JIS A 1460:2021 建築用ボード類のホルムアルデヒド放散量の試験方法―デシケーター法 | ページ 2

           4
A 1460 : 2021
a) 見取図
b) 平面図 c) 側面図
記号説明
1 : 試験片支持金物
2 : 試験片
図2−試験片の装着(例)

5 一般条件

5.1 試験環境

  試験場所は,JIS Z 8703に規定する温度20 ℃±5 ℃の状態とする。

5.2 共通の条件

  共通の条件は,次による。
a) 化学分析一般 化学分析に共通する一般事項は,JIS K 0050による。
b) 水 この規格で用いる水は,JIS K 0557に規定するA2A4の水,又はそれらと同等以上の品質とな
るイオン交換水若しくは蒸留水とする。

6 装置及び器具

  装置及び器具は,次による。
a) 温湿度測定装置 温度計は,空気温度を0.1 ℃の精度で測定できるものとする。また,湿度計は,相
対湿度5 %の精度で測定できるものとする。

――――― [JIS A 1460 pdf 6] ―――――

                                                                                             5
A 1460 : 2021
b) 分光光度計 分光光度計は,410 nm415 nmの範囲での吸光波長が測定可能なものとする。
なお,50 mm以上の光路長の吸収セルを使用することが望ましい。
c) 恒温水槽 分析に使用する恒温水槽は,65 ℃±2 ℃に温度を維持することが可能なものとする。
d) 化学天びん 化学天びんは,100 g200 gまでの質量が測定できるもので0.1 mgの差を読み取れるも
のとする。
e) デシケーター デシケーターは,玉蓋付きとし,気密性をもつJIS R 3503に規定する呼び寸法240 mm
のもの(JIS R 3503での呼び名 : デシケーター 240 mm),又はISO 13130に規定するタイプ2(Non-
vacuum),シリーズA,呼び径250 mmのもの(ISO 13130での呼び名 : Desiccator ISO 13130−250−
2A)とする。
f) ガラス結晶皿 水を入れるガラス結晶皿は,外径120 mm±5 mm,内径115 mm±1 mm,深さ60 mm
±2 mmのものとする。
なお,こぼし口があるものが望ましい。
g) ガラス板 ガラス結晶皿の下に設置するガラス板は,直径120 mm±5 mmの円形のものとする。
h) 全量フラスコ 全量フラスコは,JIS R 3505に規定するものとする。
i) 全量ピペット JIS R 3505に規定する全量ピペット(20 ℃で調整),JIS K 0970に規定するピストン
式ピペット1),又はこれらと同等以上の精度をもつ自動ピペットとする。
注1) 市場では,マイクロピペットともいう。
j) ビュレット JIS R 3505に規定するビュレット又はこれと同等以上の精度をもつ自動計量装置2)とす
る。
注2) 自動滴定装置として市場に供給されている。
k) 共栓付きフラスコ 共栓付きフラスコは,JIS R 3503に規定する共通すり合わせ三角フラスコとする。
l) 試験片支持金物 デシケーター内で試験片を固定する試験片支持金物は,ステンレス製とする。
m) ステンレス製金網 デシケーター内で試験片を取り付けた試験片支持金物を置く金網は,ステンレス
製ワイヤ部分の網目の間隔が15 mmより大きく作られた直径230 mm240 mmのものとする。
n) メスシリンダー メスシリンダーは,JIS R 3505に規定するメスシリンダーとする。

7 試薬の調製

  試薬の調製は,次による。
なお,a) f)及びh)に規定する試薬は,試薬の濃度を変えずに試薬の総量を変更して,調製してもよい。
a) 0.05 mol/L よう素溶液 0.05 mol/Lよう素溶液の調製は,次のいずれかによる。ただし,この溶液は,
遮光した気密容器に入れて暗所に保存する。
1) IS K 8913に規定するよう化カリウム40 gを水25 mLに溶かし,これにJIS K 8920に規定するよ
う素13 gを溶かした後,これを全量フラスコ1 000 mLに移し入れ,JIS K 8180に規定する塩酸(特
級)3滴を加えた後,水を標線まで加えて混合した溶液。
2) IS K 8001のJA.6.4 w)(0.05 mol/Lよう素溶液)によって調製した容量分析用0.05 mol/L よう素溶
液3)。
注3) 容量分析用0.05 mol/L よう素液として市場に供給されている。
b) 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液の調製は,次のいずれかによ
る。

――――― [JIS A 1460 pdf 7] ―――――

           6
A 1460 : 2021
1) IS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水和物26 gと防腐剤としてJIS K 8625に規定する炭
酸ナトリウム0.2 gとを溶存酸素を含まない水1 000 mLに溶かし,2日間放置した後,JIS K 8005に
規定するよう素酸カリウムを用いて,JIS K 8001のJA.6.4 t) 2)(0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液)
によって標定を行った溶液。
なお,防腐剤は,適切な量のJIS K 8051に規定する3-メチル-1-ブタノールを用いるか,又はそれ
を炭酸ナトリウムと併用してもよい。
2) IS K 8001のJA.6.4 t) 2)によって調製した容量分析用0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液又は0.1
mol/Lより高濃度の容量分析用チオ硫酸ナトリウム溶液を,全量ピペット及び全量フラスコを用い
て正確に希釈した溶液で,JIS K 8005に規定するよう素酸カリウムを用いて,JIS K 8001のJA.6.4
t) 2) によって標定を行ったもの。
3) 認証標準物質4)としての容量分析用0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液で,その濃度が校正されたも
の。
注4) 認証標準物質を供給する者として,国立研究開発法人産業技術総合研究所計量標準総合セ
ンター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST)などの国家計量機関及び認証標準物質
生産者がある。
c) 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液 1 mol/L水酸化ナトリウム溶液の調製は,次のいずれかによる。
1) IS K 8576に規定する水酸化ナトリウム40 gを水200 mLに溶かし,これを全量フラスコ1 000 mL
に移し入れ,水を標線まで加えて混合した溶液。
2) IS K 8001のJA.6.4 r) 1)(1 mol/L水酸化ナトリウム溶液)によって調製した容量分析用1 mol/L水
酸化ナトリウム溶液。
d) 硫酸(1 mol/L) JIS K 8951に規定する硫酸56 mLを水200 mLに溶かし,これを全量フラスコ1 000
mLに移し入れ,水を標線まで加えて混合した溶液。
e) でんぷん溶液 JIS K 8659に規定するでんぷん(溶性)1 gを水10 mLとよく混和し,熱水200 mL中
にかき混ぜながら加える。約1分間煮沸し,冷却した溶液。
f) ホルムアルデヒド標準原液 JIS K 8872に規定するホルムアルデヒド液1 mLを全量フラスコ1 000
mLに入れ,水を標線まで加えて混合した溶液。
この標準原液のホルムアルデヒド濃度は,次による。
調製したホルムアルデヒド標準原液20 mLを共栓付きフラスコ100 mLに全量ピペットを用いて分
取し,0.05 mol/Lよう素溶液25 mLを正確に入れ,1 mol/L水酸化ナトリウム溶液10 mLを加え,遮光
した状態で15分間室温に放置する。さらに,硫酸(1 mol/L)15 mLを加え,遊離したよう素を直ちに
0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液でビュレットを用いて滴定する。溶液が淡黄色になってから,でん
ぷん溶液1 mLを指示薬として加える。でんぷん溶液を加えて,青又は赤みを帯びた青黒になった溶
液が無色透明になった時点で滴定を終了し,0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液の滴定量を求める。別
に水20 mLを用いて空試験を行い,式(1)によってホルムアルデヒド標準原液中のホルムアルデヒド濃
度を計算する。
C=1.5×(V0−V)×f×(1 000/20) (1)
ここで, C : ホルムアルデヒド標準原液中のホルムアルデヒド濃度
(mg/L)
1.5 : 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液1 mLに相当するホルム
アルデヒド量(mg/mL)
V0 : 空試験における0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液の滴定量
(mL)
V : ホルムアルデヒド標準原液中の0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウ
ム溶液の滴定量(mL)

――――― [JIS A 1460 pdf 8] ―――――

                                                                                             7
A 1460 : 2021
f : 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
20 : 滴定を行ったホルムアルデヒド標準原液の容量(mL)
g) ホルムアルデヒド標準溶液 ホルムアルデヒド標準溶液の調製は,次のいずれかによる。
1) ホルムアルデヒド標準原液を水1 000 mL中にホルムアルデヒド3 mgを含むように,全量フラスコ
1 000 mLに適量とり,水を標線まで加えて混合した溶液。
2) 計量標準供給制度(JCSS)によって提供される,国家計量標準にトレーサブルであるホルムアルデ
ヒド標準液(水質試験用HCHO : 1 000 mg/L)1.5 mLを原液として,全量フラスコ500 mLにとり,
水を標線まで加えて混合した溶液。
h) アセチルアセトン−酢酸アンモニウム溶液 JIS K 8359に規定する酢酸アンモニウム150 gを水800
mLに溶かし,これにJIS K 8355に規定する氷酢酸3 mL及びJIS K 8027に規定するアセチルアセト
ン2 mLを加え,溶液を十分混合し,更に水を加えて1 Lとした溶液。直ちに測定ができない場合は,
0 ℃10 ℃の冷暗所に調製後3日を超えない間保管してよい。ただし,保管した場合は,試験場所の
温度に戻して使用する。

8 試験片

8.1 試験片の切出し

  試験片の切出しは,合理的な抜取検査方法によって選定されたボード類について,端部を避けるなど,
ボード類の特性を検査する上で必要な要件を考慮して行う。
なお,試験片の切出しについてはJIS A 1902-1の箇条4(サンプルの採取,包装及び保管)及び箇条5
(試験片の作製)による。

8.2 試験片の寸法及び枚数

  試験片の寸法及び枚数は,次による。
a) 試験片の寸法は,長さ150 mm±1 mm,幅50 mm±1 mmとする。
b) 試験片の枚数は,小口面及び表裏面の合計面積が,1 800 cm2に最も近くなる枚数とする。これを二組
作製する。

8.3 養生

  養生は,次による。
a) 試験片は,JIS Z 8703に規定する温度20 ℃±2 ℃,相対湿度(65±5)%の標準状態で,恒量になる
まで養生する。この恒量とは,24時間ごとに行う質量測定において,その前後の試験片の質量差が
0.1 %以下に達したときとする。
なお,養生開始後1週間をもって恒量とみなしてもよい。
b) 各試験片は,a)に規定する標準状態の下で全表面に空気が自由に接触できるように互いに25 mm以上
離さなければならない。また,ホルムアルデヒドの放散量が少ない試験片は,周辺環境のホルムアル
デヒドを吸収するおそれがあるので,養生時には,その環境に注意が必要である。

――――― [JIS A 1460 pdf 9] ―――――

           8
A 1460 : 2021

9 試験方法

9.1 試験の準備

  試験の準備は,次による。
a) デシケーター及びガラス結晶皿を複数個(通常,それぞれ3個)並びに必要に応じてガラス板を用意
し,各々を試験前に水で十分洗浄し,乾燥させる。
b) デシケーターは,その内部温度がJIS Z 8703に規定する温度20 ℃±0.5 ℃となるように調節された
場所に静置する(9.3.1参照)。
c) 3個のガラス結晶皿にメスシリンダーで300 mL±1.5 mLはかりとった水を入れ,b)のデシケーターの
底の中央部に設置する。
ISO 13130に規定するデシケーターを使用する場合には,図1 b)のように,ガラス結晶皿の位置を
デシケーターの底から25 mm±2 mmかさ上げするように,デシケーターの底の中央部にガラス板を
設置する。
なお,複数枚のガラス板を重ねて用いてかさ上げしてもよい。
d) 図1のように,デシケーター内のガラス結晶皿の上に,ステンレス製金網を置く。
e) 養生した所定枚数の試験片を,図2に示すように試験片支持金物に装着する。これを二組用意する。

9.2 放散試験の開始

  放散試験の開始は,次による。
a) 装着した試験片をデシケーター内のステンレス製金網の上に置く。これを二組用意する。
なお,もう1個のデシケーターは,バックグラウンドのホルムアルデヒド濃度測定用とし,試験片
を装着しない。
b) デシケーターに蓋をして,放散試験を開始する。

9.3 試験条件の状態監視

9.3.1 温度
試験片を装着しないデシケーターを用いて,デシケーター内部の温度を連続的に又は15分を超えない
間隔で測定し,その温度を試験期間中記録する。温度は,デシケーター付近の試験環境で,熱電対などを
取り付けて測定してもよい。
9.3.2 バックグラウンドのホルムアルデヒド濃度測定(空試験)
バックグラウンドのホルムアルデヒド濃度測定は,試験片を装着しないデシケーターを用いて測定する。
バックグラウンドのホルムアルデヒド濃度は,0.05 mg/Lを超えてはならない。

9.4 試験時間

  1回の放散試験に要する時間は,24時間±10分とする。

9.5 試験用溶液の採取

  放散試験後のガラス結晶皿内の水を試験用溶液とする。放散試験後,試験用溶液の入ったガラス結晶皿
をデシケーターから取り出し,試験用溶液を十分混合する。共栓付きフラスコ100 mLをこの試験用溶液

――――― [JIS A 1460 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS A 1460:2021の国際規格 ICS 分類一覧

JIS A 1460:2021の関連規格と引用規格一覧