JIS B 8821:2013 クレーン鋼構造部分の計算基準 | ページ 4

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表8−斜材端部の計算上の溶接線の長さ Σι
No. 継手の種類 図 計算上の継手の長さ Σι
1 側面すみ肉溶接 Σι=2ι1
2 前面及び側面すみ肉溶接 Σι=b+2ι1
3 環状すみ肉溶接(重心軸 Σι=ι1+ι2+2b
は長い溶接線に近い)
4 環状すみ肉溶接(重心軸 Σι=2ι1+2b
は短い溶接線に近い)

10 疲労設計

10.1 定義

  箇条10で用いる用語の定義は,次による。
公称応力 : はり理論のような一般理論によって求められる断面力に基づく応力
応力範囲 : 1応力サイクル中の最大応力と最小応力との差
応力振幅 : 1応力サイクル中の最大応力と最小応力との差の1/2
平均応力 : 1応力サイクル中の最大応力と最小応力との和の1/2
最大応力範囲 : 設計寿命中に予想される最大の応力範囲
直応力 : 荷重方向に垂直な断面に生じる応力,すなわち垂直応力
応力比 : 最大応力に対する最小応力の比
等価応力範囲 : 変動応力と同じ繰返し数の下で,一定応力範囲と等価な疲労被害を受ける応力
範囲
打切り限界 : この値以下では疲労損傷が生じない応力範囲
疲労寿命 : 疲労損傷が起こるまでの応力繰返し数

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疲労強度 : 特定の疲労寿命に対する応力範囲
継手の種類 : 継手の形状及び疲労強度に応じた継手の分類
疲労強度等級 : 継手の種類に依存した疲労強度(疲労強度等級100は2×106回疲労強度が100
N/mm2であることを示す。)
疲労設計曲線 : 応力(直応力,せん断応力)範囲と疲労寿命との関係を示す曲線
基本許容応力範 : 応力範囲と繰返し数線図(Δσ-N線図又はΔτ-N線図)とに基づいて定められる
囲 許容応力範囲
2×106回基本許 : 2×106回の繰返し数に対する基本許容応力範囲
容応力範囲
許容応力範囲 : 基本許容応力範囲を平均応力及び板厚の影響を考慮して補正した許容応力範囲
設計寿命 : 設計上期待する構造部材の使用期間
設計総繰返し数 : 設計寿命中に予想される応力の総繰返し数又は打切り限界以上の応力範囲の総
繰返し数
設計応力範囲 : 設計で計算した等価応力範囲を設計計算応力補正係数で修正した応力範囲
単位期間 : 設計寿命を数えるために用いられる単位となる期間。例えば,日,月,年など
損傷影響度係数 : 対象とする継手又は部材が疲労損傷したときに,損傷が構造物全体の強度又は
機能に及ぼす影響を考慮した係数
重要度係数 : 構造物の重要性又は損傷の影響を考慮した係数
検査係数 : 検査及び維持管理のしやすさを表す係数
冗長度係数 : 損傷影響度係数,重要度係数,検査係数の積として表される係数

10.2 適用

  ここに示す基準は,鋼材を用いたクレーン構造部分の疲労に対する安全性を照査するために適用する。
ただし,正当な理論的裏付け,信頼性の高い実験データ又は十分な使用実績データがある場合には,この
基準に規定する数式及び数値によらなくてもよい。

10.3 疲労設計に対する照査の範囲

  疲労強度の照査が必要な場合には,この箇条によって行う。ただし,この照査は,次に示す条件の場合
には,適用しない。
a) クレーン構造部分の最大公称応力が材料の降伏点又は耐力を超える場合。
b) 腐食環境下又は適切な防食処理が行われず,腐食の可能性が懸念される箇所で使用する場合。
c) 常に高温にさらされる環境で使用する場合。
d) 最大応力範囲Δσmaxが次の条件を満足する場合。
Δσmax<36 N/mm2
e) 設計総繰返し数が104回以下の場合。

10.4 疲労設計に用いる応力

  部材の応力は,クレーン(移動式クレーンを除く。)では式(14)を,移動式クレーンでは式(15)を用いて
算定した荷重Fに対して公称応力を求める。公称応力の計算は,材料の線形弾性挙動を仮定して構造力学
などによって行う。ただし,溶接継手などによる局部的な応力集中は考慮しない。
F=K[(Ψ・F1)+F2+F3] (14)
F=(γ・F1)+(φ・F2)+F3 (15)
ここに, F : 対象部材に作用する荷重(N)

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K : 作業係数
Ψ : 衝撃係数
F1 : 垂直動荷重(N)
F2 : 垂直静荷重(N)
F3 : 水平動荷重(N)
γ : 動荷重係数
φ : 静荷重係数
作業係数K,衝撃係数Ψ,動荷重係数γ及び静荷重係数φは,JIS B 8831による。

10.5 疲労設計曲線

  疲労設計には,直応力を受ける継手に対してはΔσ-N線図(図10)を,せん断応力を受ける継手に対し
てはΔτ-N線図(図11)を用いる。直応力を受ける継手のΔσ-N線図は式(16)に,せん断応力を受ける継手
のΔτ-N線図は式(17)による。
Δσm・N=C0 (16)
Δτm・N=D0 (17)
ここに, Δσ : 直応力範囲(N/mm2)
Δτ : せん断応力範囲(N/mm2)
m : Δσ-N線図又はΔτ-N線図の傾斜を表す定数
N : 応力繰返し数
C0 : Δσ-N線図の定数
D0 : Δτ-N線図の定数
C0,D0及びmは表9で求める。
注記1 図10に示す16本のΔσ-N線図及び図11に示す2本のΔτ-N線図は,継手の疲労強度等級に
依存してそれぞれ両対数紙上で平行である。
図10に示す直応力を受ける継手に対するΔσ-N線図は,104=3の逆数)の直線で,5×106108で
は,ΔσはNに依存しない直線,すなわち,打切り限界を示す。図11に示すΔτ-N線図は,104は両対数紙上で傾斜が1/5(m=5の逆数)の2本の平行な直線として表す。N>108ではΔτはNに依存し
ない直線として表す。
注記2 継手の疲労強度等級は,継手の疲労試験結果の下限を与えるもので,疲労強度等級を表す数
値,例えば100は,2×106回疲労強度が100 N/mm2であることを示している。
表10は,直応力を受ける継手に対する疲労強度等級ごとの2×106回疲労強度,Δσ-N線図
の定数C0,5×106回疲労強度及び応力範囲の打切り限界を示す。表11は,せん断応力を受
ける継手に対する疲労強度等級ごとの2×106回疲労強度,Δτ-N線図の定数D0及び応力範囲
の打切り限界を示す。
表9−C0,D0及びmの値
継手の種類 Nの範囲
104 定数
C0 m C0 m D0 m
非溶接継手(母材) 2×106・Δσcm 3 2×107・ΔσKm 5 − −
板及び中空断面溶接継手2×106・Δσcm 3 2×107・ΔσKm 5 − −
せん断を受ける継手 − − − − 2×106・Δτcm 5
注記 表9中のΔσc,Δτcは2×106回基本許容応力範囲,ΔσKは2×107回基本許容応力範囲である。

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表10−Δσ-N線図の定数,疲労強度及び応力範囲の打切り限界
疲労強度 2×106回 104 等級 疲労強度 おけるC0 疲労強度 おけるC0 切り限界
N/mm2 m=3 N/mm2 m=5 N/mm2
36 36 9.331×1010 26.5 6.562×1013 14.6
40 40 1.280×1011 29.5 1.110×1014 16.2
45 45 1.823×1011 33.2 2.005×1014 18.2
50 50 2.500×1011 36.8 3.393×1014 20.2
56 56 3.512×1011 41.3 5.979×1014 22.7
63 63 5.000×1011 46.4 1.078×1015 25.5
71 71 7.158×1011 52.3 1.957×1015 28.7
80 80 1.024×1012 58.9 3.557×1015 32.4
90 90 1.458×1012 66.3 6.408×1015 36.4
100 100 2.000×1012 73.7 1.086×1016 40.5
112 112 2.810×1012 82.5 1.913×1016 45.3
125 125 3.906×1012 92.1 3.314×1016 50.6
140 140 5.488×1012 103.2 5.488×1016 56.7
160 160 8.192×1012 117.9 1.138×1017 64.8
180 180 1.166×1013 132.6 2.052×1017 72.9
200 200 1.600×1013 147.4 3.475×1017 80.9
表11−Δτ-N線図の定数,疲労強度及び応力範囲の打切り限界
疲労強度 2×106回 104 等級 疲労強度 m=5 打切り限界
N/mm2 N/mm2
80 80 6.554×1015 36.6
100 100 2.000×1016 45.7
10.5.1 直応力を受ける非溶接継手の疲労強度等級及び疲労設計曲線の関係
非溶接継手の疲労強度等級は100,125,160及び200の4等級とし,Δσ-N線図は図10を用いる。非溶
接継手の疲労強度等級分類を表15に示す。
10.5.2 直応力を受ける板及び中空断面溶接継手の疲労強度等級並びに疲労設計曲線の関係
板及び中空断面溶接継手の疲労強度等級は,36200の16等級とし,Δσ-N線図は図10を用いる。板及
び中空断面溶接継手の疲労強度等級分類は表16による。疲労強度等級は溶接継手の仕上げ状態及び非破壊
検査によって,等級のランクを上げてもよい。
10.5.3 せん断応力を受ける継手の疲労設計曲線
せん断応力を受ける非溶接継手及び溶接継手の疲労強度等級は,80及び100の2等級とし,Δτ-N線図
は,図11を用いる。

10.6 平均応力補正係数CR

  平均応力の影響は,通常無視し,平均応力補正係数CRを1とする。応力比R(=最小応力σmin/最大応
力σmax)が負の場合は式(18)を用いてもよい。ただし,上限はCR=1.3とする。最大及び最小応力がともに
圧縮領域にある場合にもCR=1.3とする。
通常 CR=1
R≦0では

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3.1 1R
CR (18)
6.1 R
ここに, CR : 平均応力補正係数
R : 応力比(σmin/σmax)

10.7 板厚補正係数

  板厚が25 mmを超える継手については,式(19)で示す板厚補正係数を基本許容応力範囲に乗じて許容応
力範囲を定める。
Ct 4
25t (19)
ここに, Ct : 板厚補正係数
t : 板厚(mm)

――――― [JIS B 8821 pdf 20] ―――――

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