JIS B 8319:2003 小形多段遠心ポンプ | ページ 2

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5.2 全揚程

 規定吐出し量に対する全揚程の標準範囲は,付図1及び付図2による。
備考 この規格で用いる全揚程及びヘッドは,単位質量当たりの流体エネルギーすなわち比エネルギ
ーを,重力加速度9.80 m/s2で除した量で示してある。

5.3 最大吸込全ヘッド

 最大吸込全ヘッドは,表3の規定吐出し量においてNPSH基準面[JIS B 8301
の3.1.24(NPSH)による。]に換算した吸込全ヘッド(6)で表4のとおりとし,その状態で異状がなく運転でき
るものとする。
注(6) 吸込口真空計の読みに相当するヘッドを,NPSH基準面に換算した値から,真空計取出し穴位
置の断面における速度ヘッドを減じたもの。
例 吸込口真空計の読みに相当する吸込ヘッドが6 m及び真空計取出し穴位置の断面における速度が
4.4 m/s,すなわち,速度ヘッドが1 mの場合には,吸込全ヘッドは5 mである。
表 4 最大吸込全ヘッド
単位 m
吸込口径(mm) 50 65 80 100 125 150 200
50 Hz 2極 6 6 5.5 2.5 (-2)(7) − −


吸 4極 6 6 6 6 6 5.5 3

全 60 Hz 2極 6 5.5 3 (-1)(7) (-8)(7) − −


ド 4極 6 6 6 6 5.5 3 (-1)(7)
注(7) 括弧内のマイナス表示は,押込を意味し,その数値は,最小押込全ヘッドを示す。

5.4 ポンプ効率

 ポンプ効率の最高値は,その吐出し量における付図3のA効率以上とする。
また,規定吐出し量におけるポンプ効率は,付図3のB効率以上とする。

5.5 性能の許容幅

 性能の許容幅は,JIS B 8301の6.3(性能の許容幅)による。

6. 構造

6.1 一般

 ポンプは,付図4及び付図5に示すような構造であって,本体,羽根車,案内羽根(ディフ
ューザポンプの場合),主軸,軸受,軸方向スラスト釣合い装置などによって構成する。
備考 付図4及び付図5は,部品名称の説明図であって,ポンプの構造を規定するものではない。

6.2 本体

 本体は,次による。
a) 本体は,吸込ケーシング,中間ケーシング及び吐出しケーシングからなり,それらをいんろうで組み
合わせ,締付ボルトによって締め付ける形で,吸込口は水平で,吐出し口は,上向きとする。
b) フランジは,JIS B 2238若しくはJIS B 2239の2.1(フランジの種類)の呼び圧力10K,20K,又はJIS
B 2238若しくはJIS B 2239の附属書のPN10PN40による。
なお,これらを超える呼び圧力のフランジを使用してもよい。ただし,この場合には,溶接形の相
フランジを附属する。
c) 本体の軸心の高さは,JIS B 0902によることが望ましい。
d) ドレン抜き穴は全ケーシングに,圧力取出し穴は吸込及び吐出しケーシングに,空気抜き穴及び呼び
水用穴は,いずれかのケーシングに設ける。これらの穴のねじは,JIS B 0202による。ただし,プラ
グ及び管を付ける箇所は,JIS B 0203によってもよい。

――――― [JIS B 8319 pdf 6] ―――――

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e) 羽根車とポンプ本体との間の水漏れ部には,ライナリングを設ける。ライナリング及びブシュ類は,
打込み又はねじ止めとし,運転中に回ってはならない。ただし,ブシュ類のうち,中間ブシュは,設
けなくてもよい。
f) 軸封には,パッキン又はメカニカルシールを用いる。
g) スタフィングボックス内が運転中,大気圧以下になるおそれのある場合で,パッキン使用の場合には、
スタフィングボックスに封水リングを設けて封水し,また,メカニカルシール使用の場合には,その
メカニカルシールに適した対策を施す。
h) パッキンは,角形又は成形を用い,パッキンの挿入本数は3本以上とし,その合わせ目は交互とする。
i) パッキン押さえをケーシングから遠ざける場合に,パッキン押さえがパッキン押さえボルトから外れ,
パッキンの取替えが容易な構造とする。

6.3 羽根車

 羽根車は,次による。
a) 羽根車(試験用軸を含む。)の釣合い良さは,JIS B 0905の“釣合い良さG 6.3”とする。ただし,羽
根車(試験用軸を含む。)の質量が2kg以下の場合には“釣合い良さG 16”でもよい。また,組み立
てられた回転部について,動バランスをとる必要がある場合の釣合い良さは,JIS B 0905の“釣合い
良さG 6.3”とする。
b) 羽根車の外径,滑り部,ハブの軸穴及びハブの両端面には機械加工を施すことが望ましい。

6.4 案内羽根

 案内羽根は,次による。
a) 案内羽根の羽根数は,羽根車の羽根数と1以外の公約数があってはならない。
b) 案内羽根をケーシングに取り付けるものは,ねじ,ノック,その他の方法によって止め,運転中緩ま
ないものとする。

6.5 主軸

 主軸は,次による。
a) 主軸のねじは,ナットが始動時に緩まない方向とするか,座金,その他の方法でナットの回り止めを
施す。
b) 主軸には,水切り溝,水切りつば,その他適当な方法で,水が軸受ハウジング内に入らないようにす
る。

6.6 軸受及び軸受ハウジング

 軸受及び軸受ハウジングは,次による。
a) 軸受は,ポンプ本体の両側に設け,すべり軸受又はJIS B 1521,JIS B 1522,JIS B 1523若しくはJIS
B 1533の転がり軸受を使用する。すべり軸受の場合には,油潤滑,転がりの軸受の場合には,グリー
ス又は油潤滑とする。
b) 転がり軸受の寿命は,許容運転範囲内で基本定格寿命(L10),10 000時間以上とする。
c) 軸受ハウジングは,運転中に油やグリースが,流出又は飛散しないものとする。
油潤滑の場合には,外部から油面計により,油面を点検できるものとするか又は運転中油面を一定
に保つ装置を設けるものとし,油抜き穴を設ける。オイルリングを使用する場合には,オイルリング
ののぞき穴を設ける。
グリース潤滑の場合には,グリースの詰め過ぎを防止するために,グリース供給穴を付けないこと
が望ましい。
d) スタフィングボックスからの漏れ水が,軸受ハウジング内に入らないように,軸受ハウジングの取付
部には,水抜き穴及びあふれ穴を設ける。

6.7 軸方向スラスト釣合い装置

 軸方向スラスト釣合い装置は,次による。
a) 軸方向スラストは,バランスディスク,バランスピストン,バランスホールなどの方法によって,釣

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り合わせる構造とする。
b) バランスディスクを備えるポンプでは,バランスディスクの摩耗しろを指示する装置を備え,その他
のものでは,軸方向の移動を玉軸受で安全確実に支える構造とする。
c) バランスディスク又はバランスピストンを備えるポンプでは,軸方向スラスト釣合いのため,バラン
ス室から放流される水を導くバランスパイプを備える構造とする。バランスパイプは,一般に吸込ケ
ーシングに接続する方式とする。
なお,バランスパイプには,コック類を付けてはならない。
d) バランスホールによるポンプでは,吐出し側パッキンにかかる圧力は,パッキンの許容圧力以下とす
る。

6.8 その他の部分

 その他の部分は,次による。
a) ポンプの回転方向は,電動機側から見て,一般に時計回りとする。
b) ポンプの足は,ポンプ本体が安定するように,吸込,吐出しケーシング及び必要に応じ中間ケーシン
グに設け,取付ボルトは4本とする。また,共通ベースの基礎ボルトは,4本以上とする。
c) 締付ボルトは,十分な太さとし,水圧試験でケーシングのいんろう部に水漏れがあってはならない。
d) 軸とスリーブとの間から外部へ水漏れがあってはならない。
e) 共通ベースの座は,ポンプ側,電動機側とも,それぞれ同一平面とする。直結に際し,やむを得ない
場合には,いずれかに厚さ同一のライナを挿入してもよい。
f) 共通ベースの座の大きさは,それに取り付けるポンプ又は電動機の足の大きさより小さくしないこと
が望ましい。
g) 軸継手には,外側に軸継手ガードを設ける。

7. 寸法及びはめあい

7.1 ポンプの外形寸法

 ポンプの外形寸法は,附属書2を参考にするのがよい。

7.2 本体

 本体は,次による。
a) ポンプの呼び径に対する実口径は,表5による。
表 5 実口径
単位 mm
呼び径 40 50 65 80 100 125 150 200
実口径 40±3 50±3 65±4 80±4 100±4 125±4 150±5 200±5
b) 圧力のかかるケーシング類は,その部分にかかる最高使用圧力の下で,圧力を保持するのに適切で変
形を限界以内に押える厚さとする。
c) フランジの厚さの許容差は,+15 %,−5 %とする。
d) スタフィングボックスの寸法は,附属書1による。

7.3 羽根車

 羽根車の最小厚さは,表6による。ただし,羽根の入口及び出口の先端の厚さは,任意と
する。

――――― [JIS B 8319 pdf 8] ―――――

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表 6 羽根車の最小厚さ
単位 mm
羽根車の外径 最小厚さ
鋳物 ステンレス鋼板
両側板 羽根
200以下 2.5 2.0 0.8
200を超えるもの 3.0 2.5 1.2

7.4 案内羽根

 案内羽根の最小厚さは,表7による。ただし,羽根の入口及び出口の先端の厚さは,任
意とする。
表 7 案内羽根の最小厚さ
単位 mm
羽根車の外径 最小厚さ
鋳物 ステンレス鋼板
200以下 2.0 0.8
200を超えるもの 2.5 1.2

7.5 主軸の直径

 主軸の直径は,次の式で算出した値以上とする。
3nP
d k
ここに, d(8) : 主軸の直径(mm)
P : 軸動力(kW)
n : 回転速度(min-1)
k : 材料による係数で,次の式による。
k 125 3
ここに, σS30C : S30Cの引張強さ(470 MPa)
σ : その材料の引張強さ(MPa)
例 JIS G 4051のS30Cの場合 k=125
JIS G 4303のSUS 403の場合 k=116
なお,軸端の寸法は,JIS B 0903によることが望ましい。
注(8) 動力伝達に関係がある部分の直径で,動力伝達に関係ない部分は,これより細くてもよい。

7.6 主軸及び回転体の振れ

 主軸外周部の振れに問題がないことを確認する。また,主軸に羽根車,ス
リーブなどを取り付けてナットで締め付けた状態で,羽根車滑り部などの機械加工面の外周部の振れに問
題のないことを確認することが望ましい。

7.7 すべり軸受の有効長さ

 すべり軸受の有効長さは,軸径の0.8倍以上とする。

7.8 スリーブの最小厚さ

 スリーブの最小厚さは,2 mmとする。

7.9 バランスディスクの摩耗しろ

 バランスディスクの摩耗しろは,一般に13 mmとする。

7.10 軸継手

 軸継手は,次による。
a) 軸継手は,たわみ軸継手とする。
b) フランジ形たわみ軸継手を使用する場合には,運転中の継手間のすき間は,35 mmとすることが望
ましい。バランスディスクを備えるものでは,摩耗しろを考慮し,摩耗後も,運転中の継手間のすき
間は,最小1 mmのすき間を保てるようにする。
c) 軸継手の取付精度については,主軸に取り付けた状態での外径の振れを0.05 mm以下,面の振れを直

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径100 mmにつき0.04 mm以下とする。ただし,面の振れの最大値は0.10 mmとする。

7.11 キーの寸法

 キーの寸法は,JIS B 1301による。ただし,軸継手以外のキーの寸法は,これによら
なくてもよい。

7.12 羽根車とライナリングなどとのすき間

 羽根車とライナリング及びブシュ類の回転部分と固定部分
とのすき間は,停止中,運転中を問わず,焼き付き,かじり付き,異常摩耗などを生じないように,適切
なすき間寸法及び材料の組合せの選定をしなければならない。

7.13 各部のはめあい

 各部のはめあいは,表8又はこれに準じる等級とする。
表 8 各部のはめあい
はめあい箇所 はめあい はめあい箇所 はめあい
羽根車と主軸 H7/g6 ポンプ本体のいんろう部 H7/g6
スリーブと主軸 ポンプ本体と軸受ハウジング
バランスディスク又は 軸受ハウジングとすべり軸受(10)
H7/js7又はH7/h7
バランスピストンと主軸
すべり軸受と主軸 H7/e7 軸受ハウジングと転がり軸受(11)
軸受ハウジング側 / ― :
H7/−又はJS7/ ―
軸継手と主軸(9) H7/js6, H7/k6又は転がり軸受(11)と主軸 ― /主軸側 :
H7/m6 ― / js6又は― / k6
注(9) 軸端の直径寸法とその許容差の組合せは,JIS B 0903による。
(10) 軸受ハウジングとすべり軸受とのはめあいをH7/h7にする場合には,すべり軸受が回らないよ
うに回り止めを施す。
(11) 転がり軸受の精度は,JIS B 1514に規定する0級とする。
備考1. はめあいは,JIS B 0401-2による。ただし,転がり軸受のはめあいは,JIS B 1566による。
2. はめあいは,穴基準とするが,軸基準にしてもよい。この場合の寸法許容差は,穴基準に準
じる。

7.14 その他

 バランスディスクを使用するポンプの回転部分は,軸方向に5 mm以上動いてはならない。
なお,メカニカルシールを用いるポンプの場合には,メカニカルシールの性能に影響しない範囲とする。

8. 外観

 外観は,次による。
a) 鋳造品は,目視によって,内外面とも滑らかで,き裂,有害な鋳巣,偏肉などの欠点があってはなら
ない。
b) 軸受ハウジングは,油漏れがあってはならない。
c) ポンプ本体内部には,さび止め塗装,ポンプ及び共通ベース外部には,仕上塗装を施す。ただし,SCS
13又はSUS 304は除く。
d) 主軸,軸継手などの加工面は,油脂,塗装,その他の方法によって,さび止めを施す。

――――― [JIS B 8319 pdf 10] ―――――

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JIS B 8319:2003の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 8319:2003の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB0131:2017
ターボポンプ用語
JISB0202:1999
管用平行ねじ
JISB0203:1999
管用テーパねじ
JISB0401-2:2016
製品の幾何特性仕様(GPS)―長さに関わるサイズ公差のISOコード方式―第2部:穴及び軸の許容差並びに基本サイズ公差クラスの表
JISB0902:2001
駆動機及び被駆動機―軸高さ
JISB0903:2001
円筒軸端
JISB0905:1992
回転機械―剛性ロータの釣合い良さ
JISB1301:1996
キー及びキー溝
JISB1514-1:2017
転がり軸受―製品の幾何特性仕様(GPS)及び公差値―第1部:ラジアル軸受
JISB1514-3:2006
転がり軸受―軸受の公差―第3部:面取寸法の最大値
JISB1521:2012
転がり軸受―深溝玉軸受
JISB1522:2012
転がり軸受―アンギュラ玉軸受
JISB1523:2012
転がり軸受―自動調心玉軸受
JISB1533:2013
転がり軸受―円筒ころ軸受
JISB1566:2015
転がり軸受―取付関係寸法及びはめあい
JISB2220:2012
鋼製管フランジ
JISB2239:2013
鋳鉄製管フランジ
JISB2405:2003
メカニカルシール通則
JISB8301:2018
遠心ポンプ,斜流ポンプ及び軸流ポンプ―試験方法
JISG3101:2015
一般構造用圧延鋼材
JISG3101:2020
一般構造用圧延鋼材
JISG3201:1988
炭素鋼鍛鋼品
JISG4051:2016
機械構造用炭素鋼鋼材
JISG4053:2016
機械構造用合金鋼鋼材
JISG4303:2012
ステンレス鋼棒
JISG4303:2021
ステンレス鋼棒
JISG4305:2012
冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
JISG4305:2021
冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
JISG5121:2003
ステンレス鋼鋳鋼品
JISG5501:1995
ねずみ鋳鉄品
JISG5502:2001
球状黒鉛鋳鉄品
JISH3250:2015
銅及び銅合金の棒
JISH3250:2021
銅及び銅合金の棒
JISH5120:2016
銅及び銅合金鋳物
JISH5401:1958
ホワイトメタル