JIS K 2609:1998 原油及び石油製品―窒素分試験方法 | ページ 5

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試験したとき,試験結果の差の許容差を表9に示す。
(b) 室間再現精度 異なる2試験室において,別人が別の試験器で同一試料をそれぞれ1回ずつ試験し
たときの2個の試験結果の差の許容差を表9に示す。
表9 精度
単位 質量ppm
室内併行許容差 室間再現許容差
0.10 (X)0.64 0.88 (X)0.64
備考 表中のXの値は,2個の試験結果の平均値
(2) 重油の場合
(a) 室内併行精度 同一試験室において,同一人が同一試験器で,引き続き短時間内に同一試料を2回
試験したとき,試験結果の差の許容差を表10に示す。
(b) 室間再現精度 異なる2試験室において,別人が別の試験器で同一試料をそれぞれ1回ずつ試験し
たときの2個の試験結果の差の許容差を表10に示す。
表10 精度
単位 質量%
室内併行許容差 室間再現許容差
0.026X+0.01 0.089X+0.01
備考 表中のXの値は,試験結果の平均値

4.9 試験結果の報告

 試験結果には,次の事項を記載する。
(1) 試料名,試料採取場所及び採取年月日
(2) ISの規格番号;JIS K 2609
(3) 試験方法の名称・項番号及び4.8.1によって得られた結果。
(4) 特記事項

5. 微量電量滴定法

5.1 試験方法の原理

 試料を加熱された熱分解管に導入し,水素及び触媒の存在下で分解還元させ,試
料中の窒素化合物をアンモニアに変換する。アンモニアは電解液に吸収させて電量滴定し,このときに消
費された電気量から窒素分を求める。
なお,試料中の窒素分は,あらかじめ窒素標準液を用いて求めておいた回収係数によって補正する。
参考1. この試験方法は,窒素一窒素結合をもつ窒素化合物を含む添加剤入り試料の場合には窒素分
を正確に求めることができないことがある。
2. この方法は,ASTM D 3431-87を参照して作成している。

5.2 微量電量滴定法試験器

 次の(1)(7)で構成し,その一例を図11に示す。

――――― [JIS K 2609 pdf 21] ―――――

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図11 微量電量滴定法試験器(一例)
(1) 湿潤器 水素を水中に通して湿度を高めることができるもの。
(2) 熱分解炉 熱分解管の入口部,中央部及び出口部を個別に加熱調節できるもの。
(3) 熱分解管 試料を水素気流中で熱分解し,触媒を用いて試料中の窒素をアンモニアに変えることがで
きるもの。
なお,熱分解によって生じた酸性ガスを除去するためのスクラバーとして,横形試験器では直径0.4
0.9mmの水酸化リチウム又は水酸化ナトリウム溶液 (50%) をしみ込ませた直径0.40.9mmのアラ
ンダムを充てんした石英ガラス製管を熱分解管の出口部に挿入する。
また,縦形試験器では熱分解管の出口部に直径0.82.4mmの粒状ソーダ石灰を充てんする。
(4) 滴定セル 電位差又はpHを検出する検出電極対及び一対の水素イオン発生電極を備えたマグネチッ
クスターラ付きガラス製電解液槽で,電解液をかき混ぜながら,吸収したアンモニアによって生じた
水素イオン濃度変化を検出し,その変化量に相当する水素イオンを発生できるもの。
(5) 微量電量計 検出電極対の間のあらかじめ設定した電位差又はpHと,滴定中の電位差又はpHとを比

――――― [JIS K 2609 pdf 22] ―――――

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較し,差があればこれに相当する電流を水素イオン発生電極に流すことができるもの。
(6) 窒素量表示器 水素イオン発生電極に流れた電気量を窒素量に換算して表示又は記録できるもの(22)。
注(22) ピーク面積積分値として記録できるものでもよい。
(7) マイクロシリンジ 容量10 20 び100

5.3 試薬

 微量電量滴定法で用いる試薬は,次による。
(1) 水素 JIS K 0512に規定する3級又はこれより純度の良好なもの(23)。
注(23) 水素は触媒の寿命を延ばすため,水中を通して湿度を高めたものを用いる。
(2) 酸素 JIS K 1101に規定するもの。
(3) 不活性ガス 純度99.99容量%以上のヘリウム又はアルゴン。
(4) 水 JIS K 0557に規定にするA3のもの
(5) 電解液 JIS K 8987に規定する硫酸ナトリウム5.0±0.1gを水に溶かし,全量を正確に500mLとした
もの。
(6) トルエン JIS K 8680に規定するもの。
(7) 3%界面活性剤溶液 非イオン界面活性剤(24)30gを水970mLに溶解したもので,縦形試験器に用いる。
注(24) 界面活性剤にはポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルを用いるとよい。
(8) 窒素標準液 キノリン溶液 (1 000 最一一 は窒素分標準試料を用いて試験器の形式別に調製した
もの。
備考1. キノリン溶液 (1 000 最一一 ‰ 次によって調製したもの。
JIS K 8279に規定するキノリン0.92gを1mgのけたまで全量フラスコ100mLに正確にはか
り採り,トルエンを標線まで加えて混合・溶解する。この溶液の窒素濃度は,次の式によっ
て算出し,JIS Z 8401の規定によって整数位に丸める。
A=10.845Q×100
ここに, A : キノリン溶液の窒素濃度 ( 最一一
Q : キノリンのはかり採り量 (g)
10.845 : 純度100%のキノリンの窒素含量(質量%)
2. 窒素分標準試料は,3.マクロケルダール法によって窒素分を測定した重油を用いる。
参考 社団法人石油学会で認証した重油窒素分標準試料(標準物質)を備考2.のものの代わ
りに用いるとよい。
(8.1) 横形試験器用窒素標準液 原則として,窒素濃度が20 最一一 度20 最一一
の窒素標準液の調製方法は,次による。
(a) キノリン溶液 (1 000 最一一 ‰ いる場合 キノリン溶液 (1 000 最一一
で全量フラスコ500mLに採り,トルエンを標線まで加えて混合・溶解する。
この溶液の窒素濃度は10Aであり,JIS Z 8401の規定によって小数点以下1けたに丸める。
(b) 窒素分標準試料を用いる場合 窒素分標準試料の適量(25)を1mgのけたまで正確にはかり採り,ト
ルエンで溶解した後,全量フラスコ100mLに移し入れ,トルエンを標線まで加えて十分に混合する。
この溶液の窒素濃度は次の式によって算出し,JIS Z 8401の規定によって小数点以下1けたに丸め
る。
a=BM×100
ここに, a : 窒素標準液の濃度 ( 最一一
B : 窒素分標準試料の窒素分(質量%)
M : 窒素分標準試料のはかり採り量 (g)

――――― [JIS K 2609 pdf 23] ―――――

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注(25) この(b)に示した窒素標準液の濃度計算式を次のように変形して求める。
a
M
100B
(8.2) 縦形試験器用窒素標準液 原則として窒素濃度が100 最一一 度100 最一一
の窒素標準液の調製方法は,次による。
(a) キノリン溶液 (1 000mgN/mL) を用いる場合 キノリン溶液 (1 000 最一一 ピペッ
で全量フラスコ100mLに採り,3%界面活性剤溶液を標線まで加えて十分に乳化させる。この溶液
の窒素濃度は10Aであり,JIS Z 8401の規定によって小数点以下1けたに丸める。
(b) 窒素分標準試料を用いる場合 窒素分標準試料の適量(25)を全量フラスコ100mLに1mgのけたまで
正確にはかり採り,510mL(26)のトルエンを加えて溶解した後,3%界面活性剤溶液を標線まで加
えて十分に乳化させる。この溶液の窒素濃度は(8.1)(b)の式によって算出し,JIS Z 8401の規定によ
って小数点以下1けたに丸める。
注(26) 窒素分標準試料を溶解させるのに必要な最少量とする。
(9) 触媒 JIS K 9062に規定するニッケル又はニッケルをアルミナに担持させたもので,直径0.30.9mm
のもの。

5.4 試験器の準備

 微量電量滴定法の試験器の準備は,次による。
(1) 触媒の活性化 熱分解管の中央部に触媒を透き間をつくらないように充てんし(27),熱分解炉に取り付
けた後,次の(a)(f)の順序で触媒を活性化する。
注(27) 縦形試験器では触媒充てん前に熱分解管の出口部にスクラバーとしてJIS K 8603に規定する乾
燥したソーダ石灰を充てんしておく。
なお,縦形試験器で触媒としてニッケルを使用する場合には,触媒と石英ウールを交互に充
てんする。
(a) 熱分解管に不活性ガスを毎分200300mLの流量で10分間以上流し,空気を完全に追い出す(28)(29)。
注(28) この際,漏れ試験を行い,ガス漏れのないことを確認しておく。
(29) この置換操作が完全に行われていないと,次の操作で爆発混合気を形成するおそれがある
ので注意する。
(b) 不活性ガスを水素に切り換え,毎分200300mLの流量で流しながら熱分解炉の温度を上昇させる
(30)。熱分解管入口部及び中央部の温度を800℃に保ち,約12時間水素を流す。
注(30) 出口部の温度を横形試験器では800℃,縦形試験器では200℃にする。
(c) (a)と同様にして水素を不活性ガスで置換する(23)。
(d) 不活性ガスを酸素に切り換え,毎分200300mLの流量で約1時間流して触媒を酸化させる。この
場合,熱分解管の温度の急上昇及び酸素の流量変動に注意する(31)。
注(31) 熱分解管の中央部の温度は850℃を超えないように調節する。また,あらかじめ熱分解管の
出口にゴム管をつなぎ,ゴム管の他端を水を入れたビーカーに浸しておき,ゴム管から出
る気泡が止まらないように流量を調節する。
なお,触媒の再活性化時には,触媒に付着した炭素質物質の燃焼も同時に起こり,酸素
の消費量が増加するので,特に注意する。
(e) (a)と同様にして酸素を不活性ガスで置換する(23)。
(f) 再び水素を毎分200300mLの流量で2時間以上流し,触媒の活性化を終える。
(2) スクラバー管の取付け 横形試験器の場合には,触媒の活性化が終了したならば,熱分解管出口部の

――――― [JIS K 2609 pdf 24] ―――――

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温度を200300℃に下げ,スクラバー管を出口部に挿入する。水酸化ナトリウム溶液をしみ込ませた
アランダムを充てんしたスクラバー管では,数分間放置して水分が出なくなるまで乾燥する。
(3) 滴定セルの準備 電解液で滴定セル内を洗浄した後,滴定セルに再び電解液を各電極が十分に浸る程
度に入れる。
(4) 試験条件の設定 熱分解管出口部の端に滴定セルのガス導入管を連結し,検出電極対及び水素イオン
発生電極のそれぞれの端子を微量電量計の回路に接続し,熱分解管から滴定セルまでの導入管をテー
プヒータで加温する。水素の流量,熱分解炉の温度及び微量電量計を試験条件に設定する。
試験条件の一例を表11に示す。
表11 試験条件(一例)
項目 横形試験器 縦形試験器
水素流量 mL/min 反応用 約 300 約 450
補助用 約 200 −
熱分解炉温度 ℃ 入口部(32) 800 1 000 800 1 000
中央部 700 800 500 800
出口部 200 300 200 300
微量電量計 バイアス電圧 110mV −
設定pH値 − 6.06.5
注(32) 残さ油を含む試料を試験する場合には9501 000℃とする。
(5) 熱分解管の浄化 マイクロシリンジを用いて水590 鉱 分解管の入口部に導入(33)し,管内を浄化
する。この操作は,窒素量表示器に示された値(34)が試験結果に影響を及ぼさない程度になるまで繰り
返す。
注(33) 横形試験器では試料注入口を通して試料ボートに注入し,試料ボートを移動ロッドで導入する。
縦形試験器では試料注入口から直接注入する。
(34) ピーク面積積分値で記録される試験器の場合は,次の式によって窒素量に換算する。
.870SI
N
RJ
ここに, N : 窒素量 ( 最
S : ピーク面積積分値 (cm2)
I : 記録計のスパン (mV/cm)
J : 記録紙送り速度 (cm/min)
R : 微量電量計のレンジ設定値 ( 圀
(6) スクラバーの効力確認 マイクロシリンジを用いてアセトン510 鉱 分解管の入口部に導入(33)
し,スクラバーの効力を確認する。この操作は窒素量表示器に示された値(34)が試験結果に影響を及ぼ
さない程度になるまで繰り返す。
参考 スクラバーの効力は,試験器に記録計を接続して試験中に負ピークをモニターしたり,スクラ
バーの変色程度で確認してもよい。

5.5 回収係数の測定

 微量電量滴定法の回収係数の測定は,次による。
(1) マイクロシリンジを用いて窒素標準液510 にはかり採り,熱分解管の入口部に導入(33)し,
窒素量表示器に示された値(34)を読み取り,次の式によって回収係数を算出し,JIS Z 8401の規定によ
って小数点以下2けたに丸める。
N
f 1000
ここに, f : 回収係数

――――― [JIS K 2609 pdf 25] ―――――

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