JIS K 8643:2011 チモールブルー(試薬) | ページ 2

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4) 塩化物標準液
4.1) 塩化物標準液(Cl : 1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
4.1.1) 計量標準供給制度[JCSS 2)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致し
た場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する。
4.1.2) CSS以外の認証標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要
な場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液がない場合は,市
販の標準液を用いる。
4.1.3) IS K 8150に規定する塩化ナトリウム1.65 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,
水を標線まで加えて混合する。
注2) CSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。
4.2) 塩化物標準液(Cl : 0.01 mg/ml) 塩化物標準液(Cl : 1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに
正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準(“澄明”)は,次による。
塩化物標準液(Cl : 0.01 mg/ml)0.2 mlを共通すり合わせ平底試験管にとり,水10 ml,硝酸(1+2)
1 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加え,更に水を加えて20 mlとし,振り混ぜてから15分間放置
する。
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 例として,容量50 ml,直径約23 mmで目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料0.10 gを0.1 mgの桁まではかりとり,ビーカー200 mlなどに入れ,エタノ
ール(体積分率50 %)を50 ml加えて溶かす。これを,全量フラスコ100 mlにとり,エタノール(体
積分率50 %)で洗い入れ,エタノール(体積分率50 %)を標線まで加えて混合する(A液)(A液
は,6.4の試験にも用いる。)。
2) 試料溶液を共通すり合わせ平底試験管に20 mlとり,濁りの程度をb) と比較する。また,ごみ,浮
遊物などの異物の有無を上方又は側方から観察する。
e) 判定 d) によって操作し,次の1) 及び2) に適合するとき,“エタノール溶状 : 試験適合”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b) の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めない。

6.3 水酸化ナトリウム溶液溶状

  水酸化ナトリウム溶液溶状の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) ソーダ石灰 JIS K 8603に規定するもの(必要な場合に用いる。)。
2) 水酸化カリウム溶液(250 g/l) JIS K 8574に規定する水酸化カリウム29.4 gを水に溶かして100 ml
にする(必要な場合に用いる。)。ポリエチレン製瓶などに保存する。
3) 二酸化炭素を除いた水 次の3.1)3.4) のいずれか,又はそれらの二つ以上を組み合わせたものを用
い,使用時に調製する。
3.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上その状態を保つ。加熱を止め,フ
ラスコの口を時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶に水酸化カリ
ウム溶液(250 g/l)を入れたもの,又はソーダ石灰管を連結して空気中の二酸化炭素を遮り,冷却
したもの。

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3.2) 水をフラスコに入れ,水の中にJIS K 1107に規定する窒素を15分間以上通じたもの。
3.3) 水から二酸化炭素分離膜をもつガス分離管を用いて二酸化炭素を除いたもの。
3.4) 新鮮な18 MΩ・cm以上の抵抗率のある脱イオン化された水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立
てないように採取したもの。
4) ブロモチモールブルー溶液 JIS K 8842に規定するブロモチモールブルー0.10 gをJIS K 8102に規
定するエタノール(95)50 mlに溶かし,水で100 mlにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
5) 0.02 mol/l 水酸化ナトリウム溶液 0.02 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の調製は,次による。
5.1) 0.2 mol/l 水酸化ナトリウム溶液 0.2 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の調製,標定及び計算は,次に
よる。
なお,調製に用いる水は,二酸化炭素を除いた水を用いる。
5.1.1) 調製 水30 mlをポリエチレン製などの瓶100 mlにとり,JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウ
ム36 gを少量ずつ加えて溶かし,栓をして45日間放置する。その上澄み液10 mlをポリエチ
レン製などの瓶1 000 mlにとり,水1 000 mlを加える(B液)。5.1.2) 及び5.1.3) に従い,B液の
ファクターを求めた後,B液を全量フラスコ500 ml(ポリプロピレン製などのもの)に標線まで
入れ,それにファクターが1.000になるように計算量の水を正確に加える。ポリエチレン製瓶な
どに保存する。加える水の体積は,次の式によって算出する。
v ( .1000) 500
ここに, v : 加える水の体積(ml)
f : 標定によって求められたファクター
5.1.2) 標定 標定は,認証標準物質3) 又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のアミド硫酸を用
い,次のとおり行う。
5.1.2.1) 認証標準物質3) のアミド硫酸を用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
5.1.2.2) 容量分析用標準物質のアミド硫酸を用いる場合は,必要量をめのう乳鉢で軽く砕いた後,上口
デシケーター(減圧デシケーター)に入れ,上口デシケーター内圧2.0 kPa以下で約48時間乾
燥する。
5.1.2.3) 認証標準物質3) 又は容量分析用標準物質のアミド硫酸0.40.5 gを0.1 mgの桁まではかりとり,
コニカルビーカー100 mlに移し,水25 mlを加えて溶かした後,指示薬としてブロモチモール
ブルー溶液数滴を加え,B液で滴定する。終点は,液の色が黄から青みの緑になる点とする。
注3) 容量分析に用いることが可能な認証書の付いた標準物質で,不確かさが算出され国際単
位系(SI)へのトレーサビリティが保証されたもの。ただし,認証書のある標準物質を
入手できない場合には,含有率が明らかな市販の標準物質を用いることができ,その説
明書に従って使用する。
なお,認証標準物質の供給者としては,独立行政法人産業技術総合研究所計量標準総
合センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST)などの国家計量機関及び認証標
準物質生産者がある。
5.1.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
m A
f
0.019 419V 100
ここに, f : 0.2 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファクター
m : はかりとったアミド硫酸の質量(g)
A : アミド硫酸の純度(質量分率 %)

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V : 滴定に要した0.2 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の体積(ml)
0.019 419 : 0.2 mol/l 水酸化ナトリウム溶液1 mlに相当するアミド硫
酸の質量(g)
5.2) 調製 0.2 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファクターから計算した必要な体積を正確に全量フラス
コ500 mlに正確にはかりとり,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合した後,ポリエチレ
ン製瓶などに保存する。使用時に調製する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 6.2 b) による。
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.2 c) による。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,すりつぶした試料0.10 gをビーカー300 mlなどにはかりとり,0.02 mol/l水酸化
ナトリウム溶液10.8 ml及び水100 mlを加え,加温して溶かす。冷却後,水で250 mlにする(C液)
(C液は,6.7の試験にも用いる。)。
2) 試料溶液20 mlを共通すり合わせ平底試験管にとり,濁りの程度をb) と比較する。また,ごみ,浮
遊物などの異物の有無を上方又は側方から観察する。
e) 判定 d) によって操作し,次の1) 及び2) に適合するとき,“水酸化ナトリウム溶液溶状 : 試験適合”
とする。
1) 試料溶液の濁りは,b) の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めない。

6.4 吸光度(10 mg/l,pH 7.6)

  吸光度(10 mg/l,pH 7.6)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 二酸化炭素を除いた水 6.3 a) 3) による。
2) H 7.6の緩衝液(りん酸二水素カリウム−水酸化ナトリウム混合溶液) 二酸化炭素を除いた水を
用いて,次によって調製する。
2.1) 0.1 mol/l りん酸二水素カリウム溶液 JIS K 9007に規定するりん酸二水素カリウム(pH標準液
用)6.80 g(質量分率100 %としての相当質量)を全量フラスコ500 mlに入れ,適量の水で溶かし,
水を標線まで加えて混合する。
2.2) 0.2 mol/l 水酸化ナトリウム溶液 6.3 a) 5.1) による。
2.3) 調製 0.1 mol/l りん酸二水素カリウム溶液250 ml及び0.2 mol/l水酸化ナトリウム溶液107.0 ml
を全量フラスコ500 mlにはかりとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに密
栓して保存する。
なお,必要な場合は,この液を,pH標準液で校正したJIS Z 8802に規定するpH計(形式II以
上の性能のもの)を用い,0.1 mol/l りん酸二水素カリウム溶液又は0.2 mol/l 水酸化ナトリウム溶
液でpH 7.587.62に調節する。
3) H標準液 pH標準液は,JCSSに基づくpH標準液(第2種以上のもの。),JCSS以外の認証され
たpH標準液又はJIS Z 8802に規定する調製pH標準液のいずれかを用いる(必要な場合に用いる。)。
b) 器具及び装置など 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,光路長が10 mmのもの。
2) 分光光度計 JIS K 0115に規定するもの。

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c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,6.2 d) 1) で調製したA液2.0 mlを全量フラスコ200 mlに正確にはかりとり,調
製したpH 7.6の緩衝液を標線まで加えて混合し,約5分間放置する。
2) 吸収セルを用い,分光光度計で波長403 nm付近の吸収極大の波長における試料溶液の吸光度を,調
製したpH 7.6の緩衝液を対照液としてJIS K 0115の6.(特定波長における吸収の測定)によって測
定する。
d) 計算 吸光度(10 mg/l,pH 7.6)は,次の計算式によって算出する。
m .010
A A
m
ここに, A : 吸光度(10 mg/l,pH 7.6)
Am : 吸光度の測定値
m : 6.2 d) 1) ではかりとった試料の質量(g)
0.10 : 6.2 d) 1) で規定されたはかりとり試料量(g)

6.5 乾燥減量(105 ℃)

  乾燥減量(105 ℃)は,JIS K 0067の4.1.4 (1)(第1法 大気圧下で加熱乾燥する方法)による。この
場合,試料1.0 gを0.1 mgの桁まではかりとり,2時間加熱乾燥する。

6.6 強熱残分(硫酸塩)

  強熱残分(硫酸塩)は,JIS K 0067の4.4.4 (4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)による。この場
合,試料0.40 gを0.1 mgの桁まではかりとる。JIS K 8951に規定する硫酸約0.2 mlを用い,強熱温度は,
600±50 ℃とする。

6.7 変色範囲(pH)

  変色範囲(pH)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 二酸化炭素を除いた水 6.3 a) 3) による。
2) H 1.2の緩衝液(塩化カリウム−塩酸混合溶液) 二酸化炭素を除いた水を用いて,次によって調
製する。
2.1) 0.2 mol/l 塩化カリウム溶液 JIS K 8121に規定する塩化カリウム7.46 g(質量分率100 %としての
相当質量)を全量フラスコ500 mlに入れ,適量の水で溶かし,水を標線まで加えて混合する。
2.2) 0.2 mol/l 塩酸 0.2 mol/l 塩酸の調製,標定及び計算は,次による。
2.2.1) 調製 JIS K 8180に規定する塩酸20 mlに水980 mlを加える(D液)。2.2.2) 及び2.2.3) に従い,
D液のファクターを求めた後,D液を全量フラスコ500 mlに標線まで入れ,それにファクター
が1.000になるように計算量の水を正確に加える。加える水の体積は,6.3 a) 5.1.1) の式に準じて
算出する。
2.2.2) 標定 標定は,認証標準物質3) 又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質の炭酸ナトリウム
を用い,次のとおり行う。
2.2.2.1) 認証標準物質3) の炭酸ナトリウムを用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
2.2.2.2) 容量分析用標準物質の炭酸ナトリウムを用いる場合は,必要量を白金るつぼに入れ,600±
10 ℃4) で約60分間加熱した後,デシケーターに入れて放冷する。
2.2.2.3) 認証標準物質3) 又は容量分析用標準物質の炭酸ナトリウム0.20.3 gを0.1 mgの桁まではかり
とり,コニカルビーカー200 mlに移し,水20 mlを加えて溶かす。指示薬としてブロモフェノ

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ールブルー溶液を数滴加え,D液で滴定する。この場合,終点付近で煮沸して二酸化炭素を除
き,冷却した後,引き続き滴定を行う。終点は,液の色が青紫から青みの緑になる点とする。
注4) 600±50 ℃で加熱した場合は,含有率(認証値)が±0.02 %程度変化することが予想
される。最終的に必要とする精度によっては,不確かさを考慮する必要がある。
2.2.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
m A
f
0.010 599V 100
ここに, f : 0.2 mol/l 塩酸のファクター
m : はかりとった炭酸ナトリウムの質量(g)
A : 炭酸ナトリウムの純度(質量分率 %)
V : 滴定に要した0.2 mol/l 塩酸の体積(ml)
0.010 599 : 0.2 mol/l 塩酸1 mlに相当する炭酸ナトリウムの質量(g)
2.3) 調製 0.2 mol/l 塩化カリウム溶液25 ml及び0.2 mol/l 塩酸32.25 mlを全量フラスコ100 mlにはか
りとり,水を標線まで加えて混合する。
3) H 2.0の緩衝液(塩化カリウム−塩酸混合溶液) 二酸化炭素を除いた水を用いて,次によって調
製する。
3.1) 0.2 mol/l 塩化カリウム溶液 2.1) による。
3.2) 0.2 mol/l 塩酸 2.2) による。
3.3) 調製 0.2 mol/l 塩化カリウム溶液25 ml及び0.2 mol/l 塩酸5.30 mlを全量フラスコ100 mlにはか
りとり,水を標線まで加えて混合する。
4) H 2.8の緩衝液(フタル酸水素カリウム−塩酸混合溶液) 二酸化炭素を除いた水を用いて,次に
よって調製する。
4.1) 0.1 mol/l フタル酸水素カリウム溶液 JIS K 8809に規定するフタル酸水素カリウム(pH標準液
用)10.21 g(質量分率100 %としての相当質量)を全量フラスコ500 mlに入れ,適量の水で溶か
し,水を標線まで加えて混合する。
4.2) 0.2 mol/l 塩酸 2.2) による。
4.3) 調製 0.1 mol/l フタル酸水素カリウム溶液50 ml及び0.2 mol/l 塩酸13.21 mlを全量フラスコ100
mlにはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
5) H 8.0の緩衝液(ほう酸−塩化カリウム−水酸化ナトリウム混合溶液) 二酸化炭素を除いた水を
用いて,次によって調製する。
5.1) 0.1 mol/l ほう酸−0.1 mol/l 塩化カリウム混合溶液 JIS K 8863に規定するほう酸3.09 g(質量分
率100 %としての相当質量)及びJIS K 8121に規定する塩化カリウム3.73 g(質量分率100 %とし
ての相当質量)を全量フラスコ500 mlに入れ,適量の水で溶かし,水を標線まで加えて混合する。
5.2) 0.2 mol/l 水酸化ナトリウム溶液 6.3 a) 5.1) による。
5.3) 調製 0.1 mol/l ほう酸−0.1 mol/l 塩化カリウム混合溶液50 ml及び0.2 mol/l 水酸化ナトリウム溶
液1.98 mlを全量フラスコ100 mlにはかりとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製
瓶などに保存する。
6) H 8.8の緩衝液(ほう酸−塩化カリウム−水酸化ナトリウム混合溶液) 二酸化炭素を除いた水を
用いて,次によって調製する。
6.1) 0.1 mol/l ほう酸−0.1 mol/l 塩化カリウム混合溶液 5.1) による。
6.2) 0.2 mol/l 水酸化ナトリウム溶液 6.3 a) 5.1) による。

――――― [JIS K 8643 pdf 10] ―――――

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