JIS K 0086:1998 排ガス中のフェノール類分析方法

JIS K 0086:1998 規格概要

この規格 K0086は、排ガス中のフェノール類を分析する方法について規定。

JISK0086 規格全文情報

規格番号
JIS K0086 
規格名称
排ガス中のフェノール類分析方法
規格名称英語訳
Methods for determination of phenols in flue gas
制定年月日
1978年3月1日
最新改正日
2017年10月20日
JIS 閲覧
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対応国際規格

ISO

国際規格分類

ICS

13.040.40, 71.040.40
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
環境測定 I-1 2021, 環境測定 I-2 2021, 環境測定 II 2021
改訂:履歴
1978-03-01 制定日, 1983-02-01 改正日, 1988-04-01 確認日, 1994-06-01 確認日, 1998-03-20 改正日, 2003-04-20 確認日, 2008-01-20 確認日, 2012-10-22 確認日, 2017-10-20 確認
ページ
JIS K 0086:1998 PDF [10]
                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
K 0086 : 1998

排ガス中のフェノール類分析方法

Methods for determination of phenols in flue gas

1. 適用範囲 この規格は,排ガス中のフェノール類を分析する方法について規定する。
備考1. この規格において,排ガスとは,化学反応などに伴って,煙道,煙突,ダクトなどに排出さ
れるガスをいう。
2. この規格の引用規格を,付表1に示す。
2. 共通事項 化学分析に共通する事項,排ガス試料採取方法,ガスクロマトグラフ分析方法及び吸光光
度分析方法に共通する事項については,それぞれJIS K 0050,JIS K 0095,JIS K 0114及びJIS K 0115に
よる。
3. 分析方法の種類及び概要 分析方法の種類及び概要は,表1のとおりとする。
表1 分析方法の種類及び概要
分析方法の種類 分析方法の概要 適用条件
要旨 試料採取 定量範囲
volppm
ガスクロマトグラフ法 試料ガス中のフェノール類を吸収液に吸収 吸収瓶法 12 000(1)
させ,又は捕集バッグ等に採取し,ガスク 真空捕集瓶法
ロマトグラフに導入して得られたクロマト 捕集バッグ法
グラムからフェノール類を定量する。
4-アミノアンチピリン 試料ガス中のフェノール類を吸収液に吸収 吸収瓶法 120(1) 5.2.1による。
吸光光度法 させた後,4-アミノアンチピリン溶液及びフ 吸収液 : 0.4%
ェリシアン化カリウム溶液を加え,生成し 水酸化ナトリウム溶液
たアンチピリン色素の吸光度 (510nm) を 液量 : 50ml×2
測定する。
紫外吸光光度法 試料ガス中のフェノール類を吸収液に吸収 吸収瓶法 150(1) 5.3.1による。
させた後,この溶液の吸光度 (270nm) を測 吸収液 : 水
定する。
注(1) 試料ガスを20l採取し,吸収液を200mlに薄めて分析用試料溶液とした場合。
4. 試料ガス採取方法 試料ガス採取方法は,吸収瓶法,真空捕集瓶法及び捕集バッグ法による。分析に
用いる試料ガスの採取位置は,代表的なガスが採取できる点を選び,同一採取位置において近接した時間
内に原則として2回以上試料ガスを採取し,それぞれ分析する。
4.1 吸収瓶法 この方法は4-アミノアンチピリン吸光光度法,紫外吸光光度法,ガスクロマトグラフ法
に適用する。

――――― [JIS K 0086 pdf 1] ―――――

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K 0086 : 1998
4.1.1 試薬及び試薬溶液の調製方法 4-アミノアンチピリン吸光光度法,紫外吸光光度法,ガスクロマト
グラフ法における試薬及び試薬溶液の調製方法は次による。
(1) 試薬
(a) 水酸化ナトリウム JIS K 8576に規定するもの。
(b) 水 JIS K 0557に規定する種別A2のもの。
(c) 水 JIS K 0557に規定する種別A3のもの。
(2) 試薬溶液の調製方法
(a) 吸収液 水酸化ナトリウム4gを水に溶かして1lとしたもの。
なお,紫外吸光光度法においては吸収液として,次の水を用いる。
(1) 試薬
(a) 水(吸収液) JIS K 0557に規定する種別A3のもの。
4.1.2 装置及び器具
(1) 吸収瓶 JIS K 0095の図3(吸収瓶の例)の(a),(d)の容量50250mlのもの。
(2) 試料ガスの採取装置 図1に例示する構成で次の条件を備えていなければならない。
(a) 採取管は,排ガス中のフェノール類及び共存成分によって腐食されないような材質,例えば,ガラ
ス管,石英ガラス管,ステンレス鋼管,ふっ素樹脂管などを用いる。
(b) 排ガス中のダストが混入するのを防ぐため,採取管の先端に適当なろ過材,例えば,石英ウールな
どを詰める。
(c) 試料ガス中の水分が凝縮する場合には,採取管から吸収瓶の間を120℃程度に加熱する。
なお,この間の接続部分はガラスすり合わせ管,シリコーンゴム管などを用いる。
4.1.3 試料ガスの採取
(1) 試料ガスの採取 次の手順によって行う。ここに示す装置の記号は,図1による。
(a) 吸収瓶(H1及びH2)に,吸収液50mlずつをそれぞれに入れる。
(b) 流路切替コック(R1及びR2)をバイパス側に回した後,吸引ポンプ (L) を作動させて配管内(B
R1まで)を試料ガスで置換する。
(c) 吸引ポンプ (L) を停止させた後,流路切替コック(R1及びR2)を吸収瓶(H1及びH2)側に回す。
次にガスメータ (M) の指示を0.01lのけたまで読み取る。
(d) 吸引ポンプ (L) を作動させ,試料ガスを吸収瓶(H1及びH2)に通す。このとき流量調節コック(P1
及びP2)を操作して,吸引流量1l/min程度とする。試料ガス約20lを採取した後,吸引ポンプ (L) を
停止し,流路切替コック(R1及びR2)を閉じ,ガスメータ (M) の指示を0.01lのけたまで読み取る。
同時に温度計 (N) 及びマノメータ (Q) の指示値を記録し,また大気圧を測定しておく。
(e) 必要に応じて,試料ガス中の水分をJIS Z 8808の6.(排ガス中の水分量の測定)に準じて測定する。

――――― [JIS K 0086 pdf 2] ―――――

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K 0086 : 1998
図1 ダクトからの試料ガス採取装置(一例)
(2) 試料ガスの採取量の算出 JIS K 0095の5.1.7(試料ガス採取量)によって,標準状態 (0℃,101.3kPa)
の乾きガス量 (VSD),又は湿りガス量 (VSW) を求める。
4.1.4 分析用試料溶液の調製 4-アミノアンチピリン吸光光度法,紫外吸光光度法の場合は,4.1.3の操作
を終えた後,第一吸収瓶 (H1) 中の吸収液を全量フラスコ200mlに移し,第一吸収瓶内を第二吸収瓶 (H2)
中の吸収液で洗って全量フラスコに合わせ,更に新しい吸収液を用いてこの洗浄操作を繰り返す。最後に
吸収液を標線まで加え,これを分析用試料溶液とする。
ガスクロマトグラフ法の場合は,試料ガスを吸引した吸収瓶の内溶液を分液漏斗200mlに移し替え,吸
収瓶を水で洗い,この洗浄液を同じ分液漏斗に入れる。指示薬としてメチルオレンジ溶液(メチルオレン
ジ0.1gをエタノール100mlに溶かしたもの。)3滴を加え,塩酸 (1+1) で中和した後,更に塩酸 (1+1) 5ml
を加える。次に酢酸エチル20mlを加え,1分間激しく振り混ぜた後静置する。酢酸エチル層を試験管など
に分離し,水浴上で5mlになるまで濃縮し,これを分析用試料溶液とする。
4.2 真空捕集瓶法 この方法はガスクロマトグラフ法に適用する。
4.2.1 装置及び器具 JIS K 0095の図2(c)[真空フラスコ法(真空捕集瓶法)]と同じ。
4.2.2 試料ガスの採取 試料ガス採取装置に真空捕集瓶を接続し,配管中の空気を試料ガスで十分に置換
した後,試料ガスを捕集する。捕集後真空捕集瓶を密栓し,これを分析用試料ガスとする。この場合は直
ちに分析を行うものとする。ただし,試料ガス中の水蒸気濃度が高く,採取後すぐに採取容器の器壁に水
滴が凝縮するような場合には適用できない。
4.3 捕集バッグ法 この方法はガスクロマトグラフ法に適用する。

――――― [JIS K 0086 pdf 3] ―――――

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K 0086 : 1998
4.3.1 装置及び器具 JIS K 0095の図2(e)[捕集バック法(間接法)]と同じ。
4.3.2 試料ガスの採取 試料ガス採取装置に捕集バッグを接続し,配管中の空気を試料ガスで十分に置換
した後,試料ガスを捕集する。捕集後捕集バッグを密栓し,これを分析用試料ガスとする。この場合は,
直ちに分析を行うものとする。ただし,試料ガス中の水蒸気濃度が高く,採取後すぐに採取容器の器壁に
水滴が凝縮するような場合には適用できない。
5. 定量方法
5.1 ガスクロマトグラフ法
5.1.1 試薬及び試薬溶液の調製方法
(1) 試薬
(a) フェノール
(b) -クレゾール
(c) -クレゾール
(d) -クレゾール
(e) エタノール
(f) プロピルベンゼン
(g) カプリン酸メチル
(2) 試薬溶液の調製
(a) フェノール検量線用溶液 フェノール,o-クレゾール,m-クレゾール及びp-クレゾール各10mgを
それぞれ全量フラスコ100mlにとり,エタノールを標線まで加えたもの。
(b) プロピルベンゼン内標準液 プロピルベンゼン10mgを全量フラスコ100mlにとり,エタノールを
標線まで加えたもの。
(c) カプリン酸メチル内標準液 カプリン酸メチル10mgを全量フラスコ100mlにとり,エタノールを
標線まで加えたもの。
5.1.2 装置
(1) ガスクロマトグラフ ガスクロマトグラフは,次のとおりとする。
(a) 検出器 水素炎イオン化検出器
(b) カラム 内面をよく洗浄した内径34mm,長さ25mのガラス管又はステンレス鋼管。カラム充
てん剤は塩酸で十分洗浄し,水洗乾燥した白色けいそう土担体(粒径149250 に固定相液体
を含浸させたもの(2)。
なお,キャピラリーカラムを用いてもよい。
注(2) 固定相液体は,分析目的に応じて次の中から選ぶ。
(1) フェノールとクレゾールが分離でき,クレゾールの異性体の分離を必要としない場合は,グ
リース状高沸点炭化水素を1520w/v%の割合で,けいそう土に含浸させる。
(2) フェノールとクレゾールの異性体のいずれも分離する必要がある場合は,りん酸トリトリル
を8%及びりん酸を3%けいそう土に含浸させる。
(c) キャリヤーガス 純度99.9%以上の窒素。
(d) 燃料ガス JIS K 0512に規定する1級又は2級のもの。
(e) 助燃ガス 清浄空気
参考 グリース状高沸点炭化水素にはアピエゾンLがある。

――――― [JIS K 0086 pdf 4] ―――――

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K 0086 : 1998
5.1.3 操作 操作は,次の手順によって行う。
(1) 分析条件 ガスクロマトグラフの分析条件は,表2による。
表2 ガスクロマトグラフの分析条件(一例)
固定相液体グリース状高沸点炭化水素 りん酸トリトリル+りん酸
分析条件
カラム寸法 内径3mm,長さ24m 内径3mm,長さ35m
カラム槽温度 150℃ 120℃
試料導入部及び検出器温度 180℃ 180℃
キャリヤーガス流量 4060ml/min 4060ml/min
内標準 プロピルベンゼン カプリン酸メチル
(2) 定量 絶対検量線法又は内標準法を用いる。
なお,注射筒を用いた場合は,絶対検量線法を用いる。
(a) 絶対検量線法 4.1.4で調製した分析用試料溶液又は分析用試料ガスの一定量を,それぞれマイクロ
シリンジ又は気体用シリンジ (15ml) にとり,ガスクロマトグラフに導入してクロマトグラムを
得る。このクロマトグラムからフェノール類に相当するピーク面積又はピーク高さを測定し,あら
かじめ作成した検量線からフェノール類の量を求める。
(b) 内標準法 4.1.4で調製した分析用試料溶液1mlを全量フラスコ5mlに分取し,内標準液1mlを加え,
エタノールを標線まで加えて,よく振り混ぜる。この混合液から520 イクロシリンジにと
り,ガスクロマトグラフに導入する。得られたクロマトグラムからフェノール類と内標準物質との
ピーク面積比を求め,あらかじめ作成した関係線から,フェノール類の量を求める。
5.1.4 検量線及び関係線の作成 検量線及び関係線の作成は,次のとおりとする。
(1) 絶対検量線法 5.1.1(2)(a)で調製したフェノール検量線用溶液1 2 び4 イクロシリンジ
とり,ガスクロマトグラフに導入する。得られたクロマトグラムからフェノール類に相当するピーク
面積を求め,フェノール類の量 ( 最 ‰ ーク面積との関係線を作成する。
(2) 内標準法 5.1.1(2)(a)で調製したフェノール検量線用溶液1ml,2ml及び3mlを全量フラスコ5mlに分
取する。次に,それぞれに5.1.1(2)(b)又は5.1.1(2)(c)の内標準液1mlを加え,エタノールを標線まで加
えてよく振り混ぜた後,それぞれから520 湎[ をマイクロシリンジにとり,ガスクロマトグ
ラフに導入する。得られたクロマトグラムからフェノール類の各成分と内標準物質とのピーク面積比
又はピーク高さ比を求め,これと各成分内標準物質の混合比との関係線を作成する。
5.1.5 計算 試料ガス中のフェノール類の濃度を次の式によって算出し,有効数字2けたに丸める。
(1) 吸収瓶の場合
224. a V1
C 1000
M SLVS
ここに, C : 試料ガス中のフェノール類の濃度 (volppm)
a : 検量線から求めた定量に供した分析試料用液中のフェノー
ル類の質量 ( 最
M : フェノール類の分子量(フェノール94.1,クレゾール108.2)
SL : 定量に供した分析用試料溶液の体積 (
V1 : 分析用試料溶液の調製量 (ml)
V2 : JIS K 0095の5.1.7で求めた試料ガス採取量 (ml)

――――― [JIS K 0086 pdf 5] ―――――

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