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附属書B
(規定)
作業液の難燃薬剤成分の確認方法
B.1 一般
この附属書は,作業液の難燃薬剤成分の確認方法について規定する。
なお,作業液に用いられる難燃薬剤成分は,それらに含まれる分析対象の元素を定量し,確認する。分
析対象としての元素は,硫黄(S),アンモニア性窒素(NH4-N),グアニジン性窒素(Gd-N),ほう素(B)
及びりん(P)となる。
注記 この附属書で試料溶液とは,6.2.3に規定されているものをいう。
B.2 難燃薬剤成分の種類及びその定量方法
難燃薬剤成分の種類及びその定量方法を,表B.1に示す。
表B.1−難燃薬剤成分及びその定量方法
分析対象の元素 定量法 難燃薬剤成分
硫黄(S) B.3.1 硫酸アンモニウム
りん酸水素二アンモニウム,
りん酸二水素アンモニウム,
アンモニア性窒素(NH4-N) B.3.2
カルバミルポリリン酸アンモニウム,
硫酸アンモニウム
グアニジン性窒素(Gd-N) B.3.3 りん酸二グアニジン
ほう酸,
ほう素(B) B.3.4 四ほう酸ナトリウム(10水和物),
八ほう酸ナトリウム(4水和物)
りん酸,
りん酸水素二アンモニウム,
りん酸二水素アンモニウム,
りん(P) B.3.5 カルバミルポリリン酸アンモニウム,
りん酸二グアニジン,
りん酸グアニル尿素,
ヘキサメタリン酸ナトリウム
B.3 各成分の定量方法
B.3.1 硫黄(S)
硫黄(S)の濃度は,次に示すとおり,硫酸イオン(SO42−)濃度を定量し,得られた測定値に換算係数
を乗じて算出する。
a) 硫酸イオンの定量 硫酸イオンの定量は,JIS K 0102の41.3(イオンクロマトグラフ法)による。
b) 硫黄(S)の濃度の計算 試料溶液中の硫黄の濃度(mg/L)は,式(B.1)を用いて算出し,小数点以下
1桁に丸める。
321.
S (B.1)
961.
ここに, S : 硫黄(S)の濃度(mg/L)
――――― [JIS A 9011 pdf 11] ―――――
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Si : 硫酸イオンの濃度(mg/L)
B.3.2 アンモニア性窒素(NH4-N)
アンモニア性窒素(NH4-N)の濃度は,次に示すとおり,アンモニウムイオン(NH4+)の濃度の定量を
行い,得られた測定値に換算係数を乗じて濃度を算出する。
なお,アンモニウムイオンは,試料溶液を蒸留処理してアンモニウムイオンを共存物から分離した後,
JIS K 0102の42.3(中和滴定法)に従って定量する。また,アンモニウムイオンは変化しやすいために,
試験は試料溶液採取後,直ちに行う。直ちに試験が行えない場合には,JIS K 0102の3.3 b) 2)に従って保
存し,可能な限り早く試験する。
a) 試料溶液の前処理 前処理は,JIS K 0102の42.1[前処理(蒸留法)]による。
b) アンモニウムイオンの定量 JIS K 0102の42.3による。
c) アンモニア性窒素(NH4-N)の濃度 試料溶液中のアンモニア性窒素の濃度(mg/L)は,式(B.2)を用
いて算出し,小数点以下1桁に丸める。
140.
A (B.2)
180.
ここに, A : アンモニア性窒素(NH4-N)の濃度(mg/L)
Ai : アンモニウムイオンの濃度(mg/L)
B.3.3 グアニジン性窒素(Gd-N)
グアニジン性窒素(Gd-N)の濃度は,高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって求める。すなわ
ち,試料溶液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に導入し,弱酸性イオン交換カラムで分離し,波
長190 nmで測定し,グアニジン性窒素(Gd-N)の濃度を求める。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
による定量は,次によるほか,JIS K 0124による。
a) 試薬及び水 試薬及び水は,次による。
1) 水 JIS K 0557に規定するA3の水。
2) りん酸二水素カリウム JIS K 9007に規定する特級又は同等の品質のもの。
3) りん酸 JIS K 9005 に規定する特級又は同等の品質のもの。
4) グアニジン性窒素標準原液(Gd-N : 2 mg/mL)1) グアニジン硫酸塩(C2H10N6・H2SO4)2) 0.515 g
をひょう量皿にとり,その質量を0.1 mgの桁まで測定する。少量の水を加えて溶かし,全量フラス
コ100 mLに移し入れ,標線まで水を加えて混合する。
注1) 必要に応じた濃度の標準液を調製することができる。
2) グアニジン硫酸塩として質量分率98 %以上の純度の試薬が市販されている。
5) 検量線用グアニジン性窒素標準液(Gd-N : 200 g/mL)1) グアニジン性窒素標準原液(Gd-N : 2
mg/mL) 10 mLを全量フラスコ100 mLに正確にとり,標線まで水を加えて混合する。
6) 検量線用グアニジン性窒素標準液(Gd-N : 50 g/mL100 g/mL)1) グアニジン性窒素標準液(Gd-N
200 g/mL)25 mL50 mLを全量フラスコ100 mLに正確にとり,標線まで水を加えて混合する。
7) 検量線用グアニジン性窒素標準液(Gd-N : 1 g/mL50 g/mL)1) 使用時にグアニジン性窒素標
準液(Gd-N : 100 g/mL)1 mL50 mLを100 mL全量フラスコに段階的に正確にとり,標線まで水
を加えて混合する。
b) 器具及び装置 器具及び装置は,次のとおりとする。
1) ガラス器具 ガラス器具は,JIS R 3503及びJIS R 3505に規定するものを用いる。
2) 高速液体クロマトグラフィー(HPLC) 装置の構成は,JIS K 0124に規定するもので,次の要件
――――― [JIS A 9011 pdf 12] ―――――
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を満たすもの。
2.1) カラム 内径7.5 mm,長さ100 mmのステンレス鋼のカラム管に粒径5 m10 mの弱酸性イオ
ン交換樹脂を充填したもの。
2.2) カラム槽 カラム槽温度を30 ℃45 ℃で調節できるもの。
2.3) 検出器 吸光光度検出器で波長190 nm付近で測定できるもの。
3) 電子天びん(秤) 感量0.001 gのもの。
c) 試験操作
1) 試料溶液及び検量線用グアニジン性窒素標準液 試料溶液は,親水性PTFE製のメンブレンフィル
ター(孔径0.5 m以下)でろ過する。
注記 検量線用グアニジン性窒素標準液は,試料溶液中のグアニジン性窒素(Gd-N)濃度が検量
線の上限を超えるおそれがある場合は,定容した溶液の一定量を水で正確に希釈する。
2) 測定 測定は,JIS K 0124によるほか,次による。ただし,具体的な操作は,使用するHPLCの製
造事業者の指定する操作手順で行ってもよい。
2.1) PLCの測定条件 測定条件の例を次に示す。
2.1.1) カラム 弱酸性イオン交換樹脂カラム(内径 7.5 mm,長さ100 mm,粒径5 μm10 μm)
2.1.2) カラム槽温度 40 ℃
2.1.3) 溶離液 りん酸二水素カリウム3.92 g及びりん酸0.12 gを水に溶かして1 000 mLとするか,又
はりん酸二水素カリウム19.6 g及びりん酸0.584 gを水に溶かして500 mLとし,冷蔵保存し,
使用時にその一定量を10倍に希釈したものとする。
2.1.4) 流量 0.6 mL/min
2.1.5) 注入量 10 L
2.1.6) 検出器 吸光光度検出器,測定波長190 nm
2.2) 検量線の作成
2.2.1) 検量線用グアニジン性窒素標準液10 LをHPLCに注入し,波長190 nmのクロマトグラムを記
録し,ピーク高さを求める。
2.2.2) グアニジン性窒素標準液の濃度(g/mL)とクロマトグラムのピーク高さとの検量線を作成する。
2.3) 試料溶液の測定 試料溶液10 Lを2.2.1)と同様に操作する。
2.4) グアニジン性窒素(Gd-N)の濃度 2.3)で得たピーク高さから,2.2.2)で作成した検量線を用いて
試料溶液中のグアニジン性窒素(Gd-N)の濃度(g/mL)を算出する。
B.3.4 ほう素(B)
ほう素(B)の濃度は,JIS K 0102の47.3(ICP発光分光分析法)による。
B.3.5 りん(P)
りん(P)の濃度は,次に示すとおり,りん酸イオン(P2O5)の濃度を定量し,得られた測定値に換算係
数を乗じて算出する。
a) 試薬及び水 試薬及び水は,次による。発光分光分析装置(ICP)の発光部からの光の観測方式には,
横方向観測方式及び軸方向観測方式がある。検量線用りん酸標準液の濃度は,横方向観測方式に適用
する範囲である。軸方向観測方式では,低濃度の測定成分まで測定できる反面,高濃度範囲では検量
線の直線性が得られないことがある。そのため,軸方向観測方式のICPを用いる場合,使用する機器
に適した濃度範囲の検量線用りん酸標準液を調製することを推奨する。
1) 水 JIS K 0557に規定するA3の水。
――――― [JIS A 9011 pdf 13] ―――――
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2) 塩酸(1+23) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積1と水の体積23とを混合する。
3) 塩酸(1+5) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積1と水の体積5とを混合する。
4) 硝酸 JIS K 8541に規定する硝酸(特級)。
5) りん酸標準原液(P2O5 : 1 mg/mL)1) 3) IS K 9007に規定するりん酸二水素カリウムを(105±2)℃
で約2時間加熱し,デシケーター中で放冷した後,19.17 gをひょう量皿にはかりとる。少量の水で
溶かし,全量フラスコ1 000 mLに移し入れ,硝酸2 mL3 mLを加え,標線まで水を加えて混合す
る。その10 mLを全量フラスコ(100 mL)に正確にとり,標線まで塩酸(1+23)を加えて混合す
る。
注3) りん酸標準原液に換えて,国家計量標準にトレーサブルなりん標準液(P : 1 mg/mL 又は
10 mg/mL)を用いて検量線用りん酸標準液を調製することもできる。
6) 検量線用りん酸標準液(P2O5 : 20 g/mL0.4 mg/mL)1) りん酸標準原液(P2O5 : 1 mg/mL)2 mL
40 mL を全量フラスコ100 mLに段階的に正確にとり,標線まで塩酸(1+23)を加えて混合する。
7) 検量線用りん酸標準液(P2O5 : 5 g/mL20 g/mL)1) 検量線用りん酸標準液(P2O5 : 0.1 mg/mL)
5 mL20 mLを全量フラスコ100 mLに段階的に正確にとり,標線まで塩酸(1+23)を加えて混合
する。
8) 検量線用空試験液 塩酸(1+23)。
b) 器具及び装置 器具及び装置は,次のとおりとする。
1) ガラス器具 ガラス器具は,JIS R 3503及びJIS R 3505に規定するものを用いる。
2) 電子天びん(秤) 感量0.01 gのもの。
3) 発光分光分析装置(ICP) 装置の構成は,JIS K 0116に規定するもの。
4) アルゴンガス JIS K 1105に規定する純度が体積分率99.5 %以上のもの。
c) 試験操作
1) 測定 測定は,次による。ただし,具体的な操作は,使用するICPの製造事業者の指定する操作手
順で行ってもよい。
1.1) 検量線の作成
1.1.1) 検量線用りん酸標準液又は検量線用空試験液を誘導結合プラズマ中に噴霧し,波長178.287 nm
の指示値(発光強度)を読み取る(記録する)。
1.1.2) 検量線用りん酸標準液の発光強度から検量線用空試験液のものを減じた発光強度と,対応するり
ん酸濃度の検量線を作成する。
1.2) 試料溶液の測定
1.2.1) 試料溶液は,親水性PTFE製メンブレンフィルター(孔径 0.5 m 以下)でろ過する。
1.2.2) ろ過した試料溶液の一定量(P2O5として0.5 mg40 mg 相当量)を全量フラスコ100 mLにとる。
1.2.3) 塩酸(1+5)25 mLを加え,標線まで水を加えて混合する。
1.2.4) 1.1.1)に従って操作して指示値(発光強度)を読み取る(記録する)。
1.2.5) この発光強度から1.1.2)で作成した検量線を用いて試料溶液中のりん酸イオン(P2O5)の濃度
(μg/mL)を算出する。
1.3) りん(P)の濃度 試料溶液中のりんの濃度(mg/L)は,式(B.3)を用いて算出し,小数点以下1
桁に丸める。
310.
P (B.3)
1419.
――――― [JIS A 9011 pdf 14] ―――――
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ここに, P : りんの濃度(mg/L)
Pi : りん酸イオンの濃度(mg/L)
――――― [JIS A 9011 pdf 15] ―――――
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JIS A 9011:2020の国際規格 ICS 分類一覧
- 79 : 木材工業 > 79.040 : 木材,製材及び製材品
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.220 : 火災に対する防御 > 13.220.40 : 材料及び製品の発火性及び燃焼性
JIS A 9011:2020の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISA1326:2019
- 外装用難燃薬剤処理木質材料の促進劣化試験方法
- JISK0061:2001
- 化学製品の密度及び比重測定方法
- JISK0102:2016
- 工場排水試験方法
- JISK0116:2014
- 発光分光分析通則
- JISK0124:2011
- 高速液体クロマトグラフィー通則
- JISK0557:1998
- 用水・排水の試験に用いる水
- JISK1105:2017
- アルゴン
- JISK8180:2015
- 塩酸(試薬)
- JISK8180:2021
- 塩酸(試薬)
- JISK8541:2015
- 硝酸(試薬)
- JISK8541:2021
- 硝酸(試薬)
- JISK9005:2006
- りん酸(試薬)
- JISK9007:2008
- りん酸二水素カリウム(試薬)
- JISR3503:1994
- 化学分析用ガラス器具
- JISR3505:1994
- ガラス製体積計
- JISZ0701:1977
- 包装用シリカゲル乾燥剤
- JISZ2101:2009
- 木材の試験方法