JIS A 8706-2:2013 履帯式建設リサイクル機械―安全―第2部:ドラム式カッタ搭載自走式木材破砕機の要求事項 | ページ 2

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3.4
破砕装置
廃木材などを破砕する装置。一軸のドラム式カッタと,破砕処理した木材の寸法を決めるスクリーンを
装備する。
3.5
排出装置
破砕処理した廃木材を機械外に排出する装置。
注記 自走式木材破砕機では,通常ベルトコンベヤを使用する。
3.6
廃木材
建設工事から発生する木材。大きく自然木系と加工木系とに分かれる。
自然木 : 伐採された木(幹,枝葉,根),せん(剪)定された枝葉,ダムなどの流木。
加工木 : 解体工事から発生する木材,廃棄木製品など。
3.7
投入材料
破砕処理する目的で供給装置に投入する廃木材。
3.8
破砕処理材
破砕装置で廃木材を所定の寸法に加工し,再利用可能となった処理済み木材。
3.9
ドラム式カッタ
円筒ドラムの外周に複数のビットを装着し廃木材などを切削するカッタ[図A.3のa) 及びb) 参照]。
3.10
スクリーン
ドラム式カッタの外周に装備し,破砕処理材を所定の寸法に分けるふるい[図A.3のa) 及びb) 参照]。
3.11
危険範囲
機械及びその装備の動作が原因で傷害発生の可能性がある機械の使用範囲で,機械の製造業者が指定す
る範囲。

4 ドラム式カッタ搭載自走式木材破砕機特有の重大な危険源のリスト

  リスクアセスメントの結果,自走式木材破砕機の重大な危険源として特定され,そのリスクを取り除く
又は減じる手段が要求される全ての危険源,危険状態及び危険事象は,附属書Bのリストに記載する。

5 安全要求事項及び/又は安全方策

5.1 一般

  ドラム式カッタ搭載自走式木材破砕機は,この規格の安全要求事項及び安全方策に適合しなければなら
ない。さらに,リスクアセスメントの結果,その機械に附属書Bに記載した重大な危険源のリストにない
新たな危険源が存在する場合は,JIS B 9700-1及びJIS B 9700-2に従って設計する。
注記 重大な危険源とは,リスクアセスメント(JIS B 9702参照)を設計者・製造業者が行ったとき

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に,直接関連するものとして特定され,リスクを除去又は減らすために具体的な行動が求めら
れる危険源をいう。

5.2 乗降・移動用設備

  ドラム式カッタ搭載自走式木材破砕機には,JIS A 8302に適合した,操縦場所及び整備領域に到達する
ための適切な乗降・移動用設備を備えなければならない。

5.3 操縦場所

5.3.1  一般
ドラム式カッタ搭載自走式木材破砕機の走行と作業装置(供給装置,破砕装置,排出装置など)の操縦
とを同じ場所で行う機械又は異なる場所で行う機械のいずれの操縦場所においても,次の要求を満足しな
ければならない。ただし,遠隔操縦専用で行う自走式木材破砕機は除く。
5.3.2 可動部
操縦場所から可動部,例えば,履帯(クローラ),作業装置,アタッチメントなどと接触して事故が起き
ないような手段(例えば,防護柵,ガードなど)を講じなければならない。
5.3.3 エンジン排気
エンジン排気装置は,排気ガスを運転員から離れる方向に排出しなければならない。
5.3.4 鋭端部
操縦場所の近傍,及び操縦場所への乗降・移動設備には,鋭利な端部,又は鋭い角部及び鋭い隅部が存
在してはならない。隅部の半径及び端部の丸みは,JIS A 8323に従って,鋭端部を排除しなければならな
い。
5.3.5 配管及びホース
5 MPaを超える圧力及び50 ℃を超える温度の危険な液体が流れる操縦場所近傍の配管及びホースは,
JIS A 8307に従って防護しなければならない。
配管又はホースと運転員との間にあって,液体の危険な噴出を脇に反らすことができる部品又は構成部
品は,効果的な防護装置とみなすことができる。
5.3.6 走行用操縦場所
運転員が搭乗して走行操縦を行うドラム式カッタ搭載自走式木材破砕機の操縦場所は,運転員が操作す
るのに十分な広さをもたなければならない。JIS A 8315に従って最小空間を確保した設計にするのが望ま
しい。
操縦場所の周囲には,走行中及び作業中に運転員の転落を防止するために,JIS B 9713-2及びJIS B
9713-3に従って防護柵を設けなければならない。
運転員が搭乗して走行操縦を行うドラム式カッタ搭載自走式木材破砕機において,転倒する危険がある
場合は,転倒時保護構造(ROPS)(JIS A 8910参照)を装備しなければならない。また,運転員に対して
落下物による危険がある場合は,落下物保護構造(FOPS)(JIS A 8920参照)を装備しなければならない。
5.3.7 運転員の視界
運転員が搭乗して走行するドラム式カッタ搭載自走式木材破砕機は,運転員が操縦場所から十分な視界
が得られるように設計しなければならない。
5.3.8 照明
ドラム式カッタ搭載自走式木材破砕機は,走行及び作業のための照明装置を備えるか,又は外部照明で
十分な視界を確保するように取扱説明書に記載しなければならない。

5.4 操縦装置及び計器類

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5.4.1 一般
ドラム式カッタ搭載自走式木材破砕機の操縦装置は,JIS A 8919に従って選択,設計,製造及び配置す
るほか,次による。
a) 操縦装置は,JIS A 8407によるものとし,容易に手が届かなければならない。
b) 操縦装置の中立位置は,JIS A 8919の箇条5(操縦装置の動き)に適合しなければならない。
c) 操縦装置及び計器類は,明確に識別でき(JIS A 8310-1及びJIS A 8310-2参照),かつ,取扱説明書の
中で説明していなければならない。
5.4.2 非常停止装置
搭乗して走行操縦を行うドラム式カッタ搭載自走式木材破砕機には,走行操縦装置の近くに非常停止装
置を設けなければならない。
ドラム式カッタ搭載自走式木材破砕機には,機体の両側に少なくとも1か所以上,地上から操作できる
位置にJIS B 9703に従った非常停止装置を備えなければならない。
非常停止装置は,人が操作するために危険範囲に入らなければならない位置にあってはならない。
他の主動力源の遮断装置がない場合には,非常停止装置は,主動力源を遮断するものでなければならない。
5.4.3 始動装置
ドラム式カッタ搭載自走式木材破砕機は,エンジンを始動することによって,機械,作業装置,アタッ
チメントなどが危険源となり得る動きを起こすことがないように設計しなければならない。
ドラム式カッタ搭載自走式木材破砕機のエンジン始動装置は,始動キーを備え,JIS A 8345に適合する
か,又は同様の安全装置を備えなければならない。
操縦場所から全ての危険範囲に人がいないことを確認できない場合は,運転員がエンジンを始動する前
に警報装置を作動させることを取扱説明書に記載しなければならない。
操縦場所から全ての危険範囲に人がいないことを確認できない場合は,操縦装置にはエンジン始動前に
自動的に警報を発する機能をもたせたほうがよい。音響又は視覚による警報はエンジン始動前に人が危険
区域から離れることができる間,作動させなければならない。
5.4.4 不注意による起動
ドラム式カッタ搭載自走式木材破砕機の操縦装置は,特に運転員が乗り降りするとき,誤って動かすこ
とによって危険を引き起こすリスクを最小にするよう配置するか,動かないようにするか,又は防護しな
ければならない。
5.4.5 意図しない動き
運転員が操作しないのに,ドリフト(勝手な動き)又はクリープ(じわじわした動き)によって機械及
び作業装置又はアタッチメントが停止状態から動き,周囲の人に危険を及ぼすことがあってはならない。
5.4.6 遠隔操縦
遠隔操縦のドラム式カッタ搭載自走式木材破砕機は,附属書Cに規定する要求事項を満足しなければな
らない。
5.4.7 操作盤,計器類及び識別記号
5.4.7.1 操作盤
操作盤の形状及び位置は,機械を運転中に運転員の視界の妨げを最小限にするように設計,製造,配置
しなければならない。操作盤のスイッチ,計器類及び表示は,夜間も見ることができなければならない。
又は外部照明で十分な視認性を確保するよう取扱説明書に記載しなければならない。
スイッチの色は,JIS B 9960-1による。

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5.4.7.2 計器類
操縦計器類は,機械の安全かつ適切な運転のために,JIS A 8336に従った色彩及び安全標識を採用し,
要求事項に従わなければならない。
5.4.7.3 識別記号
操縦装置及びその他の表示器に用いる識別記号は,JIS A 8310-1及びJIS A 8310-2に従ったものを用い
なければならない。

5.5 操向装置

  操向装置の操作方向は,操作で起きる機械の動きと同じ方向でなければならない。

5.6 制動装置

  ドラム式カッタ搭載自走式木材破砕機は,その意図した用途に従い,全ての作業,負荷,速度,地勢及
び斜面においても有効な走行の常用制動装置,二次制動装置及び駐車制動装置を備えていなければならな
い。
走行操作が中立位置のときには,(製造業者が指定する最大傾斜で)機械を静止状態で保持できなくては
ならない。制動装置は,JIS A 8325の要求事項に適合しなければならない。

5.7 供給装置

5.7.1  ホッパ
ホッパは,その機能を損なわない範囲で,できるだけ投入材料が飛散しない構造としなければならない。
また,ホッパの周囲には投入材料の飛散及び落下による危険を警告する安全標識を貼り付け,取扱説明書
にもその旨を記載しなければならない。
5.7.2 供給装置
供給装置の可動部と固定部又は可動部との隙間は,手足が挟まれる危険を防止するためJIS B 9707,JIS
B 9708及びJIS B 9711に従って設計及び製造しなければならない。
供給装置の動力伝達部(チェーン,スプロケット,ベルト,プーリなど)は,カバーで覆わなければな
らない。また,動力伝達部の点検窓は,安易に開けて触れないように,鍵又は工具を使わないと開けられ
ない構造としなければならない。
いかなる理由であっても,供給装置に入る前には供給装置を停止し,動力源を遮断した後,施錠などに
よって遮断しなければならない旨を警告表示する安全標識を貼り付け,取扱説明書にも記載しなければな
らない。
5.7.3 詰まりの除去
ホッパ及び供給装置は過度の大きさの材料,用途外の材料などが入ったときに詰まりが生じる可能性が
ある。詰まった材料を取り除くときのリスクに関する情報を取扱説明書に記載しなければならない。

5.8 破砕装置

5.8.1  一般
破砕装置は,過度の大きさの投入材料,用途外の材料などが入ったときに詰まり,装置の破損などが生
じる可能性がある。破砕できる材質,破砕装置への供給寸法及び推奨する材料の大きさと,詰まった材料
を取り除くときのリスクに関する情報とを取扱説明書に記載しなければならない。
5.8.2 ドラム式カッタ及びスクリーンの安全
ドラム式カッタ及びスクリーンの安全は,次による。
a) 動力伝達部(フライホイール,ベルト,駆動プーリなど)は,カバーで覆わなければならない。
b) 動力伝達部の点検窓は,安易に開けて触れないように,鍵又は工具を使わないと開けることができな

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い構造としなければならない。
c) スクリーンの交換,ビットの点検交換など,保全のために,破砕室の一部又は供給装置の一部を上方
向に開けるときは,これが落下することによって挟まれないように,ロックピン又はその他の固定方
法を装備しなければならない。また,その使用方法を取扱説明書に記載しなければならない。
d) 保全作業中にドラム式カッタが不測の回転を起こさないように,ロックピン又はその他の固定方法を
備えなければならない。
e) 用途外又は規格外の材料の投入によって,ドラム式カッタ及び処理装置の一部が破損した場合でも,
破片の飛散による危険が最小になるように設計しなければならない。
f) ドラム式カッタのビット締付けトルク管理不良,及びビット摩耗に関する保全不良から発生する,ビ
ットの脱落,破損及び飛散のリスクを取扱説明書に記載し,ビットの締付けトルク及び摩耗状況確認
保全の必要性を認識させなければならない。

5.9 ベルトコンベヤ

  ベルトコンベヤは,附属書Dに規定する要求事項を満足しなければならない。

5.10 磁選機

5.10.1 強磁力
磁選機の周囲には強い磁力があり,磁界内で行う作業では人体,特にペースメーカに磁力障害を及ぼす
おそれがある。また,磁化する物体を使用する場合,そのような物体が突然引き付けられることによる傷
害の危険がある。強磁力に対する安全標識を磁選機の近傍に貼り付けるとともに,取扱説明書にも記載す
る。
5.10.2 飛散物
稼働中の磁選機の周囲に鉄片が飛散し,作業者が傷害を負う危険があるので,飛散を防止し,又は飛散
の範囲が最小限になるように設計しなければならない。
鉄片の飛散に関する安全標識を磁選機の近傍に貼り付けるとともに,取扱説明書にも記載する。

5.11 警報装置及び安全標識

  ドラム式カッタ搭載自走式木材破砕機には,次の警報装置及び安全標識を装備しなければならない。
− JIS A 8327に規定する本体の前端から7 m地点で,93 dB(A)以上の音圧レベルをもち,操縦場所か
ら操作できる音響警報装置
− JIS A 8312に規定する安全標識

5.12 安定性

  ドラム式カッタ搭載自走式木材破砕機は,アタッチメントも含めて,製造業者が指定する全ての意図し
た運転条件において,十分な安定性をもつように設計・製造しなければならない。
作業状態においてドラム式カッタ搭載自走式木材破砕機の安定性を増すための装置(例えば,アウトリ
ガ)は,たとえホースが破損してもその位置に保持するインタロック装置,例えば,逆止弁などを備えな
ければならない。

5.13 騒音及び振動

  ドラム式カッタ搭載自走式木材破砕機は,できるだけ低騒音及び低振動に設計・製造しなければならな
い。

5.14 防護

5.14.1 一般
機械の運転,整備及び分解中の化学的な危険源を最小にする安全予防措置について,警告表示し,取扱

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JIS A 8706-2:2013の国際規格 ICS 分類一覧

JIS A 8706-2:2013の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISA8301:1952
モータグレーダ用切刃
JISA8301:2000
土工機械―整備用開口部最小寸法
JISA8302:2017
土工機械―運転員及び整備員の乗降用・移動用設備
JISA8307:2006
土工機械―ガード―定義及び要求事項
JISA8310-1:2019
土工機械―操縦装置及び表示用図記号―第1部:共通図記号
JISA8310-2:2019
土工機械―操縦装置及び表示用図記号―第2部:特定機種,作業装置及び附属品図記号
JISA8312:1996
土工機械―安全標識及び危険表示図記号―通則
JISA8312:2021
土工機械―機械安全ラベル―通則
JISA8315:2010
土工機械―運転員の身体寸法及び運転員周囲の最小空間
JISA8316:2010
土工機械―電磁両立性(EMC)
JISA8323:2001
土工機械―運転席及び整備領域―端部の丸み
JISA8324:2001
土工機械―電線及びケーブル―識別の原則
JISA8325:2010
土工機械―履帯式機械―制動装置の性能要求事項及び試験方法
JISA8327:2017
土工機械―機械装着警報ブザー類及び警音器―試験方法及び性能基準
JISA8331:2005
土工機械―機械装着救出装置―性能要求事項
JISA8334:2006
土工機械―取扱説明書―内容及び様式
JISA8335:2017
土工機械―非金属製燃料タンクの性能要求事項
JISA8336:2009
土工機械―表示機器
JISA8340-1:2011
土工機械―安全―第1部:一般要求事項
JISA8345:2004
土工機械―キーロック始動装置
JISA8407:2000
土工機械―操縦装置の操作範囲及び位置
JISA8919:2007
土工機械―操縦装置
JISB8361:2013
油圧―システム及びその機器の一般規則及び安全要求事項
JISB8370:2013
空気圧―システム及びその機器の一般規則及び安全要求事項
JISB9700-1:2004
機械類の安全性―設計のための基本概念,一般原則―第1部:基本用語,方法論
JISB9700-2:2004
機械類の安全性―設計のための基本概念,一般原則―第2部:技術原則
JISB9703:2019
機械類の安全性―非常停止機能―設計原則
JISB9707:2002
機械類の安全性―危険区域に上肢が到達することを防止するための安全距離
JISB9708:2002
機械類の安全性―危険区域に下肢が到達することを防止するための安全距離
JISB9711:2002
機械類の安全性―人体部位が押しつぶされることを回避するための最小すきま
JISB9713-2:2004
機械類の安全性-機械類への常設接近手段-第2部:作業用プラットフォーム及び通路
JISB9713-3:2004
機械類の安全性―機械類への常設接近手段―第3部:階段,段ばしご及び防護さく(柵)
JISB9716:2019
機械類の安全性―ガード―固定式及び可動式ガードの設計及び製作のための一般要求事項
JISB9960-1:2019
機械類の安全性―機械の電気装置―第1部:一般要求事項
JISC0920:2003
電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
JISC60068-2-31:2013
環境試験方法―電気・電子―第2-31部:落下試験及び転倒試験方法(試験記号:Ec)
JISD1201:1998
自動車,及び農林用のトラクタ・機械装置―内装材料の燃焼性試験方法