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− 呈色化合物を有機溶媒に抽出した後,その有機相の呈色を測定する場合 : 呈色化合物の名称の後に
“抽出吸光光度法”を付ける(抽出に用いる有機溶媒の名称は記載しない。)。
ただし,いずれも呈色化合物が錯体の場合には,錯体を生成させるために加えた錯形成剤の名称と
する。複数の錯形成剤を用いて呈色させる場合の名称は,複数の錯形成剤の名称を中点“·”で結び,
その後に吸光光度法又は抽出吸光光度法を付ける。
d) 原子吸光分析法 原子吸光分析法の名称は,次のいずれかとする。
− フレーム原子吸光分析法 : “原子吸光分析法”とする。
− 電気加熱原子吸光分析法 : “電気加熱方式原子吸光分析法”とする。
e) ICP発光分光分析法 ICP発光分光分析法の名称は,分析対象成分が3成分以上ある場合は,分析対
象成分を列記せずに,“多元素定量”としてもよい。規格に同一の分析対象成分が複数ある場合は,続
く補完要素には,各部の特徴的な内容を示す語句を入れて区別する。
f) その他の分析方法 その他の分析方法の名称は,単元素定量法については,吸光光度分析法,多元素
定量法については,ICP発光分光分析法に準じて付ける。
A.2 適用範囲
適用範囲は,共同実験によって決定することが望ましい。適用範囲の上限値は,共同実験結果で得た許
容差が6.4.4の各許容差を満たす共同実験試料の最大含有率を適切に丸めた値とし,下限値は,共同実験で
得た室間精度式から,相対標準偏差20 %以下となる最小含有率を適切に丸めた値とするのが望ましい。
共同実験時に,共存元素の影響及び影響除去対策を調査し,影響が除去できない共存元素含有率範囲は,
適用範囲から外す。
A.3 要旨
要旨は,次の事項を考慮して,分析方法の概要が分かるよう簡潔に記載する。
注記 JIS Z 8301では,試験方法には原理·原則を記載してもよいとしており,ISO規格も原理(Principle)
の箇条がある。鉄鉱石分析法規格では,分析法の原理ではなく要旨を記載し,原理は,可能な限
り解説に記載することとしている。
a) 操作は,主として行う内容を記載し,非定常の操作は省く。“溶液を全量フラスコに移し入れて標線ま
でうすめる。”などの標準操作の記載も省く。反応式,分離,滴定などにおいて特定元素が反応する原
理,理論的背景などは解説に記載する。
b) 要旨中の試薬名は,溶液を使う場合でも“○○溶液”とはしない。ただし,滴定液(JIS K 0211によ
る。)は,“○○溶液”とする。
c) 要旨中の試薬名,化合物及び元素は,分子式及び元素記号で記載しない。
d) 要旨の末尾は,“その質量をはかる。”,“その減量をはかる。”,“○○溶液で滴定する。”,“吸光度を測
定する。”などの文とし,その後の定量値の算出,検量線の作成などの手順は省き,“定量する。”の文
言も入れない。ただし,標準添加法など特別な方法を採用した場合は,“○○法によって定量する。”
と入れる。
――――― [JIS M 8202 pdf 16] ―――――
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A.4 試薬
A.4.1 一般事項
試薬は,次の事項を考慮して規定する。
a) 操作で使用する試薬は,全て規定する。ただし,試薬調製,例えば,標準液の原液調製だけに用いる
試薬は規定しない。
b) すずカプセルなど形状を規定するものは,器具とし,試薬とはしない。
c) 分析操作ごとに取り換える必要のない試薬は,装置·器具の箇条に記載する。
d) 試薬の名称は,当該試薬の規格がJISに規定されているものは,その名称を用い,使用する個々の試
薬にJIS規格名称,規格番号,及び化学式は記載しない。JISに規定されていない試薬は,IUPAC(国
際純正·応用化学連合)の有機化合物命名法及び無機化合物命名法を基にして,日本化学会化合物命
名法小委員会が定めた化合物命名法に従った名称,及び化学式を記載する。
e) 記載の順序は,A.4.2による。なお,国際一致規格では,ISO規格どおりの順に記載する。
f) 同一試薬の記載は,濃度の高い順とする。ただし,JIS K 0050の表1(水との混合比で表すことので
きる試薬)に規定された試薬は,規定濃度でそのまま用いるものを一つの細分箇条とし,水との混合
比で表すものは別の細分箇条として混合比の全てを同じ細分箇条に記載する。
例1 5.1 塩酸
5.2 塩酸(1+1,1+4,2+100)
g) JIS K 0050の表1に規定された試薬以外の溶液の濃度の表示は,溶質(溶質が水和物の場合は,無水
物)の質量を溶媒の体積で除した値を基本とする。
例2 塩化バリウム溶液(100 g/L)は,無水物(BaCl2)として100 g/Lの濃度である。
h) 混合試薬は,単純混合の場合は,中点“·”を用いて併記する。混酸は,各酸(及び水)について名
称及び体積割合を示す。融解合剤は,質量割合を示す。
例3 混酸(塩酸1,硝酸1,水2),混合融剤(炭酸ナトリウム1,過酸化ナトリウム1)
i) 同じ試薬について2種以上の濃度のものを規定し,使用目的を変えて使う場合は,名称を変えること
が望ましい。
例4 ヘキサメチレン溶液,ヘキサメチレン洗浄溶液
j) 滴定法で用いる滴定液の名称は,JIS K 8001に倣って“○○mol/L △△溶液”とする。
例5 0.017 mol/L カルシウム溶液
k) 検量線作成に用いる標準液の名称は,“○○原液”又は“○○標準液”とする。濃度の異なる標準液は,
濃度の濃い順に“○○標準液A”,“○○標準液B”と識別する。また,調製方法が異なる同じ濃度の
標準液も識別する。なお,標準液を使用の都度調製することが必要な場合は,個別規格で規定する。
例6 りん原液(P:1 000 g/mL),りん標準液A(P:100 g/mL),りん標準液B(P:10 g/mL)
A.4.2 試薬の記載順序
試薬は,次の順で記載する。
a) 水 特殊な水。
b) 無機酸 一価の酸,二価の酸,三価の酸,混酸の順とする。一価の酸は,塩酸,硝酸,過塩素酸,ハ
ロゲン化水素酸の順とし,ハロゲン化水素酸は,塩酸を除き原子番号順とする。
c) 無機塩基 アンモニア水,水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化バリウムの順とする。
d) 過酸化水素
――――― [JIS M 8202 pdf 17] ―――――
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e) 金属 単体金属,合金の順とし,単体金属は原子番号順とする。
f) ハロゲン 原子番号順とする。
g) 気体 貴ガス,単体,化合物,混合ガスの順とし,単体は,原子番号順とする。化合物は,分子式の
原子番号順とし,同じ原子番号の並びなら原子数の少ない順とする。
例 アルゴン,窒素,硫化水素,メタン,プロパン,一酸化炭素,二酸化炭素
h) 無機塩類 b)の順による。酸が同じ場合は,c)の順による。多価の酸の塩は,塩基の数が多い順とす
る。
i) 無機化合物 分子式の原子番号順とし,同じ原子番号の並びの場合は,原子数の少ない順とする。
j) 有機酸,有機塩基,有機塩類 無機酸などと同様の順とする。
k) 呈色試薬
l) 有機溶媒
m) 滴定液又は標準液
n) 指示薬
o) その他 鉄鋼認証標準物質など。
A.5 操作
操作についての記載は,個別規格に規定がない場合は,次のことを意味する。
a) 加熱·冷却
1) 温める又は加温する。 溶液温度を室温から60 ℃以下に加熱する操作。
2) 穏やかに加熱する。 溶液温度を80 ℃以下に保ち,沸騰が生じないように加熱する操作。
3) 沸騰直前まで加熱する。 溶液温度を90 ℃以上とし,突沸が生じないように注意して加熱する操
作。
4) 加熱して液量を○○にする。 溶液温度を90 ℃以上とし,突沸が生じないように注意して加熱し
て,液量を〇〇に減らす操作。
5) 加熱して窒素酸化物などを追い出す。 溶液を沸騰状態とし,窒素酸化物などが揮散しなくなるま
で加熱する操作。
6) 乾固直前まで加熱する。 溶液がほとんど残らない状態まで加熱する操作。その後,余熱によって
液はほとんど見えなくなるが,残留物中には液が残り,表面に色がついている状態となる。
7) 乾固する。 液状のものが残らず,残留物の表面が白くなる状態まで加熱する操作。
8) 過塩素酸の白煙処理 過塩素酸の白煙処理は,次のいずれかを意味する。
8.1) 過塩素酸の白煙がビーカー内に充満している状態に加熱する操作。
8.2) 8.1)から引き続き加熱し,ビーカー内が透明になり,過塩素酸の蒸気がビーカーの内壁を伝わって
還流している状態に加熱する操作。
9) 三酸化硫黄の白煙処理 三酸化硫黄の白煙が発生する状態に加熱する操作。硫酸の白煙処理を意味
する。このとき,液温は300 ℃以上となっている。
10) りん酸の白煙処理 メタりん酸などの白煙が発生する状態に加熱する操作。
11) 放冷 溶液などの温度が室温に下がるまで実験台などに静置しておく操作。室温以外の温度を指定
する場合がある。
――――― [JIS M 8202 pdf 18] ―――――
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12) 冷却 温度の高い溶液,蒸気などに対して,水,氷水又は冷えた空気などの熱媒体で強制的に温度
を下げる操作。
13) 強熱 650 ℃以上で加熱する操作。
14) ろ紙を灰化する。 るつぼ中のろ紙及び残さ(渣)を,低温で炭化して,個別規格で特に指定がな
ければ,500 ℃800 ℃で,灰化する操作。
15) 揮散 揮発性成分を大気中に気化放出させる操作,又は大気中に気化する現象。
b) その他の操作
1) 融解 不溶性物質と融剤とを共に強熱して,可溶性物質に変える操作。
2) 振り混ぜ 2種類以上の物質をなるべく均一にするために,容器ごと振って混ぜる操作。
3) 対照液 試料液の色調又は吸収の度合いを比較するために用いる,標準的な色調又は吸収を示す溶
液。
4) 分取 全体の試料に対して,指定された割合又は分量を,正確に分けてとる操作。
5) (溶液を)移し入れる。 溶液を別の容器に移す操作。溶液のほとんどを指定された容器に移した
後,基の容器に残る溶液を,指定された溶媒を用いてうすめて,先の指定された容器に移す。この
操作を2,3回繰り返して基の容器に残る溶液の量を無視できるレベルとする。
6) 標線までうすめる。 指定された溶媒を用いて,溶液全体の容量を規定の量とする操作。標線近く
まで溶媒を入れた後,液温を常温とし,液が均一になるよう混合した後,標線まで溶媒を加え,再
び液が均一になるように混合する。
注記 ガラス製体積計の,標線を含む目盛線とメニスカスとの視定方法は,JIS R 3505:1994の図
1に示されている。
7) 洗液 操作に用いた時計皿,ろ紙などへの試料の付着物,又はるつぼなど容器内の試料の残留物を
洗い流した液。
8) 正確に 質量においては,指定した量を検定されたはかりによってはかることをいう。液体の容量
においては,全量フラスコ,全量ピペット,ビュレット又はピストン式ピペット(JIS K 0970によ
る。)によってそれらの体積計の公差内ではかることをいう。“正しく”は,同じ意味ではあるが,
用いないのが望ましい。
c) 用語の区別
1) 溶解と分解 溶解は,化学反応による化学種の変化を生じずに均一な相になる現象であり,化学種
の変化が生じる場合は,分解と呼ぶ。
注記 溶解と分解については用語の厳密な使い分けをせず,化学種の変化が生じても溶解と呼ぶ
場合もある。
2) 常温と室温 化学分析においては,常温は(20±5)℃を,室温は(20±15)℃を指す。また,標準
温度とは20 ℃を指す。
注記 上記の温度の規定は,JIS K 0050による。
A.6 空試験
空試験の操作は,具体的に記載する。空試験の操作の規定が長く,操作の一部を他の細分箇条から引用
する場合などにおいては,定量操作と同様に,手順ごとに区切って記載してもよい。検量線用溶液を試料
と併行して調製する場合は,ゼロメンバーを空試験液としてもよい。
――――― [JIS M 8202 pdf 19] ―――――
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A.7 検量線の作成
検量線用溶液は,通常は,酸化鉄(III)などの純物質に分析対象元素を段階的に添加し,分析試料と同
じ手順で調製する。検量線用溶液の測定信号強度と分析対象元素添加量との関係線を作成し,その関係線
が原点を通るよう平行移動して検量線とする。ただし,ICP発光分光分析法においては,平行移動せずに,
得た関係線をそのまま検量線とする。
関係線の回帰係数は,市販の計算ソフトウェアを用いて求めてもよい。
検量線用溶液の調製の操作は,具体的に記載する。
A.8 計算
試料中の分析目的元素含有率を計算する式は,具体的に記載する。計算式の各項は,次のとおりとする
ことが望ましい。
− 試料中の分析目的元素含有率は,%(質量分率)とする。
− 試料はかりとり量の単位は,gとする。
− 試料溶液及び空試験液中の分析目的元素の量は,個別規格の手順で得られる測定値(検量線から求め
た量,滴定液使用量,沈殿の質量など)をそのまま代入し,その単位は,測定値の単位とする。
− 単位の換算係数は,計算式の係数項に含める。
注記 熱的分析方法では,検量線を用いて質量に変換した後,計算式によって含有率を算出する規定と
している個別規格もある。
分析装置に付属したコンピュータ内に,検量線作成及び成分含有率計算機能が組み込まれている場合は,
得られる含有率の値が,個別規格の手順で計算した値と同等となることを確認の上,使用してもよい。
A.9 許容差
化学分析方法の許容差は,共同実験によって求める。共同実験試料は,認証標準物質を用い,含有率が
目標適用範囲を含むように選ぶ。共同実験結果は,JIS Z 8402-2又はJIS Z 8402-3によって解析する。各
所の実験が併行2回分析でなく,日を変えて2回分析した場合は,JIS Z 8402-2によって解析を行い,併
行分析を日間分析と読み替える。
――――― [JIS M 8202 pdf 20] ―――――
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JIS M 8202:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 73 : 鉱採及び鉱物 > 73.060 : 金属鉱物及びそれらの濃縮物 > 73.060.10 : 鉄鉱石
JIS M 8202:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK0050:2019
- 化学分析方法通則
- JISK0067:1992
- 化学製品の減量及び残分試験方法
- JISK0113:2005
- 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
- JISK0115:2004
- 吸光光度分析通則
- JISK0115:2020
- 吸光光度分析通則
- JISK0116:2014
- 発光分光分析通則
- JISK0117:2017
- 赤外分光分析通則
- JISK0119:2008
- 蛍光X線分析通則
- JISK0121:2006
- 原子吸光分析通則
- JISK0557:1998
- 用水・排水の試験に用いる水
- JISK0970:2013
- ピストン式ピペット
- JISM8250:2015
- 鉄鉱石―分析用試料の吸湿水定量方法―重量法,カールフィッシャー滴定法及び乾燥減量法
- JISM8700:2013
- 鉄鉱石及び還元鉄―用語
- JISM8702:2019
- 鉄鉱石―サンプリング及び試料調製方法
- JISR3503:1994
- 化学分析用ガラス器具
- JISR3505:1994
- ガラス製体積計
- JISZ2616:2015
- 金属材料の硫黄定量方法通則
- JISZ8101-1:2015
- 統計―用語及び記号―第1部:一般統計用語及び確率で用いられる用語
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方
- JISZ8402-1:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第1部:一般的な原理及び定義
- JISZ8402-6:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第6部:精確さに関する値の実用的な使い方