JIS Z 2615:2015 金属材料の炭素定量方法通則 | ページ 2

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b) 切出し法 採取した試料の表面に付着している異物,酸化物などをボール盤などの適切な機械で除き,
板状試料片を切り出す。この試料片から適切な機械・工具を用いて,分析に適した質量の小片を切り
出し又は打ち抜く。
なお,金属材料によっては,試料を軟らかくして切り出しやすいように熱処理を加えてもよいが,
熱による炭素などの成分の損失に十分注意し,熱処理表面は除く。
6.3.2 塊状,棒状,線状,板状及びはく状の試料からの調製
塊状,棒状,線状,板状及びはく状の試料からの調製は,次のいずれかによる。
a) 切削又は切断が適切な場合
1) 塊状,棒状,線状及び板状の場合は,6.3.1 a) によって調製し,また,線状,板状及びはく状の場
合には,6.3.1 b) によって調製してもよい。
2) 細線状及びはく状の試料の場合は,新しい表面をエタノール,ジエチルエーテルなどで洗浄した後,
はさみなどを用いて細片とし,よくかき混ぜた後,必要があれば縮分して分析用試料とする。
b) 粉砕が適切な場合
1) 塊状の試料の場合は,クラッシャー,スタンプミル,乳鉢などを用いてその全量を最適な粗粒まで
粉砕した後,インクリメント縮分方法,二分器などによって縮分する。
なお,粉砕又は縮分中に破片の損失及び異物の混入がないように注意する。
2) 元の試料の平均組成を保つように注意して,粉砕,混合及び縮分を繰り返して分析用試料とする。
c) その他の場合 切削,切断又は粉砕が容易でない試料の調製は,次による。
1) 試料の塊を打砕して幾つかの破面からその一部を割り採って集め,元の試料の平均組成を保つよう
に注意して,打砕,混合及び縮分を繰り返して分析用試料とする。
2) 偏析が無視できる試料塊の場合は,その一部を割り採り,粉砕して分析用試料とする。
6.3.3 スポンジ状の試料からの調製
スポンジ状の試料からの調製手順は,次による。
a) 試料の粒度が偏らないように注意してその一部を採り,ダイスに入れて上からポンチを差し込み,圧
縮機で適切な圧力を加えて成形する。
b) 圧縮塊を取り出し,旋盤,ボール盤などで,削り片の表面が酸化しない圧力及び回転数で削り片を作
る。
なお,アルゴン気流中で酸化を避けて切削できるようにした機械などでは,削り速度を高めるとよ
い。
c) 削り片は,ステンレス鋼製の容器などに集め,ステンレス鋼製の棒又はスプーンで押し潰し,JIS Z
8801-1に規定する,公称目開き主寸法4 mmのふるい網を通過させ,よく混合して分析用試料とする。
6.3.4 粉末の試料からの調製
粉末の試料からの調製は,次による。
a) よくかき混ぜた後,その一部を採取して分析用試料とする。
b) 粉砕を必要とする粉末の試料の場合は,元の試料の平均組成を保つように注意して粉砕,混合及び縮
分を繰り返して分析用試料とする。

6.4 分析用試料の取扱い

  分析用試料の取扱いは,次による。
a) 調製中に試料の表面が油などで汚染するおそれがある場合は,エタノール,ジエチルエーテルなどで
洗浄した後,保存する。

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なお,非磁性試料の調製中に鉄粉などが混入したおそれがある場合で,磁石などで分離できるとき
は,磁石を用いて取り除くとよい。
b) 分析用試料は,通常,清浄なガラス瓶に入れ,密栓をして保存する。酸化を受けやすい材料の分析用
試料を長期に保存する必要があるときは,アルゴンなどの不活性ガスで空気を置換しておく。
c) 分析用試料から分析試料をはかりとるときは,平均組成を保つように試料を混合した後,清浄なステ
ンレス鋼製のスプーンなどを用い,試料が汚染しないように注意する。

7 装置の種類

7.1 装置の構成

7.1.1  装置の概要
試料中の炭素を燃焼酸化させる装置は,炭素抽出部及び炭素酸化物測定部に大別できる。炭素定量法の
装置構成の例を,図1に示す。炭素抽出部は,酸素精製部,試料燃焼部及び燃焼ガス精製部から構成し,
炭素酸化物測定部は,二酸化炭素吸収部及び測定部によって構成する。ただし,炭素酸化物測定部の構成
は,箇条5に規定する測定方式によって異なる。
圧力及び 二酸化炭素 燃焼管
酸素 流量調整器 酸化管 吸収管 脱水管 及び
加熱炉
酸素精製部
試料+
脱硫管 酸化管及び加熱炉 脱水管 集じん管 助燃剤
精製燃 燃焼ガス精製部 試料燃焼部
焼ガス
a) 炭素抽出部
図1−炭素定量法の装置構成の例

――――― [JIS Z 2615 pdf 7] ―――――

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精製燃
焼ガス
二酸化炭素吸収部 測定部
二酸化炭素吸収管 化学はかり (重量法)
ガスビュレット (ガス容量法)
二酸化炭素吸収瓶
二酸化炭素吸収管 ビュレット (硫酸逆滴定法)
二酸化炭素吸収・測定セル 電気伝導率測定器 (電気伝導率法)
二酸化炭素吸収・電解セル 電量滴定装置 (電量法)
二酸化炭素捕集管 熱伝導度測定器 (熱伝導度法)
赤外線吸収測定器 (赤外線吸収法)
b) 炭素酸化物測定部
図1−炭素定量法の装置構成の例(続き)
7.1.2 酸素精製部
酸素ボンベから供給される酸素の圧力及び流量を調節し,酸素中に含まれる炭素酸化物,有機物ガス,
水など,炭素定量の妨害となる成分を除去する部分で,酸素ボンベ,圧力及び流量調整器,酸化管,二酸
化炭素吸収管又は塔,脱水管又は塔などから構成し,この順に接続して使用する。
なお,乾式の酸化管の場合には,酸化管を加熱する電気抵抗加熱炉を使用する。
7.1.3 試料燃焼部
試料を酸素気流中で加熱燃焼させる部分で,試料挿入部,燃焼管及び加熱炉から構成する。燃焼管には,
磁器製及び石英ガラス製がある。加熱炉には,電気抵抗加熱方式及び高周波誘導加熱方式がある。試料燃
焼部の入口は酸素精製部,出口は燃焼ガス精製部に接続して使用する。
7.1.4 燃焼ガス精製部
燃焼ガス中の二酸化炭素を定量する場合,妨害となる成分を除去するための部分で,集じん管,脱水管,
酸化管及び脱硫管から構成する。燃焼ガス精製部の入口は試料燃焼部に,出口は炭素酸化物測定部に接続
して使用する。
7.1.5 炭素酸化物測定部
精製した燃焼ガス中の炭素酸化物を定量する部分で,その構成は,測定方式によって異なり,次による。
a) 重量法 精製した燃焼ガス中の二酸化炭素を吸収させる二酸化炭素吸収管及び外部から二酸化炭素,
水など定量の妨害となる成分の侵入を防ぐ保護管[脱水管(又は脱水塔)及び二酸化炭素吸収管(又
は二酸化炭素吸収塔)]から構成する。
b) ガス容量法 精製した燃焼ガスの体積を測定するガスビュレット,燃焼ガス中の二酸化炭素を吸収さ

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せる吸収瓶及び燃焼ガスの採取と吸収瓶に燃焼ガスを送るための水準瓶から構成する。
c) 硫酸逆滴定法 精製した燃焼ガス中の二酸化炭素を吸収し,滴定を行う吸収管及び外気から二酸化炭
素などの侵入を防ぎ,かつ,吸収管に吸収されずに逃げる二酸化炭素を監視する検査トラップから構
成する。
d) 電気伝導率法 精製した燃焼ガス中の二酸化炭素を吸収させ,かつ,吸収前後の電気伝導率の変化を
測定する電極付きの試料セル及び参照セル,両セルを恒温に保つ恒温槽,電気伝導率測定回路及び指
示計,又は記録計から構成する。
e) 電量法 精製した燃焼ガス中の二酸化炭素を吸収させ,かつ,吸収によって低下したpHを元に戻す
ための電解を行う吸収・電解セル,電解に要した電気量を測定する電量測定回路及び指示計から構成
する。
f) 熱伝導度法 精製した燃焼ガス中の二酸化炭素を吸着させる捕集管,捕集した二酸化炭素を脱着させ
る加熱炉,二酸化炭素による熱伝導度の変化を測定する試料セル及び参照セル,両セルを恒温に保つ
恒温槽,熱伝導度測定回路及び指示計から構成する。
g) 赤外線吸収法 精製した燃焼ガス中の炭素酸化物による赤外線吸収量を測定するために,赤外線吸収
検出器,赤外線吸収測定回路及び指示計から構成する。この方法には,酸化管を使用して全量を二酸
化炭素として測定する装置,及び酸化管を省略して二酸化炭素と一酸化炭素とを測定する装置の二つ
の方式がある。

7.2 装置の選定

  装置は,分析作業の種類,試料の炭素の含有率などの作業条件によって,7.1.5に規定するいずれかの定
量方法を選定する。
なお,選定に当たっては,次の事項を考慮する。
a) 試料の種類(多様な試料を取り扱うのか,又は同種金属に限定するのか)
b) 炭素の含有率(ごく微量か,又は広い測定範囲か)
c) 分析作業の種類(工場における日常作業分析用として多数の試料を分析するのか,研究分析用として
多品種の試料を比較的数少なく処理するのか,研究目的で限定された期間だけ使用するのかなど)
d) 感度,精確さなど

7.3 装置の設置

  装置の設置は,それぞれの装置に応じた設置条件を満たすこととする。通常,次の条件を備えることが
望ましい。
a) 腐食性ガス,特に酸性ガスがなく,ほこりが少ない。
b) 湿度があまり高くなく,温度変化が少ない。
c) 供給電源の電圧及び周波数の変動が少ない。
d) 加熱炉は,十分に接地する。
e) 振動が少ない環境である。

7.4 装置の予備操作

  定量操作に先立ち,分析試料又は分析試料と類似した試料を用いて,あらかじめ予備操作を行い,試料
燃焼時の加熱時間,助燃剤の種類,使用量,酸素の送入流量・送入時間など,使用する装置の適切な条件
を定める。さらに,この条件に設定して,定量操作を行う。

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8 器具及び材料

8.1   酸素ボンベ及び減圧弁 試料の燃焼のための酸素を供給するボンベには,酸素圧力及び流量を調節
するために減圧弁を付ける。減圧弁は,二段式のものが望ましい。
8.2 流量計 流量計は,供給する酸素の流量を監視するためのもので,通常,04 000 mL/min程度のロ
ータメータを用いる。
8.3 酸化管 酸化管には,乾式及び湿式のものがある。
a) 乾式酸化管 酸素中の有機物などを酸化させるものとして,粒状の酸化銅(II)又は白金触媒を詰め
た管で,粒状の酸化銅(II)は650700 ℃に,白金触媒は700750 ℃に加熱して使用する。また,
燃焼ガス中の一酸化炭素,二酸化硫黄などを酸化させるものとして,約350 ℃に加熱した白金触媒を
使用する。
b) 湿式酸化管又は瓶 クロム酸硫酸溶液(飽和)若しくは過マンガン酸硫酸溶液を入れた管又は瓶を用
いる。クロム酸硫酸溶液(飽和)は,硫酸(密度1.84 g/cm3)に酸化クロム(VI)(CrO3)を飽和する
まで溶解して調製する。また,過マンガン酸硫酸溶液は,過マンガン酸カリウム溶液(50 g/L)10 mL
につき硫酸(1+1)1 mLの割合で混合して調製する。
8.4 二酸化炭素吸収管又は塔 酸化管を通過した酸素中の二酸化炭素を吸収させるか,又は外気からの
二酸化炭素などの酸性ガスの侵入を防ぐためのもので,シリカゲル,雲母などの無機質の支持体に水酸化
ナトリウムを含浸させたもの,粒状の水酸化ナトリウム,ソーダ石灰などを詰めた管又は塔を用いる。
なお,水酸化ナトリウムを用いるときは,二酸化炭素の吸収をよくするために,破砕して新しい表面を
出す。
8.5 脱水管又は塔 酸素中若しくは燃焼ガス中の水分を除去するため又は外気からの水分の浸入を防ぐ
ため,過塩素酸マグネシウム,活性アルミナ,酸化りん(V),硫酸(密度1.84 g/cm3)などを入れた管又
は塔を用いる。
8.6 燃焼管及び加熱炉 燃焼管及び加熱炉は,次の管状電気抵抗加熱炉又は高周波誘導加熱炉のいずれ
かによる。
a) 管状電気抵抗加熱炉
1) 管状電気抵抗加熱炉は,電気抵抗加熱炉及び燃焼管から構成され,その例を,図2に示す。
単位 mm
図2−管状電気抵抗加熱炉の例
2) 電気抵抗加熱炉は,長さ200300 mmの管状炉で,電気抵抗加熱体で加熱し,電流を調節して温度
を加減し,炉の中央部において長さ150 mm以上の部分を,1 2001 450 ℃の一定温度に保つ。
3) 炉の両側面からそれぞれ約200 mmずつ突き出る長さの燃焼管を挿入し,炉の中央部の燃焼管の真
上の温度を熱電温度計で測定する。熱電温度計の指示値は,一般に燃焼管内の温度と異なるので,

――――― [JIS Z 2615 pdf 10] ―――――

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JIS Z 2615:2015の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 2615:2015の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISK0050:2019
化学分析方法通則
JISK0113:2005
電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JISK0130:2008
電気伝導率測定方法通則
JISK0211:2013
分析化学用語(基礎部門)
JISK0212:2016
分析化学用語(光学部門)
JISK0213:2014
分析化学用語(電気化学部門)
JISK0215:2016
分析化学用語(分析機器部門)
JISK0557:1998
用水・排水の試験に用いる水
JISK1101:2017
酸素
JISK8001:2017
試薬試験方法通則
JISR1306:1987
化学分析用磁器燃焼ボート
JISR1307:1995
化学分析用磁器燃焼管
JISZ2616:2015
金属材料の硫黄定量方法通則
JISZ8402-1:1999
測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第1部:一般的な原理及び定義
JISZ8402-2:1999
測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第2部:標準測定方法の併行精度及び再現精度を求めるための基本的方法
JISZ8402-3:1999
測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第3部:標準測定方法の中間精度
JISZ8402-4:1999
測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第4部:標準測定方法の真度を求めるための基本的方法
JISZ8402-5:2002
測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第5部:標準測定方法の精度を求めるための代替法
JISZ8402-6:1999
測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第6部:精確さに関する値の実用的な使い方
JISZ8801-1:2019
試験用ふるい―第1部:金属製網ふるい