合にだけ,それ以上の速度としてもよい。
C.3.14.2 有線操縦
走行速度は,6 km/hを超えてはならない。遠隔操縦機械の動作範囲内にだれも入れないようになってい
て,十分な長さの操縦ケーブルで安全な距離から遠隔操縦されており,かつ,より早い走行速度に対する
適切な安全上の配慮又は装置(例えば,ケーブルの巻取りリール付き)が加えられている場合にだけ,そ
れ以上の速度としてもよい。
C.3.15 形式情報
無線操縦の場合は,次の情報を遠隔操縦装置に恒久的な方法で取り付けなければならない。
− 製造業者名
− 形式
− 製造番号
形式情報は,遠隔操作器と受信器との関係を明確に示し,遠隔操作器及び受信器又はその近い位置の読
みやすい表面に明示しなければならない。
C.3.16 警告表示の図記号
遠隔操縦運転中の危険源を表す警告表示の図記号は,JIS A 8312に適合するのがよい。その図記号は,
機械の周りに人が近づかないよう指示する図記号がよい(図C.1参照)。

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JIS A 8706-1:2010の国際規格 ICS 分類一覧

JIS A 8706-1:2010の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISA8301:1952
モータグレーダ用切刃
JISA8301:2000
土工機械―整備用開口部最小寸法
JISA8302:2017
土工機械―運転員及び整備員の乗降用・移動用設備
JISA8307:2006
土工機械―ガード―定義及び要求事項
JISA8310-1:2019
土工機械―操縦装置及び表示用図記号―第1部:共通図記号
JISA8310-2:2019
土工機械―操縦装置及び表示用図記号―第2部:特定機種,作業装置及び附属品図記号
JISA8312:1996
土工機械―安全標識及び危険表示図記号―通則
JISA8312:2021
土工機械―機械安全ラベル―通則
JISA8315:2010
土工機械―運転員の身体寸法及び運転員周囲の最小空間
JISA8316:2010
土工機械―電磁両立性(EMC)
JISA8323:2001
土工機械―運転席及び整備領域―端部の丸み
JISA8324:2001
土工機械―電線及びケーブル―識別の原則
JISA8325:2010
土工機械―履帯式機械―制動装置の性能要求事項及び試験方法
JISA8327:2017
土工機械―機械装着警報ブザー類及び警音器―試験方法及び性能基準
JISA8331:2005
土工機械―機械装着救出装置―性能要求事項
JISA8334:2006
土工機械―取扱説明書―内容及び様式
JISA8340-1:2011
土工機械―安全―第1部:一般要求事項
JISA8345:2004
土工機械―キーロック始動装置
JISA8407:2000
土工機械―操縦装置の操作範囲及び位置
JISA8919:2007
土工機械―操縦装置
JISB8370:2013
空気圧―システム及びその機器の一般規則及び安全要求事項
JISB9700-1:2004
機械類の安全性―設計のための基本概念,一般原則―第1部:基本用語,方法論
JISB9700-2:2004
機械類の安全性―設計のための基本概念,一般原則―第2部:技術原則
JISB9703:2019
機械類の安全性―非常停止機能―設計原則
JISB9707:2002
機械類の安全性―危険区域に上肢が到達することを防止するための安全距離
JISB9708:2002
機械類の安全性―危険区域に下肢が到達することを防止するための安全距離
JISB9711:2002
機械類の安全性―人体部位が押しつぶされることを回避するための最小すきま
JISB9713-2:2004
機械類の安全性-機械類への常設接近手段-第2部:作業用プラットフォーム及び通路
JISB9713-3:2004
機械類の安全性―機械類への常設接近手段―第3部:階段,段ばしご及び防護さく(柵)
JISB9960-1:2019
機械類の安全性―機械の電気装置―第1部:一般要求事項
JISC0920:2003
電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
JISC60068-2-27:2011
環境試験方法―電気・電子―第2-27部:衝撃試験方法(試験記号:Ea)
JISD1201:1998
自動車,及び農林用のトラクタ・機械装置―内装材料の燃焼性試験方法
JISZ9101:2018
図記号―安全色及び安全標識―安全標識及び安全マーキングのデザイン通則