JIS K 0127:2013 イオンクロマトグラフィー通則 | ページ 4

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妨害成分
分析対象成分
a) コンディショニング b) 試料溶液添加 c) 妨害成分の吸着
(洗浄・活性化) 分析対象成分の溶出
図4−目的成分だけ溶出する固相抽出法の一例
3) 液−液抽出を用いる方法 試料溶液と混ざり合わない有機溶媒を用いて,疎水性の高い妨害成分を
抽出除去する方法である。有機溶媒としては,ヘキサン,酢酸エチル,ジエチルエーテル,クロロ
ホルム,ジクロロメタンなどを用いる。妨害成分を有機溶媒相に移動させた後,有機溶媒を取り除
くことによって,分析対象成分溶液を得る。水溶液に不溶な疎水性の高い成分に含まれる無機イオ
ンの測定に有効な手法である。また,水及び溶離液と混ざり合わない試料溶液中のイオン種成分に
ついては,水抽出を行い分析対象成分溶液を得る。
6.3.5 有機化合物の燃焼前処理
有機化合物を酸素フラスコ燃焼法,酸素ボンベ燃焼法又は石英管燃焼法によって燃焼分解し,発生ガス
を吸収液に吸収させ,イオンクロマトグラフ法によって定量する方法である。ふっ素,塩素,臭素及びよ
う素の4種ハロゲン及び硫黄が測定対象元素となる。
燃焼前処理時の検量線用溶液には,箇条7に規定する容量分析用標準物質又は各種陰イオン標準液を用
いて調製する方法(無機検量線法)及びハロゲン及び硫黄を含む有機標準物質又は標準試料を段階的に燃
焼させて検量線を作成する方法(有機検量線法)がある。測定目的によって,いずれかの方法を用いて検
量線を作成し定量計算を行う。装置及び燃焼条件の評価として,ハロゲン及び硫黄濃度が既知である認証
物質(例,EU認証のBCR-680,BCR681,ERM-EC681K及びEC680K)を用いて,回収率,再現性などを
指標として燃焼条件を前もって確認しておくことが望ましい。
吸収液には,水,薄い過酸化水素水,薄いヒドラジン水及びアルカリ溶液などがあり,臭素及びよう素
の定量には還元剤の添加が,硫黄の定量には酸化剤の添加が必要である。
注記 有機物の燃焼前処理については,日本薬局方(第16改正),個々のJIS,JEITA規格などを参
照するとよい。

6.4 操作

  イオンクロマトグラフの本体,データ処理装置,附属装置などをそれぞれ操作条件に合わせて設定を行
い,作動させる。その操作は,装置の構成及びデータ処理装置の個別規格で定めた条件の範囲内で設定し
なければならない。箇条5に規定する装置の構成(附属装置も含む。)を基本として,操作する。操作は,
次による。
a) 分析条件の設定 個別規格で定めた条件に従い,次の項目についてそれぞれの値に調節する。

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1) 溶離液(移動相)の種類及び流量(グラジエント溶離法を用いる場合は,溶離液の初期組成,組成
変化率,最終組成などの設定)
2) 試料の注入量
3) カラムの種類
4) カラムの温度
5) サプレッサーの設定
6) 検出部の感度
7) データ処理部(データ処理装置)の設定
b) システムの作動,ベースラインの安定度及びノイズレベルの確認 a) で規定した条件で作動させたと
き,ベースラインの変動が測定に支障のないことを確認する。ベースラインの安定度は,ドリフトの
大きさで表し,ノイズレベルは,安定したベースラインの状態で確認する(箇条11参照)。
また,誤差の要因などを特定するために,空試験の測定(箇条11参照)を行うことが望ましい。
c) 標準液の導入 希釈標準液又は混合希釈標準液をシリンジ又は自動試料導入装置を用いて注入し,試
料導入部から導入する。精度管理に必要な測定回数,及び複数の濃度の標準液を測定する(箇条8参
照)。
d) 測定用試料溶液の導入 測定用試料溶液をシリンジ又は自動試料導入装置を用いて注入し,試料導入
部から導入する。
e) クロマトグラムの記録 クロマトグラムの記録は,データ処理装置又は記録計を用いて行う。データ
処理装置を用いる場合,正確なデータを得るために,データの取込みに関するパラメータの数値を状
況に応じ設定する。データの取込み及びピークの計算処理に関するパラメータには,サンプリング周
期,時定数,ピーク検出パラメータなどがある。記録計を用いる場合,測定用試料溶液導入と同時に
記録紙に試料導入点を記入する。測定するイオン種に基づくピークが記録紙上を振り切れることなく,
できるだけ大きなピークを描くように測定するイオン種の濃度に応じて減衰器を調節する。
f) クロマトグラムの整理 クロマトグラムの整理に当たり,次の事項をクロマトグラムとともに記録す
る。記載内容が分析手順書などに記載されている場合は一部を省略してもよい。単位は一例として示
す。
1) 測定日及び測定者名
2) イオンクロマトグラフの製造業者名又はその形式記号
3) 試料名
4) 測定用試料溶液の調製方法及び導入量( はmL)
5) カラム充剤の種類又は充カラムの形式名
6) カラム管の材質,内径(mm)及び長さ(mm)
7) カラム温度(℃)
8) 溶離液(移動相)の種類
9) 溶離液(移動相)の流量(mL/min)及びカラム入口圧力(MPa)
10) グラジエント溶離法を採用した場合は,グラジエントの条件
11) サプレッサーを採用した場合は,サプレッサーの方式及び条件
12) 検出器の種類及び設定条件
13) ポストカラム誘導体化法などの化学反応を利用した場合は,反応液及び誘導体化試薬の種類,移動
相及び反応液の混合比並びに反応条件

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14) データ処理部の名称及びデータ処理条件
15) その他必要事項

7 検量線用溶液

  検量線用溶液の調製には,トレーサビリティが確保された標準液2) 又はそれを一定濃度に希釈したもの
のほか,a) aj) に示す方法によって調製した標準液又は市販されているイオンクロマトグラフ用標準液を
用いる。検量線用溶液には,標準液3) を水で希釈した希釈標準液4) 又は混合希釈標準液5) を用いる。検量
線用溶液を調製する水は,JIS K 0557に規定するA2A4の水又はこれと同等以上の水を使用する。また,
あらかじめ空試験を行って使用の適否を確認しなければならない。標準液及び希釈標準液の調製例を次に
示す。
注2) トレーサビリティが確保された標準液に相当するものとして,国家計量標準(計量法第134条)
に規定するJCSS(計量法校正事業者登録制度)マーク付き証明書を付したものがある。市販さ
れているイオンクロマトグラフ用標準液にも,値付けされているものがある。
3) 標準液の保存には,ポリエチレン製又は四ふっ化エチレン樹脂(PTFE)製などの気密容器を用
いるとよい。冷暗所に保存すると数か月間安定である。ただし,シアン化物イオン標準液,亜
硝酸イオン標準液,炭酸イオン標準液,塩素酸イオン標準液及び亜塩素酸イオン標準液は,使
用時に調製することが望ましい。
4) 希釈標準液は,使用時に調製することが望ましい。
5) 混合希釈標準液は,使用時に調製することが望ましい。ただし,混合によって沈殿及び/又は
濁りを生じない組合せに限る。
a) ふっ化物イオン標準液(1 000 mg/L) JIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のふっ化ナトリウ
ムをあらかじめ約500 ℃で1時間加熱し,デシケーター中で放冷する。その2.210 gをとり,水に溶
かし,全量フラスコ1 000 mLに移し入れ,水を標線まで加える。
b) 塩化物イオン標準液(1 000 mg/L) JIS K 8005に規定する容量分析用標準物質の塩化ナトリウムを
あらかじめ約600 ℃で1時間加熱し,デシケーター中で放冷する。その1.648 gをとり,水に溶かし,
全量フラスコ1 000 mLに移し入れ,水を標線まで加える。
c) 臭化物イオン標準液(1 000 mg/L) JIS K 8506に規定する臭化カリウムをあらかじめ110 ℃で4時
間加熱し,デシケーター中で放冷する。その1.489 gをとり,水に溶かし,全量フラスコ1 000 mLに
移し入れ,水を標線まで加える。
d) よう化物イオン標準液(1 000 mg/L) JIS K 8913に規定するよう化カリウムをあらかじめ110 ℃で
4時間加熱し,デシケーター中で放冷する。その1.308 gをとり,水に溶かし,全量フラスコ1 000 mL
に移し入れ,水を標線まで加える。
e) シアン化物イオン標準液(1 000 mg/L) JIS K 8443に規定するシアン化カリウム0.63 gを少量の水
に溶かし,水酸化ナトリウム溶液(20 g/L)2.5 mLを加え,水で250 mLとする。この溶液は使用時に
調製する。
シアン化物イオン標準液の濃度は,次の方法によって求める。
シアン化物イオン標準液100 mLを正しくとり,水酸化ナトリウム溶液(20 g/L)1 mLと,指示薬
として,JIS K 8495に規定するp-ジメチルアミノベンジリデンロダニンのアセトン溶液(0.2 g/L)0.5
mLを加え,0.1 mol/L硝酸銀溶液6) で滴定し,黄色から赤色になった点を終点とする。ここに要した
0.1 mol/L硝酸銀溶液のmL数(a)から,次の式によってこの溶液のシアン化物イオン濃度(mg/L)

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を算出する。
1
C a f .5204 1 000
100
ここに, C : シアン化物イオン標準液の濃度(mg/L)
a : 0.1 mol/L硝酸銀溶液の滴定量(mL)
f : 0.1 mol/L硝酸銀溶液のファクター
5.204 : 0.1 mol/L硝酸銀溶液1 mLに対応するシアン化物イオン量
(mg)
注6) 0.1 mol/L硝酸銀溶液の調製法は,JIS K 8001のJA.5.2 n) を参照。
f) 炭酸イオン標準液(1 000 mg/L) JIS K 8005に規定する容量分析用標準物質の炭酸ナトリウムをあ
らかじめ600 ℃で1時間加熱し,デシケーター中で放冷する。その1.766 gをとり,炭酸を含まない
水に溶かし,全量フラスコ1 000 mLに移し入れ,炭酸を含まない水を標線まで加える。
g) 亜硝酸イオン標準液(1 000 mg/L) JIS K 8019に規定する亜硝酸ナトリウムをあらかじめ110 ℃で
4時間加熱し,デシケーター中で放冷する。NaNO2 100 %に対してその1.500 gをとり,水に溶かし,
全量フラスコ1 000 mLに移し入れ,水を標線まで加える。
h) 硝酸イオン標準液(1 000 mg/L) JIS K 8548に規定する硝酸カリウムをあらかじめ110 ℃で4時間
加熱し,デシケーター中で放冷する。その1.631 gをとり,水に溶かし,全量フラスコ1 000 mLに移
し入れ,水を標線まで加える。
i) りん酸イオン標準液(1 000 mg/L) JIS K 9007に規定するりん酸二水素カリウムをあらかじめ110 ℃
で4時間加熱し,デシケーター中で放冷する。その1.433 gをとり,水に溶かし,全量フラスコ1 000 mL
に移し入れ,水を標線まで加える。
j) 硫酸イオン標準液(1 000 mg/L) JIS K 8987に規定する硫酸ナトリウムをあらかじめ110 ℃で2時
間加熱し,デシケーター中で放冷する。その1.479 gをとり,水に溶かし,全量フラスコ1 000 mLに
移し入れ,水を標線まで加える。
k) ナトリウム標準液(1 000 mg/L) JIS K 8005に規定する容量分析用標準物質の塩化ナトリウムをあ
らかじめ約600 ℃で1時間加熱し,デシケーター中で放冷する。その2.542 gをとり,水に溶かし,
全量フラスコ1 000 mLに移し入れ,水を標線まで加える。
l) カリウム標準液(1 000 mg/L) JIS K 8121に規定する塩化カリウムをあらかじめ約500 ℃で1時間
加熱し,デシケーター中で放冷する。その1.907 gをとり,水に溶かし,全量フラスコ1 000 mLに移
し入れ,水を標線まで加える。
m) アンモニウムイオン標準液(1 000 mg/L) JIS K 8116に規定する塩化アンモニウムをあらかじめシ
リカゲルを入れたデシケーター中で16時間以上乾燥する。その2.965 gをとり,水に溶かし,全量フ
ラスコ1 000 mLに移し入れ,水を標線まで加える。
n) マグネシウム標準液(1 000 mg/L) JIS K 8875に規定するリボン状又は薄片状のマグネシウム1.000
gを最少量の塩酸(1+1)に溶かし,全量フラスコ1 000 mLに移し入れ,水を標線まで加える。
o) カルシウム標準液(1 000 mg/L) JIS K 8617に規定する炭酸カルシウムをあらかじめ180 ℃で1時
間加熱し,デシケーター中で放冷する。その2.497 gをとり,水約600 mLが入った全量フラスコ1 000
mLに移し入れ,塩酸を加えて固形物を消失させ,水を標線まで加える。
p) 混合希釈標準液 混合希釈標準液の一例を,次に示す。
例1 陰イオン混合希釈標準液[(F−10 mg,Cl−10 mg,Br−10 mg,NO2−10 mg,NO3−10 mg,
PO43−10 mg,SO42−10 mg) / L] ふっ化物イオン標準液(1 000 mg/L)10 mL,塩化物イオン

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標準液(1 000 mg/L)10 mL,臭化物イオン標準液(1 000 mg/L)10 mL,亜硝酸イオン標準
液(1 000 mg/L)10 mL,硝酸イオン標準液(1 000 mg/L)10mL,りん酸イオン標準液(1 000
mg/L)10 mL,硫酸イオン標準液(1 000 mg/L)10 mLをそれぞれ全量フラスコ1 000 mLに
とり,水を標線まで加える。
例2 陽イオン混合希釈標準液[(Na+10 mg,K+10 mg,NH4+10 mg,Mg2+10 mg,Ca2+10 mg) / L]
ナトリウム標準液(1 000 mg/L)10 mL,カリウム標準液(1 000 mg/L)10 mL,アンモニウ
ムイオン標準液(1 000 mg/L)10 mL,マグネシウム標準液(1 000 mg/L)10 mL,カルシウム
標準液(1 000 mg/L)10 mLをそれぞれ全量フラスコ1 000 mLにとり,水を標線まで加える。
q) ひ素標準液(1 000 mg/L) ひ素標準液は,JIS K 8005に規定する標準液に相当するものとして,JCSS
の標章付き証明書を付した標準液(1 000 mg/L,100 mg/L)が供給されている。
r) 塩素酸イオン標準液(1 000 mg/L) 塩素酸ナトリウム(NaClO3)1.4 gをとり,全量フラスコ1 000 mL
に移し入れ,水を標線まで加える。この溶液は使用時に調製する。
塩素酸イオン標準液の濃度は,次の方法で求める。
共栓付三角フラスコ100 mLに臭化カリウム溶液(5 g/L)5 mL,塩酸10 mL及び水5 mLをとり,
これに塩素酸イオン標準液10 mLを加えて直ちに栓をし,暗所で20分間静置後,よう化カリウム1 g
を加えてよう素を遊離させる。この試験溶液をあらかじめりん酸一水素ナトリウム飽和溶液25 mLを
入れてある共栓付三角フラスコ100 mLに移す。先の共栓付三角フラスコ100 mLを少量の水で洗い,
洗液も共栓付三角フラスコ100 mLに移し,でんぷん溶液5 mLを加えて生じた青色が消えるまで0.1
mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液7) で滴定し,この滴定に要した0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液の
mL数(a)を求め,次の式によってこの溶液の塩素酸イオンの濃度(mg/L)を算出する。
1
C a .1391 f 1 000
S
ここに, C : 塩素酸イオン標準液の濃度(mg/L)
a : 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液の滴定量(mL)
f : 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
S : 滴定に用いた塩素酸イオン標準液のmL数
1.391 : 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム1 mLに相当する塩素酸イオン
の質量を示す換算係数(mg/mL)
注7) チオ硫酸ナトリウム溶液0.1 mol/Lの調製法は,JIS K 8001:2009のJA.5.2 t) 2)を参照。
s) 亜塩素酸イオン標準液(1 000 mg/L) 亜塩素酸ナトリウム(NaClO2)1.5 gをとり,全量フラスコ1 000
mLに移し入れ,水を標線まで加える。この溶液は使用時に調製する。
亜塩素酸イオン標準液の濃度は,次の方法で求める。
三角フラスコ300 mLによう化カリウム溶液(100 g/L)30 mL及び塩酸(1+24)50 mLをとり,こ
れに亜塩素酸イオン標準液20 mLを加えて0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液8) で滴定し,溶液の色
が褐色から淡黄色に変化してからでんぷん溶液3 mLを加え,生じた青色が消えるまで滴定を続け,
要した0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液のmL数(a)を求め,次の式によってこの溶液の亜塩素酸
イオンの濃度(mg/L)を算出する。
1
C a .1686 f 1 000
S
ここに, C : 亜塩素酸イオン標準液の濃度(mg/L)
a : 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液の滴定量(mL)
f : 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター

――――― [JIS K 0127 pdf 20] ―――――

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JIS K 0127:2013の関連規格と引用規格一覧