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は,それを用いる。
4.7.2 測定
4.6.1で最適化した条件を用い,測定対象元素の発光強度を測定する。
4.7.3 定量法
一定時間の積分によって得られた発光強度から,次の方法によって試料溶液中の測定対象元素の濃度を
求める。必要があれば,4.7.4によって発光強度又は濃度を補正する。
a) 検量線法 検量線法として,発光強度法又は強度比法を用いる。
1) 発光強度法 測定対象元素の濃度が異なる4種類以上の検量線作成用溶液を調製する。この検量線
作成用溶液を用い,発光強度と濃度との関係線を作成して検量線とする。この検量線を用いて発光
強度に対応する試料溶液中の測定対象元素の濃度を求める(図8参照)。
2) 強度比法(内標準法) 一定濃度の内標準元素を含み,測定対象元素濃度が異なる検量線作成用溶
液を4種類以上調製する。新たに添加した元素,又は試料溶液中に主成分として含まれる元素を内
標準元素とする。内標準元素を新たに添加する場合には,その元素が試料溶液中に含まれないこと
を確認しておく。内標準線及び分析線は,中性線同士又はイオン線同士でその励起エネルギー差が
小さく,かつ,分析線に対し分光干渉を生じない発光線を選択する。この検量線作成用溶液を用い,
内標準元素に対する測定対象元素の発光強度比と測定対象元素の濃度との関係線を作成して検量線
とする。この検量線を用いて発光強度比に対応する試料溶液中の測定対象元素の濃度を求める(図
9参照)。
注記1 検量線法では,試料溶液の組成と検量線作成用溶液の組成とが合致していることが望ま
しい。
注記2 検量線が直線にならない場合には,直線性が得られる範囲となるように,検量線作成用
溶液の希釈などを行い,直線範囲で測定することが望ましい。
注記3 装置の長時間連続運転,測定数の累積などによって検量線が変動する場合がある。この
ような場合,正確に定量するために,一定時間ごと又は一定測定数ごとに検量線校正用
溶液を測定して,検量線を校正する方法がある。
図8−検量線法(発光強度法)による濃度の求め方
――――― [JIS K 0116 pdf 16] ―――――
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図9−検量線法(強度比法)による濃度の求め方
b) 標準添加法 試料溶液から等量に4個以上の溶液を採取し,測定対象元素を添加しないもの1種類と,
測定対象元素をそれぞれ異なる濃度で添加したもの3種類以上とを調製する。それぞれの溶液の発光
強度と濃度との関係線を作成し,図10の横軸(濃度)の切片から試料溶液中の測定対象元素の濃度を
求める。
注記4 この方法は分光干渉がないか,又はバックグラウンド及び分光干渉が正しく補正されてい
て,かつ,発光強度と濃度との関係線が良好な直線性を保つ場合だけに適用できる。
図10−標準添加法による濃度の求め方
4.7.4 分光干渉の補正
干渉を受けない別の分析線を選択できない場合は,必要に応じて次の補正を行う。
a) 元素間干渉補正 あらかじめ既知濃度の共存元素の溶液を用いて,分析線に及ぼす影響を共存元素の
発光強度又は濃度の関数として求める。測定対象元素を測定するときに共存元素を同時に測定し,分
析線の発光強度又は濃度に対する共存元素の影響を補正する。
b) スペクトル分離による補正 分析線に近接する共存元素のスペクトルを試料溶液のスペクトルから差
し引いて,補正する。図11に,近接する共存元素の干渉スペクトル及び分析対象元素のスペクトルが
重なったときのスペクトルの例を示す。Aは,測定対象元素のスペクトルに共存元素が重なった試料
溶液のスペクトルである。このようなとき,あらかじめ測定した共存元素のスペクトルBを差し引く
――――― [JIS K 0116 pdf 17] ―――――
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と,差スペクトルCが得られる。Cのスペクトルの強度から,測定対象元素の濃度を求める。
図11−共存元素の干渉スペクトル及び差スペクトル
c) バックグラウンド補正 4.6.2 a) 3)のように,試料溶液の主成分によってバックグラウンドが変化し,
分析線の発光強度(Ix)に影響を与えるような場合には,バックグラウンド強度(Ix′)を差し引いて
正味の発光強度を求める。図12にバックグラウンドの影響と補正位置との例を示す。図12 a)はバッ
クグラウンドが波長に対して一様な場合であり,補正位置はA又はBのいずれか一方で測定されたバ
ックグラウンドによって補正する。図12 b)はバックグラウンドが波長とともに変化している場合で,
分析線の両側の補正位置A及びBで測定されたバックグラウンドからIx′を求めて補正する。
――――― [JIS K 0116 pdf 18] ―――――
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図12−バックグラウンド補正
4.7.5 定量値の表し方
試料に含まれる測定対象元素の定量値は,質量分率(ng/kg, 最一 柿 mg/kgなど)又は質量濃度(ng/L,
最一 mg/Lなど)で適切と考えられる単位を用いて表示する。
4.7.6 留意事項
この分析方法は,図2に示す基本的な噴霧試料導入部以外に,さまざまな附属装置を接続して使用する
ことが多い。超音波ネブライザー,フローインジェクション装置,水素化物発生装置,クロマトグラフ,
マトリックス分離カラムなどを使用するとプラズマまでの導入時間が長くなる場合があるので,メモリー
効果に留意する。電気加熱気化導入装置,フローインジェクション装置などの微小量の試料導入の場合は,
コンタミネーションに留意する。レーザーアブレーション装置などの固体表面をサンプリングする場合は,
試料の微小領域の均一性に留意する。オートサンプラーなどの自動運転を行う場合は,環境からのコンタ
――――― [JIS K 0116 pdf 19] ―――――
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ミネーション,試料の揮散損失,溶媒の蒸発などに留意する。
4.8 データの質の管理(精確さの管理)
4.8.1 一般事項
データの質の管理のためには,標準物質及び検量線作成用溶液の有効性,定量範囲の確認(上限及び下
限),検量線用ブランク溶液の確認,スペクトル形状の確認,定期的な装置性能の点検などを行う必要があ
る。定期点検は標準操作手順書(SOP : Standard Operating Procedure)を作成し,これに従って行う。
これらの結果は,測定記録,スペクトルとともに文書にして保管する。個別分析方法の標準作業手順に
は,必要な項目を選別して記載する。分析値の信頼性を確保するには,適切な精確さの管理を行うととも
に,計量計測トレーサビリティが確保されていること及び分析値に不確かさを表記することが必要である。
なお,精確さの管理は,試料,測定対象元素,その濃度,測定の目的,必要な精度などを考慮し,管理
目標,確認する頻度などを定めて,必要以上に精確さの管理に時間を費やすことがないようにする。
4.8.2 分析値の信頼性の確保
分析値の信頼性を確保するためには,品質管理に用いる試料又は標準物質を用いて実施される内部精度
管理,共同分析,技能試験などの外部精度管理を適切に実施して,その結果を記録し,一定の精確さを維
持することが望ましい。測定機器の校正を,計量計測トレーサビリティが確保された標準物質で行い,測
定値に不確かさを併記すると精確さを示すことができる。
また,調製に用いる全量ピペット,全量フラスコ,ピストン式ピペットなどは,定期的な精確さの確認
を行うことが望ましい。
4.8.3 計量計測トレーサビリティの確保
検量線作成では,用いる標準物質及び調製に用いる器具の計量計測トレーサビリティが確保されている
ことが望ましい。
注記 計量計測トレーサビリティソースが明確で,かつ,計量計測トレーサビリティが確保されてい
る標準物質はJCSS制度又はJIS Q 0034によって認定された標準物質生産者から供給されてお
り,不確かさが明記されている。
調製に用いる天びん(秤)は,定期的に校正を行い,ピペット類はJIS K 0050に従って校正を行う。ピ
ストン式ピペットも,校正事業者による定期的な校正,JIS K 0970及びJIS K 0050に準じた校正及び性能
確認を行う。計量計測トレーサビリティが確保されている分銅には,JCSS校正証明書付のもの,全量ピペ
ット及び全量フラスコには,許容誤差が表記されているものが供給されている。また,ピストン式ピペッ
トにも,JCSS校正証明書付のもの,又は許容誤差が表記されているものが供給されている。
計量証明に用いる場合は,国際単位系(SI)への計量計測トレーサビリティが確保されていることが望
ましい。SIへの計量計測トレーサビリティが確保された最上位の標準物質又は計量計測トレーサビリティ
ソースとなる標準物質は,国家計量機関から認証標準物質(CRM)として供給されている。
計量計測トレーサビリティが確保された標準物質を用いて検量線を作成して濃度未知の物質を定量する
場合,検量線の不確かさを算出することが望ましい。これから得られた測定値の不確かさの表記は拡張不
確かさUを用いることが適切である。
その際,包含係数kの値を明記する。化学分析においてはUの信頼の水準が約95 %に相当するk=2を
用いることが一般的である。
なお,SIへの計量計測トレーサビリティが確保できない場合は,検量線作成に用いた試薬の純度,検量
線の不確かさ及び未知試料の測定の不確かさから,分析値の不確かさを求めることができる。
――――― [JIS K 0116 pdf 20] ―――――
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JIS K 0116:2014の国際規格 ICS 分類一覧
JIS K 0116:2014の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK0050:2019
- 化学分析方法通則
- JISK0211:2013
- 分析化学用語(基礎部門)
- JISK0212:2016
- 分析化学用語(光学部門)
- JISK0215:2016
- 分析化学用語(分析機器部門)
- JISK0216:2014
- 分析化学用語(環境部門)
- JISK0553:2002
- 超純水中の金属元素試験方法
- JISK0557:1998
- 用水・排水の試験に用いる水
- JISK0970:2013
- ピストン式ピペット
- JISK1105:2017
- アルゴン
- JISK8001:2017
- 試薬試験方法通則
- JISZ8402-1:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第1部:一般的な原理及び定義