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K 6901 : 2008
4. 試験の一般条件
4.1 試験場所
試験場所は,日光,紫外線及び熱線の直射を受けないところで,温度1535 ℃,相対湿
度 (65±20) %とする。これ以外の条件で試験するときには,温度及び湿度を記録する。
4.2 試料の採取方法
試料は,品質が同一とみなすことのできるロットから,ロット全体の品質を代表
するように,JIS Z 9031によって,ランダムに採取する。
容器の中身をよくかき混ぜて全体の品質を均一にしてから,試験に必要な量の約2倍を清浄な,乾燥し
た試料容器にとる。試料は,遮光,密栓して保存する。
5. 試験方法
5.1 密度
5.1.1 浮ひょう法の場合 浮ひょう法の場合は,次による。
a) 測定 試料及びシリンダをあらかじめ規定された温度範囲に保ち,試料をシリンダに移す。浮ひょう
を試料に浮かべ,安定するまで待つ。温度が平衡に達した後,浮ひょうの目盛を読み取り,試料温度
を記録する。測定中過度の温度変化を避けるために必要ならば恒温槽中で測定する。単位はg/mlとす
る。
b) 器具
1) 浮ひょう ガラス製で,形状,寸法はISO 649-1又はJIS B 7525に規定するもの。浮ひょうを検定
した温度を表示しているもの。
2) 温度計 温度目盛0.2 ℃以内のもの。
3) シリンダ 透明なガラス製で,その内径は,用いる浮ひょうの外径より少なくとも25 mm大きいも
の。高さは,浮ひょうの底部とシリンダの底との間が少なくとも25 mmとなるようなもの。不透明
な試料の場合には,金属製シリンダを用いてもよい。試料の表面がシリンダの最上部の5 mm以内
が測定しやすい。
4) 恒温槽 測定温度±0.2 ℃に保持できるもの。
c) 測定温度 15 ℃,20 ℃,23 ℃及び25 ℃とする。必要に応じて,受渡当事者間で決めてもよい。
d) 操作
1) 試料,浮ひょう及びシリンダを恒温槽中で測定温度に保つ。
2) 試料は気泡が入らないようにし,温度の一定したシリンダに移す。シリンダ内に温度計を浸してお
く。
3) 空気中で測定する場合には,試料を入れたシリンダを垂直状態にして空気の流れのない場所に置く。
試料の温度が測定終了まで,変化しないことを確かめる。この間,シリンダの周囲の温度は2 ℃以
上変化してはならない。
4) 浮ひょうの目盛部が必要以上に沈まないように静かに試料中に下ろす。安定した測定ができるよう
になった後,1/2目盛の0.1 ℃のけたまで試料の温度を読み取る。
5) 浮ひょうを2目盛分試料中に押し込み,次にそれを離す。目盛部に付いた不必要な試料は測定に影
響するため,試料より上にある浮ひょうの目盛部の残りの部分はぬれないようにする。低粘度の試
料の場合には,シリンダの壁から離れて浮いているようにするため,浮ひょうに軽くスピンをかけ
る。試料中の泡が抜け,浮ひょうが静止するまで十分な時間をかける。
6) 浮ひょうがシリンダの壁から離れて静止した後,密度の最小目盛の1/5又は1/10間隔近くまで浮ひ
ょうの目盛を概算して読み取る。浮ひょうの正しい測定は,次のとおりとする。
――――― [JIS K 6901 pdf 6] ―――――
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6.1) SO 649-1に規定する浮ひょうを用いる場合には,図1 Aのように,試料の主表面が目盛を切る浮
ひょうの目盛を測定位置とする。眼の位置を試料の主表面のわずか下におき,初めゆがんだだ円
として見える表面が浮ひょうの目盛を切るまっすぐな線に見えるまで眼を上げて測定する。
6.2) IS B 7525に規定する浮ひょうを使用する場合には,メニスカスの上縁で目盛を読む。
図 1 透明な試料の浮ひょうの目盛の読み方
7) 試料が不透明な場合には,ISO 649-1に規定する浮ひょうを使用して測定するとき,図2のように
眼の位置を試料の主表面のわずか上におき,メニスカスの上縁の目盛を読む。メニスカスの上縁で
のこの測定は,補正を必要とする。その理由は,ISO 649-1で規定する浮ひょうは,特別な理由が
ない限り,液の表面で測定するように検定されているからである。
測定値の補正は,次による。
試料の表面張力に類似する表面張力をもつ透明な試料中に浮ひょうを浸せきし,試料が浮ひょう
の表面より上に立ち上がる試料の最大高さを測定する。メニスカスの上縁の目盛の測定値から,こ
の高さの値を差し引いて液の表面の測定値に補正する。
8) 浮ひょうを測定した後,直ちに,試料の温度を1/2目盛まで読み取る。この温度と測定前の温度と
の差が,0.5 ℃を超える場合は,0.5 ℃以内に安定するまで浮ひょう及び温度計の測定を繰り返す。
図 2 不透明な試料の浮ひょうの目盛の読み方
――――― [JIS K 6901 pdf 7] ―――――
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e) 試験報告 試験報告は,次による。
1) 試料の名称
2) 測定年月日
3) 測定場所
4) 規格番号,試験項目及び試験方法
5) 測定温度
6) 測定値
7) 特記事項
5.1.2 ピクノメータ法の場合 ピクノメータ法の場合は,次による。
a) 測定 既知体積のピクノメータに23 ℃の試料を入れて質量を測定し密度を求める。単位はg/mlとす
る。
b) 器具
1) ピクノメータ ピクノメータには,表2に示す内径D (mm) の首部と,体積V (ml) のものである,
栓付き全量フラスコ(図3)を使用する。首部の標線から上部の高さが50 mmを超えないものが望
ましい。
表 2 ピクノメータの容積及び寸法
V (ml) D (mm)
100 13±1
50 11±1
図 3 ピクノメータとして用いる全量フラスコ
2) 漏斗 脚の直径はできるだけ大きく,ピクノメータの首部に挿入することができ,その脚の端部が
ピクノメータの標線に届く長さのもの。
3) 恒温水槽 測定温度±0.2 ℃に保持できるもの。
4) はかり 0.1 mgのけたまではかれるもの。
c) 測定温度 23 ℃とする。必要に応じて,受渡当事者間で決めてもよい。
d) 操作 あらかじめ乾燥し室温に放置したピクノメータの質量を正確にはかる。
漏斗を用いて,泡の入らないように試料をピクノメータの標線まで満たし,漏斗の脚がピクノメー
タの首部に触れないように漏斗を取り外す。栓をした後,(23±0.2) ℃に保った恒温水槽中に約1時間
保持する。
このとき,試料中に気泡が生じた場合は,気泡が消えるまで待つか,ピクノメータの壁面を細い金
属線でこすって気泡を消す。次に,ガラス棒,ろ紙などを用いて樹脂を吸い取り,メニスカスの最下
――――― [JIS K 6901 pdf 8] ―――――
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端を標線に合わせた後,栓をする。ピクノメータの外側の水をふき取り,その質量を正確にはかる。
一方,同一のピクノメータについてあらかじめ清浄,乾燥した後,新たに煮沸する。次に,23 ℃付
近に調節した蒸留水をピクノメータの標線まで満たし,試料を満たしたときと同様の操作を行い,ピ
クノメータの質量を正確にはかる。
e) 結果の表示 23 ℃における試料の密度 式(1)によって算出する。
m1 m0
=
23 a
(pdf 一覧ページ番号 )
V
ここに, m1 : 23 ℃における,試料を満たしたピクノメータの質量 (g)
m0 : 23 ℃における,空のピクノメータの質量 (g)
懿 23 ℃における空気の密度=0.001 2 g/ml(空気の浮力補正)
V : 23 ℃におけるピクノメータの体積 (ml)
蒸留水を用いて23 ℃におけるピクノメータの体積Vを計算する。Vは式(2)によって算出する。
m2 m0 m2 m0
V= = (2)
e a
.0996 3
ここに, m2 : 23 ℃における,蒸留水を満たしたピクノメータの質量 (g)
23 ℃における蒸留水の密度=0.997 5 g/ml
受渡当事者間で決めた温度での密度の場合は,空気及び蒸留水の密度はそれぞれの温度での密度を
用いる。例えば,25 ℃の場合は,次の値を用いる。
懿 25 ℃における空気の密度=0.001 2 g/ml(空気の浮力補正)
25 ℃における蒸留水の密度=0.997 0 g/ml
測定は1回とし,測定値は小数点以下3けたに丸める。
f) 試験報告 試験報告は,次による。
1) 試料の名称
2) 測定年月日
3) 測定場所
4) 規格番号,試験項目及び試験方法
5) 測定温度
6) 測定値
7) 特記事項
5.2 色数
色数の測定法は,試料の着色度によって,淡色の場合はハーゼン色数法,濃色の場合はガー
ドナー色数法による。
5.2.1 ハーゼン色数法 ハーゼン色数法は,次による。
a) 測定 肉眼で試料と標準色とを比較し,最も近いハーゼン標準色を識別し,ハーゼン色数 (0500) と
して表示する。
b) ハーゼン標準比色液 JIS K 0071-1の方法によって調整したハーゼン標準比色液を用いる。以下にそ
の概要を示す。
1) 比色管 無色透明で底の肉厚が等しく,内径23 mmの同質同径の共栓付き平底ガラス管で,底から
約100 mmの所に標線を刻んだもの(2)。
注(2) ハーゼン色数が50以下の淡色の液体を測定する場合は,底からの高さは250 mmのものを用
いてもよい。比色管として平底で底から100 mmの所に標線を刻んだ色調の判定に適したも
の,例えば,50 ml又は100 mlのネスラー管などを用いてもよい。
――――― [JIS K 6901 pdf 9] ―――――
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2) ハーゼン色数標準液 塩化白金酸カリウム2.49 g又は塩化白金酸2.10 gと塩化コバルト2.00 gとを
塩酸200 mlに溶かし,蒸留水で薄めて2 000 mlとし,標準原液とする。
この標準原液を表3に示す割合で蒸留水で薄め,ハーゼン色数標準液とする。標準液はそれぞれ
比色管に標線まで満たし,密栓して暗所に保存する。この場合調製後6か月以上経過した標準液は
廃棄する。
表 3 ハーゼン色数標準液
ハーゼン 標準原液 蒸留水 ハーゼン 標準原液 蒸留水
色数 ml ml 色数 ml ml
0 0 100 90 18 82
5 1 99 100 20 80
10 2 98 125 25 75
15 3 97 150 30 70
20 4 96 175 35 65
25 5 95 200 40 60
30 6 94 250 50 50
35 7 93 300 60 40
40 8 92 350 70 30
50 10 90 400 80 20
60 12 88 450 90 10
70 14 86 500 100 0
80 16 84
c) 操作 試料を比色管の標線まで泡の入らないよう注意してとる。次に,白色板上に試料と近似の色数
をもつ色数標準液管と並べて直立させ,拡散昼光又は昼光近似光源の下で,管の上方から肉眼で比較
する。試料に最も近似した濃度の色数標準液を選び,試料の色数とする(3)。
注(3) 各種ハーゼン色数標準液の色調に相当する交換可能な標準ガラスディスクが付いている,肉眼
比較が可能な装置を用いてもよい。ただし,この場合は,あらかじめ標準ガラスディスクを用
いた結果がハーゼン色数標準液の場合と一致することを確認しておく必要がある。また,一定
の管理目的には,比色計,分光光度計などの使用が可能であり,この場合はあらかじめ肉眼比
較の場合と一致することを確認しておく必要がある。
d) 試験報告 試験報告は,次による。
1) 試料の名称
2) 測定年月日
3) 測定場所
4) 規格番号,試験項目及び試験方法
5) 測定値
6) 特記事項
5.2.2 ガードナー色数法 ガードナー色数法は,次による。
a) 測定 肉眼で標準径の試験管中の試料とガードナー色数標準液又はガードナー色数標準ガラスとを比
較し,最も近いガードナー標準色を識別し,ガードナー色数 (118) として表示する。
b) ガードナー色数標準液及びガードナー標準色ガラスの色度座標 JIS K 0071-2の方法によって調整し
たガードナー色数標準液及びガードナー標準色ガラスの色度座標を用いる。以下にその概要を示す。
1) 試験管 無色透明な内径 (10.65±0.025) m,外径12.5 mm,長さ114 mmの試験管。
――――― [JIS K 6901 pdf 10] ―――――
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JIS K 6900:1994の国際規格 ICS 分類一覧
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JIS K 6901:2008の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB7525:1997
- 密度浮ひょう
- JISC1602:2015
- 熱電対
- JISK0071-1:2017
- 化学製品の色試験方法―第1部:ハーゼン単位色数(白金-コバルトスケール)
- JISK0071-2:1998
- 化学製品の色試験方法―第2部:ガードナー色数
- JISK1524:2012
- メチルエチルケトン
- JISK5600-2-2:1999
- 塗料一般試験方法―第2部:塗料の性状・安定性―第2節:粘度
- JISK8034:2006
- アセトン(試薬)
- JISK8102:2012
- エタノール(95)(試薬)
- JISK8231:2016
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- JISK8308:2011
- クレゾールレッド(試薬)
- JISK8361:2007
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- 硝酸(試薬)
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- JISK8891:2006
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- 化学分析用ガラス器具
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- 粘度計校正用標準液
- JISZ9031:2012
- 乱数生成及びランダム化の手順