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A 8508-1 : 2006
3. 定義
この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
この規格の中で引用した日本工業規格(日本産業規格)(以下,JISという。)及びISO規格に用いられている定義も,同
様にこの規格でも有効である。
3.1 道路工事機械 道路の路盤及び舗装盤の建設,維持及びマーキングに用いる機械類。その代表例につ
いては,附属書5に示す。
3.2 運転質量 製造業者が指定するキャブ,転倒時保護構造(ROPS)などのほか,標準装備品を装備し,
規定量の燃料,水及び油類を入れた本体の質量に,運転員の質量(75 kg),バラストの最大質量及び散水
装置付きの場合は規定量の水の質量を加えた質量。
3.3 ホールド・ツー・ラン制御装置 制御装置を起動している間だけ,運転機能が継続される機器。制御装
置を離すと,機械の動作が自動的に危険のない状態に復帰する。
3.4 非搭乗形機械 ハンドガイド式又は遠隔操縦式の自走式道路工事機械。
4. 重大な危険源のリスト
附属書1による。
5. 安全要求事項及び/又は安全方策
5.1 一般
機械は,この規格の安全要求事項及び/又は安全方策に適合しなければならない。
更に,リスクアセスメントの結果,その機械に附属書1に掲げた重大な危険源のリストにない新たな危
険源が存在する場合は,JIS B 9700-1及びJIS B 9700-2に従って設計する。
備考 重大な危険源とは,リスクアセスメント(JIS B 9702参照)を設計者・製造業者が行った際に,
直接関連するものとして特定され,リスクを除去又は減らすために具体的な行動が求められる
危険源をいう。
5.2 運転席及び整備箇所へのアクセス装置
アクセス装置は,JIS A 8301,JIS A 8302及びJIS A 8323に
適合しなければならない。
運転席への昇降設備及びプラットフォームは,垂直高低差が1 mを超える場合は,手すりを備えなけれ
ばならない。運転席へのアクセス装置における最低ステップの地上からの高さは,600 mmを超えて設け
てはならない。
すべてのアクセス設備の表面は,防滑でなければならない(JIS A 8302の3.6及び5.5参照)。
5.3 運転席
5.3.1 一般 定格出力30 kW(JIS D 0006-1参照)以上の機械は,キャブを装着できるよう設計及び製造
しなければならない。
5.3.1.1 最小空間 運転員周囲の最小空間は,JIS A 8315による。最小空間は,運転員にとって安全,か
つ,快適に,便利な作業姿勢で,機械の運転に必要なすべての動きが行われる大きさとする。
最小空間及び運転席における操縦装置は,JIS A 8407で規定した要求事項を満たさなければならない。
5.3.1.2 エンジン排気 エンジンの排気装置は,排気ガスを運転員及びキャブの空気取り入れ口から離れ
る方向に排出する。
5.3.1.3 床材 運転席の床材は,防滑とする(5.2参照)。
5.3.1.4 取扱説明書の保管場所 機械には,できる限り,取扱説明書を保管するための収容場所を,運転
席の近くに備える。
5.3.2 キャブ付き運転席 キャブ付き運転席の場合,そのキャブは,次の要求事項を満たさなければなら
ない。
――――― [JIS A 8508-1 pdf 6] ―――――
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5.3.2.1 耐候性 キャブは,予見し得る環境条件及び厳しい気候条件から運転員を保護できるよう,必要
に応じて,例えば,調整機能付き暖房及び換気装置,窓用デフロスタ及びキャブの加圧装置を,装着でき
るようになっていなければならない。
5.3.2.2 鋭端部 キャブ内の運転員の作業空間,例えば,天井,内壁,計器盤,及び運転席へのアクセス
などには, 鋭利な端部,又は鋭い角部及び鋭い隅部が存在してはならない。隅部の半径及び端部の丸みは,
JIS A 8323の規定によって,鋭端部を排除する。
5.3.2.3 通常出入口 キャブには通常出入口を備えていなければならず,その寸法はJIS A 8302の図4及
び表4による。
5.3.2.4 非常用出口 キャブがただ一つの出入口しか備えていない場合,それがある面とは別の面に非常
用出口を備え,かつ,JIS Z 9104に従った標識を表示しなければならない。窓又は他の扉が簡単に開けら
れる又は取り除くことができれば,それでもよい。適切な大きさのガラス板を破ることも,非常用出口と
同等とみなすことができる。この場合は,ガラス板を破るハンマをキャブ内に備えなければならない。天
窓は,非常用出口としても使うことができる。
非常用出口の寸法は,JIS A 8302の表4による。
5.3.2.5 扉,窓及び覆い 扉,窓及び覆いは,開けた状態又は閉めた状態を保持でき,かつ,意図しない
勝手な動きが生じてはならない。上下に分割された扉の場合,施錠装置は固定式で,上部扉の内側になけ
ればならない。
開いた状態で固定した扉及び窓は,機械を意図した運転中に,機械の主要外形寸法を超えてはならない。
天窓を含めて窓は,安全ガラス又はJIS R 3211で規定した性能と同等以上の他の材料を使用する。
機械の設計で配慮したすべての走行方向に対し,前窓には,電動ワイパー,ウォッシャ及びくもり止め
を備える。
5.3.2.6 室内照明 キャブには,運転席を照明し,暗やみ(闇)でも取扱説明書が読めるように,固定さ
れた室内照明装置を備えなければならない。
5.3.2.7 暖房及び換気装置 暖房及び換気装置を備えている場合,次のいずれかに適合しなければならな
い。
− JIS A 8330-4の7.2(最低空気調和性能),8.2(最低暖房能力)及び9.2(最低換気能力)で規定する
要求事項。
− 予想される大気温度において,キャブ内の空気温度を上げ,+18°Cに保つ能力をもつ。暖房装置
は,最低限30分以内にT 25 ℃上昇させる能力をもつものとする。
暖房装置の能力の測定は,次のとおりSIPを通り機械の前後軸に平行な垂直面内に位置する3点で行う
(図1参照)。
― JIS A 8318で規定するSIP
― JIS A 8311に規定するフィラメント位置の中間点(SIPより上方660 mm及び前方20 mm)
― 床面の上100 mm及びSIPを通る垂直軸の前方600 mm
――――― [JIS A 8508-1 pdf 7] ―――――
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図 1 測定点の位置
又は代替方法として,暖房能力を製造業者が定める計算方法によって求めてもよい。
換気装置は,キャブにフィルタを通した新鮮な空気を,1人当たり最小限20 m3/h供給する能力をもつ。
運転環境条件からフィルタが必要な場合,そのフィルタはJIS A 8330-2に従って試験する。
備考 フィルタエレメントの選択は,運転環境条件による。
5.3.2.8 デフロスタ デフロスタは,暖房装置の利用,特設のデフロスタ装置の設置などによって,窓の
凍結を解凍する能力を備えたものとする。その試験方法は,JIS A 8330-5による。
5.3.2.9 加圧装置 キャブが加圧装置を備えている場合,その装置はJIS A 8330-3に従って試験し,少な
くとも50 Paの内部気圧を供給できるものとする。
5.4 運転座席
運転員が着座して運転する機械は,意図するすべての運転条件で機械を操縦できる位置
に運転員を保持する調整式座席を備えなければならない。
寸法及び調整代は,JIS A 8326の規定による。
緩衝装置を備えている場合,運転員の体重が少なくとも55110 kgまで,いかなる工具も使わずに座席
の調整ができなければならない。
5.5 操縦装置及び計器類
5.5.1 一般 主要な操縦装置(レバー,ペダル,スイッチなど)及び計器類は,次の要求事項を満たすよ
う適切に選択し,設計,製造及び配置しなければならない。
a) 操縦装置及び計器類は,JIS A 8315,JIS A 8407及びJIS A 8919に合致し,容易に手足が届く。
b) 操縦装置及び計器類は,運転席で明確に識別され(JIS A 8310参照),かつ,取扱説明書の中で説明す
る。
c) 機能を起動する操縦装置の操作方向及び計器類は,いかなるときも可能な限り意図した効果が得られ
るか,又はその分野で一般的な方法と一致する。
5.5.2 操縦装置
5.5.2.1 中立位置 すべての操縦装置は,運転員が手を離したとき中立位置に戻らなければならない。た
だし,次のような機械又は作業機能で他の方法が要求される場合は除く(JIS A 8919の5.3参照)。
― 常時作動するもの
――――― [JIS A 8508-1 pdf 8] ―――――
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― 自動的に作動するもの
― 機能上デテント位置をもつもの
5.5.2.2 操作力 操縦装置の操作力は,表1の値を超えてはならない(JIS A 8919の6.参照)。
表 1 操作力
操作手段 操縦装置 最大操作力
N
手 前後方向レバー 230
左右方向レバー 100
上方向レバー 400
下方向レバー 300
足 ペダル 450
前後踏み込みペダル 230
つま先 ペダル 90
指先 レバー又はスイッチ 20
5.5.2.3 高温表面上又はその近くにある操縦装置 操縦装置は,外気温度が25 ℃において,45 ℃より熱
くなってはならない。また,やけどを予防するよう高温領域から十分に離れていなければならない。
5.5.2.4 不注意による起動 操縦装置は,特に運転員が運転席に乗り降りするとき,誤って動かすことに
よって危険を引き起こすリスクを最小にするよう配置するか,動かないようにするか,又は防護しなけれ
ばならない。
例えば,キーボード操作のように,一つの操縦装置が幾つかの機能を担うよう設計,及び製造されてい
る場合,運転機能を明確に識別しなければならない。
5.5.2.5 搭乗形機械の走行制御 搭乗形機械において, 機械上の運転席からではなく, 地上から走行等
の操作が行われるリスクがある場合は,そのリスクを最小にする方策(例えば,キャブ付き, レバーロッ
ク,ガード,インターロック装置などによる防護)を取り付けなければならない。
5.5.2.6 ペダル ペダルは,適切な大きさ,形状をもち,周囲のすき間も十分にあり,防滑表面をもち,
かつ,清掃が容易でなければならない。
5.5.2.7 意図しない動き 例えば,ドリフト(勝手な動き)及び/又はクリープ(じわじわした動き)に
よって機械,作業装置又はアタッチメントが停止状態から動き,周囲の第三者に危険を及ぼすことがあっ
てはならない。
追加の要求事項については,JIS A 8508の規格群の当該機種の部による。
5.5.2.8 遠隔操縦 遠隔操縦装置の操作は,機械上の操縦装置の機能と同じであり,かつ,遠隔操縦形機
械は,JIS A 8340-1の附属書3に規定する要求事項を満たさなければならない。ただし,JIS A 8340-1の附
属書3の3.14.1に規定する無線操縦形機械の走行速度は,6 km/hと置き換えて適用する。
5.6 視界
機械は,走行及び作業領域について,運転員が運転席からJIS A 8311に従った視界が得られ
るよう設計しなければならない。機械の構造によってJIS A 8311に従った視界が得られない場合は,適切
な補助手段[例えば,ミラー,超音波装置,CCTV(閉回路形テレビジョン)など]を備えなければなら
ない。
5.7 始動
5.7.1 中立始動 電気式,空圧式又は油圧式のエンジン始動装置を備えた機械は,危険な動作が発生し得
――――― [JIS A 8508-1 pdf 9] ―――――
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ない状態でない限り,エンジンが始動できない中立始動機能を備えていなければならない。
5.7.2 第三者の始動防止 機械は,第三者がエンジンを始動し,運転することを防止するような設計をし
なければならない。
備考 電気式始動装置の場合,次の方法の一つによって防ぐことができる。
− キャブの施錠
− 始動スイッチのカバーに施錠
− キーロック始動装置(JIS A 8345参照)
− バッテリ絶縁スイッチの施錠
5.7.3 始動時の危険防止 エンジンの始動装置は,運転員を始動時に起こる危険から防護するよう設計し,
配置しなければならない。
備考 このことは,例えば,次の方法によって達成される。
− 電気式始動
− 空圧式始動
− 油圧式始動
− ばね張力による始動
− ハンドル始動
始動用ハンドルは,附属書2に適合しなければならない。取出し容易なハンドルの保管設備,例えば,
保持用ブラケットを備える。
始動装置の適切な使用方法を取扱説明書に記述しなければならない。
5.8 走行及び停止
5.8.1 走行 非搭乗形機械の走行速度は,6 km/hを超えてはならない。ハンドガイド式機械の後進速度は,
2.5 km/h以下でなければならない。
下り坂を降りるとき,機械の走行速度は,当初設定した変速レバーの位置における速度より2 m/minを
超えて増速してはならない。
5.8.2 ブレーキ装置 機械は,製造業者が予見し得るすべての作業,負荷,速度,地勢及び斜面の状況,
並びに通常遭遇する状態において,有効な常用ブレーキ,二次ブレーキ及び駐車ブレーキを備えなければ
ならない。
追加の要求事項ついては,JIS A 8508規格群の当該機種の部による。
5.8.3 非常停止 機械にはすべての危険な機能を停止する非常停止装置を,JIS A 8407に規定する快適領
域に備えなければならない。非常停止は,JIS B 9703の要求事項に適合しなければならない。
5.8.4 ホールド・ツー・ラン制御装置 走行速度が0.5 km/hを超えるすべてのハンドガイド式機械に,走行
用のホールド・ツー・ラン制御装置を備えなければならない。
5.9 操向装置
機械は,定格速度において安全に操向できる操向装置を備えなければならない。
操向装置の操作方向は,意図した操向の方向と一致しなければならない。
走行速度が20 km/hを超える搭乗形のゴムタイヤ式機械の操向装置は,JIS A 8314に適合しなければな
らない。
5.10 照明,信号灯,表示灯,及び反射器
照明,信号灯,表示灯,及び反射器は,ISO 12509の該当する
項目に適合しなければならない。
5.11 防護
5.11.1 一般 機械の運転,整備及び分解中の化学的な危険源を最小にする安全予防措置について,取扱説
――――― [JIS A 8508-1 pdf 10] ―――――
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JIS A 8508-1:2006の国際規格 ICS 分類一覧
JIS A 8508-1:2006の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISA8301:1952
- モータグレーダ用切刃
- JISA8301:2000
- 土工機械―整備用開口部最小寸法
- JISA8302:2017
- 土工機械―運転員及び整備員の乗降用・移動用設備
- JISA8307:2006
- 土工機械―ガード―定義及び要求事項
- JISA8310:1993
- 土工機械 ― 操縦装置等の識別記号
- JISA8311:2018
- 土工機械―運転員の視野―測定方法及び性能基準
- JISA8312:1996
- 土工機械―安全標識及び危険表示図記号―通則
- JISA8312:2021
- 土工機械―機械安全ラベル―通則
- JISA8313:2001
- 土工機械―製品識別番号(PIN)
- JISA8314:2013
- 土工機械―ゴムタイヤ式機械―かじ取り装置要求事項
- JISA8315:2010
- 土工機械―運転員の身体寸法及び運転員周囲の最小空間
- JISA8316:2010
- 土工機械―電磁両立性(EMC)
- JISA8318:2001
- 土工機械―座席基準点(SIP)
- JISA8323:2001
- 土工機械―運転席及び整備領域―端部の丸み
- JISA8326:2003
- 土工機械―運転座席―寸法及び要求事項
- JISA8327:2017
- 土工機械―機械装着警報ブザー類及び警音器―試験方法及び性能基準
- JISA8330-2:2004
- 土工機械―運転室内環境―第2部:空気ろ過試験
- JISA8330-3:2004
- 土工機械―運転室内環境―第3部:運転室加圧試験方法
- JISA8330-4:2004
- 土工機械―運転室内環境―第4部:運転室換気,暖房及び/又は空気調和試験方法
- JISA8330-5:2006
- 土工機械―運転室内環境―第5部:前面窓ガラスデフロスタ試験方法
- JISA8331:2005
- 土工機械―機械装着救出装置―性能要求事項
- JISA8334:2006
- 土工機械―取扱説明書―内容及び様式
- JISA8340-1:2011
- 土工機械―安全―第1部:一般要求事項
- JISA8345:2004
- 土工機械―キーロック始動装置
- JISA8346:2004
- 土工機械―車体屈折フレームの固定装置―性能要求事項
- JISA8347:2004
- 土工機械―劣化防止及び保管
- JISA8407:2000
- 土工機械―操縦装置の操作範囲及び位置
- JISA8919:2007
- 土工機械―操縦装置
- JISB8370:2013
- 空気圧―システム及びその機器の一般規則及び安全要求事項
- JISB9700-1:2004
- 機械類の安全性―設計のための基本概念,一般原則―第1部:基本用語,方法論
- JISB9700-2:2004
- 機械類の安全性―設計のための基本概念,一般原則―第2部:技術原則
- JISB9702:2000
- 機械類の安全性―リスクアセスメントの原則
- JISB9703:2019
- 機械類の安全性―非常停止機能―設計原則
- JISB9707:2002
- 機械類の安全性―危険区域に上肢が到達することを防止するための安全距離
- JISB9708:2002
- 機械類の安全性―危険区域に下肢が到達することを防止するための安全距離
- JISB9711:2002
- 機械類の安全性―人体部位が押しつぶされることを回避するための最小すきま
- JISB9960-1:2019
- 機械類の安全性―機械の電気装置―第1部:一般要求事項
- JISC0920:2003
- 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
- JISC60364-4-41:2010
- 低圧電気設備―第4-41部:安全保護―感電保護
- JISC60364-5-55:2011
- 建築電気設備―第5-55部:電気機器の選定及び施工―その他の機器
- JISD0006-1:2010
- 土工機械―機関―第1部:ネット出力試験方法
- JISD1201:1998
- 自動車,及び農林用のトラクタ・機械装置―内装材料の燃焼性試験方法
- JISK6347-1:2003
- 液化石油ガス用ゴムホース(LPGホース)―第1部:自動車,一般設備及び一般家庭用
- JISR3211:2015
- 自動車用安全ガラス
- JISR3211:2021
- 自動車用安全ガラス
- JISZ9104:2005
- 安全標識―一般的事項